“一沫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いちまつ75.0%
いちまち25.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
行手の丘にこの国の古い大きな建物がそびえているのを臨む。かつての庁舎だというが、この港に一沫いちまつの潤いを与え、辺りの景色を引き立たせてくれる。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
一沫いちまつの雲もなく、太陽は娯楽園の山々谷々、奇怪なる建築物の数々を、白と黒とのクッキリした陰影に染め為して、その全景を、立昇る陽炎かげろうと共に、鏡の青空へそのまま投影させているかに見えた。
地獄風景 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして彼のいちじるしくめだつ白髪や、険しくとがったほおのまわりに、雲間をのぞくような一沫いちまちの明るい笑いがれるのを女房はわかったような、わからないような顔色で見つめるのだった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)