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著
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いちじ
ふりがな文庫
“
著
(
いちじ
)” の例文
「うむ、なあに
俺
(
お
)
れもそれから
去年
(
きよねん
)
の
秋
(
あき
)
は
火箸
(
ひばし
)
で
打
(
ぶ
)
つ
飛
(
と
)
ばしてやつたな」
卯平
(
うへい
)
は
斯
(
か
)
ういつて
彼
(
かれ
)
にしては
著
(
いちじ
)
るしく
元氣
(
げんき
)
を
恢復
(
くわいふく
)
して
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
陰※
(
いんえい
)
たる空に
覆
(
おおわ
)
れたる
万象
(
ばんしょう
)
はことごとく
愁
(
うれ
)
いを含みて、海辺の砂山に
著
(
いちじ
)
るき一点の
紅
(
くれない
)
は、早くも掲げられたる暴風
警戒
(
けいかい
)
の
球標
(
きゅうひょう
)
なり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
船員ちゅうには
著
(
いちじ
)
るしく不満の色がみなぎっている。かれらの多くは
鯡
(
にしん
)
の漁猟期に間に合うように帰国したいと、しきりに望んでいるのである。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
敵の
礮
(
いしびや
)
と我の弓矢とは、
其
(
その
)
威力に於て
著
(
いちじ
)
るしい相違があった。朝高は早くも
之
(
これ
)
を
看取
(
かんしゅ
)
して、我も彼と等しき巨砲を作ろうと思い立ったのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
詩家
豈
(
あに
)
無情の動物ならむ、否、其濃情なる事、常人に幾倍する事
著
(
いちじ
)
るし、然るに
綢繆
(
ちうびう
)
終りを全うする者
尠
(
すくな
)
きは何故ぞ。
厭世詩家と女性
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
かく
著
(
いちじ
)
るしい鼻だから、この女が物を言うときは口が物を言うと云わんより、鼻が口をきいているとしか思われない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
年を取るにつれて、それがますます
著
(
いちじ
)
るしくなって来た。何よりも望ましいのは好天気である。鶴見はいう。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
総
(
すべ
)
ての牛乳屋がかく純正の牛乳を販ぐに至りしより、市内における小児の死亡数
著
(
いちじ
)
るしく減ずるに至れり。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
肩の
工合
(
ぐあい
)
、ステッキのつき方、その他凡ての点が、間違うはずのない
著
(
いちじ
)
るしい特徴を示していた。彼女はそれらの事柄を明智に電話で報告するために、邸に急いだ。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やがて、氏は
大乗
(
だいじょう
)
仏教をも、味覚しました、
茲
(
ここ
)
にもまた、氏の歓喜的
飛躍
(
ひやく
)
の
著
(
いちじ
)
るしさを見ました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まだ
箪笥
(
たんす
)
町の区役所前に吉熊という名代の大きな料亭があり、通寺町に求友亭などいう家のあった頃から見ると、花街としての神楽坂に随分
著
(
いちじ
)
るしい変化や発展があり
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
別
(
べつ
)
に
貴重
(
きちやう
)
の金石を
発見
(
はつけん
)
せず、唯黄鉄鉱の
厚層
(
こうさう
)
広
(
ひろ
)
く
連亘
(
れんたん
)
せし所あり、岩石は
花崗岩
(
みかげいし
)
尤も多く輝石安山岩之に
次
(
つ
)
げり、共に水蝕の
著
(
いちじ
)
るしき岩石なるを以て、
到
(
いた
)
る処に
奇景
(
きけい
)
を現出せり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
元来女の性質は
単純
(
シンプル
)
な物事に信じ易いものだから、
尚更
(
なおさら
)
こういうことが、
著
(
いちじ
)
るしく現われるかもしれぬ。それが
為
(
た
)
めか、かの
市巫
(
いちこ
)
といったものは
如何
(
いかに
)
も昔から女の方が多いようだ。
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
そして彼の
著
(
いちじ
)
るしくめだつ白髪や、険しく
尖
(
とが
)
った
頬
(
ほお
)
のまわりに、雲間をのぞくような
一沫
(
いちまち
)
の明るい笑いが
洩
(
も
)
れるのを女房はわかったような、わからないような顔色で見つめるのだった。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
現にチェーホフの蔵書中には『アフォリスメン・ウント・マクシーメン』の訳本が残っているし、『燈火』(一八八八)にはショーペンハウエルの厭世観の
著
(
いちじ
)
るしい影響が認められるはずである。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
然
(
しか
)
し
此
(
この
)
三尖衝角
(
さんせんしやうかく
)
は、
此
(
この
)
海底戰鬪艇
(
かいていせんとうてい
)
に
左程
(
さほど
)
著
(
いちじ
)
るしい
武器
(
ぶき
)
ではない、
更
(
さら
)
に
驚
(
おどろ
)
く
可
(
べ
)
きは、
艇
(
てい
)
の
兩舷
(
りようげん
)
に
裝置
(
さうち
)
されたる「
新式併列旋廻水雷發射機
(
しんしきへいれつせんくわいすいらいはつしやき
)
」で、
此
(
この
)
水雷發射機
(
すいらいはつしやき
)
の
構造
(
かうざう
)
の、
如何
(
いか
)
に
巧妙
(
こうめう
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
なるやは
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
著
(
いちじ
)
るき山
路
(
ぢ
)
を
指
(
さ
)
すを知らむ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
申立けるこそ
笑
(
をか
)
しけれ扨さしも
種々
(
いろ/\
)
樣々
(
さま/″\
)
に
縛
(
もつ
)
れし
公事
(
くじ
)
成りしが今日の一度にて取調べ
濟
(
すみ
)
に相成口書の一
段
(
だん
)
までに及びけり
嗚呼
(
あゝ
)
善惡
(
ぜんあく
)
應報
(
おうはう
)
の
著
(
いちじ
)
るしきは
索
(
あざな
)
へる
繩
(
なは
)
の如しと
先哲
(
せんてつ
)
の
言葉
(
ことば
)
宜
(
むべ
)
なる
哉
(
かな
)
村井長庵は三州藤川在岩井村に
生立
(
おひたち
)
て
幼年
(
えうねん
)
の頃より
心底
(
こゝろざま
)
惡
(
あし
)
く成長するに
隨
(
したが
)
ひ
惡行
(
あくぎやう
)
増長
(
ぞうちやう
)
して友達の勘次郎と云者を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其
(
そ
)
れが
月光
(
げつくわう
)
を
遮
(
さへぎ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
樅
(
もみ
)
の
木陰
(
こかげ
)
に
著
(
いちじ
)
るしく
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つて、
身
(
み
)
を
動
(
うご
)
かす
度
(
たび
)
に一
齊
(
せい
)
にがさがさと
鳴
(
な
)
りながら
波
(
なみ
)
の
如
(
ごと
)
く
動
(
うご
)
いて
彼等
(
かれら
)
の
風姿
(
ふうし
)
を
添
(
そ
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼女は自分が跛足に近いのを近ごろ
著
(
いちじ
)
るしく悲観していたという事実がある以上、若い女の思いつめて、遂に自殺を企てたものと認めるのが正当であるらしかった。
鴛鴦鏡
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まだ見た事のない鳥だから、名前を知ろうはずはないが、その色合が
著
(
いちじ
)
るしく自分の心を動かした。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
現代の女性の感覚は色調とか形式美とか音とかに
就
(
つ
)
いて
著
(
いちじ
)
るしく発達して来た。
異性に対する感覚を洗練せよ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
紅葉
(
もみじ
)
の中に
著
(
いちじ
)
るく、まず目に着いたは
天窓
(
あたま
)
のつるりで、頂ャ
兀
(
は
)
げておもしろや。耳際から
後
(
うしろ
)
へかけて、もじゃもじゃの毛はまだ黒いが、その
年紀
(
とし
)
ごろから察するに、台湾云々というのでない。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静岡で戦災に
遭
(
あ
)
って、
辛
(
つら
)
い思いをして、去年の秋やっとこの鎌倉へ移って来たばかりか、静岡地方と比べれば気温の差の
著
(
いちじ
)
るしい最初の冬をいきなり越すことが危ぶまれて、それを苦労にして
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
意気
(
いき
)
の
凛然
(
りんぜん
)
たる一行中尤
著
(
いちじ
)
るし、木村君は
初
(
はじ
)
め一行に
向
(
むか
)
つて
大言放語
(
たいげんはうご
)
、利根の
険難
(
けんなん
)
人力の
及
(
およ
)
ぶ所に
非
(
あら
)
ざるを談じ、一行の元気を
沮喪
(
そさう
)
せしめんとしたる人なれ共、
本
(
も
)
と水上村の産にして
体脚
(
たいきやく
)
強健
(
きやふけん
)
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
その中で特に、
赤膚媛
(
アカラヒメ
)
と標記された若い女性の一体と、
片氏月姫
(
ガシグツキ
)
と標記された一体とが、
著
(
いちじ
)
るしく僕の注目をひいた。前者は日本
奥羽
(
おうう
)
地方出土とあつて、豊かな乳房がありありと面影をとどめてゐる。
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
勘次
(
かんじ
)
に
導
(
みちび
)
かれておつぎは
仕事
(
しごと
)
が
著
(
いちじ
)
るしく
上手
(
じやうず
)
になつた。おつぎが
畑
(
はたけ
)
へ
往來
(
わうらい
)
する
時
(
とき
)
は
村
(
むら
)
の
女房等
(
にようばうら
)
は
能
(
よ
)
くいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こっちが大事がってやる間は、向うでいつでも
跳
(
は
)
ね返すし、こっちが
退
(
の
)
こうとすると、急にまた
他
(
ひと
)
の
袂
(
たもと
)
を
捕
(
つら
)
まえて放さないし、と云った風に気分の
出入
(
でいり
)
が
著
(
いちじ
)
るしく眼に立った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
併
(
しか
)
し岩穴の中で発見された多数の骨が、
最初
(
はじめ
)
は普通人以上の骨格を有し、
其
(
そ
)
れが
漸次
(
しだい
)
に退化して
小児
(
こども
)
のようになっているのを見ると、蒙古人が五六百年の
間
(
あいだ
)
に
著
(
いちじ
)
るしく退化して
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
不思議に思って近寄って窺うと、岩穴の奥には怪しい女が棲んでいた。十年
前
(
ぜん
)
に比べると、
顔容
(
かおかたち
)
は
著
(
いちじ
)
るしく
窶
(
やつ
)
れ果てたが、紛う方なき
彼
(
か
)
のお杉で、
加之
(
しか
)
も一人の赤児を抱いていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三四郎が
著
(
いちじ
)
るしく感じたのは、其水彩の色が、どれも是も
薄
(
うす
)
くて、
数
(
かず
)
が
少
(
すく
)
なくつて、対照に乏しくつて、
日向
(
ひなた
)
へでも
出
(
だ
)
さないと
引
(
ひ
)
き立たないと思ふ程
地味
(
ぢみ
)
に
描
(
か
)
いてあるといふ事である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何かの事情で、かれらの棲んでいる
深山
(
みやま
)
に食い物が
著
(
いちじ
)
るしく欠乏した為に、二羽も三羽もつながって出て来たのであるから、まだ後からも続いて来るに相違ない。決して油断するな。
鷲
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そこにはたとい気の毒だという
侮蔑
(
ぶべつ
)
の
意
(
こころ
)
が全く打ち消されていないにしたところで、ちょっと
彼我
(
ひが
)
の地位を
易
(
か
)
えて立って見たいぐらいな
羨望
(
せんぼう
)
の念が、
著
(
いちじ
)
るしく働らいていた。お延は考えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
先度の元和の上洛も将軍家の
行粧
(
ぎょうそう
)
はすこぶる目ざましいものであったが、今度の寛永の上洛は江戸の威勢がその後一年ごとに
著
(
いちじ
)
るしく加わってゆくのを証拠立てるように花々しいものであった。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ことしの夏の暑さは格別で、おせきの
夏痩
(
なつや
)
せは
著
(
いちじ
)
るしく
眼
(
め
)
に立つた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“著”の意味
《名詞》
(チョ)書物を書くこと。また、その書物。
(チョ)明らかなこと。
(出典:Wiktionary)
著
常用漢字
小6
部首:⾋
11画
“著”を含む語句
著名
執著
頓著
落著
顕著
無頓著
愛著
著書
撞著
著作
貪著
著物
著者
著述
瞞著
著手
逢著
巾著
新著聞集
下著
...