帳場ちやうば)” の例文
そこで、感情かんじやうがいしてるなと、此方こつちではおもつてる前方せんぱうが、くだん所謂いはゆる帳場ちやうばなるもの……「貴女あなた、これはつてかれますか。」とつた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここに暗憺あんたんとして薄暗き帳場ちやうば
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
見ても何某と稱るゝ御殿醫先生ならんと思へば一同うやまひまづ此方へと上座じやうざせうすに元益更に辭する色なくいと鷹揚おうやう挨拶あいさつして打ち通りつゝ座に附ば今日は管伴ばんたう忠兵衞が不在なるに依り帳場ちやうばにゐる主人長左衞門は立出て敬々うや/\しく挨拶あいさつなしおちや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ころがきのやうなかみつたしもげた女中ぢよちうが、雜炊ざふすゐでもするのでせう——土間どま大釜おほがましたいてました。番頭ばんとう帳場ちやうばあをかほをしてました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それはむかしのまゝだつたが、一棟ひとむね西洋館せいやうくわんべつち、帳場ちやうば卓子テエブルいた受附うけつけつて、蔦屋つたや樣子やうすはかはつてました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
閑話休題それはとにかく母子ふたり其處等そこらあるくと、いまつた、のお帳場ちやうばが、はしむかうの横町よこちやう一個ひとつあつた。無論むろん古道具屋ふるだうぐやなんです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
帳場ちやうばから此處こゝまゐうちも、とほりの大汗おほあせと、四人よつたり車夫しやふくちそろへ、精一杯せいいつぱい後押あとおしで、おともはいたしてまするけれども、前途さきのお請合うけあひはいたされず。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
めて、差窺さしうかゞふ、母屋おもやの、とほかすかなやうな帳場ちやうばから、あかりすゑばうとゞく。いけめんした大廣間おほひろまなかは四五十でふおもはるゝ、薄暗うすぐら障子しやうじかず眞中まんなかあたり。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のお帳場ちやうばなるものが、近所きんじよには、四圓五十錢よゑんごじつせんだと、あたらしいのをつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のりあたらしい浴衣ゆかた着換きかへて——くだん胴震どうぶるひをしながら——廊下らうかた。が、する/\とむかうへ、帳場ちやうばはうへ、はるかけて女中ぢよちうながら、かれ欄干てすりつて猶豫ためらつたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御緩ごゆつくさまで、』と左側ひだりがはの、たゝみ五十畳ごじふでふばかりの、だゞつぴろ帳場ちやうば、……真中まんなかおほきつた、自在留じざいとめの、ト尾鰭をひれねたこひかげから、でつぷりふとつたあかがほして亭主ていしゆふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
げたときかれは、鼓打つゞみうちである従弟いとこが、業体げふたいひ、温雅をんが上品じやうひんやさしいをとこの、さけ酔払ゑひはらふと、場所ばしよえらばず、外套ぐわいたういで、威勢ゐせいよくぱつと投出なげだす、帳場ちやうば車夫しやふなどは
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
景色けしきなかを、しばらくして、もんやなぎくゞり、帳場ちやうばらつしやい——をよこいて、ふか中庭なかには青葉あをばくゞつて、べつにはなれにかまへた奧玄關おくげんくわんくるまいた。旅館りよくわん合羽屋かつぱやもおもしろい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おれ見着みつけてつてかへる、死骸しがいるのをつてれ。』とにらみつけて廊下らうか蹴立けたてゝた——帳場ちやうば多人数たにんず寄合よりあつて、草鞋穿わらぢばき巡査じゆんさ一人ひとりかまちこしけてたが、矢張やつぱりこといてらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見附みつけはひつて、牛込うしごめから、飯田町いひだまちまがるあたりの帳場ちやうばに、(人力じんりき)を附着くツつけて、一寸ちよつとふん)のかたちにしたのに、くるまをつくりにへて、おほきく一字いちじにした横看板よこかんばんを、とほりがかりにて、それを先生せんせい
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
廊下らうか跣足はだして、階子段はしごだんうへからさかさま帳場ちやうばのぞいて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)