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扉
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ひらき
ふりがな文庫
“
扉
(
ひらき
)” の例文
すると、軽く膝を
支
(
つ
)
いて、
蒲団
(
ふとん
)
をずらして、すらりと向うへ、……
扉
(
ひらき
)
の前。——
此方
(
こなた
)
に劣らず
杯
(
さかずき
)
は重ねたのに、
衣
(
きぬ
)
の
薫
(
かおり
)
も
冷
(
ひや
)
りとした。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美人の一声 それからその美人が門口の紐で
括
(
くく
)
ってあるテントの
扉
(
ひらき
)
を明けてこっちへ進んで来てその犬を一声叱り付けますと
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
驚いたやうに引返して行くお志保の後姿を見送つて、軈て省吾を導いて、丑松は本堂の
扉
(
ひらき
)
を開けて入つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
久
(
ひさ
)
しぶりで、
恁
(
か
)
うして
火
(
ひ
)
を
置
(
お
)
かせたまゝ、
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
小間使
(
こまづかひ
)
さへ
遠
(
とほ
)
ざけて、ハタと
扉
(
ひらき
)
を
閉
(
とざ
)
した
音
(
おと
)
が、
谺
(
こだま
)
するまで
響
(
ひゞ
)
いたのであつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
久しぶりで、
恁
(
こ
)
うして火を置かせたまゝ、気に入りの小間使さへ遠ざけて、ハタと
扉
(
ひらき
)
を
閉
(
とざ
)
した音が、
谺
(
こだま
)
するまで響いたのであつた。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
瞳を上げる、鼻筋が冷く通って、
片頬
(
かたほ
)
にはらはらとかかる、軽いおくれ毛を撫でながら、
静
(
しずか
)
に
扉
(
ひらき
)
を出ました。水盤の前に、寂しく立つ。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ほら、
扉
(
ひらき
)
も少し
開
(
あ
)
いていますわ。——先生ね、あなたね、少し離れた処で、
密
(
そっ
)
と様子を見ていて下さい。……後生ですから。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言ったのに応じて、唯今、と直ぐに答えたのであるが、
扉
(
ひらき
)
の事だろう? その外廊下に、何の
沙汰
(
さた
)
も聞えないは、待て、そこではなさそう。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見
(
み
)
ながら、
其
(
そ
)
のまゝ、
扉
(
ひらき
)
を
開
(
あ
)
ける、と
小児
(
こども
)
の
背
(
せな
)
に、
裾
(
すそ
)
を
後抱
(
うしろだき
)
にして
居
(
ゐ
)
た
彫像
(
てうざう
)
の
丈
(
たけ
)
が
反
(
そ
)
つて、
髷
(
まげ
)
が、
天井裏
(
てんじやううら
)
の
高
(
たか
)
い
処
(
ところ
)
に
見
(
み
)
えた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
振離
(
ふりはな
)
すと、
床
(
ゆか
)
まで落ちず、宙ではらりと、影を乱して、
黒棚
(
くろだな
)
に、バツと乗る、と
驚駭
(
おどろき
)
に
衝
(
つ
)
と
退
(
すさ
)
つて、夫人がひたと
遁構
(
にげがま
)
への
扉
(
ひらき
)
に
凭
(
もた
)
れた時であつた。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
振離
(
ふりはな
)
すと、
床
(
ゆか
)
まで
落
(
お
)
ちず、
宙
(
ちう
)
ではらりと、
影
(
かげ
)
を
亂
(
みだ
)
して、
黒棚
(
くろだな
)
に、バツと
乘
(
の
)
る、と
驚駭
(
おどろき
)
に
衝
(
つ
)
と
退
(
すさ
)
つて、
夫人
(
ふじん
)
がひたと
遁構
(
にげがま
)
への
扉
(
ひらき
)
に
凭
(
もた
)
れた
時
(
とき
)
であつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『
姉
(
ねえ
)
さん、』と
仰向
(
あふむ
)
くと
上
(
うへ
)
から
俯向
(
うつむ
)
いて
見
(
み
)
たやうに
思
(
おも
)
ふ、……
廊下
(
らうか
)
の
長
(
なが
)
い、
黄昏時
(
たそがれどき
)
の
扉
(
ひらき
)
の
際
(
きは
)
で、むら/\と
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
が、
其時
(
そのとき
)
は
戦
(
そよ
)
いだやうに
思
(
おも
)
ひました。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おやと
思
(
おも
)
ふと、
灰色
(
はひいろ
)
の
扉
(
ひらき
)
が
開
(
あ
)
いて、……
裏口
(
うらぐち
)
ですから、
油紙
(
あぶらがみ
)
なんか
散
(
ち
)
らかつた、
廊下
(
らうか
)
のつめに、
看護婦
(
かんごふ
)
が
立
(
た
)
つて、
丁
(
ちやう
)
ど
釣臺
(
つりだい
)
を
受取
(
うけと
)
る
處
(
ところ
)
だつたんですつて。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とやっと根こそぎに
室
(
へや
)
を離れた。……
扉
(
ひらき
)
を
後
(
うしろ
)
ざまに突放せば、ここが当
館
(
やかた
)
の関門、来診者の出入口で、建附に気を
注
(
つ
)
けてあるそうで、
刎返
(
はねかえ
)
って、ズーンと閉る。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
足
(
あし
)
は
裾
(
すそ
)
へ、
素直
(
まつすぐ
)
に
揃
(
そろ
)
へたつ
切
(
きり
)
、
兩手
(
りやうて
)
は
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
へ
着
(
つ
)
けたつ
切
(
きり
)
、で
熟
(
じつ
)
として、たゞ
見舞
(
みまひ
)
が
見
(
み
)
えます、
扉
(
ひらき
)
の
開
(
あ
)
くのを、
便
(
たよ
)
りにして、
入口
(
いりくち
)
の
方
(
はう
)
ばかり
見詰
(
みつ
)
めて
見
(
み
)
ました。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
石鹸
(
シャボン
)
を巻いた
手拭
(
てぬぐい
)
を持ったままで、そっと
階子段
(
はしごだん
)
の下へ行くと、お源は
扉
(
ひらき
)
に
附着
(
くッつ
)
いて、一心に聞いていた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
先刻
(
さっき
)
から
電燈
(
でんき
)
で照らしたほど、室内の見当はよく着けていたので、
猶予
(
ためら
)
いもせず、ズシンと
身体
(
からだ
)
ごと
扉
(
ひらき
)
の引手に持って
行
(
ゆ
)
くと、もとより錠を下ろしたのではない。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
無人
(
ぶにん
)
で失礼。さあ、どうぞ、と
先方
(
さき
)
は
編上靴
(
あみあげぐつ
)
で手間が取れる。主税は気早に靴を脱いで、
癇癪紛
(
かんしゃくまぎれ
)
に、突然二階へ懸上る。段の下の
扉
(
ひらき
)
の蔭から、そりゃこそ旦那様。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「では、——ちょっと、……掃除番の目ざとい爺やが一人起きましたから、それに言って、心得さす事がありますから。」と軽く
柔
(
やわらか
)
にすり抜けて、
扉
(
ひらき
)
の口から引返す。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬に乗った
勢
(
いきおい
)
で、小庭を
縁側
(
えんがわ
)
へ
飛上
(
とびあが
)
って、ちょん、ちょん、ちょんちょんと、雀あるきに
扉
(
ひらき
)
を抜けて台所へ入って、お
竈
(
へッつい
)
の前を廻るかと思うと、上の
引窓
(
ひきまど
)
へパッと飛ぶ。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘を連れて、年配の出方が一人、横手の
通
(
とおり
)
の、竹格子だね、中座のは。……
扉
(
ひらき
)
をツイと押して、出て来て、小さくなって、
背後
(
うしろ
)
の廊下、お
極
(
きま
)
りだ、この処へ立つ事無用。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
用を聞いて、
円髷
(
まげ
)
に
結
(
い
)
った女中が、しとやかに
扉
(
ひらき
)
を閉めて
去
(
い
)
ったあとで、舟崎は途中も汗ばんで来たのが、またこう
籠
(
こも
)
ったので、火鉢を前に控えながら、羽織を脱いだ。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
便所
(
かわや
)
があるのだが、夫人が寝たから、大廻りに玄関へ出て、鞠子の
婢
(
おさん
)
の寝た
裙
(
すそ
)
を通って、板戸を開けて、
台所
(
だいどこ
)
の片隅の
扉
(
ひらき
)
から出て、小用を
達
(
た
)
して、手を洗って、
手拭
(
てぬぐい
)
を持つと
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もの音がしていたが、すぐその一枚の
扉
(
ひらき
)
から、七十八の祖母が、茶盆に何か載せて出た。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちら/\
雪
(
ゆき
)
の
降
(
ふ
)
る
晩方
(
ばんがた
)
でした。……
私
(
わたくし
)
は、
小児
(
こども
)
の
群食
(
むらぐひ
)
で、
欲
(
ほし
)
くない。
両親
(
りやうしん
)
が
卓子
(
ていぶる
)
に
対向
(
さしむか
)
ひで
晩飯
(
ばんめし
)
を
食
(
た
)
べて
居
(
ゐ
)
た。
其処
(
そこ
)
へ、
彫像
(
てうざう
)
を
負
(
おぶ
)
つて
入
(
はい
)
つたんですが、
西洋室
(
せいやうま
)
の
扉
(
ひらき
)
を
開
(
あ
)
けやうとして
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しばらくして、大分
鎮
(
しず
)
まった時だった。幕あきに間もなさそうで、
急足
(
いそぎあし
)
になる
往来
(
ゆきき
)
の中を、また竹の
扉
(
ひらき
)
からひょいと出たのは、娘を世話した男衆でね。手に弁当を一つ持っていました。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの………
扉
(
ひらき
)
の、お仕置場らしい青竹の
矢来
(
やらい
)
の向うに……
貴女等
(
あんたたち
)
の
光景
(
ようす
)
をば。——
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お孝は
黒繻子
(
くろじゅす
)
の襟、雪の
膚
(
はだ
)
、冷たそうな
寝衣
(
ねまき
)
の
装
(
なり
)
で、裾を
曳
(
ひ
)
いて、
階子段
(
はしごだん
)
をするすると下りると、そこに
店前
(
みせさき
)
の
三和土
(
たたき
)
にすっくと立った巡査に、ちょっと目礼をして、長火鉢の横手の
扉
(
ひらき
)
を
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぴつたり
閉
(
し
)
めた
襖
(
ふすま
)
一
枚
(
まい
)
……
臺所
(
だいどころ
)
へ
續
(
つゞ
)
くだゞつ
廣
(
ぴろ
)
い
板敷
(
いたじき
)
との
隔
(
へだて
)
に
成
(
な
)
る……
出入口
(
ではひりぐち
)
の
扉
(
ひらき
)
があつて、むしや/\と
巖
(
いは
)
の
根
(
ね
)
に
蘭
(
らん
)
を
描
(
ゑが
)
いたが、
年數
(
ねんすう
)
算
(
さん
)
するに
堪
(
た
)
へず、で
深山
(
みやま
)
の
色
(
いろ
)
に
燻
(
くす
)
ぼつた、
引手
(
ひきて
)
の
傍
(
わき
)
に
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
實家
(
さと
)
の、
母親
(
はゝおや
)
、
※
(
あね
)
なんぞが、
交
(
かは
)
る/″\
附
(
つ
)
いて
居
(
ゐ
)
てくれます
他
(
ほか
)
に、
其
(
そ
)
の
扉
(
ひらき
)
ばかり
瞻
(
みつ
)
めましたのは、
人懷
(
ひとなつ
)
かしいばかりではないのです……
續
(
つゞ
)
いて
二人
(
ふたり
)
、
三人
(
さんにん
)
まで
一時
(
いちどき
)
に
入
(
はひ
)
つて
來
(
く
)
れば、
屹
(
きつ
)
と
其
(
それ
)
が
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぴったり閉めた襖一枚……台所へ続くだだっ広い板敷との
隔
(
へだて
)
になる……
出入口
(
ではいりぐち
)
の
扉
(
ひらき
)
があって、むしゃむしゃと
巌
(
いわ
)
の根に蘭を描いたが、年数
算
(
さん
)
するに
堪
(
た
)
えず、で
深山
(
みやま
)
の色に
燻
(
くす
)
ぼった、
引手
(
ひきて
)
の
傍
(
わき
)
に
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこにもう一枚
扉
(
ひらき
)
があって閉まっていた。その
裡
(
なか
)
が湯どのらしい。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“扉”の意味
《名詞》
(とびら)片方を蝶つがいなどで固定して、それを軸に回転させることにより開け閉めを行う戸。
(出典:Wiktionary)
“扉”の解説
扉(とびら、en: door、ドア)とは、建物や部屋などの入口などにつけられ、開口部を閉じたり、外部と遮断する機能をもつ部分。
(出典:Wikipedia)
扉
常用漢字
中学
部首:⼾
12画
“扉”を含む語句
硝子扉
扉口
大扉
鎧扉
鉄扉
門扉
開扉
車扉
土扉
両扉
石扉
格子扉
二重扉
小扉
閉扉
玻璃扉
片扉
樫扉
諸扉
御扉
...