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聟
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むこ
ふりがな文庫
“
聟
(
むこ
)” の例文
聟
(
むこ
)
の勘五郎に任せましたが、金箱は
確
(
しか
)
と押えて、五十文百文の出入りも、自分の手を経なければ、勝手に
捌
(
さば
)
きはさせなかったのです。
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は、この
愚
(
おろ
)
かな
聟
(
むこ
)
が、たとえ
自分
(
じぶん
)
を
慕
(
した
)
い、
愛
(
あい
)
してくれましたにかかわらず、どうしても
自分
(
じぶん
)
は
愛
(
あい
)
することができなかったのです。
海ぼたる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
日吉、今夜のあの
聟
(
むこ
)
どのが、おまえの次のお父さんになる人だ。——弥右衛門どのとも、以前からの友達で、やはり織田家で
同朋衆
(
どうぼうしゅう
)
を
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとひ
遠郷
(
ゑんきやう
)
へ
聟
(
むこ
)
娵
(
よめ
)
にゆきて年を
歴
(
へ
)
ても鳥を
喰
(
しよく
)
すれば必
凶応
(
あしきこと
)
あり、
灵験
(
れいげん
)
の
煕々
(
あきらか
)
たる事此一を以て知るべし。されば
遠郷
(
ゑんきやう
)
近邑
(
きんいう
)
信仰
(
しんかう
)
の人多し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それがこの度お暇をもらって家へ帰ってくることになり、ついてはこの豊雄を
聟
(
むこ
)
にほしいと、仲人をもって大宅の許へ申し込んできた。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
御倉さんはもう赤い
手絡
(
てがら
)
の時代さえ通り越して、だいぶんと
世帯
(
しょたい
)
じみた顔を、帳場へ
曝
(
さら
)
してるだろう。
聟
(
むこ
)
とは
折合
(
おりあい
)
がいいか知らん。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕等もNさんの東京から
聟
(
むこ
)
に来たことは耳にしていた。のみならず
家附
(
いえつき
)
の細君は去年の夏とかに男を
拵
(
こしら
)
えて家出したことも耳にしていた。
海のほとり
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とこの
眼
(
まなこ
)
から張り切りょうずる涙を押えて……おおおれは今泣いてはいぬぞ、忍藻……おれも
武士
(
もののふ
)
の妻あだに夫を励まし、
聟
(
むこ
)
を
急
(
せ
)
いたぞ。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
『家が戀しくなつたんだな。……これから
直
(
す
)
ぐ歸へれば、
夜半
(
よなか
)
までには着くよ。……
阿母
(
おつか
)
さんの顏も見られるし。お
聟
(
むこ
)
さんの顏もね。……』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
なさず又母は
樽見村
(
たるみむら
)
の百姓源兵衞の娘にて妹一人あり此妹に家を
繼
(
つが
)
せ自分は傳吉の家へ
嫁入
(
よめいり
)
せしに父源兵衞病死の後は妹お早
身持
(
みもち
)
宜
(
よか
)
らず
聟
(
むこ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
眉
(
まゆ
)
を落して歯を染めた、小作りの
年増
(
としま
)
であった。
聟
(
むこ
)
を
貰
(
もら
)
ったがまた別れたとかいうことで、十一、二の男の
児
(
こ
)
を持っていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『あれ、
少許
(
ちつと
)
も
其様
(
そん
)
な話は聞きやせんでしたよ。そんなら
聟
(
むこ
)
さんが出来やしたかいなあ——長いこと
彼処
(
あすこ
)
の家の娘も
独身
(
ひとり
)
で居りやしたつけ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「えゝよ卅まで
獨
(
ひと
)
りぢや
置
(
お
)
かねえから
此
(
こ
)
れげはいまに
聟
(
むこ
)
とんだから」
勘次
(
かんじ
)
は
喧嘩
(
けんくわ
)
でもする
樣
(
やう
)
な
容子
(
ようす
)
で
硬
(
こは
)
ばつた
舌
(
した
)
でいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
就中
(
なかんずく
)
、黄金に関するものや、産馬に関するものや、馬鹿
聟
(
むこ
)
に関する話など、現代文学に繋がるもののうちでは最も面白いもののようでありますが
文学に現れたる東北地方の地方色:(仙台放送局放送原稿)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「そりゃ千枝には実さんという
聟
(
むこ
)
もあれば、三人の子もあるもの。どっちむいてもひとりぼっちは私だけじゃないの。」
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
首卷
(
くびまき
)
のはんけち
俄
(
にわ
)
かに
影
(
かげ
)
を
消
(
け
)
して、
途上
(
とじよう
)
の
默禮
(
もくれい
)
とも千
歳
(
ざい
)
の
名譽
(
めいよ
)
とうれしがられ、
娘
(
むすめ
)
もつ
親
(
おや
)
幾人
(
いくたり
)
に
仇敵
(
あだがたき
)
の
思
(
おも
)
ひをさせて
我
(
わ
)
が
聟
(
むこ
)
がねにと
夫
(
そ
)
れも
道理
(
だうり
)
なり
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
嫁を迎え
聟
(
むこ
)
を取るにも同じことで、なるべくは土地状況の共通な村方と縁組して、二十歳も越えたものに新たに仕事の繰廻し方から年中行事までを
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
江戸を出るとすれば池田家の誰が討たんにも限らぬし、
郡山
(
こおりやま
)
名代の剣客、数馬の姉
聟
(
むこ
)
である荒木又右衛門が助太刀に出ているというから又五郎は危い。
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
今お
母様
(
っかさま
)
にお話をしたが、お
兄様
(
あにいさま
)
は去年あの始末、お前にも早く養子をしたいと思ったが、親の慾目で、何うかまア心掛のよい
聟
(
むこ
)
をと心得て居ったが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
獰猛
(
どうもう
)
な相貌をした
虎毛
(
とらげ
)
の犬で、三四疋位の
聯合軍
(
れんごうぐん
)
は造作もなく
噛
(
か
)
み伏せる
猛犬
(
もうけん
)
だったので、競争者を追払ってずる/\にピンの押入
聟
(
むこ
)
となった
訳
(
わけ
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「お蝶さま、見てらっしゃい。お新造さんはだん/\あの連中の中から、あなたの
聟
(
むこ
)
選びを始めなさいますから」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今までの経験で一度ならず気づいた事ですが、
姑
(
しゅうとめ
)
というものは
聟
(
むこ
)
にとって、あまり面白くないのが常ですからね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この人は老
尼僧
(
にそう
)
の
姪
(
めい
)
の
聟
(
むこ
)
さんで私と一緒に大臣の宅に住居して居たのでごく心安い人でありますから、私はそこへ
尋
(
たず
)
ねて行ったところが大変悦びました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
わたしはどうも青木の家、
殊
(
こと
)
にあの
鷹雄
(
たかを
)
といふ、
聟
(
むこ
)
になる
筈
(
はず
)
の若者に対しては、つい神経過敏になつてしまふ。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
聟
(
むこ
)
の
十川
(
そごう
)
(十川
一存
(
かずまさ
)
の一系だろうか)を見放つまいとして、
搢紳
(
しんしん
)
の身ながらに
笏
(
しゃく
)
や筆を
擱
(
お
)
いて
弓箭
(
ゆみや
)
鎗
(
やり
)
太刀
(
たち
)
を取って武勇の沙汰にも及んだということである。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その注文というのは……つまり、そのおくらに『娘一人に
聟
(
むこ
)
八人』をやらせろということなのだ。『娘一人に聟八人』——それはお前も知っているだろう。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
妹は姉さんよりも遥かに美しかったので校長が大へん力を入れて、お
聟
(
むこ
)
さんを捜し、遂に某青年に白羽の矢が立って、いよいよ見あいする迄に事が進んだのだ。
段梯子の恐怖
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
五十吉
(
いそきち
)
といい今は西洞院の紙問屋の番頭だが、もとは灰吹きの五十吉と
異名
(
いみょう
)
をとったごろつきでありながら、寺田屋の
聟
(
むこ
)
はいずれおれだというような顔が
癪
(
しゃく
)
だと
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
『大将細君には頭が上らないんですよ。——
聟
(
むこ
)
ですからね。それに
余
(
あんま
)
り子供が多過るもんですからね。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「あなた、宅の娘ももう
妙齢
(
としごろ
)
になりました事ですから、誰かいい
聟
(
むこ
)
でもありましたらと存じますが……」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「わしはまあこの子供に、何というむごい扱いをしたことだろう。ああすまないすまない。罪滅しをせねばらなぬ。わしの、
聟
(
むこ
)
になるべきはずの子だったのに——。」
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
鄭
(
てい
)
の君がその臣
蔡仲
(
さいちゅう
)
の専横を憎んで、蔡仲の
聟
(
むこ
)
に命じて彼を殺害させようとした時に、蔡仲の娘がそれと知って、もしこの事を父に告げると、夫が父のために殺されるし
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「七種や明ぬに
聟
(
むこ
)
のまくらもと」という其角の句も、今日だったらどういう解釈になるかわからぬが、夜の明けないうちから聟の枕許で、わざとトントンやるのが主眼らしく思われる。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
数年前には、話が出来て
聟
(
むこ
)
をとったけれど、彼は二年ばかりして胸の病気で針金のように痩せて死んでしまった。それからこっち妾は気楽に見える若い
有閑未亡人
(
ゆうかんマダム
)
の生活をつづけている。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
印度人のボースが私の
聟
(
むこ
)
となり、日本に帰化し、中村屋の幹部として働くようになった因縁については、妻がすでに「黙移」の中に詳しく書いているから、それを参照してもらうことにして
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
処で
俺
(
おら
)
の旦那がお世辞半分に新聞記者の天職を
壮
(
さか
)
んなりと褒めて娘も新聞記者に
嫁
(
や
)
る
意
(
つもり
)
だと
戯謔面
(
からかひづら
)
に
煽動
(
おだ
)
てたから、先生グツト乗気になつて早や
聟
(
むこ
)
君に
成済
(
なりすま
)
したやうな気で毎日
入浸
(
いりびた
)
つてゐる。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
今
以
(
もっ
)
て適当な
聟
(
むこ
)
を見つけてやることが出来ないとは何と云う
腑甲斐
(
ふがい
)
なさか。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
商人でも、
皆
(
み
)
な
悉
(
ことごと
)
く軍人を
聟
(
むこ
)
に持ちたいという熱望を持ていたのである。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「だっておめえ、常吉はここの家の、
聟
(
むこ
)
になる男じゃァねえか」
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「ぜひとも
聟
(
むこ
)
になってくれ」
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
年は二十四歳、寧子も望んでいるらしいし、ふさわしい
聟
(
むこ
)
とは思われるものの、まだ又右衛門夫婦の決心は、はっきりせずに在る。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丁度そこを捕へたから言ひ譯が立たないのさ。だが、あの百兵衞といふ男は良い男さ。お
稻
(
いね
)
の
聟
(
むこ
)
に世話をしようと思ふがどうだらう
銭形平次捕物控:153 荒神箒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たとひ
遠郷
(
ゑんきやう
)
へ
聟
(
むこ
)
娵
(
よめ
)
にゆきて年を
歴
(
へ
)
ても鳥を
喰
(
しよく
)
すれば必
凶応
(
あしきこと
)
あり、
灵験
(
れいげん
)
の
煕々
(
あきらか
)
たる事此一を以て知るべし。されば
遠郷
(
ゑんきやう
)
近邑
(
きんいう
)
信仰
(
しんかう
)
の人多し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
愚
(
おろ
)
かな
聟
(
むこ
)
は、
美
(
うつく
)
しい
嫁
(
よめ
)
をもらって、どんなに
喜
(
よろこ
)
んでいたかしれません。そして、
自分
(
じぶん
)
はできるだけ、やさしく
彼女
(
かのじょ
)
にしたつもりでいました。
海ぼたる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
右
(
みぎ
)
相濟
(
あひすみ
)
屑屋長八は娘お幸の
戻
(
もど
)
りしを喜び
頓
(
やが
)
て
聟
(
むこ
)
を
娶
(
とり
)
て小切店に
商賣替
(
しやうばいがへ
)
をなし家内益々
繁昌
(
はんじやう
)
しけるとぞ又大橋文右衞門は
心懸
(
こゝろがけ
)
天晴
(
あつぱれ
)
なる者に
付
(
つき
)
目を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、この神は父の神が、まだ
聟
(
むこ
)
の神も探されぬ内に、若い都の
商人
(
あきゅうど
)
と
妹背
(
いもせ
)
の
契
(
ちぎり
)
を結んだ上、さっさと奥へ落ちて来られた。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
管
(
かま
)
あねえから
奪取
(
ふんだく
)
つてやれ、
俺
(
お
)
らだらさうだ、いや
本當
(
ほんたう
)
だとも、
聟
(
むこ
)
なんぞに
威張
(
えば
)
られてるなんちこと
有
(
あ
)
るもんか、
卯平等
(
うへいら
)
根性
(
こんじよう
)
薄弱
(
やくざ
)
だから
仕
(
し
)
やうねえ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
聟
(
むこ
)
養子を貰つた婚礼の折の外は、一度も外の髪に結つたことのない、お文の新蝶々を、
俯
(
うつむ
)
いて家出した夫の手紙に読み耽つてゐるお文の頭の上に見てゐた。
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
藤原家の若殿を娘の
聟
(
むこ
)
に取った
下野
(
しもつけ
)
辺の判任官位の家柄であって、ことによると「アイヌ」であるかとも思う。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
うき
世
(
よ
)
の
飾
(
かざ
)
りの
紅
(
べに
)
をしろいこそ
入
(
い
)
らぬ
物
(
もの
)
と
洗
(
あら
)
ひ
髮
(
がみ
)
の
投
(
な
)
け
島田
(
しまだ
)
に
元結
(
もとゆひ
)
一
筋
(
すぢ
)
きつて
放
(
はな
)
せし
姿
(
すがた
)
、
色
(
いろ
)
このむ
者
(
もの
)
の
目
(
め
)
には
又
(
また
)
一
段
(
だん
)
の
美
(
び
)
とたヽえて
聟
(
むこ
)
にゆかん
嫁
(
よめ
)
にとらん
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
聟
漢検1級
部首:⽿
14画
“聟”を含む語句
聟入
聟殿
妹聟
聟養子
聟取
聟君
入聟
花聟
娘聟
姉聟
御聟
華聟
花聟君
伯母聟
聟館
入聟形気
聟選
聟舅
其聟殿
聟樣
...