“稗:ひえ” の例文
“稗:ひえ”を含む作品の著者(上位)作品数
宮沢賢治11
吉川英治10
柳田国男6
中里介山5
島崎藤村4
“稗:ひえ”を含む作品のジャンル比率
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 社会・家庭生活の習俗13.3%
社会科学 > 風俗習慣・民俗学・民族学 > 風俗史・民俗誌・民族誌9.1%
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸3.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
ところがカナリヤの夫婦は幸いに引取手があって碧梧桐のうちの床の間に置かれてひえよハコベよと内の人に大事がられて居る。
病牀苦語 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
これからただちに札荅蘭ジャダラン城を屠り、長駆、抗愛山脈を衝くのだから、ひえでも藁でも、充分に食わせておくがよいぞ。
あわ小豆あずき飼馬かいばの料にするとかいうひえなぞの畠が、私達の歩るいて行く岡部おかべの道に連なっていた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
切り畑焼き畑を開いてひえ蕎麦そば等の雑穀を植えるもの、新田を開いて柴草しばくさを運ぶもの、皆元気いっぱいだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
東京場末の飯屋めしやに寄る者もあるが、多くは車を街道に片寄せて置いて、木蔭こかげで麦やひえの弁当をつかう。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ひえ蕎麦そば屑米くずまいいたものを水で練って、大きな団子だんごにしての火に打ち込んで焼く。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かへつてひとなづる、これは獵師れふしあはれんで、生命いのちらず、ひえ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
都会では、セルの単衣ひとえの肌ざわりに、爽涼を楽しむというのに、山の村では、ひえを刈り粟の庭仕事も次第に忙しくなってくる。
木の葉山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
ケシネすなわち平日の飯米は、一度に多くいて始めからあわひえの定量をまぜておき、それを毎日片端からいていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その菫もどんな貧弱な花でもつけているのはまだよい方で、中には菫かすずめひえか分らぬようなものもある。
科学と文化 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「御主君がくわを持つなら鍬を持って。御主君が肥桶こえおけをかつぐなら自分らも肥桶をかつぎ。——たとえ、ひえを喰っても!」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何でもいい。ざっと、粟でもひえでも、馳走になって、いとましようじゃないか。——帰り途にでも、また、寄らせてもらうとして」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらく緑一色であった田は、白っぽい早稲の穂の色になり、畑ではひえが黒く、きびが黄に、粟が褐色かちいろれて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
清作は、さあ日暮ひぐれだぞ、日暮れだぞといながら、ひえの根もとにせっせと土をかけていました。
かしわばやしの夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
○ケセネは米ひえその他の穀物こくもつをいう。キツはその穀物をるる箱なり。大小種々のキツあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
当時米穀も払底で、御伝馬を勤めるものは皆難渋の際であるから、右百両の金子きんすで、米、ひえ、大豆を買い入れ、人馬役のものへ割り渡したい。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
清作は、さあ日暮れだぞ、日暮れだぞとひながら、ひえの根もとにせつせと土をかけてゐました。
かしはばやしの夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
(銭、五貫より、その方が割じゃぜい——はっはっはっ。ひえまじりじゃろうが、白米一升、どないにしても七十銭じゃ。割じゃろがい。はっはっはっ。)
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こう口では云いながら、ひえだのあわだのきびだのを、東巖子は平気で食うのであった。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひえ真黒まつくろ、真黒、くろんぼ、玉蜀黍たうもろこしや赤髯、赤髯毛唐人が股くら毛。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
前面の菜圃さいほが。——青黍、もちひえ、花椰菜、火焔菜、トマトが、南瓜が、ああ大蕪が。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
農倉のひえあわは云うまでもなく、畑の物も土をふるいにかけたように喰べ尽している。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひえすら食いかねるっちゅうに、この上、人税などと、おらたちの血までしぼる気か」
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひえ、粟、米、どれもいくらの余裕もありませぬが、わけて塩倉の塩もはや……」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひえ 一三・〇〇 一一・七九 三・〇二 五三・〇九 一四・七五 四・三五
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
驚いた彼等は肉をあぶって脂を絞るように、手近の山に火を放って地膚から滲み出した貴い脂をひえあわに変えて、荒んだ淋しい生活を送らなければならなくなった。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
無論、米ではない、粟でもない、さりとてひえでもない、いもでもない。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
清洲へ移れとの、おもとのことば、なんぼううれしくぞんぜられ候も、ひえあわに困らぬほどの、こん日の暮しも、おもとのはたらき、また殿さまの御恩ぞかし。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水はもうふくべになかった。しかしづる雲の大海をながめながらかしわの葉でつつんだひえ飯を喰う味は、生涯、忘れ得まいと思われるほど美味うまかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秋旱あきひでり防空演習しきりなりれつくしけるひえの雉子いろ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
この地方の織物業者が、ひえかゆを織糸にぬるのは、もと姫神様のお教えであったといって、今でも四月二十一日の祭礼に、稗粥を造ってお供えすることになっているそうです。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
秋旱あきひでり防空演習しきりなりれつくしけるひえの雉子いろ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
往時むかし兄をばつれなくせしことをも思ひ浮めて悔いつつ、薪にへて僅に得しひえあるを与へんと僧を呼び留め、尊者そんじゃよ、道のためにせらるる尊き人よ
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
……ひえか麦のまずしい握飯むすびを、尊い玉ででもあるかのように両手で捧げ持っている敬虔なようすも、見るたびに、無垢な感動を、キャラコさんのこころのなかにひきおこす。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お布施のほか割麦ひきわりあるいあわひえなどを貰って、おやまのうちの物を食って居るから、実は何時いつまでも置いて貰いたいと思って居りますうちに疵も癒り
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この団子の大きさはメロンほどもあって、材料は蕎麦そばひえ、たまに土穂つちぼといって米の調整のときに、一番あとにのこった屑籾くずもみを粉にいたものもある。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一か宿、米五十ひえ五十駄ずつの御救助を仰ぎたい。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
春になりました。そして子供が十一人になりました。馬が二ひき来ました。はたけには、草や腐つた木の葉が、馬のこえと一緒に入りましたので、粟やひえはまつさをに延びました。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
惠梅の指を二三本切落して、非道にも谷川へごろ/\/\/\どんと突落し、餞別に貰いました小豆あずきひえは邪魔になりますから谷へ捨て、のりを拭って鞘に納め、これから支度をして
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そこらがまだまるっきり、丈高たけたかい草や黒い林のままだったとき、嘉十かじゅうはおじいさんたちと北上川の東から移ってきて、小さな畑を開いて、あわひえをつくっていました。
鹿踊りのはじまり (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
大樹のそびゆるもとに落葉焚く煙が白くあがって、のお杉ばばあは窟を背後うしろに、余念もなくひえかゆを煮ていたが、彼女かれの耳は非常にさとかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そうだなあ——何をったって、こちとらの身分じゃ、特別のものをあてがうわけにもいきましねえから、あわひえを、わしらのうちとら並みに食べさせて、育ててみてえと思っとるでがすが」
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして蕎麦そばひえとがかれたやうでした。
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
犬はもう息をはあはあし赤い舌を出しながら走ってはとまり走ってはとまりして行った。間もなく小十郎の影は丘の向うへ沈んで見えなくなってしまい子供らはひえわらでふじつきをして遊んだ。
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その蔭から農家の屋根が静かに野良をながめている,へびのようなる畑中の小径こみち、里人の往来、小車おぐるまのつづくの、田草を採る村の娘、ひえく男、つりをする老翁
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
そして蕎麦そばひえとがかれたようでした。
狼森と笊森、盗森 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その真綿の間から、青々としたひえの芽が出ている。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
果樹の前はひえと綿だけのつくれた焼原であった由。
ただあわひえを搗くんでない金を搗くだけで。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
こんどは青いひえを行く貧弱カランザの末輩
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
蕎麦そば、大根、蕪菁かぶら、にんじんなどをたくさんお作りなさい、あわひえ、大豆などは勿論のこと、すべて食料になるものは念を入れてお作りなさいとすすめ、御自分では、穀物の売物があると聞くと
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もとより米麦に乏しい土地だから、その定見取米も大豆や蕎麦やひえなどで納めさせられたが、年々おびただしい木租を運搬したり、川出ししたりする費用として、貢納の雑穀も春秋二度に人民へ給与せられたものである。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ひえとかきびとかいうものはこの辺ではほとんど作らない、赤豌豆あかえんどうは昔は盛んに作ったものだが害虫がおびただしく発生するというので、全村申合せて作らない事にして居るがこれは甚だ惜しい事だと思う。
そして燃残りの太い幹で、一間置きまたは二間置き位いにさくを造って土留として、六、七十度の傾斜地を、五十度なり四十度なりに僅かずつ平にして、蕎麦そば、粟、ひえ、豆の類を作るので、麦などはとても出来ぬ。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
大きいところでひえのつぶ。
洞熊学校を卒業した三人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
大きいところでひえのつぶ。
蜘蛛となめくじと狸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もちひえも熟れていた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
初めは稗蒔ひえまきひえの、月代さかやきのやうに素直にこまかく伸びた葉尖はさきを、フツ/\と吹いたり、ろうたけた顔を斜めにして、金魚鉢きんぎょばちの金魚の目を、左から、又右の方からながめたり。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現在山間で麦搗むぎつひえはたきに利用し、後には水車小屋とまで発達した水臼みずうすが、土地によってはソウズの名を以て知られ、古事記に出る山田の曾富騰そほどと結び付いているのも、私には理由のあることと思える。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さればよ。また、いつものむかし語りじゃが、わしもあの子も、尾張中村にいた頃は、或る夜は、一握りのひえだにうて、ただの湯に味噌を落して飢えをしのぎ、寒夜をわなわな抱きおうて、母子おやこして過ごしたこともある。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはあちらに行って実際に見れば、よきにつけあしきにつけ東京にいて聞きしにまさる有様だが、同じひえを食っている村の農民でも、そこに農民組合のあるところとないところでは、若い農民はもとよりのこと、老人連でさえ全く元気が違う。
村からの娘 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
何せ小十郎のとこでは山にはくりがあったしうしろのまるで少しの畑からはひえがとれるのではあったが米などは少しもできず味噌みそもなかったから九十になるとしよりと子供ばかりの七人家内にもって行く米はごくわずかずつでも要ったのだ。
なめとこ山の熊 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこらがまだまるつきり、たけたかくさくろはやしのままだつたとき、嘉十かじふはおぢいさんたちと北上川きたかみがはひがしからうつつてきて、ちいさなはたけひらいて、あはひえをつくつてゐました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
鍋のふたを取って、あわか、ひえか、雑炊か知らないが、いずれ相当のイカモノを食わせるだろうと思ったところが、鍋の方は問題にしないで、黒漆の一升も入りそうなおひつをついと二人の方へ突き出したものだから、米友が、この時も小首をヒネりました。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と竹童はしたくをした——したくといっても、例のぼう切れを刀のように腰へさして、ひえと草の団子だんごにした兵糧ひょうろうをブラさげて、ヒラリと鷲の背にとびつくが早いか、鷲は地上の木の葉をワラワラとまきあげて、青空たかく飛びあがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
忘るるな、このひえあわの軽い飯茶碗は、殿さまがそち達を好んでひもじゅうさせよとて、下されているものではない。年ごとに武田勢に御領地をられてしまうためじゃ。——おぬし達、人なみの飯を、腹いッぱい喰おうと思うなら、お国を強くせい。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麦の普及を勧誘したあの有名な勅令が出たのは、平安京の初め頃であったけれども、それから以後の数百年、あるいは千年を越えるまで、人は自在に原や林の奥に入って、乱暴なる焼作りを続け、あわひえの種をき散らして、五年三年の食料を確保していたのである。
垣内の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
と云うのは、この母子おやこが折々に里へ出て物を乞う時、快くこれに与うれば可矣よしすげなく拒んで追い払うと、彼等は黙って笑って温順おとなし立去たちさるが、その家はその夜必ず山𤢖やまわろに襲われて、とりひえかを奪われる。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
雪にうもれた山の小屋で、そういう与五兵衛とただ二人、あわひえのまじったかゆや飯を喰べ、そして山まわりや猟をするという生活は、幼ない甲斐にとって、ずいぶん辛いことであったが、母親にとっても、それがどんなに辛かったかということを、のちになって甲斐は知った。
……『菘翁随筆しゅうおうずいひつ』に、『鶴を飼はんとすれば、粗食を以て飼ふべし。餌以前のものより劣れば、鶴はまずして死す』と見えております。手前考えますところ、このお飼場うちにて、なにものか、『瑞陽』のお飼料の精米を盗み、ひえもみその他のものをもって代えおるものがあるためと存じます。
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ただに山水の景色がよく似て居るばかりでない。松、杉、ひのきかし、檞、柳、けやき、桜、桃、梨、だいだいにれ躑躅つつじ蜜柑みかんというようなものは皆同一種類で、米、麦、豆、あわひえきび蕎麦そば玉蜀黍とうもろこしというような物もまた同じ種類であります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)