“傍:そば” の例文
“傍:そば”を含む作品の著者(上位)作品数
泉鏡花82
海野十三43
夏目漱石28
森鴎外23
岡本綺堂15
“傍:そば”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸41.9%
文学 > 日本文学 > 小説 物語13.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)4.2%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
『まアそんなことを言わないで信仰してお呉れ、後生だから。』という母の言葉を里子もそばで聞て居ましたが、あきれて、
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いで、その妻は見るもいとはしき夫のそばに在る苦を片時も軽くせんとて、彼のしげ外出そとで見赦みゆるして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「お嬢さま! 大丈夫でございますよ。わたしがおそばについておりますから、お呼びなさらないでもよろしゅうございますよ」
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
二人は柴又しばまた帝釈天たいしゃくてんそばまで来て、川甚かわじんといううち這入はいって飯を食った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
女は一口の答もせず黙ってその手巾を指先でつまんだまま暖炉ストーヴそばまで行っていきなりそれを火の中へ投げ込んだ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
縁台の横から後部へ掛けて植え付けてある杉苗のそばに、熊笹くまざさ三坪みつぼほど地を隠すように茂って生えていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
橋本といっしょにこの門のそばにある小さな店に筆と墨を買いに行った折の事も、びた経験の一つとしてよく覚えている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は坂井のいえそばに立って、むこうに知れずに、ひとうかがうような便利な場所はあるまいかと考えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのあざやかな色のそばには掛茶屋かけぢゃやめいた家があって、縁台の上に枝豆のからを干したまま積んであった。
初秋の一日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浩さんが切手を手紙へる時にそばにいたあの女が、どう云う拍子ひょうしかで差出人の宿所姓名を見ないとは限らない。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
最早もはやわたくしそばにのみはらず、朝早あさはやくから戸外こぐわいでゝ、なみあを
灯火あかりかん前にお稲荷様のそばに設けた囃子屋台はやしやたいの下に隠れている内に、段々日が暮れましたから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
久「お前のそばに芋虫のごろ/″\してはいられねえが、えゝ……簑虫みのむし草鞋虫わらじむし穿き、と」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そばにある懸硯箱かけすゞりばこを引寄せて鼻紙に何か書いて差出しましたから、清兵衞が取上げて見ますと、仮名交りで、
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
庸三はそばに寝そべっているのにも気がさして、蚊帳を出ようとすると、彼女は夢現ゆめうつつのように熱に浮かされながら、
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
密使は、背中に負っていた大きな包を、機械台のうえにおろした。博士は、鼻をくんくんいわせながら、そばへよってきた。
仏は、二人の会話をそばで聞いていたが、アンが、この下宿のかみさんドロレス夫人を、母親のように信頼しているのを知った。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
画家。(手真似にて姉に、寝椅子を指さし示し、自分も藁の椅子をそばに持ちき、腰を掛く。)マルリンクの処なのです。
満員電車にぶら下がっている人々のそばを自動車で通る人があるから世の中に社会主義などというものが出来るという人がある。
電車と風呂 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「ふふふ。こっちへあがりゃァ、ぐにわかるこッた。――まァこの行燈あんどんそばねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
いらって叫ぶ鬼王丸。それに勇気を揮い起こし敵盛り返して来た時には、数馬はまたも空を飛んで老師のそばに帰っていた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……ざまあ見やがれほろびたがね、大橋のあの柳のそばに、その頃水菓子屋があって、茹豌豆ゆでえんどうを売っていた。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘の一人、大きい方が言ひました。そして、十手を持つた怖い小父さんのそばを、少しでも早く逃げ出さうとしてゐる樣子です。
「へえ、大分遠方で、何でも長崎のそばださうで、えつへつへ。」さうだ、如何にも俺の故郷は筑後の柳河だ、それがどうした。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
巡査が来た時には夜がけていた。焚き火のそばに立って巡査は藤沢を訊問した。藤沢は、佐平に言ったと同じ理由を述べた。
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
煖炉だんろそばへ椅子を寄せて、音のする赤い石炭を眺めながら、この木魚の中から、パイプを出す、煙草たばこを出す。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
めしになった時、奥さんはそばすわっている下女げじょを次へ立たせて、自分で給仕きゅうじの役をつとめた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから昨夜ゆうべ囲炉裏いろりそばでさんざん馬鹿にされた事を思い出して、あの有様を二人に見せたらばと考えた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それにたった一人の知人たる自分が、彼のそばを立ち退いたら、精神上よりも物質的に心細かろうと自分は懸念けねんした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
佐治さんは、船から河岸へ掛けた橋を渡って、鳴動の中を突き切って、わざわざ余をその奇麗な馬車のそばまで連れて行った。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
座敷から玄関を通って茶の間の障子しょうじを開けた彼は、そこの火鉢のそばにきちんと坐って新聞を手にしている細君を見た。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「馬鹿を仰ゃい。子供がわたくしそばへばかり寄り付くのは、貴夫あなたが構い付けて御遣おやりなさらないからです」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
健三はそれどころじゃないという顔をしながら、自分のそばに高く積み重ねた半紙の束を眺めた。細君は仕方なしに催促した。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そう云う日には、実際困却すると見えて、時々六畳から出て来て、のそりと火鉢のそばへ坐って、茶などをいで飲んだ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「シ、しまった!」叫んだのは椋島技師である。反射鏡から飛びのくと、そばの電話器をつかんで、自棄やけに信号をした。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あれまア、こんな所で転寝うたゝねさして、風邪引くでねえかとそばさ寄ると、おらもう少しで腰さ抜かす所だったゞ。
青服の男 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
五時ごろ、僕は散髪をすまして、洗面所で坊主頭ぼうずあたまを洗っていると、だれか、すっとそばへ寄って来て、
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「なくなられたのですか?」俳優の上杉新介うえすぎしんすけ氏らしい人が、そばから、とりなし顔にやさしく僕に尋ねる。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
原稿の運命を気遣きづかっていた妻のそばへ寄って行った葉子の良人おっとは、彼女の自尊心を傷つけるのをおそれて
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
叔母さんも女中達も手がふさがつて居るので書斎の自分の机のそばりんを寝かせて自分が物を書きながら看護して居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
このミユンヘンの宿で湯にはひつて居て、ふと洗つて遣る子供等がそばに居ない事を思うて覚えず自分は泣くのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
打棄うっちゃっておけ、もう、食いに出て来る。」私はそばの男たちの、しか言うのさえ聞える近まにかくれたのである。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
箸のすばしこい男は、三十前後であろう。晴着らしい印半纏しるしばんてんを着ている。そば折鞄おりかばんが置いてある。
牛鍋 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
窓の下は炭俵が口を開けたまま並べてある場処で、お源が木戸から井戸辺いどばたにゆくには是非このそばを通るのである。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それこそ悪くそばへよると、ばちたれるぞ、と友達の衆に用心されたそのお孝が、俺の手をいて抱込んだでな。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そばで聞いては、何とも了解わからぬやうな太甚はなはだしい田舎訛ゐなかなまりで、互に何事をか声高く語り合ふので
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
奥様おくさま思切おもひきり、てゝもわたしそばいのちをかけてやうとおつしやる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、海路の旅が無事にすみ、陸路の旅も無事にすめば、すぐにそのかたなつかしいおそばへいらっしゃれましょう。
かれはそうと気がついて、急に見たくなって、そば書架しょかがあれば、手を出してその本を探したいような心持がした。
それでもし留守にお玉が来はすまいかと気遣って、我家の門口かどぐちを折々振り返って見つつ、池のそばを歩いている。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
と、鈴江は右の手を延ばすと、無造作に針をさらうようにしたが、抜き取った五十本の針を握ると、お菊のそばへ飛び返って来た。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そばにゐたものぐに院長ゐんちやう人間にんげん紹介せうかいした、猶且やはりドクトルで
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
側目わきめも振らず、じつとそれに見とれてゐた大観氏は、舞がすむと里栄をそばに呼んで、咎め立でもするやうに訊いた。
隣りのへやで人々がせっせと手術の仕度をやっている間に、哀れな恋女こいびとは、私をそばへ呼んで、そっと囁きました。
麻酔剤 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
――そんなとおくにいたんじゃ、本当ほんとうかおりはわからねえから、もっと薬罐やかんそばって
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
が、そばへも寄せぬ下働したばたらきおとこなれば、つるぎ此処ここにありながら、其の事とも存ぜなんだ。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
診察しんさつとき患者かんじゃ臆病おくびょうわけわからぬこと、代診だいしんそばにいること
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
お別れするのはいや、考えちがいして宮仕もするのもいや、みやこにのぼることもいや、あなたのおそばにただいとうございます。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
なあにね、貴方に別れたあの翌日あくるひから、延続のべつに来てゐやがつて、ちつとでもそばを離さないんぢやありませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あの時計はたしかかしらんと、自分の金側きんがわを出して、二分ほどちがってると云いながら、おれのそばへ腰をおろした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先生は紀元前の半島の人のごとくに、しなやかなかわで作ったサンダルを穿いておとなしく電車のそばるいている。
ケーベル先生 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夫は、「なにあとが引けるほど飲ませやしないやね」と云って、そばにある団扇を取って、急に胸のあたりをはたはたいわせた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
折目おれめをつまんでほうり出すと、婆さんの膝のそば白繻子しろじゅすの裏を天井に向けて帽がころがる。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
銀子もそばで電話を聞きつけていたので、緊張したその表情がわかり、いこんだ時の苦悩の色がつくづくいやだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
風呂桶ふろをけそばでは四十五十に百姓ひやくしやう一同みんな愉快相ゆくわいさうにどよめいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
縫子の方は、だまつてけてた。さうして、代助の手をぐい/\引張ひつぱつた。代助はピヤノのそばた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
にほひでせう」と云つて、自分のはなを、はなびらそばつてて、ふんといで見せた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
轟氏は涙を滝のように流し、両手を顔に当てる。呉羽は本能的に飛退とびのいて、そばの椅子を小楯に取り冷やかに笑う。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
だいいちあのお方の御日常だって、私たちがおそばから見て決してそんな暗い、うっとうしいものではございませんでした。
鉄面皮 (新字新仮名) / 太宰治(著)
小山嬢は、ほおのあたりにいきいきとして血の色を見せながら、その仔猫を抱いて、博士の首吊くびつり死体のそばへ寄った。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
向う歯の金歯が光って、印半纏しるしばんてんの番頭が、沓脱くつぬぎそばにたって、長靴を磨いているのが見える。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私もその声に、ハッキリと目がめました。ハッと思ってそばを見ると、一緒にいた筈の兄の荘六そうろくの姿が見えません。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そばに居ちゃ、もうこっちが撮出つまみだされるまでも、横面よこつら一ツ打挫うちひしゃがなくッては、新橋へ帰られまい。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
突然立ち留り、娘をきっと見、早足に娘のそばに寄り、両手を娘の肩に置き、娘を自分の方へ向かせ、目と目を見合す。
先刻さっきから、あちこちで、様子を見ていましたけれども、そばに人が居るから、見られるのが可厭いやで来ませんでしたよ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だれかがそばから世話せわをしてくれなければとても三とはきてられるはずはございませぬ。
弟は大いに驚いたが思いついたことがあるので、その爪をそばにあった銅器と鉄器の上に置いてみると、それも一いち黄金になった。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
母様もまたそばからまあ棄児すてごにしては可哀相でないかッて、お聞きなすったら、じいさんにやにやと笑ったそうで、
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はア、私は南條新子と申します。どうぞよろしく。」と、新子がすっかり親愛の度を深めた微笑で、答えると、小太郎がそばから、
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
婦人をんなそば便々べん/\たるはらつてたが、くづれたやうに胡座あぐらして
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その取交とりかはすにはおよばずとも、そばにつきつて、朝夕あさゆふ話対手はなしあひて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときとすると、二時三時ふたときみときそばじつわたし仕事しごとる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼくがさう鸚鵡返あうむがへすと同時どうじに、ぼくそばにゐた瓜實顏うりさねがほ可憐かれんこゑで、
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
船尾ともの積み荷の蔭に坐り、ぼんやりあたりを見廻していた、郡上平八のそばまで来ると、ふとその武士は足を止めた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
診察しんさつとき患者くわんじや臆病おくびやうわけわからぬこと、代診だいしんそばにゐること
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
街道のそばに『官軍改修墓地』といふ木標もくひやうが立つてゐたが、風雨にさらされて字も読めぬくらゐに古びてゐた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
ある日は髪を結ひに寄つた。我儘わがまゝの言へる妹のそばで、お節は髪結が来るまでの僅かばかりの時を送らうとして、
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この珈琲店では、お前さんがいつもここに坐ってそばの人をじいっと見ているから、ここの隅の方を鼠落しと云っているわ。
高岡町たかおかまちそばを流れている仁淀川によどがわは、たちま汎濫はんらんして両岸の堤防が危険になって来た。
水面に浮んだ女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お蝶のそばには、佐野さんが自分のくびを深くえぐった、白鞘しらさやの短刀のつかを握って死んでいた。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おれと山嵐がこんなに注意の焼点しょうてんとなってるなかに、赤シャツばかりは平常の通りそばへ来て、どうも飛んだ災難でした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は火鉢のそばに竦んだまま、上眼遣うわめづかいをして、這入はいって来る長沢を見上げながら、寒くて動けないよと云った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると私の推察通り、彼はむかし寺町の郵便局のそばに店を持って、今と同じように、散髪を渡世とせいとしていた事が解った。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
甲野さんは上下うえしたへ手を掛けて、総体を煖炉のそばまで持って来たが、やがて、無言のままんだ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こう決心してのそのそ御両君の佇立ちょりつしておらるるそば近く歩み寄って見ると、自然両君の談話が耳にる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「久振じゃないじゃありませんか。今の言種いいぐさは何です、ありゃ。……姉さんにお気の毒で、そばで聞いていられやしない。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そう呶鳴どなると丘田医師はたちまち身をひるがえして、そば棕櫚しゅろ鉢植はちうえに手をかけた。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
均平はしばらく玄関前で、加世子たちの出て来るのを待ってから、やがて製材所のそばを通って街道かいどうへ登った。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「そうれろ」勘次かんじはそつけなくいつた。おつぎがびんふたゝはしらそばくと、
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
無調法な現代の科学応用の兇器みたように、音を立てたり血を流したりしないから、白昼の往来でそばを通っている者でも怪しまない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
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