)” の例文
甲州街道は大部分繃帯ほうたいした都落ちの人々でさながら縁日のようでした。途中でこんきて首をくくったり、倒れて死んだ者もあります。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いずれはさりともと思うてまた河を廻りて西に着くほどに、河の中にて力きて空しく流れせぬ、心多き物は今生後生ともに叶わぬなり
「国歌の人を鼓舞して忠誠を貫かしめ人を劇奨げきしょうして孝貞こうていくさしめ」云々「あにただに花を賞し月をで春霞におもいり風鳥に心を傾くる」
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ネチネチとトロ火で油煎あぶらいりされるように痛めつけられたら精も根もきて節々ふしぶしまでグタグタになってしまうと、恐れを成さずにはいられまい。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
さうしてとげえた野茨のばらさへしろころもかざつてこゝろよいひた/\とあふてはたがひ首肯うなづきながらきないおもひ私語さゝやいてるのに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「水は海にき、河はれて乾く」とは砂漠地にて常に目撃する現象である(海とは真の海ではない、池の如くすべて水のたまれる処をいうのである)
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
で、私の臆病には自分ながら愛想あいそきる位で、倫敦へ帰ったのちも、例の貴婦人の怖い顔が明けても暮れても我眼わがめ彷彿ちらついて、滅多に忘れるひまがない。
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
吾れ一たびはこの矛盾に泣きぬ。而してやがて「世にある限りなんぢが最善をくすべし、神を見たるもの竟に死なず」
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
丈夫見る所有り、意を決してこれを為す、富岳崩るといえども、刀水くといえども、またたれかこれを移易いえきせんや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
悉くを調べたわけでないから、老師読書の範囲をくすことは固より出来ぬが、克明に覚書きせられてあるのを見ると、師の心懸けを仰ぐことが出来る。
洪川禅師のことども (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
五百らは路用の金がきた。江戸を発する時、多く金を携えて行くのは危険だといって、金銭を長持ながもち五十余りの底にかせて舟廻ふなまわしにしたからである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
(三六)かうきよき、(三七)かたちそむいきほひきんずれば、すなはおのづかめにけんのみいまりやうてう相攻あひせむ。輕兵けいへい鋭卒えいそつかならそとき、(三八)老弱らうじやくうちつかれん。
それから最後のこの大声! 一体十字架の刑を受けて死ぬる者は、長時間の苦痛の後だんだんと体力が弱りき、しまいには声も出ないようになって死ぬる。
余藩老成瀬正肥ニイツテ曰クコノ任ニたゆル者ハワガ客樹堂ナリト。正肥コレヲ然リトナス。君乃チ命ヲ奉ジテ単身東ニ赴キ周旋力ヲクス。居ルコト五十余日。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
... 正月そうそうお金さんもとんだ目にいなすったね」胃吉「マア何にしろ今日はお互に遊びたいものだ。私たちだってたまに休息もしなければ根気がきていよいよ働けない。 ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
忘れても世の中に、血属ちすじは一人の父にさへ、離れたる身の、宿業を謹みて、春衛殿に、愛想かさるるな。我をいづこと、求めむ心の出でなむには、それだけ多くを、良人に尽くせ。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
わしがいたために、病人ができる、借金はできる、長い間苦しんだが、やっと、その数がきて私は他へ移ることになったから、これから、お前さんの主人の運も開けて、借金も返される」
貧乏神物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そこで吾輩も殆んど筆をとうぜざるを得なくなった。刀折れ、矢きた形だね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
宮は猶脱なほのがるるほどに、帯はたちまけてあしまとふを、右に左に踢払けはらひつつ、つまづきては進み、行きてはよろめき、彼もはや力はきたりと見えながら、如何いかん、其処そこに伏してまた起きざる時
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
風波に掀翻きんぽんせらるる汽船の、やがて千尋ちひろの底に汨没こつぼつせんずる危急に際して、蒸気機関はなおよう々たる穏波をると異ならざる精神をもって、その職をくすがごとく、従容しょうようとして手綱を操り
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
血の気のきかけた兄に特有なひすばった長い顔も出たり引込ひっこんだりした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
水源きて進行しんこう漸やく容易やうゐとなる、六千四百呎の高にたつすれば前日来経過けいくわし来れる所、歴々れき/\眼眸がんばうり、利根河の流域りうえきに属する藤原村の深山幽谷、まるで地図中の物となり、其山の広袤こうばう水の長程
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
その国の徳衰えたくきて、内憂外患こも/″\せまり、滅亡になりなんとする世には、崩じておくられざるみかどのおわすためしもあれど、明のの後なお二百五十年も続きて、この時太祖の盛徳偉業、炎々えんえんの威を揚げ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
時に雪は一丈余、浪士らは食もき、力も窮まった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今はもう進んで穿鑿する気力もき勇気もはばんだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
三蔵 (力きてあがかまちに手をかけて伏す)
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
大言たいげんきしむかしこゝろはづかしさよれがこのんで牛馬ぎうばかはりに油汗あぶらあせながし塵埃ぢんあいなかめぐるものぞ仕樣しやう模樣もやうきはてたればこそはじ外聞ぐわいぶんもなひまぜにからめててたのつまり無念むねん殘念ざんねん饅頭笠まんぢうがさのうちにつゝみてまゐりませうとこゑびくすゝめるこゝろいらぬとばかりもぎだうにひとそれはまだしもなりうるさいは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そんだがむすめ年頃としごろてんのにるとかとるとかしねえぢや可哀相かあいさうだよなあ」ばあさんくちはそれからそれときなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いつも人を食う奴は勢き歯弱れる老虎で村落近く棲み野獣よりも人を捉うるを便とす、草野と沼沢に棲む事多きも林中にも住み、また古建築の廃址はいしに居るを好く
その具もとより備わらず、術また熱せず、舟ややもすれば木葉の如く波上に廻旋してすすまず、波濤漠々として前途茫たり、最早もはやき、腕脱し、如何ともするあたわざる場合に迫りしも
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
主客談笑の間、和気陶然わきとうぜんとして逸興いっきょう更にくる事なけん。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
勘次かんじ田圃たんぼきたとき村落むらぎて臺地だいちた。村落むら垣根かきねにはいねけて人々ひとびとがあつた。みちひとたがるくせ彼等かれらみないそがしげな勘次かんじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
したがって尾閭禁ぜず滄海そうかいきた齶蠅がくよう連は更なり、いまだ二葉の若衆よりかわやに杖つくじいさんまでも、名を一戦の門に留めんと志すやから、皆争うてこれを求めたので
お登和嬢が料理に対する才覚は源々げんげんとしてくる事なし
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
勇士サムが殺した竜は頭髪かみを地にいて山のごとく起り、両の眼宛然さながら血の湖のごとく、一たびゆれば大地震動し、口より毒を吐く事洪水に似、飛鳥き、奔獣尽き、流水よりがくを吸い
一夜大蜥蜴燈の油を吸いくしたちまち消失するを見、あやしんで語らずにいると、明日王曰く、われ昨夜夢に魔油を飽くまで飲んだと、嫗見しところを王に語るに王すこしくわらうのみとあれば
何人槍付けたら鼈甲べっこう柄の槍を許すとか、本多平八の蜻蜒とんぼ切りなど名器も多く出で、『昭代記』に加藤忠広封を奪われた時、清正伝来の槍を堂の礎にあて折って武威のきたるを示したとある。
熊沢伯継の『集義書』に、神林伐られ水れて神威く、人心乱離して騒動絶えず、数百年して乱世中人が木を伐るひまなきゆえ、また林木成長して神威も暢るころ世は太平となる、といえり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)