トップ
>
増
>
まし
ふりがな文庫
“
増
(
まし
)” の例文
私も、その頃
阿母
(
おふくろ
)
に別れました。今じゃ
父親
(
おやじ
)
も
居
(
お
)
らんのですが、しかしまあ、
墓所
(
はかしょ
)
を知っているだけでも、あなたより
増
(
まし
)
かも知れん。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何にもくれなかったよりは
増
(
まし
)
だ、こう思って、あきらめるともなしにあきらめるうちに、いつか又ごろりと横になって寝てしまいました。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
加へ
新規
(
しんき
)
に
建添
(
たてそへ
)
などし失費も
厭
(
いと
)
はず人歩を
増
(
まし
)
て急ぎければ
僅
(
わづか
)
の日數にて
荒増
(
あらまし
)
成就
(
じやうじゆ
)
したれば然ば
迚
(
とて
)
一先歸國すべしと旅館へは召し連下男一人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
聞かない方が
増
(
まし
)
かも知れませんよ。それから、——今は話せないんだから、そのつもりでいて下さい。適当の時機が来なくっちゃ話さないんだから
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
町
(
まち
)
独立
(
どくりつ
)
で
立派
(
りっぱ
)
な
病院
(
びょういん
)
の
維持
(
いじ
)
されようは
無
(
な
)
いとか、とにかく
悪
(
わる
)
いながらも
病院
(
びょういん
)
のあるのは
無
(
な
)
いよりも
増
(
まし
)
であるとかと。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
しかしそう云っては生硬になるのが
嫌
(
いや
)
です。家常茶飯と云うと、また
套語
(
とうご
)
の
嫌
(
きらい
)
がある。それでも生硬なのよりは
増
(
まし
)
だと思うのは、私だけの趣味なのです。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
山々の雪は
里地
(
さとち
)
よりもきゆる㕝おそけれども、
春陽
(
しゆんやう
)
の
天然
(
てんねん
)
につれて
雪解
(
ゆきげ
)
に水
増
(
まし
)
て川々に
水難
(
すゐなん
)
の
患
(
うれひ
)
ある事年々なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
大島仁藏翁
(
おほしまじんざうをう
)
の
死後
(
しご
)
、
權藏
(
ごんざう
)
は
一時
(
いちじ
)
、
守本尊
(
まもりほんぞん
)
を
失
(
うしな
)
つた
體
(
てい
)
で、
頗
(
すこぶ
)
る
鬱々
(
ふさい
)
で
居
(
ゐ
)
ましたが、それも
少時
(
しばし
)
で、
忽
(
たちま
)
ち
元
(
もと
)
の
元氣
(
げんき
)
を
恢復
(
くわいふく
)
し、のみならず、
以前
(
いぜん
)
に
増
(
まし
)
て
働
(
はたら
)
き
出
(
だ
)
しました。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
車屋に
極
(
き
)
めた賃銭を払おうとしたら、骨を折ったから
増
(
まし
)
を呉れという。余所の車は風を切って飛ぶように走る中を、のそのそと歩いて来たので、
些
(
ちッ
)
とも骨なんぞ折っちゃいない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一 女は我親の家をば
続
(
つが
)
ず、舅姑の跡を継ぐ故に、我親よりも嫜を大切に思ひ孝行を
為
(
なす
)
べし。嫁して後は我親の家に
行
(
ゆく
)
ことも
稀
(
まれ
)
成
(
なる
)
べし。
増
(
まし
)
て他の家へは大方は使を
遣
(
つかわ
)
して
音問
(
いんもん
)
を
為
(
なす
)
べし。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私は
今日
(
けふ
)
は昼も夜も何も食べなかつた。
独逸
(
ドイツ
)
の国境でボオイは私を
伴
(
つ
)
れて行つて十五円程の
増
(
まし
)
切符を買はせた。マウリス氏は
此
(
この
)
時も
其
(
その
)
影を見て又何か事が
起
(
おこ
)
つたかと降りて来て
呉
(
く
)
れた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
又「成程増田屋で
増
(
まし
)
を付けるのは榊原の家来で榊原を名乗るようなもので」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なんにも持たずに出た方が
増
(
まし
)
だと云ふ。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
一年
増
(
まし
)
に強く利くのだからな。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
然りといへども
繁華
(
はんくわ
)
の日夜に
増
(
まし
)
けるゆゑ少々つゞの
訴
(
うつた
)
へはふん/\として
更
(
さら
)
にやむことなしさればこそ
奉行
(
ぶぎやう
)
は是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
町
(
まち
)
獨立
(
どくりつ
)
で
立派
(
りつぱ
)
な
病院
(
びやうゐん
)
の
維持
(
ゐぢ
)
されやうは
無
(
な
)
いとか、
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
惡
(
わる
)
いながらも
病院
(
びやうゐん
)
の
有
(
あ
)
るのは
無
(
な
)
いよりも
増
(
まし
)
であるとかと。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
山々の雪は
里地
(
さとち
)
よりもきゆる㕝おそけれども、
春陽
(
しゆんやう
)
の
天然
(
てんねん
)
につれて
雪解
(
ゆきげ
)
に水
増
(
まし
)
て川々に
水難
(
すゐなん
)
の
患
(
うれひ
)
ある事年々なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
御坊様
(
おばうさま
)
も
血気
(
けつき
)
に
逸
(
はや
)
つて
近道
(
ちかみち
)
をしてはなりましねえぞ、
草臥
(
くたび
)
れて
野宿
(
のじゆく
)
をしてからが
此処
(
こゝ
)
を
行
(
ゆ
)
かつしやるよりは
増
(
まし
)
でござるに。はい、
気
(
き
)
を
着
(
つ
)
けて
行
(
ゆ
)
かつしやれ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
先の日汝が手を合せ、親の敵の討てるよう剣術を教えてくだされと、頼まれた時のせつなさは百倍
増
(
まし
)
であったるぞ、定めて敵を討ちたいだろうが、我が首を切る時は
忽
(
たちま
)
ち主殺しの罪に落ちん
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「案外丈夫そうだ。まアこれでも
可
(
い
)
い、無いよりか
増
(
まし
)
だろう。その内大工を頼んで本当に作らすことに仕よう」と言って「竹で
作
(
こしら
)
えても木戸は木戸だ、ハ、ハハハハ」と笑いながら
屋内
(
うち
)
へ入った。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
増
(
まし
)
種々
(
いろ/\
)
に手を
變
(
かへ
)
云
(
いひ
)
寄
(
よる
)
ゆゑ
夫
(
をつと
)
喜八と申者
在
(
ある
)
中
(
うち
)
は御心に從ひては女の道
立
(
たち
)
申さずと一
寸
(
すん
)
遁
(
のが
)
れに
云拔
(
いひぬけ
)
けるを或時粂之進
茶
(
ちや
)
を
汲
(
くま
)
せ
持來
(
もちきた
)
る其手を
捕
(
と
)
らへ是程までに其方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「真とに毒ですよ、冷えると悪いから立っていらっしゃい、立っていらっしゃいよ。その方が
増
(
まし
)
ですよ。」
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
数日処を
移
(
うつ
)
さず、一日
暴風
(
ばうう
)
に水
増
(
まし
)
て光りし物所を
失
(
うしな
)
ふ、
后
(
のち
)
四五町川下に光りある物
螢火
(
けいくわ
)
の如し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
眞
(
ほん
)
とに
毒
(
どく
)
ですよ、
冷
(
ひ
)
えると
惡
(
わる
)
いから
立
(
た
)
つていらつしやい、
立
(
た
)
つていらつしやいよ。
其
(
その
)
方
(
はう
)
が
増
(
まし
)
ですよ。」
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
数日処を
移
(
うつ
)
さず、一日
暴風
(
ばうう
)
に水
増
(
まし
)
て光りし物所を
失
(
うしな
)
ふ、
后
(
のち
)
四五町川下に光りある物
螢火
(
けいくわ
)
の如し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「さあ、どうぞ、旦那様、奥様、これへお掛け遊ばして、いえ、もう汚いのでございますが、お立ちなすっていらっしゃいますより、ちっとは
増
(
まし
)
でございます。」
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……こっちの木の葉より、
羽団扇
(
はうちわ
)
の毛でもちっとは
増
(
まし
)
だろうと思うから、お酌をしますとね、(聞け——娘。)と今度はお酌のお
庇
(
かげ
)
で、狐が娘になったんですがね。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
心ゆかしにこれを上げよう、これでもここらに
散
(
ちら
)
ばった落葉朽葉よりいくらか
増
(
まし
)
、志は松の葉だ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
ど
)
うやらお
前様
(
めえさま
)
より
増
(
まし
)
だんべいで、
出来
(
でき
)
る
事
(
こと
)
さ
助言
(
じよごん
)
も
為
(
し
)
べい、
為
(
し
)
て
可
(
い
)
い
処
(
ところ
)
は
手伝
(
てつだ
)
ふべい。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前
(
さき
)
へ死ぬ方がまだ
増
(
まし
)
だ、あの子は男だから
堪
(
こら
)
えるでしょう、……後へ残っちゃ、私は
婦
(
おんな
)
で我慢が出来ないって言ったんですとさ。……ちょいとどうしましょう。私、涙が出てよ。……
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
身
(
み
)
がつてではない。
味
(
あぢ
)
はとにかく、ものの
生
(
なま
)
ぬるいよりは
此
(
こ
)
の
方
(
はう
)
が
増
(
まし
)
だ。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
けれども、
淡泊
(
たんぱく
)
で、
無難
(
ぶなん
)
で、
第一
(
だいいち
)
儉約
(
けんやく
)
で、
君子
(
くんし
)
の
食
(
く
)
ふものだ、
私
(
わたし
)
は
好
(
すき
)
だ。が
言
(
い
)
ふまでもなく、それどころか、
椎茸
(
しひたけ
)
も
湯皮
(
ゆば
)
もない。
金魚麩
(
きんぎよぶ
)
さへないものを、
些
(
ちつ
)
とは
増
(
まし
)
な、
車麩
(
くるまぶ
)
は
猶更
(
なほさら
)
であつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
世界に二人と無い夫だと思え。早瀬より
豪
(
えら
)
い男だ。学問も出来る、名も高い、腕も有る、あれよりは年も上だ。脊も高い、腹も
確
(
たしか
)
だ、声も
大
(
おおき
)
い、酒も強い、借金も多い、男
振
(
ぶり
)
もあれより
増
(
まし
)
だ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きっとそうと
極
(
きま
)
りませんから、もしか、死んでそれっきりになっては
情
(
なさけ
)
ないんですもの。そのくらいなら、生きていて思い悩んで、
煩
(
わず
)
らって、段々消えて
行
(
ゆ
)
きます方が、いくらか
増
(
まし
)
だと思います。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八郎に取っても、お久という人の一類と交渉を持たなくてはならないのなら、むしろ野三昧の人足の方が
増
(
まし
)
かも知れない。いわんや、亡者を焼く烈々たる炎には、あの雪の
膚
(
はだ
)
が脂を煮ようものを。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
袷
(
あわせ
)
ぢやけれどの、
濡
(
ぬ
)
れた
上衣
(
うわぎ
)
よりは
増
(
まし
)
でござろわいの、
主
(
ぬし
)
も分つてある、
麗
(
あでやか
)
な娘のぢやで、お前様に
殆
(
ちょう
)
ど
可
(
よ
)
いわ、
其主
(
そのぬし
)
もまたの、お前様のやうな、
少
(
わか
)
い
綺麗
(
きれい
)
な人と寝たら
本望
(
ほんもう
)
ぢやろ、はゝはゝはゝ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
汚
(
けがら
)
はしい
慾
(
よく
)
のあればこそ
恁
(
か
)
うなつた
上
(
うへ
)
に
蹰躇
(
ちゆうちよ
)
をするわ、
其
(
その
)
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
声
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
けば、
渠等
(
かれら
)
夫婦
(
ふうふ
)
が
同衾
(
ひとつね
)
するのに
枕
(
まくら
)
を
並
(
なら
)
べて
差支
(
さしつか
)
へぬ、それでも
汗
(
あせ
)
になつて
修行
(
しゆぎやう
)
をして、
坊主
(
ばうず
)
で
果
(
は
)
てるよりは
余程
(
よほど
)
の
増
(
まし
)
ぢやと
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
浅草へ行って蔵前辺に屋台店でも出してみよう、煮込おでんの
汁
(
つゆ
)
を吸っても、
渇
(
かつ
)
えて死ぬには
増
(
まし
)
だという、祖父の繰廻しで、わずか残った
手廻
(
てまわり
)
の道具を売って
動
(
うごき
)
をつけて、その俵町の裏長屋へ越して
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いえ、思ったより、
昨夜
(
ゆうべ
)
よりはちっと
増
(
まし
)
ですよ。」
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
じゃ青大将の方が
増
(
まし
)
だったんだ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(でも水の上よりは
増
(
まし
)
ですわ。)
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“増”の意味
《名詞》
増(ぞう)
増えること。増やすこと。
(出典:Wiktionary)
増
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
“増”を含む語句
弥増
彌増
年増
中年増
増長
年増女
荒増
増加
日増
大年増
増上寺
年増盛
建増
増々
湛増
増屋
増一阿含経
波羅葦増
増長慢
増大
...