みん)” の例文
『ナニ、そんなことつても駄目だめだ』とねこひました、『自分達じぶんたちだつてみんうしてたつて狂人きちがひなんだ。わたし狂人きちがひ。おまへ狂人きちがひ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
みんなでついていますからね。あなたが病気のことを聞いて、私も早く来たかったけれど、種々……ね。誰も怨んではいけませんよ。
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
チと山木の奥様おくさん見傚みならふ様にツて言はれるんですよ、御一家ごいつけみんな信者でらつしやいまして、慈善事業と言へば御関係なさらぬはなく
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
私は分りませんから御挨拶をすると、洒落に挨拶は驚くと仰しゃってねえ、みんな気が揃って面白いお方で、本当に親切な方ですねえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでみん御免蒙ごめんこうむって岡田より先へ食事を済ました。岡田はそれがこっちも勝手だといった風に、ひとぜんを控えてさかずきめ続けた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
……まア、あたじけない! みんんでしまうて、いてかうわたしためたゞてきをものこしておいてはくれぬ。……おまへくちびるはうぞ。
そしてみんな、小い棒切れを両手に持つて、今にもその太鼓を打ち出さうとしてゐるじやありませんか。それを見た馬鹿七は、躍り上つて
馬鹿七 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
私は二十世紀の文明はみんな無意義になるんじゃないかと思う。何と云っても今はまだレフレクションの影響を免がれていない。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
で、あなたを御誘いしようと思いましてね。みんな御存知の連中です。いらっしゃいませんか。青木君も歓迎するにきまってますよ
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それに第一西洋料理は一事一物みんな衛生上から割り出してあって人の身体を養うように出来ている。僕が今有力な証拠物をお目にかけようか
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「然し日本の學者は西洋と違つてみんな貧乏ですから、生活問題と云ふ事が微妙な力で其のへんの處を調和させて行くのです。」
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
みんな損で御座いますよ。御主人は釣道樂つりだうらくがあつただけで、本當に良い方で御座いました。お内儀さんは情け深くて、これも申分のない——」
勿論もちろんかれ仲間なかまだけがことにさうだとはへなかつた。見渡みわたしたところ、人間にんげんみんひとつ/\の不完全ふくわんぜん砕片かけらであるのに、不思議ふしぎはないはずであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
みんな慈愛を持っているのに、其方そち一人がうつろな心でたわけながらに世を渡ったのじゃという事をしかと胸に覚えるがい。
彼頃あのころから見ると、みんな立派な姉さんに成りましたなあ——どうして吾儕わたしどもが来た時分には、まだ鼻洟はなを垂らしてるやうな連中もあつたツけが。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
天人なら、餓鬼……亡者を見ても、畜生……犬を見ても、みんかんざしの花の一つだと思わなければならないかも知れませんね。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれどもの家の前に立って見たって、みんな知らぬ人が住んでいる。中には取払われて、以前まえの跡形もない家もあった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「だつて開墾者はみんなこんな小屋に住んで居るのですよ。どうです辛棒が出来ますか。」と井田は笑ひながら言つた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
船が動き出した時、盲目めくらのお婆さんを除いては、みん船縁ふなべりの処に顔を並べた。岸の人々も別れの言葉を述べた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「痛え痛え人殺しイーッ……やいみんな出て来てくれ!」すると背後から四人の男が、姿を現わして走って来た。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
吉ちやんがおしやもじの焼けない方を向けると、またみんなが元気よく、踊つたり、跳ねたりします。焦げた方を向けると、皆な傾いて、心配さうな顔になる。
夢の国 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「そうか。もうあとみんな帰ったのか。道理でひどく静かになったと思った。それじゃあ余り待たせても気の毒だから、僕が見ても好い。一体どんな病人だね」
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「別に不都合ということは無いのですけれど、ひとの噂を聞くと、市郎さんは此頃このごろ柳屋とか云ううちにお馴染なじみが出来たそうで……。みんながう云っていますよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
寢食しんしよくことまをすにおよばず、器物きぶつ取扱とりあつかひことみづこと掃除さうぢこと其外そのほかさい仕事しごとくわんしてみん銘々めい/\獨立心どくりつしんつておこなへば自然しぜん責任せきにんおもんずるやうになる。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
誰にしろ、無論こうした事は初めてなので、みんなくすぐったいような、落ちつかぬ面持ちをしている。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
れは独り吾々われわれ洋学者ばかりでない、日本国中の刀をみんなうっちゃって仕舞しまうと云うことにしなければならぬ、だからこんなものは颯々さっさと片付けて仕舞うがよろしい。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
今朝けさから美登利みどり機嫌きげんわるくてみんなあぐねてこまつてます、あそんでやつてくだされとふに、正太しようた大人おとならしうかしこまりて加减かげんるいのですかと眞面目まじめふを、いゝゑ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何故といつて、地獄へは希臘人も露西亜人も印度人もみんなどつさり落合つてゐる筈なのだから。
湯呑や茶碗を一緒に入れて、ジャランジャランいわせて来たものだから、みんな壊れていた。此れでは手品も出来ないと思って困っていると、歌さんが乃公の方へ歩いて来た。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
持て居ると歸るまでにまた何ぞやつて一文なしにして又親父にどやされるがおちだからみんな馬の沓を買てしまつたホラよと是を親父の前へ出せば睨まれる事はないワと此答へを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
太郎右衛門は、庄屋から大体の話はきいて来たようなもののこの有様を見て、吃驚びっくりしてしまいました。朝太郎は何も解らないので、みんなの顔をきょときょとと見廻わしているばかりでした。
三人の百姓 (新字新仮名) / 秋田雨雀(著)
楯井さんは黙って炉の火をいじったり、薪をくべたりなどしていたその瞬間、全くみんなの心が申し合せたように、しんみりしていた。なんとなくぬけ出すことの出来ないような沈黙のなかにいた。
惨事のあと (新字新仮名) / 素木しづ(著)
そして、みんな洞窟から出るように云いつけた。
土鼠と落盤 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
みんなが上りがまちに突立って見送っていた。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
みんな続いて飛んで行く
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
『さてこのねずみなにはなしてやらうかしら?大抵たいていみんへんことばかりだが、かくはなしてもかまはないだらう』とあいちやんがおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
是れだけった奴があって、不憫にはあったが、何うも許し難いからわしは中指を切ろうと思ったが、それも不憫だからみん無名指くすりゆびを切った
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私はふるえる手で、手紙を巻き収めて、再び封の中へ入れました。私はわざとそれをみんなの眼に着くように、元の通り机の上に置きました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あんな馬鹿ばかな子供が、遠い所へ行つてみんなに馬鹿にされてひどい目に逢ふことは無いでせうか。」おつ母さんがかう言つた時
蚊帳の釣手 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
「フム、其りやさひはひぢや、我輩一つ媒酌人にならう、軍人と実業家の縁談を我輩がする、みんな毛色が変つてて面白ろからう、山木、どうぢや」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「そりゃ、その時は口を利く人はあったの。ですけれど此方こっちがお母さんと二人きりだったから甘くみんなに欺されたの。」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「そうか、諸君もやったのか、驚ろいた、その昔はみんな馬鈴薯党なんだね」と上村はおおいに面目を施こしたという顔色かおつき
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「また愚図ぐづり始める。誰も笑つたんぢやないの。あんたが大きくなつたつて、みんな褒めるんぢや有りませんか。」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
兎に角、平次とガラツ八が横山町へ着いた時は、遠州屋の上下は、壓迫された恐怖が、不氣味に立ちこめて、その邊に居る者をみん窒息ちつそくさせて了ひさうでした。
錦糸町きんしちやうの家へあがると、戸がしまつてみんな寝てゐたが、母が起きてくれた。母は長火鉢の火を掻きたてて
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
いや最初からおいと長吉ちやうきちよりも強かつた。長吉ちやうきちよりもはるか臆病おくびやうではなかつた。おいと長吉ちやうきち相々傘あひ/\がさにかゝれてみんなからはやされた時でもおいとはびくともしなかつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「いや、虎ヶ窟へ……。私は一足先へ行くから、みんなが起きたらすぐあとから来るようにう云ってれ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三人さんにんばかりたふれてたよ、驅出かけだすのなんざ一人ひとりない、……みんうでんで、のそり/\とくさんで歩行あるいてたがね、あのくさむのが祕傳ひでんださうだよ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お登和さん、先日良人やど貴嬢あなたから三十銭料理や二十銭料理を教えて戴きまして宅へ帰ってから一々みんな試みてみましたが大層経済に出来てどんなによろこびましてしょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
『え、時には御座ございますがな。たんとはありません。みんな遠いで御座ございますから……。』
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)