せき)” の例文
新字:
まへさんそのさけへるほどならやとおひなさるを無理むり仕事しごとくだされとはたのみませぬ、わたし内職ないしよくとてあさからにかけて十五せんせきやま
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
風呂敷包のなかから南蛮鍜なんばんきたえの鎖帷子くさりかたびら筋金すじがねの入りたる鉢巻をして、藤四郎吉光とうしろうよしみつの一刀にせき兼元かねもと無銘摺むめいすり上げの差添さしぞえを差し、合口あいくちを一本呑んで
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くるまかすみせきかゝつて、黒田くろだ海鼠壁なまこかべむかしからの難所なんしよ時分じぶんには、うまたてがみるがごとほろれた。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見て其嬋妍あでやかさにほく/\悦び在郷ざいがうそだちの娘なれば漸々やう/\宿場しゆくば飯盛めしもりか吉原ならば小格子こがうしわづか二十か三十の金を得るのがせきの山と陰踏かげぶみをして置たるが少しばかり手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
せきと言ひました。草加さうかの百姓午吉うまきちの子といふことで育ち、淺草に引越して、もう十年にもなります」
わたくしひとつのせきえて、またひとつのせき出逢であつたやうにおもつた。そしてとう/\かうつた。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
高倉たかくらみや宣旨せんじ木曾きそきたせきひがしに普ねく渡りて、源氏興復こうふくの氣運漸く迫れる頃、入道は上下萬民の望みにそむき、愈〻都を攝津の福原にうつし、天下の亂れ、國土の騷ぎをつゆ顧みざるは
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
神路山かみぢやまの山路、日光の例幣使街道、春日かすがの參道、芳野の杉山、いかりせきの杉山、いづれも好い心持のところであるが、ことに此處は好い。たゞ行末齒の脱けたやうにならぬことを望むのみである。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
逢坂あふさかせきのあなたもまだねば
九 境港と美保みほせき
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
せきりし東路あづまぢ
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
北のせき、南のせき
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
今宵限こよひかぎせきはなくなつてたましゐ一つがまもるのとおもひますれば良人おつとのつらくあたくらゐねん辛棒しんぼう出來できさうなこと、よく御言葉おことば合點がてんきました
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「合點だツ、親分、八五郎がせきを据ゑりや、辨慶べんけいが夫婦連れで來ても通すこつちやねえ」
致したりかすみせきの坂下にてわるいぬめが吼付ほえつくゆゑ據所よんどころなく拔討ぬきうちに犬を斬しが其血がはね衣類いるゐ如斯こんなよごせしなりと云つゝ吐息といきつくさまどうあやしく思はれたり夫のみならず第一に病家びやうかへ行にかさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みねあり、てんさへぎり、せきあり、とざし、うますゝまず、——うますゝまず。——孤影こえいゆきくだけて濛々もう/\たるなかに、れば一簇いつそうくも霏々ひゝとしてうすくれなゐなるあり。かぜたゞようてよこざまにいたる。れぬ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これはわたしわる御座ござりました、ではおまをしませう、おともいたしませう、さぞおどろきなさりましたろうとて惡者わるらしくもなく提燈ちようちんもちかゆるに、おせきもはじめてむねをなで
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お神樂の清吉は入口にせきを据ゑて、富樫左衞門尉見たいな顏をしてをります。
「まあ、せきさん。——おとなにおりなさいました……」
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もさゝず濡ながら來りしに付何方いづかたへ參られ候哉と忠兵衞相尋ね候處かすみせきへんの病家へ參り候おもむ勿論もちろん其節そのせつ衣類いるゐ血汐ちしほ夥多敷おびたゞしくつきあり候に付き是又忠兵衞より如何致され候やと相尋ね候處大いに驚怖おどろき候樣子にて申けるにはアヽ殺生せつしやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此消息このせうそく人目ひとめせきはヾかりもなく、玉簾たまだれやすやすえて、るは邂逅たまなる令孃ひめ便たよりをさとし日毎ひごとるばかり、事故よしありげなるこヽろそこも、此處こヽにはじめて朧々おぼろ/\わかれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せきさんは、今年ことし三十五におりですか。」
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とかくは有金ありがねなにほどをけて、若隱居わかいんきよべつ戸籍こせきにと内〻うち/\相談さうだんまりたれど、本人ほんにんうわのそら聞流きゝながしてらず、分配金ぶんぱいきんは一まん隱居いんきよ扶持ぶち月〻つき/″\おこして、遊興ゆうけうせきへず
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしは……せき……」
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はなしながらゆきませうとておせき小褄こづますこひきあげて、ぬり下駄げたのおとれもさびしげなり。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)