“覗:のぞ” の例文
“覗:のぞ”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花114
太宰治55
海野十三55
芥川竜之介53
吉川英治52
“覗:のぞ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語24.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)4.5%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆3.4%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
少年は、急に顔を真赤にして、「君は? 食べないの?」と人が変ったようなおどおどした口調で言って、私の顔をのぞき込む。
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
彼は客の注意をくために、あらゆる手段を尽して飾り立てられた店頭みせさきを、それからそれとのぞき込んで歩いた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
するとお医者様が真っ先になって、ドシドシお墓のところまでお行きになりましたが、立ち止まってのぞき込むようにしながら、
幽霊妻 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
(数枝)(不思議そうにあさの顔をのぞき込み)お母さん、いやだわ、そんな真面目まじめな顔して。(はにかむような微笑)
冬の花火 (新字新仮名) / 太宰治(著)
墓向うの家の水を貰いに往った女中が、井をのぞいたらごみだらけ虫だらけでございます、と顔をしかめて帰って来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
墓向ふの家の水を貰ひに往つた女中が、井をのぞいたらごみだらけ虫だらけでございます、と顔をしかめて帰つて来た。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
炉間から背後の一列の部屋は、ここの家族たち四人の寝室で、私はのぞいたことはないが、多分、十二畳と八畳の二室であろう。
或る夜はまた、もの思はしげに青みがかつた白い小石が、薄月夜うすづきよの川底にずつと姿をひそめてゐるのがのぞかれる。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
お銀様は面妖めんような相手共だと心に感じながら、その一方の穴へ近づいて、ほとんど中をのぞきこむばかりにして見ると、
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
声高こわだかに叫びざま、足疾あしばや進出すすみいでて、看護員のかたえに接し、そのおもてのぞきつつ、
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こころしずめてこちらからのぞいてますと、其処そこには二十五六のわかうつくしいおんな
その青い火は、しかし私の魂がもう藻脱けて、虚空へ飛んで、さかさまに下の亡骸なきがらのぞいたのかも知れません。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取巻いたほりの跡には、深く篠笹しのざさが繁つて、時には雨後の水が黒く光つてたゝへられてゐるのがのぞかれた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
何やら声高にののしり騒いでをりますから、何だらうかと一寸ちよつとのぞいてみますと、一羽の年寄つた牝鶴めづる
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
黒門町。自宅の前。格子を開けようとしてのぞくと、見れない麻裏あさうらが一足、かれの帰りを待ち顔に並んでいる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「私は、毎朝、毎晩、楽しみにして、あなたの仕事を店先からのぞいて行ったものですよ。確か西行は一週間位掛かりましたね」
という、そのお悦さんは、世話狂言の町家まちやの女房という風で、暖簾のれんを隔てに、細い格子に立ってのぞいている。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お十夜と天堂一角は、抜刀ぬきみ背後うしろへ廻して膝歩きに、ソッと、穴の両脇から、息を殺して暗い奥をのぞきこむ。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へツ、隣りの部屋が隅から隅まで見えますよ。始終のぞいた野郎があると見えて、此處だけ欄間に埃がないのは面白いでせう」
私が看板の横に書いてある細い文字の町名番地を、俥の上で遠くからのぞき込むようにすると、女はたちまち気が附いたか、
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
声高こわだかに叫びざま、足疾あしばや進出すすみいでて、看護員のかたえに接し、そのおもてのぞきつつ、
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほたり/\とちて、ずるりと硝子窓がらすまどながるゝしづくは、どぜうのぞ気勢けはひである。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうしてからだを出來る丈、平にしながら、くびを出來る丈、前へ出して、おそる恐る、樓の内をのぞいて見た。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
帰りに下女部屋をのぞいて見ると、飯焚めしたき出入でいりの車夫と火鉢ひばちはさんでひそひそ何か話していた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
津田はその上半部じょうはんぶすかぼりのようにまれた厚い格子こうしの中を何気なくのぞいた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宗助は朝出て四時過に帰る男だから、日のまるこの頃は、滅多めったに崖の上をのぞひまたなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今日も私が、経川の作品を持参したというと、小踊りしながら袋の中をのぞき込んだが、期待にはずれて非常に落胆した。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
肱掛窓をのぞくと、池の向うの椿つばきの下に料理番が立って、つくねんと腕組して、じっと水をみまもるのが見えた。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのあやし火の中をのぞいて見ろい、いかいこと亡者もうじゃが居らあ、地獄のさまは一見えだ、と千太どんがいうだあね。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「三町ほど向うだす。岸姫きしひめ町というところだすな。まあ、これに違いないやろ思いまっさ。ひとつのぞいてごらん」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
二階の娘の部屋の扉をノックすると、私の想像していたとはまるで違って見える娘の顔がのぞいて、私を素早く部屋の中へ入れた。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
みなさんに忘れられないように私の勉強ぶりをときたま、ちらっとのぞかせてやろうという卑猥ひわいな魂胆のようである。
「私、わたしです」というと、潜戸をそっと半分ほど開けながら母親が胡散うさんそうに外をのぞくようにして顔を出した。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
庸三はそう言って、縁側の明るいところで、座蒲団ざぶとんを当てがって、仰向きになっている彼女の創口をのぞいて見た。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そらえたつき放棄はうきしてある手水盥てうづだらひのぞいてはひやゝかにわらうてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まぶたはだるそうにすぼめられ、そこから細くのぞいているひとみはぼんやりと力なく何ものかをえんじていた。
美しき死の岸に (新字新仮名) / 原民喜(著)
道路に面したガラス窓から何気なく内側をのぞくと、ぼんやりと兄の顔が見え、兄は手真似てまねで向うへ廻れと合図した。
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
「居るともよ。船長おやじがどこかに隠してやがるんだ。夜中に船長室をのぞいたらシッカリ抱き合って寝てたっていうぜ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうして今一度、吾児わがこの血を吸い込んだであろう足の下の、砂利の間の薄暗がりを、一つ一つにのぞき込みつつ凝視した。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
山霊さんれいに対して、小さな身体からだは、既に茶店の屋根をのぞく、御嶽みたけあごに呑まれていたのであった。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
むくむく鼻をうごめかし漸次しだいに顔を近附けたる、つらが格子をのぞくとともに、鼻は遠慮なく内へりて
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幕のはじから、以前の青月代あおさかやきが、黒坊くろんぼの気か、俯向うつむけに仮髪かつらばかりをのぞかせた。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
内へ引く、勢の無いせきをすると、眉をひそめたが、くぼんだ目で、御堂のうち俯向うつむいて、のぞいて、
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
外では、弓を首によせかけた奴隷が、消えかかった篝火かがりびの傍で乾草の上に両手をついて、石窖の中をのぞいていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
と政吉が慄え上って、中をのぞき込んだ縁の内側にはお雪ちゃんのさしていた、赤い塗櫛ぬりぐしが落ちているのを認めました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そんなように考えながら、一通り読みおわった駒井は、それを最初から好奇心を以てのぞいていた田山の手に渡しますと、
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
片手かたてして、やつこ風呂敷ふろしきつきつけると、をくるりと天井てんじやうのぞきで、
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なるほど、こうして河の真中でやっていれば、いかに東京人でも、そうそう傍まで押しかけてのぞきには行かれない訳である。
雑記(Ⅱ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
じっとしていると、水面にのぞいている大きな眼のようでもあり、どんよりよどんだ沼の腫物できもののようでもある。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
が、みつくちというんじゃありませんが、上唇の真中まんなかが、ちょっと歯茎をのぞかせて反っているのを隠すためです。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女の行水ぎょうずいしている処を隣りの屋根から遠目鏡とおめがねのぞいている画なんぞあって面白そうだが少しも解らない
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
五間おきには、小屋くらいある大きな岩が、今にも転がろうと、ただ一突の指先を待っているかのような姿勢で渓をのぞいている。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
ただ裁判長として、松島事件を裁いたいかめしい人の隠れた一面をのぞいているような気がして、うなずいただけでした。
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
と土瓶のふたなぞを取って、胡乱うろんそうに中をのぞいたりしているのが、何とも滑稽こっけいで仕方がなかった。
葛根湯 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ぽかりといたら、あさかまへたやうに硝子ガラスそとからわたしのぞいてゐた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
で、呼出よびだしをけるの、勝手かつてつた裏口うらぐちまはつて、垣根かきねからのぞくと
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「をぢさん」と云ふ声に扉の方をふりむくと、眼の大きい飲み屋の娘が、二三冊の雑誌をかゝへて、部屋をのぞきこんでゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
小さい窓に雪の降りこめてゐるのを眺め、富岡は、尨大ばうだい威嚇的ゐかくてきな人間社会の切断面をのぞいた気がした。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
「えっ、親分? ……」多市はポッカリ眼を開いた。起き上がろうとするのを、銀五郎がそっとおさえて、その顔をのぞきこんだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あ、誰かいるようだな」と、青苔あおごけのついた敷石を五、六歩入って、目明し万吉、何の気なしに時雨堂をのぞきこんだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何人なんぴとのぞかせぬ、細工場さいくば陶戸すえどを閉めきって、一生一品の製作に精進しょうじんしているのだ。
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まアいゝ、お前は眼で殺す方だ、――兎も角、それだけワザをするのをつてもおけまい、一度のぞいて樣子を見て置かう」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
お清は廊下から聲をかけて、入口の唐紙からのぞきました。御用聞風情に用のない姿といふよりは、いかにも面倒臭さうです。
彼の妻も、くりやから出て来て、あるじと共に首をならべて、そこをさしのぞくと、息も止ったように眼をみはった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐれた青い雲間を見て、女童たちはほっとした眼をし合っていた。すると一人が、厩の内をのぞいて、頓狂な声を出した。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と千浪はかがんだまま面も上げぬその人をさしのぞいた。半元服の若い武士は春日新九郎である。彼はやっと顔を上げて、
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先刻さっきさんざん縁の下をのぞいて歩いた留吉は、苦笑いをしております。彼の頭は蜘蛛くもの巣だらけだったのです。
信玄は、好奇心も手伝って、面謁を与える前に、使者の間の次まで来て、跡部大炊と一しょにそっとのぞき見したのであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ピアノの音がんだと見て、妙子は写真を抽出に戻して、階段の降り口まで出て行ったが、降りずにそこから階下をのぞいて、
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と告げると、秀吉はつかつか立ち寄って、そこをのぞいた。堀秀政は濡具足ぬれぐそくを側に置いて、くつろいでいた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雅子は釜の蓋を、おっかなびっくりのように、そっとあけて、なかをのぞき込んでいたが、朝野の鋭い語気にパタンと蓋をしめた。
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
水車のそばには自然木で組まれた、非常に頑固で原始的な小屋があり、小屋には小さなのぞき窓が鳩の家のように切ってある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窓障子まどしょうじの破れからのぞいて見ると、榾明ほたあかりに照された壁の上に大きい影が一つうつっていた。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
内供はその短くなった鼻をでながら、弟子の僧の出してくれる鏡を、きまりが悪るそうにおずおずのぞいて見た。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「もう新しいのに換えて置きました」妻はそう答えたのち箪笥たんすの上の鏡をのぞき、ちょいと襟もとをき合せた。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
幾抱えもある椴松は羊歯しだの中から真直に天を突いて、わずかにのぞかれる空には昼月が少し光って見え隠れに眺められた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
学生服を着て、胸のポケットから白いハンケチをのぞかせ、籐椅子とういすに腰かけて足を組み、そうして、やはり、笑っている。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
手籠のなかをのぞいてみた村のひとたちは皆、眉のあいだに黒い油ぎったしわをよせて、天狗てんぐ、天狗とうなずき合った。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
惣助はそれでも盥の傍から離れず母者人の肩越しに太郎の顔をのぞき、太郎、なに見た、太郎、なに見た、と言いつづけた。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
縁端えんがわから、台所に出て真闇の中をそっとのぞくと、臭気においのある冷たい空気が気味悪く顔をかすめた。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その跫音あしおとより、鼠の駈ける音が激しく、棕櫚しゅろの骨がばさりとのぞいて、其処そこに、手絡てがらの影もない。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
琥珀こはくのような顔から、サントオレアの花のような青い目がのぞいている。永遠の驚をもって自然を覗いている。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
けれども今にもそこに至りそうな気がするので、暗い行灯あんどんの光を便たよりに、蚊帳かやの中をのぞいて見た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二三週間はそれなり過ぎた。そのうち秋がだんだん深くなった。葉鶏頭はげいとうの濃い色が庭をのぞくたびに自分の眼に映った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この覚悟の眼鏡めがねから、あの女をのぞいて見ると、あの女は、今まで見た女のうちでもっともうつくしい所作をする。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女が服装を改ためて夫の顔をのぞきに来た時、健三は頬杖ほおづえを突いたまま盆槍ぼんやり汚ない庭を眺めていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
下女部屋をのぞくと、きよが自分の前に小さなぜんを控えたなり、御櫃おはちりかかって突伏していた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大人おとな世界せかいのことはすっかりかってしまったとはえないまでも、すくなくもそれをのぞいてた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
婆やはひざをついたなりでのぞきこむように、お母さんと八っちゃんの顔とのくっつき合っているのを見おろしていた。
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
お妙は時に、小芳の背後うしろで、内証ないしょうで袂をのぞいていたが、細い紙に包んだものを出して気兼ねそうに、
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きましょ。透通いて見えん事は無けれどもよ……障子越は目に雲霧じゃ、のぞくにはっきりとよう見えんがいの。)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と言うと、猛然として、ずんと立って、堪えられぬ……で、地響じひびきで、琴の師匠がずかずかと行って、物干をのぞいたっけ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女は、のぞあなへ当てた片眼の前で、余りにも唐突だしぬけに職人の一人が声を発したので吃驚びっくりしたのである。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
モデル娘は惨ましさに泣きかけた顔をおかしさでゆがみ返させられ、妙な顔になってそでから半分のぞかしている。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しな二匹にひきをつけてはしきながらふところねむつて與吉よきちのぞいて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
昼過ひるすぎ散歩の出掛でがけに、門野かどのへやのぞいたら又引繰ひつくり返つて、ぐう/\寐てゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ポウゼン駅にちょっと停車して動き出すとまもなく、車室の外の廊下に男女の争う声がするので、メリコフはのぞいて見た。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
この港に許嫁いひなづけを見給ふ三人みたりの花嫁の君の顔のぞき見ずやと云ふ人のありしはたれさふらひけん。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そしてその立場より対人関係の問題をのぞくとき、究極は個人主義を透して、極端なる利己主義に終わらざるを得なかった。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「あ、見給え。チャンウーの店には天窓てんまどがあるよ。あそこからのぞけば、店の様子がよく見えるにちがいないよ」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
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