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損
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そこ
ふりがな文庫
“
損
(
そこ
)” の例文
狸の
化
(
ば
)
け
損
(
そこ
)
ねと言つてるんだよ。つまり君自身では一ぱし化けおほせた積りだらうが、世間の眼からは尻つ尾が見えるといふんだね。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此の人も色々
遣
(
や
)
り
損
(
そこ
)
なって
損
(
そん
)
をいたして居りますが、
漸々
(
よう/\
)
金策を致しまして三千円持って仕入れに参りまして、春見屋へ来まして。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そうかい、
儲
(
もう
)
け
損
(
そこ
)
なったね。——だが、あの伝馬勤めの、蔵六とかいう、牢番の伜は、本町の薬問屋に奉公していた人じゃない」
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主人
(
あるじ
)
や客をはじめ、奉公人の膳が
各自
(
めいめい
)
の順でそこへ並べられた。心の好いお仙は自分より
年少
(
としした
)
の下婢の
機嫌
(
きげん
)
をも
損
(
そこ
)
ねまいとする風である。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると鶴屋の
主人
(
あるじ
)
もついついその話につり込まれて六、七年前に
大酒
(
たいしゅ
)
で身を
損
(
そこ
)
ねた先代の
親爺
(
おやじ
)
から度々聞かされた話だといって
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
平次は少し機嫌を
損
(
そこ
)
ねております。黙ってうな垂れるお藤——自分の出過ぎた態度を後悔している様子が、いかにもいじらしい姿でした。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そうかね」、大叔父は多少機嫌を
損
(
そこ
)
ねて言った。「そんならそうと勝手にするがいい。だが、わしにはその世話はできないよ」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
彼の機嫌を
損
(
そこ
)
ねはせぬかと
惴々焉
(
ずいずいえん
)
として
懼
(
おそ
)
れるものの如くである。彼には妻がある。彼の食事の支度に忙しい
婢女
(
はしため
)
も大勢いる。
南島譚:01 幸福
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お前はちっとも
心配
(
しんぺえ
)
するこたねえや。己たちゃ間違ったこたぁしねえよ、己たちはな。
第
(
でえ
)
一、お前は今度の仕事をやり
損
(
そこ
)
ねた。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
綱雄さんが来たらば
言
(
い
)
っつけて上げるからいい。ほんとに憎らしい父様だよ。と光代はいよいよむつかる。いやはや
御機嫌
(
ごきげん
)
を
損
(
そこ
)
ねてしもうた。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
少し高い所からは
何処
(
どこ
)
までも見渡される広い平坦な耕作地の上で二人は巣に帰り
損
(
そこ
)
ねた二匹の
蟻
(
あり
)
のようにきりきりと働いた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「やはり、一種の結論でしょう、な」これは猫八には先に虎のお終いでちょッと言い
損
(
そこ
)
ないをしたと思えた、その取り返しのつもりであった。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
爺さんが
筋向
(
すじむこう
)
の医者の門の
傍
(
わき
)
へ来て、例の
冴
(
さ
)
え
損
(
そこ
)
なった春の
鼓
(
つづみ
)
をかんと打つと、頭の上に真白に咲いた梅の中から、一羽の小鳥が飛び出した。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
非常におびえていた花散里をいろいろと慰めてから、
家司
(
けいし
)
を呼んで
損
(
そこ
)
ねた所々の修繕を命じて、それから南の町へ行った。
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
由って広い世界の空気を吸い
損
(
そこ
)
ない、人間が大きく太り兼ねたこと、また大志大望あるものが世界を相手に競争の出来なかったこと等を
想
(
おも
)
えば
東西相触れて
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
次郎さんの小さな時、
縁
(
えん
)
の上から下に居る弟を飛び越し/\しては遊んで居ると、
偶
(
たまたま
)
飛び
損
(
そこ
)
ねて弟を倒し、自分も倒れてしたゝか
鼻血
(
はなぢ
)
を出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(一行あき。)僕は、僕もバイロンに化け
損
(
そこ
)
ねた一匹の
泥狐
(
どろぎつね
)
であることを、教えられ、化けていることに嫌気が出て、恋の相手に絶交状を書いた。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これ丈けの人数を抱えて失業をしては大変と、
只管
(
ひたすら
)
消極的
齧附主義
(
かじりつきしゅぎ
)
を奉じて来たので、出世をし
損
(
そこ
)
ねた。夫婦の一生は全く子供の為めの一生だった。
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
久野がちょっと舵を入れ
損
(
そこ
)
なったらどうだろう。たちまち艇は追い抜かれたかも知れない。真に危うい勝敗であった。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
いつであつたか、「
好
(
い
)
い男は年を取ると
損
(
そこ
)
ねるから、おれのやうな醜男子の方が
得
(
とく
)
だ」と、
夫
(
をつと
)
の云つたことがある。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
思ふに虎になり
損
(
そこ
)
なつた彼は小説家になり
損
(
そこ
)
なつた批評家のやうに、義理にも
面白
(
おもしろ
)
いとは云はれたものではない。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
召使ひだつて、私の肩を持つたおかげで、若旦那さまの御機嫌を
損
(
そこ
)
ねるのは、氣がすゝまないし、リード夫人に至つては、全然これには眼を閉ぢてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「学校の先生なんテ、私は
大嫌
(
だいきら
)
いサ、ぐずぐずして眼ばかりパチつかしているところは蚊を
捕
(
つかま
)
え
損
(
そこ
)
なった
疣蛙
(
えぼがえる
)
みたようだ」とは
曾
(
かつ
)
て自分を
罵
(
のの
)
しった言葉。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
で、
多少
(
たしょう
)
は
私
(
わたくし
)
のきき
損
(
そこ
)
ね、
思
(
おも
)
い
違
(
ちが
)
いがないとも
限
(
かぎ
)
りませぬから、その
点
(
てん
)
も
何卒
(
なにとぞ
)
充分
(
じゅうぶん
)
にお
含
(
ふく
)
み
下
(
くだ
)
さいますよう……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
御覧の通り
木乃伊
(
ミイラ
)
の出来
損
(
そこ
)
ねか又は、子供の作るテルテル坊主の
裸体
(
はだか
)
ん
坊
(
ぼう
)
を見るような姿にしてしまいました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
からだもとかく
損
(
そこ
)
ねるぢゃ、たとへ足には
紐
(
ひも
)
があるとも、今こゝへ来て、はじめてとまった処ぢゃと、いつも気軽でゐねばならぬ、とな、斯う云うて下され。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お銀様はせっかくお君を相手に、名所の話などをして興を催されようとしていた時に、三郎様が来てその御機嫌を、すっかり
損
(
そこ
)
ねてしまったようであります。
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
例えば襦袢の布れ一つ裁ち
損
(
そこ
)
ねても、まるで過って処女性を失った人のようにそれを言って悔いに悔いた。玄人出の女にしては珍らしく諦めの悪い女であった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
湖畔
(
こはん
)
五
里余
(
りあま
)
り、
沿道
(
えんだう
)
十四
里
(
り
)
の
間
(
あひだ
)
、
路傍
(
ろばう
)
の
花
(
はな
)
を
損
(
そこ
)
なはず、
樹
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
を
折
(
を
)
らず、
霊地
(
れいち
)
に
入
(
い
)
りました
節
(
せつ
)
は、
巻莨
(
まきたばこ
)
の
吸殻
(
すいがら
)
は
取
(
と
)
つて
懐紙
(
くわいし
)
へ——マツチの
燃
(
も
)
えさしは
吹
(
ふ
)
き
消
(
け
)
して
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しまいには身を
損
(
そこ
)
ねるようなことが
出来
(
しゅったい
)
する……と。わたしはそれに相槌を打って、まったくそうですねと云いましたが、その男はなんにも返事をしませんでした。
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……都の
奴等
(
やつら
)
と来たら、全く
軽佻浮薄
(
けいちょうふはく
)
だ。あのような
惰弱
(
だじゃく
)
な逸楽に時を忘れて、外ならぬ
己
(
うぬ
)
が所業で、このやまとの国の尊厳を
傷
(
きずつ
)
け
損
(
そこ
)
ねていることに気がつかぬのじゃ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「いいから、あっちへいっていらっしゃい。」といって、
弟
(
おとうと
)
を、あちらへ
追
(
お
)
いやろうとしました。なぜなら、
昨日
(
きのう
)
もカステラを
造
(
つく
)
り
損
(
そこ
)
ねて、
賢二
(
けんじ
)
くんに
笑
(
わら
)
われたからです。
北風にたこは上がる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
生まれつきのおしではなかったが、四度目の
誕生日
(
たんじょうび
)
をむかえるすこしまえに、病気でものを言う力を
失
(
うしな
)
った。この
不幸
(
ふこう
)
は、でも幸せとかの女のちえを
損
(
そこ
)
ないはしなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
其
(
その
)
鼠の残りども
悉
(
ことごと
)
く陸へ上り、南部秋田領まで逃げ散り、
苗代
(
なわしろ
)
を荒し竹の根を食い、或は草木の根を掘り起し、
在家
(
ざいけ
)
に入りて一夜のうちに五穀を
損
(
そこ
)
なうこと際限なかりし。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
然
(
しか
)
し
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
機嫌
(
きげん
)
を
損
(
そこ
)
ね
合
(
あ
)
うた
勘次
(
かんじ
)
の
許
(
もと
)
へ
歸
(
かへ
)
るのには
彼
(
かれ
)
は
空手
(
からて
)
ではならぬといふことを
深
(
ふか
)
く
念
(
ねん
)
とした。
彼
(
かれ
)
は
夫
(
それ
)
からといふもの
成
(
な
)
るべくコツプ
酒
(
ざけ
)
も
節制
(
せつせい
)
して
懷
(
ふところ
)
を
暖
(
あたゝ
)
めようとした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今この民子も玉の輿に乗り
損
(
そこ
)
ねた一人で、彼女の放浪生活もそれから始まったわけだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ときどき、その木に止まり
損
(
そこ
)
なって、隣の木のところでやっと止まるようなことがある。一羽はなれて、人目さえ
惹
(
ひ
)
かずにいる——道ばたで見かけるのは、この鵲ばかりである。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
智馬商主に向い、貴公が
遥々
(
はるばる
)
将
(
つ
)
れて来た馬五百疋がいかほどに売れたか、我は一身を一億金に売って瓦師に報じたという。さては大変な馬成金に成り
損
(
そこ
)
なったと落胆の余り気絶する。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その仕事の過労のためにいよいよ健康を
損
(
そこ
)
ねてゆき、その後殆どそのミュゾオに居ついたまま、僅かな詩作と、二三の翻訳をしたくらいで、遂に一九二六年十二月の末に死んで行った。
雉子日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ある時ふと其感情を
損
(
そこ
)
ねてからと言ふものは、重右衛門
大童
(
おほわらは
)
になつて怒つて、「何だ、この重右衛門一人、村で養つて行けぬと
謂
(
い
)
ふのか。そんな
吝
(
けち
)
くさい村だら、片端から焼払つて了へ」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そこの、
門
(
ポルタ
)
に一番近く立っているアカシア街路樹に、いつか、ベニイを暗殺し
損
(
そこ
)
ねた同志の弾丸の
痕
(
あと
)
が、今でもはっきり木肌に残っているはずです。その前から、眠そうな電車に乗ります。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それがこの前のガス爆発で、危く死に
損
(
そこ
)
ねてから——前に何度かあった事だが——フイと坑夫が恐ろしくなり、
鉱山
(
やま
)
を下りてしまった。爆発のとき、彼は同じ坑内にトロッコを押して働いていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
やり
損
(
そこ
)
ねて、軍隊へ送り込まれるような真似をやらないように気をつけるがいい。ヨーロッパ行きならいいが、そういう場合は決って太平洋だからな。それは自分で
墓穴
(
はかあな
)
へ旅行するようなもんだよ
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ごらんの如く、東昌府は、すっかり
捏
(
こ
)
ね
損
(
そこ
)
なッてしまった形だ。序戦に二度も失策をかさね、あげくに、おそろしい傑物がいた」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は少し機嫌を
損
(
そこ
)
ねて居ります。默つてうな垂れるお藤——自分の出過ぎた態度を後悔して居る樣子が、いかにもいぢらしい姿でした。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お蔭で赤塚氏はひどく腹を
損
(
そこ
)
ねた。そして
懶
(
だら
)
けきつた胃の腑を抱へて奉天へ来るには来たが、病気は
捗々
(
はか/″\
)
しくは
癒
(
なほ
)
らなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「災難でもないでしょうが、気をつけないとやり
損
(
そこ
)
ないます。そうしてやり損なえばそれっきり取り返しがつかない事です」
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども、彼は
跨
(
また
)
ぎにくい留守宅の敷居を跨いで兄や嫂と顔を合せたそもそもの日にもう詫び
損
(
そこ
)
ねてしまった。今更それを言出すことも出来なかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
最後のものを売り
損
(
そこ
)
ねた一家はどうにもこうにもならなくなった。家主は毎日のように家賃の
居据
(
いすわ
)
り
催促
(
さいそく
)
をする。近所の
小店
(
こみせ
)
は何一つ貸売りしてくれない。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
……それもこの出来
損
(
そこ
)
ないの世界を、新発明の火薬で爆発させるとか、蛙の卵から人間を孵化させるといったような、
一端
(
いっぱし
)
、気の利いた研究ならまだしもの事
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“損”の意味
《名詞》
(ソン、連濁:ゾン)損失。不利益。
(ソン、連濁:ゾン)労力が無駄になること。
(出典:Wiktionary)
損
常用漢字
小5
部首:⼿
13画
“損”を含む語句
仕損
見損
破損
損傷
死損
出来損
書損
損害
大損
射損
欠損
損所
遣損
出損
毀損
損料
損耗
取損
骨折損
水損
...