三人みたり)” の例文
二人ふたり三人みたりづゝ、いづくへくともらず、いづくからるともかず、とぼ/\したをんなをとこと、をんななとこと、かげのやうに辿たゞよ徜徉さまよふ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
望みをばこの高き處に響き渡らすべし、汝知る、イエスが、己をいとよく三人みたりに顯はし給ひし毎に、汝のこれをかたどれるを。 三一—三三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
廊下にずるものあり、煙草に火を点ずるものあり、また二人ふたり三人みたりは思い思いに椅子いすを集め太き声にて物語り笑い興ぜり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かくて、かれの身辺には今、三人みたりの可憐なる未開花がつぼみをかたく運命を托していた。於通も、そのひとりだし、茶々も、摩耶もそうだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手荷物てにもつにしてのみゆかしき妻戀坂下つまこひざかした同朋町どうぼうちやうといふところ親子おやこ三人みたり雨露あめつゆしのぐばかりのいへりてからひざをばれたりけり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
広間の燈影ひかげは入口に立てる三人みたりの姿をあざやかに照せり。色白のちひさき内儀の口はかんの為に引歪ひきゆがみて、その夫の額際ひたひぎはより赭禿あかはげたる頭顱つむりなめらかに光れり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
三人みたりを出しやりて、伯母はなお近く椅子を寄せ、浪子の額にかかるおくれ毛をなで上げて、しげしげとその顔をながめぬ。浪子も伯母の顔をながめぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
かたをはると、三人みたりあるひおどろあるひはよろこび。大佐たいさ相變あひかはらず鼻髯びぜんひねりつゝ。豪壯がうさうなる濱島武文はまじまたけぶみむねたゝいて
……さても三人みたり一つ島に流されけるに、……などや御身おんみ一人残り止まり給うらんと、……都には草のゆかりも枯れはてて、……当時は奈良の伯母御前の御許おんもとに侍り。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
若く美しき女子も二人ふたり三人みたり見えたるが、その周匝めぐりには少年紳士むらがり立ちて、何事をか語るさまなりき。
と小林氏の子息に私語さゝやき申しさふらふ。光るにたはぶるると覚えて心もうれしくさふらひき。この港に許嫁いひなづけを見給ふ三人みたりの花嫁の君の顔のぞき見ずやと云ふ人のありしはたれさふらひけん。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
午后は町を逍遙せずやといふ友の言葉に從ひて、家の若き主人あるじ三人みたり共に家を出づ。先づ、木曾川を渡りて、對岸なる興禪寺こうぜんじを訪ふ。寺は町の古寺にして、域内に木曾義仲の墳墓あり。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
「おれがここへ来る途じゃ、はからず今のを見留めたのは。思えば不思議な縁でおじゃるが、その時には姫御前とはつゆ知らず……いたわしいことにはなッたぞや、わずかの間に三人みたりまで」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
去年この姉妹に悦子を連れて錦帯きんたい橋へ花見に行った時、三人を橋の上にならべて写真を撮ったことがあって、その時んだ彼の歌に、———美しき姉妹おとどい三人みたり居ならびて写真とらすなり錦帯橋の上
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
琵琶の海山ごえ行かむいざと云ひし秋よ三人みたりよ人そぞろなりし
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
馬頭観世音の裏の夕陽に出でてゐて二人ふたり三人みたりさびし鴉見やりつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さきだつは姉か蓮華の田にりてか行きかく行く十歳下とおした三人みたり
歌集『涌井』を読む (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
アンテーノールの三人みたりの子、ポリボス及びアゲノール
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
われら三人みたり飛行機にのりぬ
まして得三高田等は、驚き恐れつ怪しみて、一人立ち、二人立ち、次第に床の前へ進み、じっと人形を凝視みつめつつ三人みたり少時しばらく茫然たり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかるに何事ぞ、何故に、何故にとゞまるや、何故にかゝる卑怯を心にやどすや、かくやむごとなき三人みたりの淑女 一二一—一二三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
残り五人は浦人なり、後れて乗りこみし若者二人のほかの三人みたりとしより夫婦とつれ小児こどもなり。人々は町のことのみ語りあえり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
近きに郷友会きようゆうかいの秋季大会あらんとて、今日委員会のありしかへるさを彼等は三人みたり打連れて、遊佐が家へ向へるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あとに三人みたりはひとしきり蕨を採りて、それよりまだ日も高ければとて水沢みさわの観音にもうで、さきに蕨を採りし所まで帰りてしばらく休み、そろそろ帰途に上りぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
をはつて、少年せうねんだまつて點頭うなづくのをましやりつゝ、三人みたりうながして船室キヤビンた。
ぬしなき門の柳のいと、むなしくなびくもさびしかりき、家は何処どこまでも奇麗にて見こみのければ、日のうちには二人ふたり三人みたりの拝見をとて来るものも無きにはあらねど、敷金三月分
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女にてはカトリツク派の尼君あまぎみ三人みたりの中の一人ひとりが居給ふを見しのみなどとも語られさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
崖に沿ひて一條ひとすぢ細徑ほそみちあり。迂𢌞して初の街道に通ず。われは高萱たかがやを分け小草をぐさを踏みて行きしに、月は高き石垣の上を照して、三人みたりの色蒼ざめたるかうべの、鐵格の背後うしろより、我をうかゞふを見たり。
廟行鎭はきさらぎさむき薄月夜おどろしく三人みたりぜにたるはや
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
阿野廉子、権大納言ノ局、小宰相の三人みたりを添えまいらすこと。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秋を三人みたり椎の実なげし鯉やいづこ池の朝かぜ手と手つめたき
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
束ぬるものは三人みたりあり、並びて立てばうしろには
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
われら三人みたり飛行機にのりぬ
ややありて二人三人みたり跫音あしおと小刻こきざみに近付きつ、「私だよ。」というはお丹の声、「おやどうしなすった。」お丹は闇中くらがりすかし見て
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
汝知る、この物三百年餘の間アルバにとゞまり、その終り即ち三人みたりの三人とさらにこれがため戰ふ時に及べることを 三七—三九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
三人みたりで来たるとともに、門前に待ち居し三りょうの車がらがらと引き来るを、老紳士は洋傘パラソルの淑女を顧みて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
この時せはしげに聞えし靴音ははやみたり。人は出去いでさりしにあらで、七八間彼方あなたなる木蔭に足をとどめて、忍びやかに様子を窺ふなるを、此方こなた三人みたりたれも知らず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此時このとき夫人ふじん少年せうねんひざせて、その良君をつとほか三人みたり相手あひて談話はなしをしてつたが、わたくし姿すがたるより
いへ何處どこまでも奇麗きれいにてこみのければ、のうちには二人ふたり三人みたり拜見はいけんをとてるものもきにはあらねど、敷金しきゝん三月分みつきぶん家賃やちん三十日限さんじふにちかぎりのとりたてにて七圓なゝゑん五十錢ごじつせんといふに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
廟行鎮はきさらぎさむき薄月夜おどろしく三人みたりぜにたるはや
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わが館の中に三人みたりの息女あり
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
三人みたり四人よたりくときは
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
赤城さん、今晩は。得三は出迎いでむかえて、「これは高田さんでございますか。まあ、こちらへ。と二階なる密室に導きて主客三人みたりの座は定まりぬ。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されど古をもて今を責め、神の己をまさる生命いのちかへし給ふを遲しとおもふ三人みたりおきななほまことにかしこにあり 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
やみつねなるひとおやごヽろ、ゆゑみちまよはぬはきものをとさとし此處こヽむれば、香山家かやまけ三人みたり女子むすめうちかみむづかしくすゑ活溌はねにて、容貌きりやう大底たいていなれどもなんとしてきみおよものなく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
青い小鳥よ、樫の木づくり、おなじ寢どこに三人みたりまで
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
われ三人みたりの日本人は
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その處に死にき、かくて五日と六日目の間に我はまのあたり三人みたりのあひついでたふるゝをみぬ、我まためしひとなりしかば 七〇—
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
さりながらはじめの内は十幾人じふいくたりの塾生ありて、教場けうぢやういたく賑ひしも、二人ふたり三人みたりと去りて、はて一人いちにんもあらずなりて、のちにはたゞひるうち通学生の来るのみにて、塾生はわれ一人いちにんなりき。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鑑定めきゝに來たりし樓の主が誘ひにまかせ、此地に活計たつきもとむとて親子三人みたりが旅衣、たち出しは此譯、それより奧は何なれや、今は寮のあづかりをして母は遊女の仕立物、父は小格子こがうしの書記に成りぬ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)