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国家統治ノ大権ハ朕カこれを祖宗ニケテ之ヲ子孫伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来ノ憲法ノ条章じょうしょうしたがヒ之ヲ行フコトヲあやまラサルヘシ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
大臣も不承不承慎んで馬の糞を金箕でける役を勤めたとあらば、定めて垂れ流しでもあるまじく、蜀江しょっこうの錦ででもぬぐうたであろう。
縁あって、多年、自身が輔佐ほさしたこの主人こそ、いわゆる破壊の時代をけて必然現われなければならない——次の人ではないかと。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東の墓地といわれるモンパルナスの墓地がそのあとを継いで、それからまたその墓地に半ば属していた有名な居酒屋をもけ継いだ。
そして、それがだんだん落ちて来て風の前に来たので、手で以てけたが、不思議に断れていた紐がもとのようにつながっていた。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
孔子の倫理的理想主義をけて孟子は人間性善説を提掲した。これに対して荀子は人間性悪説をり法治論社の一派を形造った。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それは允成が公退した跡になると、女中たちが争ってその茶碗ちゃわんの底の余瀝よれきを指にけてねぶるので、自分も舐ったというのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ねがはくは正しき審判さばき星より汝の血の上に降り、くすしく且つ顯著あらはにて、汝の後をくる者恐れをいだくにいたらんことを 一〇〇—一〇二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
日本橋坂本町に、二十年前に死んだ夫の仕事をけ継いで、大きな一代身上を築き上げた、女金貸の丸屋お米というのが住んでおりました。
驚くことのあらんとすらんとおみになった心をけて、数ならぬ私共もまた、何物にか驚かされたいと常に念じている次第でございます。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
作る者が今なお鮮人の血をけている事も忘れてはならない。あの珍重される「古薩摩」は決して過去に在るだけではない。
苗代川の黒物 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
しかし、リヴィングストーンの大きな志をけついだスタンレーの探検旅行は、これからますます大規模なものとなります。
アフリカのスタンレー (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
徳望もとよりさかんにして、一時の倚重きちょうするところとなり、政治より学問に及ぶまで、帝の咨詢しじゅんくることほとんひま無く、翌二年文学博士となる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
イングラム卿は姉達と同じく非常に脊が高く、また同じく美しい。しかし、彼はメァリーの感じの無い、冷淡な樣子を同じやうにけてゐる。
良家の女子、強いて禽妝きんしょうを委して、※気冤氛れいきえんふん、暗く天日無し。奴僕どぼく一たび到れば、則ち守令顔をけ、書函一たび投ずれば、則ち司院法をぐ。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
今の竜土軒は、先代夫婦の亡きあとをけて、好人物らしい養嗣子が経営ているが、その時分の吾々の文反故を、今でも大切に保存している——
芝、麻布 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
「そうか、パチノが先祖からけついだ吸血病か、そうしてついに君にまで伝わったのか、パチノの曾孫そうそんにあたるが……」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そんなわけで、爺は、他人よりも余計働いたにもかかわらず、親からいだ財産まで、すっかり無くしてしまった。
山茶花 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
レンズの見る見かたを人間の見かたであるといつとはなしにけいれた人間の同意は、どんな国際委員会もかなわない専断的説得力をもっていた。
美学入門 (新字新仮名) / 中井正一(著)
その馬好ももう五十年ぜんとかに亡くなり、今は県会議員である当主が老後の楽みに買取って、おなじく幽雅な料亭としてその跡をいでいる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
娘はしっかりした正しい判断力とともにまたその父親の朗らかな性質をけている。娘はベートーヴェン作の奏鳴曲ソナータを弾くことを何より好んでいる。
古典をけ継ぐとは、つまりは地獄を承け継ぐことなのか。はじめ古典はその甘美と夢によって我らを誘うであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
いつでもしかし、念頭に置いて欲しい問題は、この時代の和歌は常に『古今集』伝統をまもる人々の生活の上にけ継がれた詩であったことである。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
急に財産をけたので慢心したのだろうと、世人は嗤った。が、嗤って済まされないのが、子供ではあるが、僕だ。
青バスの女 (新字新仮名) / 辰野九紫(著)
ここに𧏛貝比賣きさげ集めて、蛤貝比賣待ちけて、おも乳汁ちしると塗りしかばうるはしき壯夫をとこになりて出であるきき。
東洋最近の事情にすらうとかった過去の失策のあとをけて、この国の前途に横たわる最大の難関であるとは、上下をあげてそれを感じないものもない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
甚太夫ははじめ苦々にがにがしげに、「身どもの武道では心もとないと御思いか。」と、容易よういけ引く色を示さなかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
寒月の放胆無礙むげな画風は先人椿岳の衣鉢いはつけたので、寒月の画を鑑賞するものは更に椿岳にさかのぼるべきである。
私が父の彫刻の仕事をけついでやるということは、誰も口に出して言わないうちに決って了っていたことだ。
回想録 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
文学好きの仲間が作っていた「サブライナ」の後をけて私が中心となった「海妖アヤカシ」が最初に生れた。四年級の者でこしらえたクラスの雑誌が次男であった。
語られざる哲学 (新字新仮名) / 三木清(著)
僕の雨をづる癖は恐らく母からけたのであろう。いまそかりし昔、僕はしばしば母と閑話を交えながら、庭に降る雨を眺め暮したことを今もなお思い出す。
雨の日 (新字新仮名) / 辰野隆(著)
これにて椎の実ぱらぱらと落つ。この仕打再びあり。また舞台に戻り「こんな大なのが落ちて居ます」と己がかさの裏に拾ひ入れ、それを小金吾の笠にけしむ。
私は価値尺度財たる職分を説明した後をけて、交換の媒介物たる職能の概念を明らかにせねばならない。
波を打つ廂髪ひさしがみの、白い額につづく下から、骨張らぬ細い鼻をけて、くれないすんに織る唇が——唇をそとすべって
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これが器物として利用せられたのも年久しい事であろうのに、あんな古い記録の次々とがれていたばかりに、近世になるまで依然として一種の珍奇であった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
板倉周防守重宗は、徳川幕府創業の名臣で、父勝重の推挙により、そのちをけて京都所司代となり、父は子を知り子は父を辱しめざるの令名を博した人である。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
世はこぞって書生の暴行を以てとなすものらしい。曾てわたくしも明治大正の交、ぼうけて三田に教鞭きょうべんった事もあったが、早く辞して去ったのは幸であった。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「そはけがたき事」とうちかたぶき打かたぶきするほどに、又も一声ひとこゑ二声ふたこゑうちしきれば、「あれが声を郭公ほとゝぎすとや。いかにしてさはおぼしつるぞ、いとよき御聞おんききざま」
すゞろごと (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
二、あつく仏法を敬へ。三、みことのりは謹しんでけよ。四、群臣は礼を重んぜよ。五、私慾を棄て、訴訟を裁け。六、悪をたゞし、善を勧めよ。七、官職は人を得なければならぬ。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
この世をけて引き継ぐ者は柔和なる者なりとは、柔順なる人は永久にこの世の継続者である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
私たちの性格は両親からけ継いだ冷静な北方の血と、わりに濃い南方の血とが混り合ってできている。その混り具合によって、兄弟の性格が各自めいめい異なっているのだと思う。
私の父と母 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
わが云ひ付けし事は中々にけ引かず。わが折入つて頼み入る事も、平然と冷笑あざわらふのみにして、捗々はか/″\しき返答すら得せず。奈美女の言葉添なければ動かむともせざるさまなり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さらに小寺氏の観察は、大体において柳田先生の固有説をけ〔註二〕、別にこれに対して、我国の鹿舞の起ったのは、トーテム崇拝に由来するのであると、附け加えている。
獅子舞雑考 (新字新仮名) / 中山太郎(著)
圖の中なる聖母マドンナのこぼし給ふおほいなる涙の露は地獄のほのほの上におちかかれり。亡者は爭ひてかの露の滴りおつるをけむとせり。僧は又一たびわれを伴ひてその僧舍にかへりぬ。
洛陽伽藍記らくやうがらんきふ。帝業ていげふくるや、四海しかいこゝに靜謐せいひつにして、王侯わうこう公主こうしゆ外戚ぐわいせきとみすで山河さんがつくしてたがひ華奢くわしや驕榮けうえいあらそひ、ゑんをさたくつくる。豐室ほうしつ洞門どうもん連房れんばう飛閣ひかく
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
伝えるものとけるものと二人相対している。そして微笑する。仏々相照というようなことにもなるか知れないが、それでも困る。誰にでも見える帰納的な表現が欲しいものである。
平生へいぜい學海居士ガクカイコジ儒家じゆからしき文氣ぶんき馬琴バキンけたる健筆けんひつ欽羨きんせんするものなるが、つみばつたいする居士コジ評文ひようぶんあまりに居士コジ代表だいひようすることおほきにはいさゝ當惑とうわくするところなきあたはざりし。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
それは矢田部がしからんと大いに孤立せる私に同情を寄せられ、殊にその頃発行になっていた「亜細亜」という雑誌へ杉浦先生の意をけて大いに私のために書いて声援して下さった。
これは「あくがれ」という形もあるのであるが、詩語としてけ渡した詩人たちは「こがる」と言う焦心を表す語に、接頭語あのついたものと感じた為に、「あこがれ」の方ばかり使った。
詩語としての日本語 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
此の佐用が家はすこぶる富みさかえて有りけるが、丈部母子のかしこきをしたひ、娘子をとめめとりて親族となり、しばしば事にせて物をおくるといへども、口腹こうふくの為に人をわづらはさんやとて、あへくることなし。