)” の例文
町でも人が沢山見にき、下の流れを飲んで酔うといえば、んで取って、香水だとめるのもある。……お嬢さん……私の事です。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして二言目には、先生々々と言つて、画家の人柄をめ、画を賞め、そばにゐる舞妓を賞め、舞妓の食べるきんとんを賞めたりした。
お舎弟様は文武の道にひいで、お智慧も有り、ず大殿様が御秘蔵の御方おんかた度々たび/\めのお言葉も有りました事は、父から聞いて居ります
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は軍人がよい武器をめるやうに私をめる、が、それつきりである。彼と結婚しないこと、それは決して私を悲しませはしない。
何という上品で甘やかなメロデーだとめそやしました。「仲間にも話して聞かせる」と御礼を言いながら工事道具を肩にかけた。
雪の日 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「さすがは運慶だな。眼中に我々なしだ。天下の英雄はただ仁王とれとあるのみと云う態度だ。天晴あっぱれだ」と云ってめ出した。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「きのう木村様が、おらっちの山の自然薯じねんじょめてくれたで、けさ早く、おっ母にも手伝ってもらって、山芋を掘って持って来たんさ」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
してみると、いい人相だとめられたのは自分でなく、自分の抱いているこの郁太郎のことだとばっかり考えていたのに相違ない。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
昼あんどんといふのは、人をめた言葉ではない。行燈あんどんは火をともして夜、部屋の中を明かるくする道具で、昼間は何の役にも立たない。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
婚姻の原因を娘の行状に見出みいだして、これというも平生の心掛がいいからだと、口をきわめてめる、よめいる事が何故なぜそんなに手柄てがらであろうか
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
さるはひとり夫のみならず、本家の両親をはじめ親属知辺しるべに至るまで一般に彼の病身をあはれみて、おとなしき嫁よとそやさぬはあらず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こうなると、彼が正直で、よく働く若い者であったという、普通ならば、めらるべき経歴まで、悪罵の種にほか、なろうともしなかった。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
看経かんきんも済み饗応もまたおわり、客は皆手の行き届きたることをめて帰れば、涙をもって初めし法事も、佐太郎の尽力をもて満足に済みたり
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
そして相手をめたいがいっぱいで、てんでありもしないことまで考え出して、自分でも心からまじめにそれを本当のことと信じてしまう。
謝肉祭カイニバルのことなどが書いてあつて、それから写真が着いたと云つて子供の顔がよく写つて居ない、私の焼鏝やきこてを当てた髪を下宿の細君がめた
六日間:(日記) (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
めそやす山の神があるくらいですから私の目にもこれはただの女ではないくらいのことは感づいていたのでございます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あるいは彼らの見識があやまっていたこともあろう、現に周の時代は八百余年の久しい間続き、その政治は今日も模範としてめられているに見ると
真の愛国心 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
めちぎられているのは、幸村、盛親、基次、重成など、典型的な武人として、当時の人心を感動せしめた為であろう。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そしてたまたま艇のことに及んでもお互いに冷たい好意で敵手のことをめ、わざとらしいまでに自分の方を謙遜けんそんした。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
その敏感さで房一は相沢が一方では彼をめ上げながら逸早く往診を求めたのはその恩恵と好意によるものだと知らせたがつてゐるのを見抜いた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
それからまたそのお雪という娘がどんなに心立てがやさしく、気立てがすなおで、どんなに姿が風流みやび眉目容みめかたちが美しかろうとめちぎッて話された。
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
なんてまあ、いいだらう」と、それをだい一につけたねこうらやましさうに、まづめました。いぬきつね野鼠のねづみも、みな
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
けなされているのか、められているのか、福子はどっちつかずの気持で、こんな良人を前にして、途方にくれた。
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
私は大事にして飼っているのでございますが、ずいぶん声のいい鶯だとおっしゃって、皆様がめて下さいます。
平馬と鶯 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ひとをけなすよりほめる方が美しいことだし楽しいことには違いないが、めそこなったために、そのひとの前途をあやまらす結果にならぬともかぎらぬ。
個性 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
縹緻きりょうがよくって孝行こうこうで、そのうえ愛想あいそうならとりなしなら、どなたのにも笠森かさもり一、おなかいためたむすめめるわけじゃないが、あたしゃどんなにはなたかいか。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
まして大夫たゆうげんは思い出すだけでさえ身ぶるいがされた。何事も豊後介ぶんごのすけの至誠の賜物たまものであることを玉鬘も認めていたし、右近もそう言って豊後介をめた。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
けれどもそのことばは唄をめたのでも舞を讃えたのでもない。ただ人形の美しさのお春の姿を讃賞したのである——呉羽之介にはそれがよく解かるのでした。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
私が大阪に行く事を承知しました時の両親の喜びようと、わざわざ訪ねてお出でになった校長先生のおめになりようは、それはそれは大変なものでした。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「見ろ! あの手塚てえやつはいまに大変なミスをやるぞ、見物人にめられることばかりを考えてるからね」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
独逸ドイツ仏蘭西フランスをかたみにめ合ふ事のみ致し、えいは大国の風ありとのみをよき事にして話より何時いつも遠ざけられさふらふも、こはこのちさき一室のみの事にて
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
そのほか叱るべきことあるも父母の気向きむき次第にて、機嫌の善き時なればかえってこれをめ、機嫌しければあるいはこれを叱る等の不都合は甚だすくなからず。
家庭習慣の教えを論ず (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
宝石を身にかざった貴族や軍人の美々しいすがたに光り、大ぜいのひとびとの足音や、ざわざわとめたたえる声に満ちて生き生きしていたころのことである。
ところが、近時また北川桃雄君が『古美術』の再刊初号に、私の仕事を利休のそれに並べてめてくれた。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
此後このご東京とうけうひろしといへども、山村やまむら下女げぢよものはあるまじ、感心かんしんなもの、美事みごとこゝろがけとめるもあれば、だい容貌きりやうが申ぶんなしだと、をとこきにこれをひけり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
紅に日の丸を描いた扇が、波にゆられ、浮きつ沈みつしているのを見ながら、平家はふなばたをたたき、源氏はえびらをたたいて、この見事な弓取りをめ讃えたのであった。
我はのっそりに半口やって二人で塔を建てようとおもうわ、立派な弱い男児か、めてくれ賞めてくれ、きさまにでも賞めてもらわなくてはあまり張合いのない話しだ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ついには尊敬されて名主ともなり、また幕府からも大いにめられて、苗字みょうじ佩刀はいとうをも許されました。
伊能忠敬 (新字新仮名) / 石原純(著)
学校や研究所は自分たちの工場と考え、お互が励み合いお互で批評し合い、め合い、悪口をいい合い、あるいは自分を批判し尽してもって満足していたものであった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
自分の番が来ると彼れはくらも置かずに自分の馬に乗って出て行った。人々はその馬を見ると敬意を払うように互にうなずき合って今年のせりでは一番物だとめ合った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しかし、手柄てがらだけはどこまでもめておいてやらないと、これから後、人がわしを信じてくれなくなる
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
この学校はたいへん綺麗きれいだとめられる——うれしいですね、それは皆さんが一生懸命に掃除をするからだ、掃除の好きなよい生徒がこんなにたくさんいるんですからには
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
松山さんは機嫌きげんよく、上原をめていましたが、ぼくと視線が合うと、忽ち、不機嫌な顔付になって、「おい、大坂ダイハン、上原とやってみい。お前の方が一ツ歳上としうえじゃないか」
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
かうつづけて、高岡軍曹たかをかぐんそうはやがてことば途切とぎつたが、それでもまだりなかつたのか、モシヤモシヤの髭面ひげづらをいきませて、かんあまつたやうに中根なかね等卒とうそつかほ見詰みつめた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
孔子がいつも口を極めてめる顔回がんかいよりも、むしろ子貢の方を子路は推したい気持であった。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それで夫人から『あなた、日本のこと、大変よく書きましたから、おかみで、あなためるためお呼びです。お上に参るの時、あなた、シルクハット、フロックコートですよ』
自分の息子をめ、こんなことになったのは他人ひとにだまされたんだと云い、息子をとられて、これからどう暮して行くんだ——それだけの事を文句も順序も同じに繰りかえして
母たち (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
「巧いものだ、なア」と、天神さまはいきなりこうめたのだが、それがうるさかった。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
彼は何かしらをめてやりたかった。これこそ俺の味方だ、うそではないぞ、と思った。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
と、めそやすのでした。それでとしおおきい白鳥達はくちょうたちまで、このあたらしい仲間なかままえでお辞儀じぎをしました。わか白鳥はくちょうはもうまったくまりがわるくなって、つばさしたあたまかくしてしまいました。