朋友ともだち)” の例文
云いつけるなら云いつけてもいい、ここな署長なんか、東洋義団の連中とは朋友ともだちだから、そんなことは驚かんが、もし、へんなことを
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
此上このうへにおたのみは萬々ばん/″\見送みおくりなどしてくださるな、さらでだにおとこ朋友ともだち手前てまへもあるになにかをかしくられてもおたがひつまらず
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
甲「これは至極よろしい、たくは手狭だが、是なる者は拙者の朋友ともだちで、可なりうちも広いから、ちょっと一献いっこん飲直してお別れと致しましょう」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しゃがんで休むのは身は楽だけれども、憩うにも、人を待つにも、形が見っともない、と別嬪べっぴん朋友ともだちに、むかし叱られた覚えがある。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朋友ともだちまことある事人もはづべき事也、しかるを心なきともがらかのふんをたづねありき、代見立しろみたてふんあればかならず種々しゆ/″\じゆつつくして雁のくるをまちてとらふ。
そして風雅人鑑賞家として知られた孫七峯そんしちほうとつゞき合で、七峯は当時の名士であつた楊文襄やうぶんじやう文太史ぶんたいし祝京兆しゆくけいてう唐解元たうかいげん李西涯りせいがいとう朋友ともだちで、七峯の居たところの南山で
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「ウン貴様あなたは未だこの方を御存知ないだろう、紹介しましょう、この方は上村君かみむらさんと言って北海道炭鉱会社の社員の方です、上村君、この方は僕の極くふる朋友ともだちで岡本君……」
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
奥方にばかりお義理立をなされるによつて。朋友ともだちの方は、お搆ひないじや。まだも、この中へ鼻垂らしう、これは奥が財産目録でござると、持つてござらぬだけが取り得か。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
「それぢやかう」とつて宗助そうすけ出掛でかけた。宗助そうすけ一般いつぱん社交しやかうきらつてゐた。やむなければ會合くわいがふせきなどへかほをとこでなかつた。個人こじんとしての朋友ともだちおほくはもとめなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「何、ちょっと朋友ともだちを迎えにまいったのですが——逗子は御保養でございますか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「フム貴君あなたも頼もしくないネ、あんなもん朋友ともだちにして同類ぐるにお成んなさる」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その翌日よくじつになると、日出雄少年ひでをせうねんは、稻妻いなづまといふよき朋友ともだち出來できたので、最早もはやわたくしそばにのみはらず、朝早あさはやくから戸外こぐわいでゝ、なみあをく、すなしろ海岸かいがんへんに、いぬ脊中せなかまたがつたり、くび抱着いだきついたりして
新一はそれに安心して昼からすぐ近くの朋友ともだちの処へ遊びに往った。朋友は吉と云う魚屋の伜であった。二人はその魚屋の入口で顔を合した。
狐の手帳 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と云って居るうしろに立っていたせがれの丹三郎は、折々朋友ともだちに誘われ、三田のあだ屋へ遊びに往った事がありますから、お梅も小平もかねて知って居る事ゆえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馬鹿にしちゃかん、と言って、間違まちがい原因もとを尋ねたら、何も朋友ともだち引張ひっぱって来たという訳じゃあなかった。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして風雅人鑑賞家として知られた孫七峯そんしちほうとつづきあいで、七峯は当時の名士であった楊文襄ようぶんじょう文太史ぶんたいし祝京兆しゅくけいちょう唐解元とうかいげん李西涯りせいがい等と朋友ともだちで、七峯のいたところの南山なんざん
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
宗助は一般の社交をきらっていた。やむを得なければ会合の席などへ顔を出す男でなかった。個人としての朋友ともだちも多くは求めなかった。訪問はする暇をたなかった。ただ坂井だけは取除とりのけであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
海外かいぐわい萬里ばんりで、ふとしたことから昔馴染むかしなじみ朋友ともだち出逢であつたこと、それからわたくしこのみなとときは、あだかかれ夫人ふじん令息れいそくとが此處こゝ出發しゆつぱつしやうといふときで、申合まうしあはせたでもなく、おなときに、おなふねつて
「それからついでだから言ッときますがネ、聞けば昨夕ゆうべ本田さんと何だか入組みなすったそうだけれども、そんな事が有ッちゃ誠に迷惑しますネ。本田さんはお前さんのお朋友ともだちとは云いじょう、今じゃアうちのお客も同前の方だから」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
しての肩縫かたぬひあげ可愛かはいらしき人品ひとがらなりおたかさま御覽ごらんなされ老人としよりなきいへらちのなさあにあにとてをとここと家内うちのことはとんと棄物すてもの私一人わたしひとりつもふもほんにほこりだらけで御座ございますとわらひていざな座蒲團ざぶとんうへおかまひあそばすなとしづごゑにおたかうやむやのむね關所せきしよたれに打明うちあけん相手あひてもなし朋友ともだちむつまじきもあれどそれは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は某日あるひ袞繍橋こんしゅうきょうに住んでいる朋友ともだちのことを思い出して訪ねて往った。朋友は久しぶりに訪ねて来た喬生をめて酒を出した。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
なんかと伊之吉の事から朋友ともだち喧嘩がおこるというようなさわぎ。伊之吉もって品川通いを始めますると、花里の方でもしきりと呼ぶ。呼ばれますから参る。
お夏さんは朋友ともだちきらいだっていうんです、また番頭や小僧が罷出まかりでようという場じゃアありませんや。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さあ遠慮を捨ててかずに、老衲をば朋友ともだち同様におもうて話すがよい、とあくまでやさしき注意こころぞえ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ますます弁解が苦しいが、朋友ともだち交誼よしみに、店がいそがしかったと云うことにしておいてやろう」と、岩本は始終しょっちゅう笑っていた。
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
外国あちらでは原語でございますとジョン、ハミールトンという人が、ナタンブノルという朋友ともだちの同類と、かのスマイル、スミスを打殺うちころしまして莫大ばくだいの金を取ります。
その代り老僧も古い話しのおかしなを二ツ三ツ昨日見出したを話して聞かそう、と笑顔やさしく、朋友ともだちかなんぞのように二人をあしろうて、さて何事を云い出さるるやら。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
宴会のあった時、出ていた芸妓げいしゃが加茂川さんちょいとと言ったら、売女ばいた風情が御前をつかまえて加茂川さん、朋友ともだちでも呼ぶように失礼だ、と言って、そのまま座敷を構われた位ないきおいよ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「僕も君のような痴な奴とは、絶交だ、六十の婆あと、むすめの区別がつかないような奴なんかと、朋友ともだちになってるのは恥辱ちじょくだ」
草藪の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ところが源三と小学からの仲好なかよし朋友ともだちであったお浪の母は、源三の亡くなった叔母と姉妹きょうだい同様の交情なかであったので、が親かったもののおいでしかも我が娘の仲好しである源三が
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奴は朋友ともだちに聞いた、と云うだが、いずれ怪物ばけもの退治に来た連中からだんべい。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「お二人とも、何時いつも仲の好いお朋友ともだちがどうしたのですよ、おかしいじゃありませんか、私に話してくださいよ、ぜんたいどうしたのですよ」
草藪の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
浮世の噂なんど老衲に聞かせて呉れぬか、其代り老僧も古い話しの可笑なを二ツ三ツ昨日見出したを話して聞かさう、と笑顔やさしく、朋友ともだちかなんぞのやうに二人をあしらふて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
本来だと、朋友ともだちが先生の令嬢をめとりたいに就いて、下聴したぎきに来たものを、聞かせない、と云うも依怙地いこじなり、料簡りょうけんの狭い話。二才らしくまた何も、娘がくれた花だといって、人に惜むにも当らない。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
殺すのは道にはずれている、そりゃ、いくらお前さんと朋友ともだちでも、そんなことはいけねえ、それとも、お前さんは、道にはずれていると思わないのか
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
なんと愛想も義理も知らな過ぎるではありませんか、銭が無ければ女房かゝの一枚着を曲げ込んでも交際つきあひは交際で立てるが朋友ともだちづく、それも解らない白痴たはけの癖に段〻親方の恩を被て
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
その遊女おいらんが今夜中にお届け申す約束のものがあるが、寮にいらっしゃるお若さん、同一おなじ御主人だけれども、旦那とかには謂われぬこと、朋友ともだちにも知れてはならず、新造しんぞなどにさとられては大変なので
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もう、そんな堅くるしいことは、おたがいによしましょう、私はこうした一人者のお婆さんですから、おいやでなけりゃこれからお朋友ともだちになりましょう」
蟇の血 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
なんと愛想も義理も知らな過ぎるではありませんか、銭がなければ女房かかの一枚着を曲げ込んでも交際は交際で立てるが朋友ともだちずく、それもわからない白痴たわけの癖に段々親方の恩を
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
許宣の許へ白娘子はくじょうしが来てからまた半年ばかりになった。ある日、それは二月の中旬のことであった。許宣は二三人の朋友ともだちと散策して臥仏寺がぶつじへ往った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
この小学校にかよって居る間に種々いろいろの可笑しい話があるので。同級の生徒の中に西勃平というのと細川順太郎というのと私と、先ず此三人が年も同じ十一二歳で、気が合った朋友ともだちであった。
少年時代 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、彼は五六日前に朋友ともだちの一人が牡蠣船に往って、そこの婢から筑前琵琶ちくぜんびわを聞かされたと云ったことを思いだして、俺もこれから往ってみようかと思った。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あげられぬ奪られるの云ひ争ひの末何楼なにや獅顔しかみ火鉢を盗り出さんとして朋友ともだちの仙の野郎が大失策おほしくじりを仕た話、五十間で地廻りを擲つた事など、縁に引かれ図に乗つて其から其へと饒舌り散らす中
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「すぐお料理が出来ますさかい、……あんた、これから、ちょいちょいおいでやす、姝なお朋友ともだちれなはってな」
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
翌日になるとの生徒は、二人に別れてそこを出て往った。二人の者は出て往った朋友ともだちの臆病を笑っていた。
女の姿 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、澄んだ鈴のような声で歌っているらしかったが、声が小さいので聞えなかった。それでは朋友ともだちの琵琶を聞かされたと云うのはあの女であったかと彼は思った。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「名はなんでも好いじゃないか、これから朋友ともだちになったから、ちょいちょい飲みに来るよ」
ある神主の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「酔ってるなら云えるじゃないの、それともこんなお婆さんとお朋友ともだちになるのは、厭」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
手前も癪に触りましたが、場合が場合でありましたからして、すぐ懐しい朋友ともだちのような気になって、婆さんのすることを見ておりました。婆さんの頭には白髪しらがの小さな髷がありました。
尼になった老婆 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
昨夜ゆうべ、お朋友ともだちの家でがはじまって、朝まで打ち続けてやっと帰ったところです、文学者なんて云う奴は、皆痴者ばかものの揃いですからね、……そこに蒲団ふとんがある、って敷いてください)
水郷異聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)