まつりごと)” の例文
(七)舜禹しゆんうあひだ(八)岳牧がくぼくみなすすむ。すなはこれ(九)くらゐこころみ、しよくつかさどらしむることすうねん(一〇)功用こうようすでおこり、しかのちまつりごとさづく。
ひろく事を知り、銘々の身分に相応すべきほどの智徳を備えて、政府はそのまつりごとを施すにやすく、諸民はその支配を受けて苦しみなきよう
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
まつりごとよろしきを得れば天が甘露を降らすとか、または快く承諾することを甘諾かんだくといったりする時には、甘味は有価値的意味をもっている。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
永楽の時、史に曲筆多し、今いずくにかそのじつを知るを得ん。永楽簒奪さんだつして功を成す、しか聡明そうめい剛毅ごうきまつりごとす甚だ精、補佐ほさまた賢良多し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「これの鏡は、もはらが御魂として、吾が御前をいつくがごと、いつきまつれ。次に思金の神は、みまへことを取り持ちて、まつりごとまをしたまへ
一定の貴族が交代してまつりごとを行い、立法権は市民議会に属し、司法権は同島を数個の裁判区に分って単独判事がこれを行っておったものである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
「それがそのまま、いまの世の景色です、まつりごとのすがたです。海道の途々でも、いろんな人たちの声を、耳にしましたものね」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その年の二月武帝が崩じて、わずか八歳の太子弗陵ふつりょうが位をぐや、遺詔いじょうによって侍中奉車都尉じちゅうほうしゃとい霍光かくこう大司馬だいしば大将軍としてまつりごとたすけることになった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ではこれから、そちら二人と若郎子わかいらつこと三人のうち、大山守おおやまもりは海と山とのことをつかさどれ、ささぎはわしを助けて、そのほかのすべてのまつりごとをとり行なえよ。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
平安時代の御世に於て、第六十代醍醐だいご天皇第六十二代村上むらかみ天皇は、英明の質を以て、親しくまつりごとを聞し召され、御世は泰平で文化はいよ/\栄えた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
太上天皇は剃髪ていはつして沙弥しゃみ勝満と名のられ、まつりごとの中枢より離れたわけであるが、藤原氏一族による不如意ふにょいの事もあったように後世史家は語っている。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
内乱の起る場合 は法王がかくれたとか、あるいはなお幼くしてまつりごとみずからすることが出来んという時に当り、ある大臣がをほしいままにするとか
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
代次郎は勘定奉行武田準左衛門じゅんざえもんの孫である。準左衛門は天保四年十二月二十日に斬罪に処せられた。津軽信順のぶゆきしも笠原近江かさはらおうみまつりごとほしいままにした時の事である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
およそまつりごとを行いおしえく、まず信を人に得るにあり。信ぜられてしかるのちに令おこなわれ、教立つ。いまだ信ぜられずんば、令して行れず、いましめ守られざるなり。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
まつりごとをなす人とか、教育をする人とかは無論、すべて多くの人を統御とうぎょしていこうと云う人も無論、個人が個人と交渉する場合にってすら型は必要なものである。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかも高時その者たるや、性昏愚こんぐにして放縦無頼、酣飲かんいんを事としてまつりごとを忘れ、闘犬、田楽にその日を過ごす。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
民も又戦国の民なれば、一三六すきててほこへ、一三七農事なりはひをこととせず。士たるもの枕を高くしてねむるべからず。今のさまにては長く不きうまつりごとにもあらじ。
おもうに、太平の世の国のかみが、隠れて民間に微行するのは、まつりごとを聞く時より、どんなにか得意であろう。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
当時とうじ幕府の進歩派小栗上野介おぐりこうずけのすけはいのごときは仏蘭西フランスに結びその力をりて以て幕府統一のまつりごとをなさんとほっし、薩長さっちょうは英国にりてこれにこうたがい掎角きかくいきおいをなせり。
彼れが時まつりごとの得失を指し、表をたてまつりて、僧の玄昉げんばうとともに除かんとせし吉備真備きびのまきびの創建なりといふ。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
いずれ天下のまつりごと一途いっとで候ようこれ無く候ては、ただ一国一国の政事にては相済まぬと心付き、彼に長じ候処もこれ有り、ここに得たる処もこれ有るべく候に付き
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
太閤こうじ、紹巴没し、豊臣氏いで滅び、徳川氏まつりごとを江戸に執るに及びて、連歌は僅にその形骸けいがいを保つに止まり、しかして松永貞徳の俳諧一派はようやく世に拡まらんとす。
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
伏姫が父をいさめて、賞罰はまつりごとの枢機なることを説き、一言は以て苟且かりそめにすべからざるを言ひ、身をてゝ父の義を立てんとするに至りては、宛然たるシバルリイの美玉なり。
実家さとにありけるころより継母のまつりごとを傍観しつつ、ひそかに自家のけんをいだきて、自ら一家の女主あるじになりたらん日には、みごと家をととのえんものと思えるは、一日にあらざりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この国の家来は皆忠義者ばかりでしたから、変な事とは思いましたが、とうとう王様の「息子」の犬を王様にきめて、いろいろのまつりごとは今までの総理大臣がする事になりました。
犬の王様 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
建久九年に土御門天皇が受禅じゅぜんされると、通親は外舅がいきゅうとして勢力を得、内大臣に昇り、後鳥羽上皇の院別当いんべっとうとなって仙洞御所せんとうごしょの実権を握り、卿二品きょうにほんという女傑と結んでまつりごとを左右する。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
安政条約が「帝国大日本大君タイクン」としての将軍との間に締結されたとき初度の英公使パークスによって「虚器を擁せる一個世伝の君主すなわち禁裡あり、この主は命令を出さず、またまつりごとを ...
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
法王の月料は天子の供御くごに準じ、服食も天子と同じものだつた。宮門の出入には鸞輿らんよに乗り、法王宮職が設けられ、まつりごとは自ら決した。それはすべて女帝が与へた愛情のあかしであつた。
道鏡 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
子貢のまつりごとを問うに答えてはすなわちまず食を足らすと述べ、孟子もうしもまた、民の産を制して、楽歳に身を終うるまで飽き、凶年にも死亡を免れしめ、しかるのちって善にゆかしむるをもって
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
天下のまつりごとは、尭舜ぎょうしゅんの世を習い、ひたすら賢王の道を歩ませられておられます、頼朝、義仲等のやから、かたり合い群を成して入京いたしました故、一先ず九国に行幸するの止むなきにいたりました。
早く立憲の政体を立て、人民をしてまつりごとに参せしめざる時は、憂国の余情あふれて、如何いかなる挙動なきにしも非ずと、種々当路者に向かって忠告するも、馬耳東風はじとうふうたる而已のみならず憂国の志士しし仁人じんじん
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
御上おかみの都合にて、如何いかようにも左右されると、庶民に思い込ませるよりは、越前も失策した、然し、よく調べはしたと、庶民に思われる方が、司政者としては、まつりごとに忠なるものと、心得まする
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
夫れ文武のまつりごとしいて方策に在りと雖、之を活用するの政治家なくんば空文となりて過ぎんのみ、憲法はスタイン先生をして感服せしむるも、民法は「コード、ナポレオン」に勝ること万々なるも
一事でもおろそかにあそばさないはずで、何も将来のことをそう御心配になることはなかろうと申しますものの、即位をなさいました場合にも天子は公の君ですからまつりごとはお心のままになりましても
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
せめて暑中しよちうは西の京へでも、侍臣斯く申せば、御気色みけしきかはり、のたまひけらく「ちん西京をきらふと思ふか。いな、朕は西の京が大好きなり。さりながら、朕、東の京を去らば、誰か日本のまつりごとを見むものぞ?」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
現状維持のままにまつりごとを一新せしめて行こうという案らしい。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もとより国のまつりごとをなす者は政府にて、その支配を受くる者は人民なれども、こはただ便利のために双方の持ち場を分かちたるのみ。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし、日向ひゅうがはたいへんにへんぴで、まつりごとをお聞きめすのにひどくご不便でしたので、みことはいちばん上のおあにいさまの五瀬命いつせのみこととお二人でご相談のうえ
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
しかしまつりごとをなす主権者に悪行あるときは、それを廃せし例は、わが朝のみならず、唐土にもあることで、周武しゅうぶがその主紂王ちゅうおうしいし、諸民の困窮を救い
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おもふに、太平の世の国のかみが、隠れて民間に微行びこうするのは、まつりごとを聞く時より、どんなにか得意であらう。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今豊臣のまつりごと久しからずとも、万民ばんみん一五三にぎははしく、戸々ここ一五四千秋楽をうたはん事ちかきにあり。君がのぞみにまかすべしとて八字の句をうたふ。そのことばにいはく
永安公司コンスというデパートが日本の国東京市に於ける最大のデパート三越ぐらいも大きいであろうということや、租界のまつりごとが複雑なので、一つの租界で犯罪した罪人が
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
(七八)夏桀かけつきよ(七九)河濟かせいひだりにし、(八〇)泰華たいくわみぎにし、(八一)伊闕いけつ其南そのみなみり、(八二)羊腸やうちやう其北そのきたりしが、まつりごとをさむることじんならず、たうこれはなてり。
おごれる市民の、君のまつりごと非なりとてありのごとく塔下に押し寄せてひしめき騒ぐときもまた塔上の鐘を鳴らす。塔上の鐘は事あれば必ず鳴らす。ある時は無二に鳴らし、ある時は無三に鳴らす。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
生れてなりしかば、にくむ者チムールレンク(Timurlenk)と呼ぶ。レンクはの義の波斯ペルシヤ語なり。タメルランの称これによって起る。人となり雄毅ゆうき、兵を用いまつりごとすをくす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
御即位の当初は、後宇多ごうだ法皇が、院政を聴かれてゐたが、元亨げんかう元年天皇にまつりごとを還し給うたので、天皇は御英明の資を以て、記録所を復し給ひ、絶えて久しき御親政の実を行ひ給ふことになつた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
その年の秋の除目じもくに正道は丹後の国守にせられた。これは遙授ようじゅの官で、任国には自分で往かずに、じようをおいて治めさせるのである。しかし国守は最初のまつりごととして、丹後一国で人の売り買いを禁じた。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その時の仮りの法王が権をもっぱらにして人民をしいたげるという場合に、人民が憤激ふんげきして内乱を起すことがありますけれども、法王が成長して実際その国のまつりごとを執るに当っては、多少困難な事が起っても
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「江戸へ行って見ねえ、つまり徳川のまつりごとが末なんだね」
すなわち子貢がまつりごとを問いし時、孔子はこれに答えて
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)