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為
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せ
ふりがな文庫
“
為
(
せ
)” の例文
旧字:
爲
かくなん思ふと言ひければ、放免然らばさも
為
(
せ
)
よと云ひければ、男家に死人を持て行きたれば、妻此れを見て其れは何ぞと云へば
放免考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
虹汀聞き果てゝ打ち案ずる事
稍久
(
ややしばし
)
、やがて乙女を
扶
(
たす
)
け起して云ひけるやう。よし/\吾に
為
(
せ
)
ん
術
(
すべ
)
あり。今はさばかり歎かせ給ふな。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
口上はいよいよ狼狽して、
為
(
せ
)
ん方を知らざりき。見物は
呆
(
あき
)
れ果てて息を
斂
(
おさ
)
め、満場
斉
(
ひと
)
しく
頭
(
こうべ
)
を
回
(
めぐ
)
らして太夫の
挙動
(
ふるまい
)
を打ち
瞶
(
まも
)
れり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さらぬだに
寂寞
(
せきばく
)
たる山中の村はいよ/\しんとして了つて、虫の音と、風の声と、水の流るゝ調べの外には更に何の物音も
為
(
せ
)
ぬ。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
眠るでも無く、考へるでも無く、丁度無感覚な人のやうに成つて、長いこと身動きも
為
(
せ
)
ずに居たが、
軈
(
やが
)
て起直つて部屋の内を眺め廻した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
これは
為
(
せ
)
ぬ事とも云われぬので、お幸はそれもそうかと思わぬでもなかったが、しかし、又何となく合点の行かぬ節ありと見ぬでもなかった。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
芝居で云へば
性根場
(
しやうねば
)
といふところになつた。将門は一
ト
塩つけられて怒気胸に
充
(
み
)
ち
塞
(
ふさ
)
がつたが、如何とも
為
(
せ
)
ん
方
(
かた
)
は無かつた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
私にはあなたがハズミに乗って機械的に
為
(
せ
)
られたと思う外、ドウもあなたのお心持が分かりません。全く正気の沙汰とは思われかねるのです。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
唯
(
と
)
見れば
伝馬町
(
てんまちよう
)
三丁目と二丁目との角なり。貫一はここにて満枝を
撒
(
ま
)
かんと思ひ設けたるなれば、彼の語り続くるをも会釈
為
(
せ
)
ずして
立住
(
たちどま
)
りつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私は筆を執っても一向気乗りが
為
(
せ
)
ぬ。どうもくだらなくて仕方がない。「平凡」なんて、あれは試験をやって見たのだね。
私は懐疑派だ
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
最後に「信」の重要性を説いた章と、三代の「礼」の恒久性を説いた章と、「其の
鬼
(
き
)
に非ずして祭るは
諂
(
へつら
)
うなり、義を見て
為
(
せ
)
ざるは勇なきなり」
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
何
(
なん
)
だか見無いでも
可
(
い
)
いものを見る様な気が為て、
怖
(
こは
)
く成つたが、
思切
(
おもひき
)
つて引くと、荒い音も
為
(
せ
)
ずにすつと軽く
開
(
あ
)
いた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
然るを、
予
(
われ
)
の留守にて、
空
(
むな
)
しく還すはつれ無し。世上、年に一度の釣をも
為
(
せ
)
ぬ人多し。一日二日の辛抱何か有らん。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
顧うにその弟子が、彼が骨冷なる後に至るまで、なお
沸
(
なみだ
)
を垂れて松陰先生を説くもの、
豈
(
あ
)
にその故なしと
為
(
せ
)
んや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
うたはせて舞はせて人の
為
(
せ
)
ぬ事して見たいと折ふし正太に
咡
(
ささや
)
いて聞かせれば、驚いて
呆
(
あき
)
れて
己
(
おい
)
らは嫌やだな。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
とうとう日は暮れて四方八方
黒白
(
あやめ
)
も分らぬ真の闇、
併
(
しか
)
し海は
陸
(
おか
)
と違いまして、どのような闇でも水の上は分りますが、
最早
(
もはや
)
三人とも
根
(
こん
)
絶え力尽きて
如何
(
いかん
)
とも
為
(
せ
)
ん
術
(
すべ
)
なく
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
垂乳根
(
たらちね
)
の
母
(
はは
)
が
手放
(
てはな
)
れ
斯
(
か
)
くばかり
術
(
すべ
)
なき
事
(
こと
)
はいまだ
為
(
せ
)
なくに 〔巻十一・二三六八〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
上は則ち
乾霊
(
あまつかみ
)
の国を授けたまふ
徳
(
うつくしび
)
に答へ、下は則ち
皇孫
(
すめみま
)
の
正
(
たゞしき
)
を養ひたまひし
心
(
みこゝろ
)
を弘めむ。然して後に
六合
(
くにのうち
)
を兼ねて以て都を開き、
八紘
(
あめのした
)
を
掩
(
おほ
)
ひて
宇
(
いへ
)
と
為
(
せ
)
むこと、亦
可
(
よ
)
からずや。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「ああエルサレム、エルサレム、予言者たちを殺し、
遣
(
つかわ
)
されたる人々を石にて撃つ者よ、
牝鶏
(
めんどり
)
のその
雛
(
ひな
)
を翼の下に集むるごとく、我なんじの子どもを集めんと
為
(
せ
)
しこと
幾度
(
いくたび
)
ぞや」
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
三日ばかり
経
(
た
)
って夜分村長は富岡老人を
訪
(
と
)
うた。
機会
(
おり
)
を見に行ったのである。然るに座に校長細川あり、酒が出ていて老先生の
気焔
(
きえん
)
頗
(
すこぶ
)
る
凄
(
すさ
)
まじかったので
長居
(
ながい
)
を
為
(
せ
)
ずに
帰
(
かえ
)
って了った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
知っていなかったとすれば尚おのこと、知られたくなかったのだが、
既
(
も
)
う斯う突き止められた上に、
悪戯
(
いたずら
)
で
岡妬
(
おかや
)
きの強い人間と来ているから、此の形勢では
早晩
(
いずれ
)
何とか
為
(
せ
)
ずにはいまい。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
若し
腑
(
ふ
)
に落ちんことがあるなら、どういうわけでそう
為
(
せ
)
にゃならんのか、分りませんちゅうて、教えて貰いんされえ。わしはこれで帰る。土曜には待っとるから、
来
(
き
)
んされえ。あはははは
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
アダムの
二本棒
(
にほんぼう
)
が
意地
(
いぢ
)
汚
(
きたな
)
さの
摂
(
つま
)
み
喰
(
ぐひ
)
さへ
為
(
せ
)
ずば
開闢
(
かいびやく
)
以来
(
いらい
)
五千
年
(
ねん
)
の
今日
(
こんにち
)
まで
人間
(
にんげん
)
は
楽園
(
パラダイス
)
の
居候
(
ゐさふらふ
)
をしてゐられべきにとンだ
飛
(
とば
)
ツ
塵
(
ちり
)
が
働
(
はたら
)
いて
喰
(
く
)
ふといふ
面倒
(
めんだう
)
を
生
(
しやう
)
じ〻は
扨
(
さて
)
も
迷惑
(
めいわく
)
千万
(
せんばん
)
の事ならずや。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
さてイエス聖霊に導かれ悪魔に
試
(
こころみ
)
られんために野に往けり、四十日四十夜
食
(
くら
)
うことをせずのちうえたり、試むるものかれに来りていいけるは
爾
(
なんじ
)
もし神の子ならば命じてこの石をパンと
為
(
せ
)
よ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
いにしへの印旛の神が
為
(
せ
)
し
会
(
あひ
)
の蘆谷のこもり今も為るかも
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
引かるる思ひ
為
(
せ
)
ぬは無し。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
以テ正確ニシテ従フベキト為サズ反覆討尋其正ヲ得テ以テ時ニ或ハ書説ニ与シ時ニ或ハ心ニ従フ故ヲ以テ正ハ
愈
(
いよい
)
ヨ正ニ誤ハ
益
(
ますます
)
遠カル正ナレバ之ヲ発揚シテ著ナラシメ誤ナレバ之ヲ
擯
(
しりぞけ
)
テ隠ナラシム故ニ身ヲ終ルト雖ドモ後世ニ益アリ是レ書ヲ以テ家屋ト
為
(
せ
)
ズシテ書ヲ友トナスノ益ニシテ又植学ヲ修ムルノ主旨ハ則チ何ニ在ルナリ
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
堪へ
難
(
がた
)
い不快にも、余り眠かつたから手で払ふことも
為
(
せ
)
ず、顔を横にすると、蠅は
辷
(
すべ
)
つて、頬の
辺
(
あたり
)
を下から上へ
攀
(
よ
)
ぢむと
為
(
す
)
る。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれども三人は
瞬
(
またたき
)
一つ
為
(
せ
)
ず、身動き一つ出来ず、只黒光りする鉄の死骸の、虚空を掴んだ恐ろしい姿を、穴の明く程見つめて立っていました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
貫一は
異
(
あやし
)
みつつも息を潜めて、
猶
(
なほ
)
彼の
為
(
せ
)
んやうを見んとしたり。宮は
少時
(
しばし
)
ありて火燵に入りけるが、
遂
(
つひ
)
に
櫓
(
やぐら
)
に
打俯
(
うちふ
)
しぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こうなると半田屋九兵衛、気に
為
(
せ
)
ずにはいられなくなった。首をチョン切られた上に、二本松の刑場へ晒されるか。褒美を貰った上に士分にまで取立てられるか。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
然
(
しか
)
りといえども東洋孤島の
裡
(
うち
)
に
在
(
あ
)
り、三十歳の生涯にして、彼が如き業を成し、彼が如き痕跡を留め、彼が如き感化を及ぼしたる者、
豈
(
あ
)
に
復
(
ま
)
た多からずと
為
(
せ
)
んや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
石鹸
(
シャボン
)
玉
泡沫
(
ほうまつ
)
夢幻
(
むげん
)
の世に楽を
為
(
せ
)
では損と帳場の金を
攫
(
つか
)
み出して
御歯涅
(
おはぐろ
)
溝
(
どぶ
)
の水と流す息子なりしとかや。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
釈迦牟尼
(
しゃかむに
)
の其生の初に
為
(
せ
)
られた処をされねばならなかったか? 世間は誰しも斯く驚き
怪
(
あやし
)
みました。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「いざせ」の「いざ」は呼びかける語、「せ」は「
為
(
せ
)
」で、この場合は行こうということになる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
と見る丑松の
側
(
わき
)
を、高柳は意気揚々として、すこし人を尻目にかけて、挨拶も
為
(
せ
)
ずに通過ぎた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
成るといつたら
嘘
(
うそ
)
は無いが、なるべく喧嘩は
為
(
せ
)
ぬ方が勝だよ、いよいよ
先方
(
さき
)
が売りに出たら仕方が無い、何いざと言へば田中の正太郎位小指の先さと、我が力の無いは忘れて
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
放蕩費
(
はうたうひ
)
を借りようとして居るのだが、誰もあんな無法者に金を貸して、抵当として家屋敷を押へた処が、跡で何んな苦情を持出さぬものでもないと、
恐毛
(
おぞけ
)
振つて相手に
為
(
せ
)
ぬので
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
為
(
せ
)
んが
好
(
い
)
いじゃないか? 敢てするなら、
誰
(
たれ
)
の前も憚らず言うが
好
(
い
)
いじゃないか? 敢てしながら
恥
(
はず
)
るとは矛盾でないか? 矛盾だけれど、矛盾と思う者も無いではないか?
如何
(
どう
)
いう訳だ?
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ああエルサレム、エルサレム、予言者たちを殺し、
遣
(
つかわ
)
されたる人々を石にて撃つ者よ、
牝鶏
(
めんどり
)
のその
雛
(
ひな
)
を翼の下に集むるごとく、我なんじの子らを集めんと
為
(
せ
)
しこと幾度ぞや、
然
(
さ
)
れど、汝らは好まざりき
駈込み訴え
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
吾が父や浜の小浜の行き還り何
為
(
せ
)
さすらむ白き髯見ゆ
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
物をしみな
為
(
せ
)
そ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
我を
可憐
(
いと
)
しと思へる人の
何故
(
なにゆゑ
)
にさは
為
(
せ
)
ざるにやあらん。かくまでに
情篤
(
なさけあつ
)
からぬ恋の世に在るべきか。疑ふべし、疑ふべし、と貫一の胸は又乱れぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そうしてその
懐中
(
ふところ
)
には、悪魔を見たらば直ぐにも注ぎかけるために、別に一ツの薬瓶を用意して、その
夜
(
よ
)
夜通しまんじりとも
為
(
せ
)
ずに過ごしました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
客は
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
、お杉も
為
(
せ
)
ん
術
(
すべ
)
を心得ず。とばかりありて、次の
室
(
ま
)
の
襖越
(
ふすまごし
)
に、勿体らしい
澄
(
すま
)
したものいい。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
去年使ふてやつた恩も忘れ上人様に胡麻摺り込んで、
強
(
たつ
)
て
此度
(
こんど
)
の仕事を
為
(
せ
)
うと身の分も知らずに願ひを上げたとやら、清吉の話しでは上人様に
依怙贔屓
(
えこひいき
)
の
御情
(
おこゝろ
)
はあつても
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
斯
(
か
)
うして、働けば働ける身をもつて、
何
(
なんに
)
も
為
(
せ
)
ずに考へて居るといふことは、決して楽では無い。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
華美
(
はで
)
の中に華美を得
為
(
せ
)
ぬ彼は渋い中に華美をやった。彼は自己の為に田園生活をやって居るのか、
抑
(
そもそ
)
もまた人の為に田園生活の芝居をやって居るのか、分からぬ日があった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
頭
(
かしら
)
の家は大屋さんで御座りますからとて
凋
(
しほ
)
れるをすかして、さらば
門口
(
かどぐち
)
まで送つて
遣
(
や
)
る、叱からるるやうの事は
為
(
せ
)
ぬわとて連れらるるに
四隣
(
あたり
)
の人胸を撫でてはるかに見送れば
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
凡
(
おほ
)
ならばかもかも
為
(
せ
)
むを
恐
(
かしこ
)
みと振りたき袖を
忍
(
しぬ
)
びてあるかも」(巻六・九六五)、「高山の
岑
(
みね
)
行く
鹿
(
しし
)
の友を多み袖振らず来つ忘ると念ふな」(巻十一・二四九三)などである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
為
常用漢字
中学
部首:⽕
9画
“為”を含む語句
所為
行為
何為
為合
無為
御為
徒為
為替
為様
有為
作為
以為
人為
為出
為立
為掛
為難
当為
為事
為方
...