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務
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つとめ
ふりがな文庫
“
務
(
つとめ
)” の例文
母は
昔堅気
(
むかしかたぎ
)
の教育を受けた婦人の常として、家名を揚げるのが子たるものの第一の
務
(
つとめ
)
だというような考えを、何より先に
抱
(
いだ
)
いている。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
次
(
つぎ
)
に
著意
(
ちやくい
)
して
道
(
みち
)
を
求
(
もと
)
める
人
(
ひと
)
がある。
專念
(
せんねん
)
に
道
(
みち
)
を
求
(
もと
)
めて、
萬事
(
ばんじ
)
を
抛
(
なげう
)
つこともあれば、
日々
(
ひゞ
)
の
務
(
つとめ
)
は
怠
(
おこた
)
らずに、
斷
(
た
)
えず
道
(
みち
)
に
志
(
こゝろざ
)
してゐることもある。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
汝の知らんと欲するは、
果
(
はた
)
されざりし誓ひをば人他の
務
(
つとめ
)
によりて
償
(
つぐの
)
ひ、魂をして
論爭
(
あらそひ
)
を
免
(
まぬが
)
れしむるをうるや
否
(
いな
)
やといふ事是なり。 一三—一五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
あなかしこ私などの知らぬこと願はぬことながら、私の、私どものこの国びととしての
務
(
つとめ
)
は、精一杯致しをり候つもり、先日××様仰せられ候
ひらきぶみ
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
然
(
しかれ
)
ども
余
(
よ
)
が
机上
(
きしやう
)
它
(
た
)
の
編筆
(
へんひつ
)
に
忙
(
せはし
)
く
屡
(
しば/\
)
稿
(
かう
)
を
脱
(
だつす
)
るの
期約
(
きやく
)
を
失
(
うしな
)
ひしゆゑ、
近日
(
このごろ
)
務
(
つとめ
)
て老人が
稿本
(
かうほん
)
の
残冊
(
ざんさつ
)
を
訂
(
てい
)
し、
以
(
もつて
)
其乞
(
そのこひ
)
に
授
(
さづ
)
く。
北越雪譜:05 北越雪譜二編凡例
(新字旧仮名)
/
山東京山
(著)
▼ もっと見る
然
(
しかれ
)
ども
余
(
よ
)
が
机上
(
きしやう
)
它
(
た
)
の
編筆
(
へんひつ
)
に
忙
(
せはし
)
く
屡
(
しば/\
)
稿
(
かう
)
を
脱
(
だつす
)
るの
期約
(
きやく
)
を
失
(
うしな
)
ひしゆゑ、
近日
(
このごろ
)
務
(
つとめ
)
て老人が
稿本
(
かうほん
)
の
残冊
(
ざんさつ
)
を
訂
(
てい
)
し、
以
(
もつて
)
其乞
(
そのこひ
)
に
授
(
さづ
)
く。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
老子
(
らうし
)
、
(一一)
道徳
(
だうとく
)
を
修
(
をさ
)
む、
其學
(
そのがく
)
は
自
(
みづか
)
ら
隱
(
かく
)
して
名
(
な
)
無
(
な
)
きを
以
(
もつ
)
て
務
(
つとめ
)
と
爲
(
な
)
せり。
周
(
しう
)
に
居
(
を
)
ること
之
(
これ
)
を
久
(
ひさ
)
しうして、
周
(
しう
)
の
衰
(
おとろ
)
ふるを
見
(
み
)
、
廼
(
すなは
)
ち
遂
(
つひ
)
に
去
(
さ
)
つて、
(一二)
關
(
くわん
)
に
至
(
いた
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
短遮
(
ショルトストップ
)
は投者と第三基の中ほどにあり、打者の打ちたる球を
遮
(
さえぎ
)
り止め直ちに第一基に向って投ずるを
務
(
つとめ
)
とす。
ベースボール
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
その
務
(
つとめ
)
が、今の雑用より楽だとは思えません。着るものなどは先生らしくさせられるかもしれませんが、それとてきっと女中の着るようなひどいものでしょう。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
壁にも耳、
徳利
(
とくり
)
にも口と、
寸分
(
すんぶん
)
、間違いのないことを、法に照らして処断するのが
務
(
つとめ
)
に御座りまする
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
先ず自分から人たるの
務
(
つとめ
)
を実行しておいて他人の事をも言ねばならん。実行の人は常に愉快の心を
持
(
もっ
)
ておられるが不実行の人は多く不平や
怨嗟
(
えんさ
)
の声を発するようだね。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
他人に不愉快を与えないように身じまいをすることは、西洋ではその日の
務
(
つとめ
)
のようになっている。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その
満足
(
まんぞく
)
な
顔
(
かお
)
、
人
(
ひと
)
を
見下
(
みさげ
)
るような
様子
(
ようす
)
、
彼
(
かれ
)
を
呼
(
よ
)
んで
同僚
(
どうりょう
)
と
云
(
い
)
う
言
(
ことば
)
、
深
(
ふか
)
い
長靴
(
ながぐつ
)
、
此等
(
これら
)
は
皆
(
みな
)
気障
(
きざ
)
でならなかったが、
殊
(
こと
)
に
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
るのは、
彼
(
かれ
)
を
治療
(
ちりょう
)
することを
自分
(
じぶん
)
の
務
(
つとめ
)
として
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
精神的には導かれ守られる代りに、世俗的な
煩労
(
はんろう
)
汚辱
(
おじょく
)
を一切
己
(
おの
)
が身に引受けること。
僭越
(
せんえつ
)
ながらこれが自分の
務
(
つとめ
)
だと思う。学も才も自分は後学の諸才人に
劣
(
おと
)
るかも知れぬ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
闇太郎という声がなけりゃあ、役人衆に手貸しをして、
捕
(
つか
)
めえるが、こっちらの
務
(
つとめ
)
だろうが、あの呼びかけがあったので、わざと、聞えねえ振りをして、後も向なかったわけなのです
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
には
與吉
(
よきち
)
を
背負
(
せお
)
つて
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
を
歩
(
ある
)
いて
竹
(
たけ
)
の
竿
(
さを
)
で
作
(
つく
)
つた
鍵
(
かぎ
)
の
手
(
て
)
で
枯枝
(
かれえだ
)
を
採
(
と
)
つては
麁朶
(
そだ
)
を
束
(
たば
)
ねるのが
務
(
つとめ
)
であつた。おつぎは
麥藁
(
むぎわら
)
で
田螺
(
たにし
)
のやうな
形
(
かたち
)
に
捻
(
よぢ
)
れた
籠
(
かご
)
を
作
(
つく
)
つてそれを
與吉
(
よきち
)
へ
持
(
も
)
たせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ブロクルハースト氏はその富と家族的關係との爲めに見落されないで矢張り會計係になつてゐたが、しかし彼はより寛大な同情心のある人々に助けられながら自分の
務
(
つとめ
)
を遂行するのだつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
之を慎しむは男子第一の
務
(
つとめ
)
なる可し。又夫の教訓あらば其命に背く可らず、疑わしきことは夫に問うて其下知に従う可し、夫若し怒るときは恐れて之に従い、
諍
(
あらそ
)
うて其心に逆う可らずと言う。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
時に王既に
今川了俊
(
いまがわりょうしゅん
)
の為に圧迫せられて衰勢に陥り、征西将軍の職を
後村上帝
(
ごむらかみてい
)
の皇子
良成
(
ながなり
)
王に譲り、
筑後
(
ちくご
)
矢部
(
やべ
)
に閑居し、読経礼仏を事として、兵政の
務
(
つとめ
)
をば執りたまわず、年代
齟齬
(
そご
)
するに似たり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
第一の
務
(
つとめ
)
ゆえ、被告の申立を聞きましょう。さあ、お
言
(
いい
)
。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
報酬を求むる手段としての
務
(
つとめ
)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そがたのしき
務
(
つとめ
)
はただ
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
一生の
務
(
つとめ
)
、今日の事
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんなら世話をしてくれる人に頼んで、どこへでもいいから、
務
(
つとめ
)
にでも出る気になればまだしも、そんな事にはまたまるで
無頓着
(
むとんじゃく
)
であなた……
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
たとひ今にいたるまで彼につきていひたる事をみな一の讚美の中に含ましむとも、わが
務
(
つとめ
)
を果すに足らじ 一六—一八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
彼を承認して置いて、
此
(
これ
)
を維持して行くのが、学者の
務
(
つとめ
)
だと云うばかりではなく、人間の務だと思っている。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼
(
かれ
)
は
半年
(
はんとし
)
も
無職
(
むしよく
)
で
徘徊
(
うろ/\
)
して
唯
(
たゞ
)
パンと、
水
(
みづ
)
とで
生命
(
いのち
)
を
繋
(
つな
)
いでゐたのであるが、
其後
(
そのご
)
裁判所
(
さいばんしよ
)
の
警吏
(
けいり
)
となり、
病
(
やまひ
)
を
以
(
もつ
)
て
後
(
のち
)
に
此
(
こ
)
の
職
(
しよく
)
を
辭
(
じ
)
するまでは、
此
(
こゝ
)
に
務
(
つとめ
)
を
取
(
と
)
つてゐたのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
第一女子は家の内事を
司
(
つかさ
)
どるの
務
(
つとめ
)
あるが故に学事勉強の
暇
(
いとま
)
少なし。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
飲む人の
務
(
つとめ
)
として、詩の句で説き明かして
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
践歴
(
せんれき
)
功皆
著
(
いちじる
)
しく、
諮詢
(
しじゆん
)
務
(
つとめ
)
必ず
成
(
な
)
す。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
勿論
(
もちろん
)
書
(
しよ
)
を
讀
(
よ
)
んで
深
(
ふか
)
く
考
(
かんが
)
へたら、
道
(
みち
)
に
到達
(
たうたつ
)
せずにはゐられまい。しかしさうまで
考
(
かんが
)
へないでも、
日々
(
ひゞ
)
の
務
(
つとめ
)
だけは
辨
(
べん
)
じて
行
(
ゆ
)
かれよう。これは
全
(
まつた
)
く
無頓著
(
むとんちやく
)
な
人
(
ひと
)
である。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
父は
生来
(
せいらい
)
交際好
(
こうさいずき
)
の上に、職業上の必要から、だいぶ手広く諸方へ出入していた。
公
(
おおやけ
)
の
務
(
つとめ
)
を退いた
今日
(
こんにち
)
でもその惰性だか影響だかで、
知合間
(
しりあいかん
)
の
往来
(
おうらい
)
は絶える間もなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
半年
(
はんとし
)
も
無職
(
むしょく
)
で
徘徊
(
うろうろ
)
してただパンと、
水
(
みず
)
とで
生命
(
いのち
)
を
繋
(
つな
)
いでいたのであるが、その
後
(
ご
)
裁判所
(
さいばんしょ
)
の
警吏
(
けいり
)
となり、
病
(
やまい
)
を
以
(
もっ
)
て
後
(
のち
)
にこの
職
(
しょく
)
を
辞
(
じ
)
するまでは、ここに
務
(
つとめ
)
を
取
(
と
)
っていたのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
かゝる秩序の中に、凡ての被造物は皆その
目的
(
めあて
)
なる神を望めど、天與の位置に高低ありその
務
(
つとめ
)
また皆異なれば、火や地球の如く神にいと遠きあり、また諸天使の如く神にいと近きあり
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
わたくしは番人の
務
(
つとめ
)
を忘れました。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
儒學
(
じゆがく
)
に
入
(
い
)
つても、
道教
(
だうけう
)
に
入
(
い
)
つても、
佛法
(
ぶつぱふ
)
に
入
(
い
)
つても
基督教
(
クリストけう
)
に
入
(
い
)
つても
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
である。かう
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
が
深
(
ふか
)
く
這入
(
はひ
)
り
込
(
こ
)
むと
日々
(
ひゞ
)
の
務
(
つとめ
)
が
即
(
すなは
)
ち
道
(
みち
)
そのものになつてしまふ。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
あるときはこの自覚のために
驕慢
(
きょうまん
)
の念を起して、当面の
務
(
つとめ
)
を
怠
(
おこた
)
ったり未来の計を忘れて、落ち付いている割に
意気地
(
いくじ
)
がなくなる恐れはあるが、
成上
(
なりあが
)
りものの一生懸命に奮闘する時のように
『東洋美術図譜』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其滿足
(
そのまんぞく
)
な
顏
(
かほ
)
、
人
(
ひと
)
を
見下
(
みさげ
)
るやうな
樣子
(
やうす
)
、
彼
(
かれ
)
を
呼
(
よ
)
んで
同僚
(
どうれう
)
と
云
(
い
)
ふ
言
(
ことば
)
、
深
(
ふか
)
い
長靴
(
ながぐつ
)
、
此等
(
これら
)
は
皆
(
みな
)
氣障
(
きざ
)
でならなかつたが、
殊
(
こと
)
に
癪
(
しやく
)
に
障
(
さは
)
るのは、
彼
(
かれ
)
を
治療
(
ちれう
)
する
事
(
こと
)
を
自分
(
じぶん
)
の
務
(
つとめ
)
として、
眞面目
(
まじめ
)
に
治療
(
ちれう
)
をしてゐる
意
(
つもり
)
なのが。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「されどこの
一件
(
ひとくだり
)
のことはファブリイス夫人こころに秘めて
族
(
うから
)
にだに知らせ玉はず、女官の
闕員
(
けついん
)
あればしばしの
務
(
つとめ
)
にとて呼寄せ、
陛下
(
へいか
)
のおん
望
(
のぞみ
)
もだしがたしとて遂にとどめられぬ。」
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その頃修善寺には
北白川
(
きたしらかわ
)
の
宮
(
みや
)
がおいでになっていた。東洋城は
始終
(
しじゅう
)
そちらの方の
務
(
つとめ
)
に追われて、つい一丁ほどしか隔っていない菊屋の別館からも、容易に余の宿までは来る事ができない様子であった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
折衷派だに稀なる今の我小説界にて、人間派を求めむは、文學に忠誠なる判者の事にあらずとやうに、時の
務
(
つとめ
)
をおもひて、
迂濶
(
うくわつ
)
なる批評家をおどろかさむとしたる
蹟
(
あと
)
、歴々として見ゆるならずや。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
務
常用漢字
小5
部首:⼒
11画
“務”を含む語句
中務大輔
職務
業務
勤務
事務所
事務長
任務
刑務所
外務省
義務
事務
各務
公務
急務
事務卓
責務
雑務
事務上
職務上
勤務先
...