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気
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げ
ふりがな文庫
“
気
(
げ
)” の例文
旧字:
氣
もう、何と云いますか、あたりは
夕靄
(
ゆうもや
)
に大変かすんで、花が
風情
(
ふぜい
)
あり
気
(
げ
)
に散り乱れている。……云うに云われぬ華やかな夕方でした。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
私はいつものように
楽
(
たの
)
し
気
(
げ
)
に「ええこんなに、そう、何千株と
躑躅
(
つつじ
)
の植っているお
邸
(
やしき
)
のようなところです」と、私は両手を
拡
(
ひろ
)
げて
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
それと一しょに
瀑
(
たき
)
のような雨も、いきなりどうどうと降り出したのです。杜子春はこの天変の
中
(
なか
)
に、恐れ
気
(
げ
)
もなく坐っていました。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
気の
尽
(
つき
)
た折は是非世間の面白
可笑
(
おかし
)
いありさまを見るがよいと、万事親切に世話して、珠運が
笑
(
えま
)
し
気
(
げ
)
に恋人の
住
(
すみ
)
し跡に移るを満足せしが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と
然
(
さ
)
り
気
(
げ
)
なく答えはいたしまするものゝ、その慌てゝ居ります様子は直ぐ知れます、そわ/\と致して
些
(
ちっ
)
とも
落著
(
おちつ
)
いては居ません。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
「本郷の殿様」と呼ばれた武士と、代官松という目明しとに、疑念を持たれて見守られているとは、儒者ふうの老人は知らぬ
気
(
げ
)
であった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あるひは両国花火の
屋形船
(
やかたぶね
)
に
紺絞
(
こんしぼ
)
りの
浴衣
(
ゆかた
)
も涼し
気
(
げ
)
に
江戸三座
(
えどさんざ
)
の
大達者
(
おおだてもの
)
打揃
(
うちそろ
)
ひて
盃
(
さかずき
)
を
交
(
かわ
)
せるさまなぞあまりに見飽きたる心地す。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さうなると、普通の酒家以上に、能く弁する上に、時としては比較的
真面目
(
まじめ
)
な問題を持ち出して、相手と議論を上下して
楽
(
たの
)
し
気
(
げ
)
に見える。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうかといって、相手は身分あり
気
(
げ
)
な二本差ですから、引っ
括
(
くく
)
って行って、存分な家探しをするわけにも行かなかったのです。
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
夢中
(
むちゅう
)
で
振
(
ふ
)
り
払
(
はら
)
ったお
蓮
(
れん
)
の
片袖
(
かたそで
)
は、
稲穂
(
いなほ
)
のように
侍女
(
じじょ
)
の
手
(
て
)
に
残
(
のこ
)
って、
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく
土
(
つち
)
を
蹴
(
け
)
ってゆく
白臘
(
はくろう
)
の
足
(
あし
)
が、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の
中
(
なか
)
にほのかに
白
(
しろ
)
かった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
何の
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく七堂
伽藍
(
がらん
)
の善美や九百余坊の繁昌
仏国
(
ぶっこく
)
をすてて、北へ北へ、たましいの
住
(
す
)
み
家
(
か
)
を求めて、孤影を旅の風にまかせて歩いた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
稀
(
めず
)
らしいとされている
角錐
(
かくすい
)
状の結晶、
鼓型
(
つづみがた
)
の結晶、それが数段になっている段々鼓型などの結晶が惜し
気
(
げ
)
もなく降って来るのである。
雪の十勝:――雪の研究の生活――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
朧
(
おぼ
)
ろ
気
(
げ
)
ながら覚えているのは、少年の頃母の埋まっているその宗源寺へ、私も遊びに行ったことがあって、その寺というのを知っているのです。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
硯友社の社則がその頃の青年の集会の会規と
何処
(
どこ
)
かに共通点があるのを発見して、
朧
(
おぼ
)
ろ
気
(
げ
)
ながらも割合に若い人たちの集団であると気が付いて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
『
貴方
(
あなた
)
に
少々
(
しょうしょう
)
お
願
(
ねがい
)
があって
出
(
で
)
たのですが、どうぞ
貴方
(
あなた
)
は
私
(
わたくし
)
と一つ
立合診察
(
たちあいしんさつ
)
をしては
下
(
くだ
)
さらんか、
如何
(
いかが
)
でしょう。』と、さり
気
(
げ
)
なくハバトフは
云
(
い
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
汽車に残つてゐるのは工事担当の技師ばかりだ。技師は物思はし
気
(
げ
)
に
四下
(
あたり
)
を眺めて
汽罐
(
かま
)
の蒸気の音に耳を傾けてゐる。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
それを見ると王子は、何だか亡くなられたお母様を見るような気がして、
恐
(
おそ
)
れ
気
(
げ
)
もなくその側に寄ってゆかれました。
お月様の唄
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
園部は、
割合
(
わりあい
)
に元気に、美しい顔をニコつかせて帆村の前にあらわれた。それは如何にも自信あり
気
(
げ
)
に見えて、帆村探偵の
敵愾心
(
てきがいしん
)
を燃えあがらせた。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
茶をのむ為に休んだ場所には、どこにも(最も貧し
気
(
げ
)
に見える家にさえ)何かしら一寸した興味を引くものがあった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
その調子が、何となく意味あり
気
(
げ
)
だったので、酒に気をとられていた、一座の男女が
一斉
(
いっせい
)
に緑さんの方を見た。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
赤良顔
(
あからがほ
)
もしばし
煙管
(
きせる
)
を
置
(
お
)
いてかなし
気
(
げ
)
に
見
(
み
)
えた、
噫
(
あゝ
)
何
(
なん
)
と云ふ
薄命
(
ふうん
)
な
女
(
をんな
)
であらうと
我
(
われ
)
も同情の涙に
絶
(
た
)
えなかつた
夜汽車
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
むりに押し分けたような雲間から澄みて
怜悧
(
さか
)
し
気
(
げ
)
にみえる人の眼のごとくに朗らかに晴れた
蒼空
(
あおぞら
)
がのぞかれた。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「殺人犯で、懲役五箇年です。」緩やかな、力の這入った詞で、真面目な、憂愁を帯びた目を、
怯
(
おそ
)
れ
気
(
げ
)
もなく、大きく睜って、己を見ながら、こう云った。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
むりに押し分けたような雲間から澄みて
怜悧
(
さか
)
し
気
(
げ
)
に見える人の眼のごとくに
朗
(
ほがら
)
かに晴れた蒼空がのぞかれた。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
トンソリアル・アーテストの称号免状?と、何も知らぬ
気
(
げ
)
の
彼
(
か
)
れ坂下美髪師とを、等分に鏡の中で見分けながら、慈悲善根を施した高僧の如くでないまでも
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
すなわち実際には造船所の
計画
(
けいかく
)
と
聯関
(
れんかん
)
したるものなれども、これを
別問題
(
べつもんだい
)
としてさり
気
(
げ
)
なく
申出
(
もうしいだ
)
したるは
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
朝っから芝居へ出かけてあの空気の腐敗した中に一日辛抱して
怪
(
あや
)
し
気
(
げ
)
な弁当を食べて高い代価を払って平気でいます。西洋には日中開場する芝居はありません。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
(モデル急がし
気
(
げ
)
に
入
(
い
)
る。画家はやはりスケッチの手帳を引繰返しつつ。)
為事
(
しごと
)
は今日は駄目だよ。)
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
又人に物を
呉
(
く
)
れと云った事が一度も無いから付けた名前で、慈善小僧というのは、この小僧が貰った物の余りを決して
蓄
(
た
)
めず他の
憐
(
あわ
)
れな者に
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく呉れて
終
(
しま
)
い
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
然
(
さ
)
ればなう、
恐
(
おそろ
)
し
気
(
げ
)
な音をさせて、汽車とやらが向うの草の中を走つた
時分
(
ころ
)
には、客も少々はござつたで、
瓜
(
うり
)
なと
剥
(
む
)
いて進ぜたけれど、見さつしやる通りぢやでなう。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
老人
(
ろうじん
)
が
殺
(
ころ
)
されたのは、その五
日
(
か
)
の
夜
(
よる
)
だつたから、
朝
(
あさ
)
と
夜
(
よる
)
との
違
(
ちが
)
いはあつても、
同
(
おな
)
じ
日
(
ひ
)
に
金魚屋
(
きんぎょや
)
が
行
(
い
)
つて
老人
(
ろうじん
)
に
会
(
あ
)
つたという
点
(
てん
)
が、なんとなく
意味
(
いみ
)
あり
気
(
げ
)
に
感
(
かん
)
じられる。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
日向一学と妙見勝三郎が、憎さ
気
(
げ
)
に喬之助を
凝視
(
みつ
)
めながら、一しょにいい出して言葉が
衝突
(
ぶつか
)
った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けな
気
(
げ
)
にも、「どうせ死ぬ以上は、せめて『富士』に衝突して、一しょに落ちてやろう。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
「流芳」の二字が横書にしてあります。ほかの幅と様子が違うので、
訝
(
いぶ
)
かし
気
(
げ
)
に
覗
(
のぞ
)
きましたら、「これは貫名海屋という人の書で、南画の人だけれど、書にも秀れているのだよ」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
ゆえに、よく有り勝ちな
危
(
あぶ
)
な
気
(
げ
)
というものがなく、安んじて鑑賞できるのである。
魅力と親しみと美に優れた良寛の書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
瓦斯
(
ガス
)
の火
急
(
せは
)
し
気
(
げ
)
に燃ゆる下に寄り
集
(
つど
)
ふたる配達夫の十四五名、若きあり、中年あり、
稍々
(
やゝ
)
老境に近づきたるあり、
剥
(
はげ
)
たる
飛白
(
かすり
)
に繩の様なる角帯せるもの何がし学校の記章打つたる帽子
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
善悪の相は私たちの心に内在するおぼろ
気
(
げ
)
なる善悪の感じをたよりに、さまざまの運命に試みられつつ、人生の体験のなかに自己を深めてゆく道すがら、少しずつ理解せられるのである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「女共から聞いたが——小太郎が、当地に参っている
気
(
げ
)
じゃが——本当か」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼は、哲学などにも多少の興味を持つてゐるらしく、話材がなくなると勿体振つた口調で昔の学者の名前をあげては色々な場合にそれらの所説を引用して、
六
(
むつ
)
ヶし
気
(
げ
)
に眉をよせるのが癖だつた。
夏ちかきころ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
御無理はござんせんやと云ひ度げに、意味あり
気
(
げ
)
な笑を浮べて阿波太夫。
吉原百人斬り
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
心からうれしそうに、隠居は満足
気
(
げ
)
だった。自分のことを、こうして「隠居さん」と
言
(
い
)
い
慣
(
なら
)
わしていたが、気丈そうに見える年寄りも、何かそんなことでユーモラスな愛すべき人に見えるのだった。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
その奥さんは四十あまりの、色の浅黒い眼の大きい、その眼は島の人に独特な
倦
(
だ
)
る
気
(
げ
)
で、どこか野生的な感じで、正代という身よりのない娘を相手にバタをつくることから一家の仕事をやっている。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
ボクさんの声が、だんだんおぼろ
気
(
げ
)
になります、ほの暗い庭の隅で。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と出て来た山鹿も、一瞬、不快な顔をしたが、
遉
(
さす
)
がに、
去
(
さ
)
り
気
(
げ
)
なく
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
すると
為朝
(
ためとも
)
はおそれ
気
(
げ
)
もなく、はっきりと
力
(
ちから
)
のこもった
口調
(
くちょう
)
で
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
何處
(
いづこ
)
にか
汝
(
な
)
が古頭巾忘れ來し物足らぬ
気
(
げ
)
ぞ
汝
(
なれ
)
の頭の
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「これです。」ルキーンは
忌々
(
いまいま
)
し
気
(
げ
)
に云った。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
僕は学校の教師見たような事をしていた頃なので、女優と芸者とに耳打して、さり
気
(
げ
)
なく帽子を取り、逸早く外へ逃げだした。
申訳
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ヒュッテの中には部屋の
真中
(
まんなか
)
に大きいストーヴがあって、番人の老人が太い三
尺
(
じゃく
)
もある立派な丸太を惜し
気
(
げ
)
もなくどんどん燃してくれている。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
良平はさすがに顔色を変えましたが、次の瞬間には
左
(
さ
)
り
気
(
げ
)
ない様子で、足を淀ませもせずにスラスラと通り過ぎました。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“気”の解説
気(气、氣 CHEE )、また氣(き)とは、中国思想や道教や中医学(漢方医学)などの用語の一つ。一般的に気は不可視であり、流動的で運動し、作用をおこすとされている。しかし、気は凝固して可視的な物質となり、万物を構成する要素と定義する解釈もある。宇宙生成論や存在論でも論じられた。
(出典:Wikipedia)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“気”を含む語句
気遣
病気
気色
侠気
温気
気合
気質
気勢
雰囲気
蒸気
火気
呆気
気持
気狂
狂気
臭気
無邪気
湿気
食気
気難
...