“まち”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マチ
語句割合
44.1%
21.5%
13.9%
5.2%
市街4.6%
街路2.5%
1.0%
0.9%
街上0.6%
都市0.5%
0.3%
市中0.3%
0.3%
都会0.3%
都會0.3%
街頭0.2%
0.2%
街衢0.2%
城下0.2%
市井0.2%
万知0.1%
条坊0.1%
0.1%
城市0.1%
満知0.1%
万千0.1%
倫敦0.1%
城中0.1%
城街0.1%
城郭0.1%
小区0.1%
巷都0.1%
市府0.1%
往来0.1%
燐寸0.1%
花街0.1%
街坊0.1%
街巷0.1%
0.1%
0.1%
首都0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、海蔵かいぞうさんがいいました。そばにてみると、それはこの附近ふきん土地とちっている、まちとしとった地主じぬしであることがわかりました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
やがて人々の出て行く気配があり、馬の馳け去るひづめの音がまちの外に消えました。しばらくして奥さんがひとり静かに戻つて来ました。
亜剌比亜人エルアフイ (新字旧仮名) / 犬養健(著)
大鷲おおとり神社の傍の田甫の白鷺しらさぎが、一羽ち二羽起ち三羽立つと、明日のとりまちの売場に新らしく掛けた小屋から二三にんの人が現われた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
二十六夜まちというのはどんなものか、なにかの参考のために見て置くのもよかろうと思ったので、涼みがてらに宵から出かけた。
月の夜がたり (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日出雄ひでをや、あのむかふにえるたかやまおぼえておいでかえ。』と住馴すみなれし子ープルス市街まち東南とうなんそびゆるやまゆびざすと、日出雄少年ひでをせうねん
多くの市民は乗るものもなく、皆徒歩で立退たちのいたという話をした。それらの人達が夜の街路まちに続いて、明方まで絶えなかったという話をした。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
同じまちに王と同姓の給諌きゅうかんの職にいる者がいた。王侍御の家とは家の数で十三、四軒隔っていたが、はじめから仲がわるかった。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それらをさちなき柴木のもとにあつめよ、我は最初はじめ守護まもりの神をバーティスタに變へしまちの者なりき、かれこれがために 一四二—一四四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
街上まちへ出ては、若い男を誘つて來て、死骸の妻と會食させながら、「おのれ姦夫。」といつたやうに、その若い男に飛び付いて殺戮するのを例とした。
奇怪な客 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
昨年の春だつたか、ロイド・ジヨウジ氏が南威爾斯のある都市まちへ演説に出掛けた事があつた。
「ただこうしてまちから板目の肌に現われた模様を見ていたところでは、その地鉄がなんとなく弱々しいけれど、よくよく見れば潤いがあって、どことなしに強いところがある」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今日けふは三十にん患者くわんじやければ、明日あすは三十五にんる、明後日あさつては四十にんつてく、毎日まいにち毎月まいげつ同事おなじこと繰返くりかへし、打續うちつゞけてはくものゝ、市中まち死亡者しばうしやすうけつしてげんじぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
むかし孔子に子貢が問いけるは、殷の法に灰をまちに棄つる者を刖罪あしきりに処せるは苛酷に過ぎぬか、と。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
都会まちの方から笛の音がした。按摩あんまの流す笛であった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ヴイタミンAの不足から來る奴です——よく都會まちぢや、田舍の人は健康だ、丈夫だ、と云つて、何かのお説教の材料にまでしてゐますが、僕が醫者になつて歸つて來て
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
……実はこちらにつ前にちょっと人伝てに聞いた話では、何でも、やはりまちの小路あたりで大納言様の囲い者になっているらしく、まあ、きらびやかな唐織からおりの着物でも着せられて
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
自動車は十二時過ぎの夜半の街衢まちを千束町の電車停留所を左にカーヴし、合羽橋かっぱばし菊屋橋きくやばしを過ぎて御徒町おかちまちに出で、更に三筋町みすじまちの赤い電灯に向って疾走して行きました。
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
左は湖水、右は榠櫨かりん畑、その上に月が懸かっていた。諏訪因幡守三万石の城は、石垣高く湖水へ突き出し、その南手に聳えていた。城下まち燈火ともしびは見えていたが、そのどよめきは聞えなかった。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
集合体の当然な姿勢として、多数が一つ個性にかたまるまでのしばらくの間は、ただがやがやと立ち騒いで、武蔵を遠巻きにしながら口々にののしり、中には、市井まちのならずものみたいに
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蘭軒の女は天津てつ智貌ちばうちやうじゆん万知まちの五人で、長は第三女であつた。長の夫は棠軒の親類書に「御先手井手内蔵組与力井戸応助」と云つてある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
十一月十日に蘭軒の幼女万知まちが歿した。母は側室佐藤氏である。先霊名録に覚心禅童女の法諡はふしが載せてある。恐くは生後いくばくならずして夭したのであらう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
お館の西側をグルリと廻わり跡部大炊の邸へ出、それを北へドンドン行くと突き当たったところに小山田邸、ここが条坊まちの外れである。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
館を囲繞いにょうしやや南寄りに甲府の条坊まちが出来ていた。東西五百三十間南北九百二間というのがすなわち条坊の総面積で、諸将の邸宅もここにあった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
明日まで待ってみてはという夫人のすすめには耳も借さずに、彼はすぐさままちへ出かけて行った。
昨日の晩方から熱が出たので、今朝は夜が明けるのも待ち兼ねるようにしてまちへ急ぎの使を出して、ある有名な醫者を迎えにやった。その醫者の到着を待っているところなのであった。
北京ほっけいと聞いては、矢もたてもありませんや。あの有名な大名府だいみょうふ城市まち。ああ行ってみてえ……」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とかく、君の悪い癖で、出場でばというと、すぐ自分を売り込みたがるが、短気、お喋舌しゃべり悪酒わるざけ、暴力好き、一つも取りはありはしない。ましてこんどの行くさきは北京ほっけい第一の城市まち
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ああありました、満知まち姫様といいます」どうしたのか左内はこの言葉をいうと、妙に憂鬱ゆううつの顔をした。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「武元殿の妾腹しょうふくの姫よ。満知まち姫様と申し上げるお方だ。……せがれ、左内の婚約のぬしだ」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
万千まち子は? さつきゐましたね」
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
復活祭の議會のお休みが濟みますと、先頃ミルコオトの議員にお選ばれになつたジョオジ・リン卿は倫敦まちへいらして、議席にお着きにならなくてはなりますまい。
時に兄の利吒りた托鉢たくはつなしてを得んと城中まちに入りしが、生憎あやにく布施するものもなかりければ空鉢くうはつをもてかえらんとしけるが、みちにて弟に行遇ゆきあひたり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「ここからひがしに、東昌府、東平府の二城市がある。ゆたかな城街まちだが、かつてわれらもそこだけは侵したことがない」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのみちはまだ一度も通ったことのない路であった。そして、ある城郭まちへいったが、そこは帝王のいる都のようであった。
考城隍 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
私は落合川に架したみなかばしと云うのを渡って、私や尾崎さんの住んでいた小区まちへ来ると、この地味な作家をおもい出すのだ。いい作品と云うものは一度読めば恋よりも憶い出が苦しい。
落合町山川記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
巷都まちを圧す静寂しじまの奥に、しんしんと底唸りをはらんでいるかに思われる。
ところこのアルゼリヤこくうちでブリダアといふ市府まちひとわけても怠惰なまけることがき、道樂だうらくをしておくることが好きといふ次第である。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
というて、往来まちで遊ばせるのはあぶない。ことに、このごろのように石やかわらが飛んで、何どき騒ぎが持ち上がらんともわからんときに、餓鬼どもを道路みちで遊ばせておくのは、よろしくないでな。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
刻莨きざみの三銭がとこけむよ、今度アくにゃア二つと燐寸まちまで買ってかねえじゃア追付おっつかねえ、これで割前わりめえ勘定だった日にゃア目も当てられねえてえことよ
道中悪にかどわかされて、そこへ、捨て売りにされただけに、素人しろうとくさいのと、武家出の女という事が、酉兵衛の心をうごかした。金で、花街まちから抜くとすぐ、中禅寺の乾分こぶんの家にあずけて、時折
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
支那の万暦まんれき年中、毘陵びりょう猿曳さるひき乞児こじきがあって、日々一ぴきさるれて、街坊まちに往き、それに技をさして銭を貰っていたが、数年の後にその金が集まって五六両になった。
義猴記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
両国駅へ着いたのは夕方で、東京の街巷まちにはもうがついていた。何だか二三年も遠い旅に出ていたようななつかしい気持で、龍介はしばらくは町の灯と、騒がしさに見惚みとれていた。
骸骨島の大冒険 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その高いまちれた内股うちまたにひびが切れて、風呂に入るとこれにひどくしみて痛むのもつらかった。
新年雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼は瞳を凝らして三頭みつがしらから鋩子先ぼうしさき、物打ち、かさね、まちと上下に見直してみたが、見れば見るほど、青江、それも為次ためつぐどころの比較的あたらしい作とし観じられない。
寛永相合傘 (新字新仮名) / 林不忘(著)
父の意見で最も健実な勤め口だという裁判事務を見習うために県の首都まちへ送られたが、裁判所へは行かずに父の意見にそむいて軍隊へ入ってしまい、勝手に父のもとへ軍服を買う金を請求してよこした。