街上まち)” の例文
うす陽の街上まちに、小さな旋風つむじかぜが起こって、かわいた馬糞の粉が、キリキリとり糸のようにまっすぐに、家のひさしほども高く舞い立っています。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
街上まちへ出ては、若い男を誘つて來て、死骸の妻と會食させながら、「おのれ姦夫。」といつたやうに、その若い男に飛び付いて殺戮するのを例とした。
奇怪な客 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
弱々しい晩秋の薄陽がやがてむらさきに変わろうとするころおい、その街上まちなかに一団の人だかりがして、わいわいののしりさわぐ声がいやがうえにも行人こうじんの足をとめていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
実際、平兵衛が街上まちや路地の奥で女を押さえようとする時には、風のようにおりんの姿が立ち現れて金剛力を藉したという。あるいはそれは平兵衛にだけ見える幻であったかもしれない。
そこにも風があって、白い紙屑かみくずが生き物のように街上まちを走っていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)