“唐(とう)” の例文
この作者は唐(とう)の張読(ちょうどく)であります。張は字(あざな)を聖朋(せいほう)といい、年十九にして進士(しんし)に登第(とうだい)したという俊才で、官は尚書左丞(しょうしょさじょう)にまで登りました。
千山は唐(とう)の時代に開いた梵刹(ぼんさつ)で、今だに残っているのは、牛でもなければ豚でもない、ただ山と谷と巌(いわ)と御寺と坊主だけであるから
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翟晴江(てきせいこう)は通雅(つうが)を引いて、骨董は唐(とう)の引船(ひきふね)の歌の「得董紇那耶(とくとうこつなや)、揚州銅器多(ようしゅうどうきおおし)」から出たので、得董の音は骨董二字の原(もと)だ、といっている。
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
茶の進化の三時期——唐(とう)、宋(そう)、明(みん)の時代を表わす煎茶(せんちゃ)、抹茶(ひきちゃ)、淹茶(だしちゃ)——茶道の鼻祖陸羽——三代の茶に関する理想——後世のシナ人には
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)
蒸す方を長くして煮る方を短くしないとお芋の形が崩れます。里芋ばかりでありません。八ツ頭(がしら)でも唐(とう)の芋でも長く蒸してザット煮るのです。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
唐(とう)や宋(そう)の頃にはよほど進んで来て居り、その後の元の郭守敬(かくしゅけい)という人の創(はじ)めた天元術というのは、殊(こと)に名だかいものです。
関孝和 (新字新仮名) / 石原純(著)
好(い)いですか? 妙子を囲んでいるのは寂しい漢口(ハンカオ)の風景ですよ。あの唐(とう)の崔顥(さいこう)の詩に「晴川歴歴(せいせんれきれき)漢陽樹(かんようじゅ) 芳草萋萋(ほうそうせいせい)鸚鵡洲(おうむしゅう)」
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのあくる日、うさぎはおみその中に唐(とう)がらしをすり込(こ)んでこうやくをこしらえて、それを持(も)ってたぬきのところへお見舞(みま)いにやって来(き)ました。
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
唐(とう)の貞観(じょうがん)のころだというから、西洋は七世紀の初め日本は年号というもののやっと出来かかったときである。閭丘胤(りょきゅういん)という官吏がいたそうである。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それは唐(とう)の郭元振(かくげんしん)が、夜、旅をしていると、燈火の華やかな家があるので、泊めてもらおうと思って往くと、十七八の娘が一人泣きくずれている。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
もとより手前はやくざ、生れ故郷は東潞(とうろ)州でござんす。苗字(みょうじ)は劉(りゅう)、名は唐(とう)、と申しましても、それは顔も知らないうちに死に別れた親のくれた名。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三十三枚の櫛(くし)、唐(とう)の鏡、五尺のかつら、紅(くれない)の袴(はかま)、重(かさね)の衣(きぬ)も納(おさ)めつと聞く。……よし、それはこの笈にてはあらずとも。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本(もと) 虞初(ぐしょ)自(よ)りす〕といふに始り院本の名は金(きん)に始まる事陶九成(とうきゅうせい)が『輟耕録(てっこうろく)』に「唐有伝奇。宋有戯曲渾詞説。金有院本雑劇其実一也。」〔唐(とう)に伝奇(でんき)有(あ)り。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
唐(とう)の則天武后(そくてんぶこう)という先例はあっても、これは他の国の話で、日本ではこういう例は今までに一度もないのである。
晋(しん)の石崇(せきそう)や唐(とう)の王元宝(おうげんぽう)のような、豺狼蛇蝎(さいろうだかつ)にも似た猛悪残忍にして貪欲なやつだけをさしていったのであります。
しかし日本(につぽん)では平安朝以後(へいあんちよういご)になりますと、唐(とう)の鏡(かゞみ)の模樣(もよう)をだん/\變化(へんか)させて、遂(つひ)にはまったく日本的(につぽんてき)のごく優美(ゆうび)な模樣(もよう)をつけた鏡(かゞみ)を作(つく)るようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
天平時代(てんぴょうじだい)の日本の都の男女はやはりこういうふうにして唐(とう)や新羅(しらぎ)のタイプに化して行ったのかもしれない。
Liber Studiorum (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その翌年の春、そっと唐(とう)へ渡るというざっとした手紙が来たきり、それから十二年ただ一度も便りがない。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その塵芥車がやっと私の背後を通り過ぎたらしいので何気(なにげ)なくちらりとそれへ目をやると、その箱車のなかには、鑵詰(かんづめ)の鑵やら、唐(とう)もろこしの皮やら、英字新聞の黄ばんだのやら
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
いっぽう牢番頭の同心太田原伝三郎は雨戸を厳重にしめきって、八じょうの奥の間に、進藤(しんどう)、今井(いまい)、久保田(くぼた)という三人の剣士とともに、お酒をのんで唐(とう)の詩などを吟じておりました。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
この絵は宋初(そうしょ)のものとされているので、本当の玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)法師が、唐(とう)の太宗(たいそう)の貞観(じょうがん)三年に長安(ちょうあん)の都を辞して、遥々(はるばる)印度への旅についた頃から見ると、三百年くらいも後に描かれたことになる。
『西遊記』の夢 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
この人たちのにぎやかな笑い声を聞きながら、半蔵は寿平次の隣にいて膳(ぜん)に就(つ)いた。酒は隣家の伏見屋から取り寄せたもの。山家風な手打ち蕎麦(そば)の薬味には、葱(ねぎ)、唐(とう)がらし。皿(さら)の上に小鳥。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
唐(とう)律、明(みん)律、清(しん)律などを参酌して立案し、同年八、九月の頃に至ってその草案は出来上ったが、当時の参議副島種臣(そえじまたねおみ)氏はこれを閲読して、草案「賊盗律」中に謀反(むほん)、大逆の条(くだり)あるを発見して
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
私は唐(とう)という姓です。先祖から金陵におって、あの王の悪人と同郷です。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
唐(とう)の芋(いも)は下げなくっても、黄金餅は買って来なくっても、それによって
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
西方金蝉(きんせん)長老の転生(うまれかわり)、玄奘法師(げんじょうほうし)と、その二人の弟子どもじゃ。唐(とう)の太宗皇帝(たいそうこうてい)の綸命(りんめい)を受け、天竺国(てんじくこく)大雷音寺(だいらいおんじ)に大乗三蔵(だいじょうさんぞう)の真経(しんぎょう)をとらんとて赴(おもむ)くものじゃ。悟浄よ、爾(なんじ)も玄奘に従うて西方に赴(おもむ)け。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
人材は得がたいという言葉があるが、それは真実だ。唐(とう)・虞(ぐ)の時代を
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
各時代の歴史はそれぞれの偉大な王侯や、英雄を有ち、また重く強い民衆をひかえているのであります。周(しゅう)や秦(しん)や漢や六朝(りくちょう)、つづいて唐(とう)宋(そう)元(げん)、明(みん)清(しん)の各時代は、それぞれ巨大な歴史を有って居ります。
北支の民芸(放送講演) (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
長女 あたしは、唐(とう)ちりめんがいいわ。ほら、つばきの花の。
病む子の祭 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
唐(とう)から渡った唐(から)の芋
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
第二十一子模(ぼ)を瀋(しん)王とし、第二十二子楹(えい)を安(あん)王とし、第二十三子桱(けい)を唐(とう)王とし、第二十四子棟(とう)を郢(えい)王とし、第二十五子𣟗(い)を伊(い)王としたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
唐(とう)代は詩文ともに最も隆昌をきわめ、支那においては空前絶後ともいうべき時代でありますから、小説伝奇その他の文学に関する有名の著作も甚だ多く
唐(とう)といいまして、人の噂では、匪徒(ひと)の仲間入りをしているという男ですが、その男が二更(にこう)のころに、酒に酔って歩いておりますと、その晩は月があって
こういってたぬきが火ぶくれになって、赤肌(あかはだ)にただれている背中(せなか)を出(だ)しますと、うさぎはその上に唐(とう)がらしみそをところかまわずこてこてぬりつけました。
かちかち山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
唐(とう)の世代から、すでにそんな言葉があるとおり、西に太行(たいこう)山脈、東に遠く渤海(ぼっかい)をひかえ、北方に負う万里ノ長城は、北夷(ほくい)の襲攻にそなえ、不落の名がある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐(とう)の代(よ)には道教が盛であった。それは道士等(どうしら)が王室の李(り)姓であるのを奇貨として、老子を先祖だと言い做(な)し、老君に仕うること宗廟(そうびょう)に仕うるが如(ごと)くならしめたためである。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
煮る団茶、かき回す粉茶、淹(だ)す葉茶(はぢゃ)はそれぞれ、唐(とう)、宋(そう)、明(みん)の気分を明らかに示している。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心、岡倉覚三(著)
庭先に少しばかりの畠(はたけ)があって、そこに茄子(なす)や唐(とう)もろこしが作ってあります。この茄子を挘(も)いで食おうかと相談しましたが、漬物(つけもの)に拵(こしら)えるのが面倒なので、ついやめにしました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また鏡(かゞみ)の形(かたち)は唐(とう)の時代頃(じだいころ)までは多(おほ)く圓(まる)い鏡(かゞみ)でありまして、あの花瓣(かべん)のように周圍(しゆうい)が切(き)れてゐる八稜鏡(はちりようきよう)とか八花鏡(はつかきよう)といふ形(かたち)の鏡(かゞみ)は、まったく唐(とう)の時代(じだい)になつて初(はじ)めて出來(でき)たものであり
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
唐(とう)の都洛陽(らくよう)の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。
杜子春 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
漢土(かんど)には白雨を詠じたる詩にして人口に膾炙するもの東坡(とうば)が望湖楼酔書を始め唐(とう)韓偓(かんあく)が夏夜雨(かやのあめ)、清(しん)呉錫麒(ごしゃくき)が澄懐園消夏襍詩(ちょうかいゑんしょうかざっし)なぞその類(るい)尠(すくな)からず。彼我風土の光景互に相似たるを知るに足る。
夕立 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
唐(とう)の時に温庭筠(おんていいん)という詩人、これがどうも道楽者で高慢で、品行が悪くて仕様がない人でしたが、釣にかけては小児(こども)同様
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
唐(とう)の安禄山(あんろくざん)が乱をおこした時、張巡(ちょうじゅん)は睢陽(すいよう)を守って屈せず、城中の食尽きたので、彼はわが愛妾を殺して将士に食(は)ましめ、城遂におちいって捕われたが
いやむしろ、元の前時代、宋(そう)や唐(とう)の昔より、国運は漲(みなぎ)り、近代的に覚(さ)めて以て、今や明の盛代とさえ見えた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下からはまた二十本も三十本もの手を一度に挙(あ)げて、みんな仙太郎さんの方を向きながら、ろんじだのがれんだのという符徴(ふちょう)を、罵(のの)しるように呼び上げるうちに、薑(しょうが)や茄子(なす)や唐(とう)茄子の籠(かご)が
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
また柄(え)のついた鏡(かゞみ)や四角(しかく)な鏡(かゞみ)も、唐(とう)や宋(そう)以後(いご)のものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
秦(しん)の時代や、漢(かん)や唐(とう)の頃にも、かの地から日本へ、多くの者が移住して来て、日本に帰化していること。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしどもにはよく判(わか)りませんが、支那の小説は大体に於いて、唐(とう)と清(しん)とが一番よろしく、次が宋(そう)で、明(みん)朝の作は余り面白くないのだとか申すことでございます。
唐(とう)の玄宗(げんそう)、開元は三十年の太平を享(う)け、天宝(てんぽう)は十四年の華奢(かしゃ)をほしいまゝにせり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
唐(とう)の宰相の賈耽(かたん)が朝(ちょう)よりしりぞいて自邸に帰ると、急に上東門の番卒を召して、厳重に言い渡した。