トップ
>
指
>
ゆびさ
ふりがな文庫
“
指
(
ゆびさ
)” の例文
と客の前から、いきなり座敷へ飛込んで、
突立状
(
つったちざま
)
に
指
(
ゆびさ
)
したのは、床の間
傍
(
わき
)
の、
欞子
(
れんじ
)
に据えた
黒檀
(
こくたん
)
の机の上の立派な卓上電話であった。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「……」彼女は返事をする代りに、前の大きい机を
指
(
ゆびさ
)
した。そのとき事務室の扉があいて佐和山女史のむっつりした顔があらわれた。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
エリスは
打笑
(
うちゑ
)
みつゝこれを
指
(
ゆびさ
)
して、「何とか見玉ふ、この心がまへを。」といひつゝ一つの木綿ぎれを取上ぐるを見れば
襁褓
(
むつき
)
なりき。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
少年
(
せうねん
)
の
指
(
ゆびさ
)
す
方
(
かた
)
を
眺
(
なが
)
めると
如何
(
いか
)
にも
大變
(
たいへん
)
!
先刻
(
せんこく
)
吾等
(
われら
)
の
通※
(
つうくわ
)
して
來
(
き
)
た
黄乳樹
(
わうにうじゆ
)
の
林
(
はやし
)
の
中
(
あひだ
)
より、
一頭
(
いつとう
)
の
猛獸
(
まうじう
)
が
勢
(
いきほい
)
鋭
(
するど
)
く
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
たのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
天竺
(
てんじく
)
南蛮の
今昔
(
こんじゃく
)
を、
掌
(
たなごころ
)
にても
指
(
ゆびさ
)
すように」
指
(
さ
)
したので、「シメオン
伊留満
(
いるまん
)
はもとより、
上人
(
しょうにん
)
御自身さえ舌を捲かれたそうでござる。」
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
島々の数を尽して
欹
(
そばだ
)
つものは天を
指
(
ゆびさ
)
し、伏すものは波にはらばう、あるは
二重
(
ふたえ
)
にかさなり
三重
(
みえ
)
にたたみて、左にわかれ、右に
連
(
つらな
)
る。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
特殊の変化のある部分を
指
(
ゆびさ
)
し、助手が私の示すところを見て記載することにして
居
(
お
)
りましたので、メスを台上に置く金属性の響と
三つの痣
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
しかも総督府から指導のために出張した検事正や、警視連の
指
(
ゆびさ
)
す処が一々不思議なほど
図星
(
ずぼし
)
に
中
(
あた
)
る。各地の有力者が続々と検挙される。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼の手が筆と関係したのは今度が初めてで、どう持っていいか全くわからない。するとその人は一箇所を
指
(
ゆびさ
)
して
花押
(
かきはん
)
の書き方を教えた。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
綺麗に刈込んだ
樫
(
かし
)
の垣を前に、後に深い杉の森を
繞
(
めぐ
)
らし、数多い
白堊
(
しろかべ
)
の土蔵の夕日に照されてゐるのが常に遠く街道から
指
(
ゆびさ
)
された。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
幾百千とも知れぬ小魚が、くるくると光の渦を巻きながら魚紋を描いているのを
指
(
ゆびさ
)
して、
鮒
(
ふな
)
じゃ、
鯉
(
こい
)
じゃ、といい争っていると
ノンシャラン道中記:07 アルプスの潜水夫 ――モンブラン登山の巻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
こういって、じきそばのテイブルの上に、色んな色の絹糸のかせがつんであるのを
指
(
ゆびさ
)
したかと思うと、いきなり姿を消してしまいました。
黄金鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
余は天狗岩よりは、腰をのして、手を
翳
(
かざ
)
して、遠く向うを
指
(
ゆびさ
)
している、袖無し姿の婆さんを、春の
山路
(
やまじ
)
の景物として
恰好
(
かっこう
)
なものだと考えた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで
早速
(
さつそく
)
、
理髪店
(
とこや
)
に
行
(
い
)
つてその
耳
(
みゝ
)
を
根元
(
ねもと
)
からぷつりと
切
(
き
)
つて
貰
(
もら
)
ひました。おもてへ
出
(
で
)
ると
指
(
ゆびさ
)
して、
逢
(
あ
)
ふもの
毎
(
ごと
)
に
笑
(
わら
)
ふのです。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
眤と真黒く拭い清められた板を見上て、やがてそれを
指
(
ゆびさ
)
して子供を顧みた。……黒板の下の溝には
白墨
(
はくぼく
)
が二本置かれてある。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
夫は戸の外を
指
(
ゆびさ
)
してなほ去らざるを示せり。お峯は土間に
護謨靴
(
ゴムぐつ
)
と油紙との
遺散
(
おちち
)
れるを見付けて、
由無
(
よしな
)
き質を取りけるよと
思
(
おも
)
ひ
煩
(
わづら
)
へる折しも
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
軒
(
のき
)
の下に下っている、値の安い方のを
指
(
ゆびさ
)
しながら、「あああ、早く月給日が来ないかな」とため息をついたものである。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此声の如何に高かつたかは、自分が悠々たる追憶の
怡楽
(
いらく
)
の中から、俄かに振返つて、其児供の
指
(
ゆびさ
)
す方を見たのでも解る。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そこは林の中なれど少しく
芝原
(
しばはら
)
あるところなり。藤七はにこにことしてその芝原を
指
(
ゆびさ
)
し、ここで
相撲
(
すもう
)
を取らぬかという。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
背後
(
うしろ
)
を青森行の汽車が通る。枕の下で、
陸奧灣
(
むつわん
)
の
緑玉潮
(
りよくぎよくてう
)
がぴた/\
言
(
ものい
)
ふ。西には青森の人煙
指
(
ゆびさ
)
す可く、其
背
(
うしろ
)
に津輕富士の
岩木
(
いはき
)
山が小さく見えて居る。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
甲斐守は之を
指
(
ゆびさ
)
し藩中の士を顧みて、この木はわが幽閉の紀念である。今は用なければ
伐
(
き
)
って
薪木
(
たきぎ
)
にでもせられたがよいと言って笑ったそうである。
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『して
此等
(
これら
)
は
何者
(
なにもの
)
か?』
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
薔薇
(
ばら
)
の
木
(
き
)
の
周
(
まは
)
りに
平伏
(
ひれふ
)
してゐた三
人
(
にん
)
の
園丁
(
えんてい
)
どもを
指
(
ゆびさ
)
して
申
(
まを
)
されました、
何故
(
なぜ
)
と
云
(
い
)
ふに、
彼等
(
かれら
)
は
俯伏
(
うつぶ
)
せに
臥
(
ね
)
てゐるし
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
陪乗したるは
清洒
(
せいしや
)
なる当世風の年少紳士、木立の間に
逍遙
(
せうえう
)
する一個の人影を認むるや
指
(
ゆびさ
)
しつつ声をヒソめ「閣下、
彼処
(
かしこ
)
を革命が歩るいて居りまする」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
曉方
(
あけがた
)
のはつきりした夢の中で私は彼女がソーンフィールドの門を私の前に
閉
(
し
)
め、別の路に行けと
指
(
ゆびさ
)
してゐるのを見た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
背後
(
うしろ
)
を青森行の汽車が通る。
枕
(
まくら
)
の下で、
陸奥湾
(
むつわん
)
の
緑玉潮
(
りょくぎょくちょう
)
がぴた/\
言
(
ものい
)
う。西には青森の人煙
指
(
ゆびさ
)
す可く、其
背
(
うしろ
)
に
津軽
(
つがる
)
富士の岩木山が小さく見えて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蜃氣樓よと漁父等は叫びて、相
指
(
ゆびさ
)
して
嬉
(
たのし
)
み笑へり。彼の漁父の子のみは獨り笑はざりき。知らずや、かの樓閣はわが昔少女と共に遊び暮しゝ處なるを。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「あれがお
由
(
よし
)
の色男だ」とその女の名を言つて、
家
(
うち
)
の人が私にある時計屋の職人を
指
(
ゆびさ
)
して見せたことが有つた。私は初めて「色男」といふ言葉を覚えた。
犬
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
洞穴
(
ほらあな
)
の中に一筋の
明
(
あか
)
りが差し込んでいる。それは巌の
裂目
(
さけめ
)
で、そこへ近づいてみると、
傍
(
かたわら
)
につっ立っている奇巌城が見える。ガニマールは
指
(
ゆびさ
)
していった。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
やがてかまどのもとに立しきりに
飯櫃
(
めしびつ
)
に
指
(
ゆびさ
)
して
欲
(
ほし
)
きさまなり、娘此
異獣
(
いじう
)
の事をかねて
聞
(
きゝ
)
たるゆゑ、飯を
握
(
にぎ
)
りて二ツ三ツあたへければうれしげに持さりけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
幾松が平次を案内して、
指
(
ゆびさ
)
してくれたのは、お勝手に近い生垣の袖のところで、其處は陽當りが良いせゐか、土がよく乾いて、足跡らしいものもありません。
銭形平次捕物控:253 猫の首環
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と彼女は傍若無人と云つてもよいやうに、一番縁側の近くに坐つてゐる、若いモーニングを着た紳士を
指
(
ゆびさ
)
した。紳士は、
柔順
(
すなほ
)
にモヂ/\しながら立ち上つた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
逃げても/\振り返つて見るときよとんとして此方を
指
(
ゆびさ
)
してゐる、海の砂原だか野原だか解らない何んにもない広々としたところでね、俺の脚はとても軽いんだ
鶴がゐた家
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
天才と云ふ言葉は、動もすると努力に因らずして得たる智識才能を
指
(
ゆびさ
)
すが如く解釋されてゐるのが、世俗の常になつて居る。が、其れは皮相の見たるを免れない。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
百人の
指
(
ゆびさ
)
すところにて、「
何某
(
なにがし
)
は
慥
(
たし
)
かなる人なり、たのもしき人物なり、この始末を託しても必ず間違いなからん、この仕事を任しても必ず成就することならん」
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
見れば半分裸のこの島の土人が四五人と、何か長い
竿
(
さお
)
の先に丸い網をつけて、
胴乱
(
どうらん
)
をさげた洋服姿の人が二人立って、木の上を見上げては
指
(
ゆびさ
)
して話しておりました。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
時流外
(
なみはづ
)
れに粗大なる布衣を着て
鐵卷
(
くろがねまき
)
の丸鞘を
鴎尻
(
かもめじり
)
に
横
(
よこた
)
へし
後姿
(
うしろすがた
)
を、蔭にて
指
(
ゆびさ
)
し笑ふ者も少からざりし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
喜村は、村田が読み終るのを待って、こんどは神奈川版と書かれた面を
指
(
ゆびさ
)
した、見ると茅ヶ崎にも。
睡魔
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
新吉にきいて初めて知った樹や草の名前を口にしたり、
指
(
ゆびさ
)
して示す時は、すくなからず得意だった。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
善作が
空身
(
からみ
)
で立っている、
手真似
(
てまね
)
で下りろという、崖が急で下りられない、
指
(
ゆびさ
)
す方に従って
漸
(
ようや
)
く下り場所をさがし、偃松の中に転げこむと、
荷梯子
(
にばしご
)
がそっくり寝ていた
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
「その驚きは
理
(
ことわり
)
なれど、これには
些
(
ちと
)
の仔細あり。さて其処にゐる犬殿は」ト、
鷲郎
(
わしろう
)
を
指
(
ゆびさ
)
し問へば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
連れて行った子が
指
(
ゆびさ
)
すのを見ますと、
蜀山人
(
しょくさんじん
)
の小さな戯画の額で、
福禄寿
(
ふくろくじゅ
)
の長い頭の頂へ
梯子
(
はしご
)
をかけて、「富貴天にありとしいへば大空へ梯子をかけて取らむとぞ思ふ」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
平均は
実在的
(
じつざいてき
)
現象を測るもので、ノルムは実際経験の後、
誰
(
た
)
れいうとなく、十
目
(
もく
)
が見、十
指
(
し
)
が
指
(
ゆびさ
)
して、一種の理想的標準を設け、物を測定するに用うるものであると
思
(
おも
)
う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
クリストフは思い出した。ロールヘンの家の牛飼いの少女だった。彼は鞄を
指
(
ゆびさ
)
しながら言った。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
耳許で叫ぶと、吉井はふっと眼を
明
(
あ
)
けたが、とたんに右手をあげて壁の一部を
指
(
ゆびさ
)
しながら
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あすこが水戸だ、お前は明日はあすこへ送られるんだ」と、萩野は遠く東の方を
指
(
ゆびさ
)
した。
恨なき殺人
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
するとモッフは、
舷側
(
げんそく
)
に
凭
(
もた
)
れているガルールの連中を
指
(
ゆびさ
)
しながら、役人の方へ
目配
(
めくばせ
)
をして
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
或る時千手丸は近江の国を眺めやって、うす紫の霞の底に輝いて居る
鳰海
(
におのうみ
)
を
指
(
ゆびさ
)
しながら
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
汽車が駅に著くと、若者は山上を
指
(
ゆびさ
)
して呉れた。そして慇懃に
会釈
(
えしゃく
)
し、僕の手を強く握って降りて行った。そこから僕ひとりになった。そしてしばらく窓をあけて月の光を見た。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「さうですな、絵はなか/\よく出来てゐるが、好き嫌ひから言ふと余り好きません。それよか——」と文学者は盲滅法に隅にある一枚の絵を
指
(
ゆびさ
)
した。「あの方がずつと気に入りました。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それからしゃがれた声で早口に
罵
(
ののし
)
りはじめ、同室の婦人を
指
(
ゆびさ
)
しては激烈に挑戦した。何を云っているかは聞取れない。巡査と駅員に守られて一旦乗船したが出船間際に連れ下ろされて行った。
札幌まで
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
“指”の意味
《名詞》
(ゆび)手、または足の先に付いている、枝分かれした部分。
(出典:Wiktionary)
“指”の解説
指(ゆび)は、一般的に人間の身体の一部で、手や足の末端部にある突出部で、中に関節のある骨格を含む。人が日常的に使う部位だけに様々な意味合いを持つ言葉に発展し、慣用句でも多用されている。相同な構造は四肢動物全般に見られ、四肢の形成の初期から存在する物である。
(出典:Wikipedia)
指
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“指”を含む語句
指示
指環
食指
指弾
拇指
指輪
小指
目指
指折
指導者
指揮
指貫
屈指
示指
人指
無名指
指揮者
指定
指ヶ谷町
指差
...