“撫:な” の例文
“撫:な”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花78
野村胡堂31
夏目漱石24
太宰治21
吉川英治18
“撫:な”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語12.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)2.6%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆1.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
ねえや、こえ、こえ。)といいながらだるそうに手を持上げてその蓬々ぼうぼうと生えた天窓あたまでた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
象牙ぞうげのおはしを持ってまいりましょうか……それでのどでますと……」婆やがそういうかいわぬに、
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
そういう試みは一時的に多少私の不安をでさすってくれたとしても、更に深い不安に導くなかだちになるに過ぎなかった。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
再びもとへやに戻って、椅子の上に落ち着くと、法水は憮然ぶぜんあごでながら驚くべき言葉を吐いた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
彼女の語ることは向うではその心でなくても言々句々縦横無尽に私の肺腑を刺した。私は真実胸の痛みをでるようにしながら、
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
今朝った束髪がもう大分乱れて、後毛おくれげが頬をでるのを蒼蠅うるさそうに掻上かきあげる手附もい。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それですから、弁信から、その危険の前進性なきことを保証されてみると、弁信の保証だけに信用して、ホッと胸をでおろし、
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ひと天窓あたまでゝやつたものを、業畜がふちく悪巫山戯わるふざけをして、キツ/\といて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今の彼女の悲しみと、苦しみを、でさすってれる者は、死んだ父母の外には、広い世の中に誰一人ないように思われた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
燈火の暗い、低い木造の、小さな駅の前におり立った時、黒い空から雪の上をでてくる風が、思わず私達の頸をちぢめさせた。
虎狩 (新字新仮名) / 中島敦(著)
自分は、彫刻を見た時に何となく両手の掌ででてみたくなるようなものならきっといいものだ、という妙な迷信をもっている。
二科展院展急行瞥見 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
行ってからも別にせかせかせずに、悠々ゆうゆうと着物を脱ぎ、裸になった胸を丁寧にでまわしてから水につかる。
富籤 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「この間は浜松で、その伴天連ばてれんの一人が来て、傍に遊んでいる小供の頭をでると、それが犬になったと云いますよ」
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
追いすがるお弓を払いのけて、久吉は外へ飛び出しました。生温かい青葉の風が頬をでて、なんとはなしに興奮を誘う晩です。
よく見ると、岡田は両手を前に伸ばし、医者は一本の毛筆を手にしてそれの穂先で、岡田の指先をしきりにでているのであった。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
「ねえかも知れないが危険だぜ。ここにこうしていても何だか顔が熱いようだ」と碌さんは、自分のほっぺたをで廻す。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、青磁のなかから今生れたようにつやつやして、思わず手を出してでて見たくなる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
淋しい心持が遠くから来た風のように、不意にお延の胸をでた。彼女は急に悲しい気分にとらえられた自分を見て驚ろいた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うみを出してくれと頼んだ腫物しゅもつを、いい加減の真綿まわたで、で廻わされたってむずがゆいばかりである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
でさするようにあたりの地形をながめまわしていた彼らの眼は、期せずして向う岸のそういう懸崖けんがいに吸いついた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「おいどうしたんだ。窓をあけたらいゝぢゃないか。」とったんです。すると給仕はてかてかの髪を一寸ちょっとでて、
毒蛾 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ことにヴァイオリンのほのかな音が、彼女のきずついた胸を、でるように、かすかにかすかに聞えて来るのだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と守は言い、愛嬢を昼から乳母めのとと二人ででるようにして繕い立てていたから、そう醜いふうの娘とは見えなかった。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「またそのおしやもじの焼けない方で、娘の顔をでるのだ。クウル、クリイル、ケーレと三べんとなへて――。早くしなさい。」
夢の国 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
髪結かみゆい弥吉は、朝のうちのお呼びで、明るい下り屋敷の詰所で、稚児ちご小姓児太郎の朝髪のみだれをでつけていた。
お小姓児太郎 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
私はほっと胸をでました。「これでよかった、ほんとうに仕合わせだった」と、そんな気がしないではいられませんでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
内供はその短くなった鼻をでながら、弟子の僧の出してくれる鏡を、きまりが悪るそうにおずおずのぞいて見た。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
年増としまいだけるさるの頭をでて、かくたずねしは、猿芝居と小屋を並べし轆轤首ろくろくびの因果娘なり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
阿爺おとっさん。今日ね、久しぶりに髪結床かみゆいどこへ行って、頭を刈って来ました」と右の手で黒いところをで廻す。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
純白になりかけの髪を総髪にでつけ、立派な目鼻立ちの、それがあまりに整い過ぎているので薄倖を想わせる顔付きの老人である。
家霊 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「しかし鉄片が磁石にうたら?」「はじめて逢うても会釈えしゃくはなかろ」と拇指の穴をさかでて澄ましている。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ひたいでるとこおりの様につめたいが、地蔵眉の顔は如何にも柔和で清く、心の美しさもしのばれる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
書院の雨戸を開けると、起きて来てえんに両手をつき、主人にあたまでられてうれしそうに尾を振って居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
てのひらの中で、けた茶呑ちゃのみの陶器をいつくしむようにでまわし、微笑をもってうなずいていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
さて眠っているうちに、五百はいつかふところにいる子が棠だと思って、夢現ゆめうつつの境にその体をでていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と赤ん坊をさとすように背中をでまわしたのであったが、しかし、そんな親切や同情が彼には、ちっとも通じないらしかった。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
電車で逢った老子はうららかであった。電車の窓越しに人の頸筋くびすじでる小春の日光のようにうららかであったのである。
変った話 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
莞爾につこりわらつて両方りやうはうから左右さいうでおうやうにわたし天窓あたまでゝつた
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やっぱりそうばかりは思われないで、いじめられて泣いたり、でられて嬉しかったりしいしいしたのを、その都度母様に教えられて
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
若いオールバックの男が這入ろうとすると、役人が二、三人寄って行って、その男の洋服のかくしを一つ一つ外からで廻していた。
議会の印象 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その時モルガンは、燃えあがった若い血の流れる体を、冷い手で逆にでられたように、ゾッとしたものを受けとったのだ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その井戸に被さるようになった百日紅さるすべりの大木があるのが私には珍しくて、曲った幹のつるつるしたのをでて見ました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
けれどもれては何物なにものなつかしい、吹雪ふゞきよ、遠慮ゑんりよなくわたしかほでゝゆけ!
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そういって、彼女は、息子むすこくびと肩をでる。が、その手をひっこめるとたん、彼女は苦痛の叫びをあげる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
マリーナ (ソーニャの頭をでる)まあ、がたがた顫えて、まるで霜のふる真冬みたい! ほんとにまあ、お可哀かわいそうに。
八五郎の説明が、七面倒に持つて廻る間、平次は指先ででたり、陽にすかしたり、いろ/\の角度から櫛を眺めて居りました。
代助は床屋の鏡で、わが姿を映しながら、例の如くふっくらした頬をでて、今日からいよいよ積極的生活に入るのだと思った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は秘蔵の品に手をふれるように青い下帯をでさすりながら、珍らしい物をいままでしまって置いたものだといった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
と、貞之助もしょざいなさそうに云って、かがんで背筋をでてやったりしていたが、そのうちに又三十分立ってしまったので、
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その前に伏して念ずるよりも、平生机の上にでも安置して、時々頬をでてあげたい――そう思うほど親しい印象をうけた。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
渡瀬はまたからからと笑って、酒に火照ほてってきた顔から、五分刈が八分ほどに延びた頭にかけて、むちゃくちゃにでまわした。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
やがて帰来かへりきにける貫一は二人の在らざるを怪みてあるじたづねぬ。彼はしづかに長き髯をでて片笑みつつ、
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と膝をすっと手先ででて、取澄とりすました風をしたのは、それにきまった、というていを、仕方で見せたものである。 
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この手、この足、かゆいときにはき、痛いときにはでるこの身体からだが私かと云うと、そうも行かない。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その相間あいま相間には、ちんちくりんな外套がいとうの羽根の下から手を出して、薄い鼻の下のひげでた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
毛に癖のない頭髪あたまが綺麗にでつけられて、水色の手絡てがらが浅黒いその顔を、際立って意気に見せていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
たゞ「坊主く来た」と云つて、微笑ほゝゑみつゝ頭をでゝくれたことだけを、かすかに記憶してゐる。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
棚から一冊抜取ると、坐り直して、売りものに花だろう、前垂に据えて、その縮緬ちりめんしまでない、厚紙の表紙をでた。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いやどうも」と、かまきりのやうな三角な顏をした女衒ぜけんは額をでた。「これぢや話がてんで違つてまさア。」
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
もし剣が風のために飛んだりなどしては大変な不調法となることであったが、落ち度もなくて胸をおろした次第でありました。
それから、入場者が老猿の前を通ると、猿の膝頭ひざがしらでて通るので膝の頭が黒くなったなどいうことでした。
お力は人のいない食堂の方にお三輪の席をつくって、出掛ける前の彼女のために、髪を直したりでつけたりしてやった。
食堂 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
A氏は唖然あぜんとした。次いでさつと顔を紅らめた。次いで、ああ飛んでもないことを言はなくつてよかつたと胸をでおろした。
三つの挿話 (新字旧仮名) / 神西清(著)
かべほゝしつけたり、たゝみでたり、だらしはないが、かんがへ、かんがへつゝ
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ワーニャ (ソーニャの髪の毛をでながら)ソーニャ、わたしはつらい。わたしのこのつらさがわかってくれたらなあ!
と、私はみんなの静かな寝息をうかがいながら、口のうちでそう云って、私の布団の下にある彼女の足をでてみました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
後ろを向いた船長の上半身。船長は肩越しに何かをうかがい、失望に満ちた苦笑を浮べる。それから静かに顋髯あごひげでる。
誘惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
寺田は夜通しぜてやったが、痛みは消えず、しまいには油汗あぶらあせをタラタラ流して、痛い痛いと転げ廻った。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
っしゃりまする、須利耶すりやおくさまは立って行ってしずかに頭をでておやりなさいました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
するといつも来るとすぐ表紙をでて見るほど大切な自分の原簿が、自分の机の上からなくなつて、向ふ隣り三つの机に分けてあります。
猫の事務所 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
民子は僕に包を渡してからは、自分の手のやりばに困って胸をでたりえりを撫でたりして、下ばかり向いている。
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それを聞き直す主人はよほどだと思っていると、主人は何にも分らずに吾輩の頭を叮嚀ていねいでている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
てのひらに握れるほどの大きさのものだった。出してみた。かしてみた。そしてでまわしてみた。何だかびんのようだ。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
笹村はだるい頭の髪の毛をでながら、蒲団のうえに仰向いて考え込んでいた。注射をした部分の筋肉に時々しくしく痛みを覚えた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
きぬの裏の玉といつくしまれ、何でもかでも言成いいなり次第にオイソレと仕付けられたのが癖と成ッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
昇はあごでてそれを聴いていたが、お勢が悪たれた一段となると、不意に声を放ッて、大笑に笑ッて、「そいつア痛かッたろう」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
女は痺れ痛む右手を抱えてさすりながら、暫くの間無言でいたが、忽ち両手をうしろに廻して、真白な頸筋の処を揺り動かした。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
夫は近寄って手をさしのべ、衾の上からしずかにかの男をでていると、その形は次第に薄くつ消えてしまった。
一言いったきり、一樹がじっ凝視みつめて、見る見る顔の色がかわるとともに、二度ばかり続け様に、胸をでて目をおさえた。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それですから、その苦しみます時そばに附いていて、さすりなどする事は誰も怪我けがにも出来ません。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
歩をずる足のそれよりも重かりしよ。掻いずるたなそこを、吸い取るばかり、袖、たもといたく夜露に濡れたり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「へッくしょ。」と思わず唐突だしぬけに陽炎を吸ってせた……飴屋の地蔵はたまらなそうに鼻をでる。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
花片はなびらいたはるよ、てふつばさづるかと、はら/\ときぬ手巾ハンケチかろはらつて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分よりもずっと大きなその犬を、小さな私はいつも「お前、かわいいね……」といってでてやっていたそうである。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そうって母親ははおや子家鴨こあひるくびで、はねなめらかにたいらにしてやりました。そして、
私は昔、らんの鉢を沢山並べて、その葉を一枚一枚でて、ほこりをおとしていた伯父の姿をふと思い出した。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
しかし今日はどうしたのか、お嬢さんも坊ちゃんもただ呆気あっけにとられたように、頭さえでてはくれません。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
目をみはったが、黄色い歯でニヤリとして、身体からだでようとしたので、きまりが悪く退すさったうなじ
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
圭さんは、無雑作むぞうさ白地しろじ浴衣ゆかた片袖かたそでで、頭から顔をで廻す。碌さんは腰から、ハンケチを出す。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
田舎へ行くんだと云ったら、非常に失望した容子ようすで、胡麻塩ごましおびんの乱れをしきりにでた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
事務所の往復に、ざらざらした頬をでて見て、手もなく電車に乗ったむじなのようなものだと悲観したりした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しばらく不許葷酒入山門くんしゅさんもんにいるをゆるさずと云う石をでて立っていたが、急にうれしくなって、登り出したのである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
安井自身もそんな心持がすると云って、わざわざ襯衣シャツそでまくり上げて、青筋の入った腕をひとりでていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
右の人指しゆびで小鼻をでて、撫でた指の頭を机の上にあった吸取すいとがみの上へ、うんと押しつける。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
朝霧の中を牛乳をとりに行く時も、鏡に向って髪をでつけながらも、口紅を塗りながらも、いつも私は泣いていた。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
葉子の目に、そこに憎みきれない狡獪わるごすい老人が、いくらか照れかくしに咽喉のどぜ撫ぜ坐っていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
秋風がさらさらと雨戸をでて、軒の風鈴がその度毎に弱弱しく鳴って居りましたのもかすかに思いだすことができるのでございます。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
君は左手で犬をで、また遠ざけながら、羊皮紙を持った右の手を無頓着むとんじゃくに膝のあいだの、火のすぐ近くのところへ垂れた。
黄金虫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
一寸ちょっとお尻をでてから、髪をこわすまいと、低くこごんでそっと門をくぐって出て行くが
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いたいけな男の子、道の真中に立ち迷うて、さめざめと泣いているのを、竜之助は傍に寄って、その頭をでながら、
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
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