七日なのか)” の例文
この矮小わいせう若僧じやくそうは、まだ出家しゆつけをしないまへ、たゞの俗人ぞくじんとして此所こゝ修業しゆげふとき七日なのかあひだ結跏けつかしたぎりすこしもうごかなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
の明けぬ内に帰り、是より雨のも風の夜も毎晩来ては夜の明けぬ内に帰る事十三日より十九日まで七日なのかの間重なりましたから
いいえ、こないだたつのふた七日なのかの日にね、あんまり気がめいってならねえから、通りの釈場にいったら講釈師がいったんですよ。
雪の夜より七日なのか余り経ちぬ。夕日影あざやかに照り四国地遠く波の上に浮かびて見ゆ。鶴見崎のあたり真帆片帆まほかたほ白し。川口のには千鳥飛べり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
と、見れば、それは七日なのかも前に降った春の雪が、思いがけなく、ふたつのてのひらに乗るほど、日蔭に残っているのだった。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御心配ごしんぱいにはおよびません。今日きょうから七日なのか日限にちげんのつきないうちに、きっとむすめさんをたすけることができるだろうとおもいますから、安心あんしんしてっていてください。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし、六日むいかめにもかえってきませんでした。そして、七日なのかめも、八日ようかめも……ついにかえってきませんでした。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
日本アルプス横断中、一時行方ゆくえ不明になった第一高等学校の生徒三名は七日なのか(八月)上高地かみこうちの温泉へ着した。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その癖、光起さんを恋しがって、懐しがって、一日いちんちと顔を見ないと、苦労にする、三日四日となるとふさぎ出す、七日なのかも逢わなかろうものなら、涙ぐむという始末。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実に百二十組の娘盆踊むすめぼんおどりが編成され、それぞれ二十組位ずつ、七日なのかわたって、大守大膳正が自ら検分し、優れたものには、褒美を取らせるということになったのです。
「これから、七日なのかのあいだ、森のなかのろうにとじこめて、それから、島ながしにいたします」
銀の笛と金の毛皮 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
いや、それだけならまだ不思議という段には至らないんですが、うっかりその婆さんのそばへ寄ると、きっと病人になって、軽いので七日なのか十日とおかは寝る。ひどいのは死んでしまう。
半七捕物帳:30 あま酒売 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おまけに先月あらいざらい何もかも無くしてしまってからあ、寒蛬こおろぎの悪くきやあがるのに、よじりもじりのその絞衣しぼり一つにしたッぱなしで、小遣銭こづけえぜにも置いて行かずに昨夜ゆうべまで六日むいか七日なのか帰りゃあせず
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
身分みぶんわるいの學校がくかううしたのとくもくも勝手かつてことはれたもの先方さきわすれたかもらぬが此方こちらはたしかにまでおぼえてる、阿關おせきが十七の御正月おしようがつ、まだ門松かどまつとりもせぬ七日なのかあさことであつた
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みづぬるき運河のうへ七日なのか七夜なゝよを舟にて行くを思はしむ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
としも あけて 一がつ七日なのかの あさでした。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
たび七日なのか
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
二人は名物と銘打った何やらかやらをやたらに並べ立てた店を両側に見て、停車場ステーションの方へ旅衣たびごろも七日なのか余りの足を旅心地に移す。出逢うは皆京の人である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
君御用きみごようしななれば費用ひようかまはずいそつくりてまゐらすべしとめいじてより七日なのか出來しゆつたいしけるを、御居室おんゐまえん舁据かきすゑたるが、善美ぜんびつくして、おどろかすばかりなりけり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「宮本さんがさ。——だから、来年一月の一日ついたちから七日ななくさまでの間、毎朝、五条大橋の上で待っているから、その七日なのかのうちに、一朝ひとあさそこへ来てもらいたいというのさ」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六日むいかあいだ何事なにごともありませんでした。七日なのかめの夕方ゆうがたにことことともんをたたくものがありました。
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
(地図参照)伝吉は現在平四郎の浄観じょうかんと云っているのも確かめた上、安政六年九月七日なのか菅笠すげがさをかぶり、旅合羽たびがっぱを着、相州無銘そうしゅうむめい長脇差ながわきざしをさし、たった一人仇打ちののぼった。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そして、五日いつかたち、七日なのかたつうちに、もとのじょうぶなからだとなったのであります。
金魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
七日なのかのおちかいを立てて、参籠したのですから、ご好意は謝しますが、粥は頂戴いたしません」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つなどくそうなかおをして、おにのいいのこした言葉ことばがあるので、今日きょう七日なのかのものいみがけるまでは、だれにもせることができないというわけを、ていねいにいってことわりました。
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もつと平生へいぜいいそがしさにはれて、別段べつだんにもからないが、七日なのかに一ぺん休日きうじつて、こゝろがゆつたりとける機會きくわい出逢であふと、不斷ふだん生活せいくわつきふにそわ/\した上調子うはてうしえてる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
現に延喜えんぎ御門みかど御代みよには、五条あたりの柿の梢に、七日なのかの間天狗が御仏みほとけの形となって、白毫光びゃくごうこうを放ったとある。また仏眼寺ぶつげんじ仁照阿闍梨にんしょうあざりを日毎にりょうじに参ったのも、姿は女と見えたが実は天狗じゃ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
月も日もなく、夜昼よるひる七日なのか流れたつて言ふんですもの……
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
がつ七日なのか
ある少年の正月の日記 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「もう七日なのかばかりじゃないか。正月までにはなおるよ、元日までに、京都へ帰ろう」
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これが七日なのかの晩に坂井へ呼ばれて、安井の消息を聞くまでの夫婦の有様であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
七日なのかのうちには。」といって、六部ろくぶ約束やくそくをして行ってから、もうその日もれかかってきましたが、どうしたのかいまだに、かいもく、姿すがたえないので、人身御供ひとみごくうたったいえの人たちは
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
つきもなく、夜晝よるひる七日なのかながれたつてふんですもの……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
庄太郎は必死の勇をふるって、豚の鼻頭を七日なのか六晩むばんたたいた。けれども、とうとう精根が尽きて、手が蒟蒻こんにゃくのように弱って、しまいに豚にめられてしまった。そうして絶壁の上へ倒れた。
夢十夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そして一った以上いじょう、たとえ一粒種ひとつぶだね大事だいじむすめでも、七日なのかのうちには長持ながもちれて、よるおそくおやしろまえまでかついでいって、さしげるとすぐ、あとかえらずにかえってなければなりません。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もっとも平生へいぜいは忙がしさに追われて、別段気にも掛からないが、七日なのか一返いっぺんの休日が来て、心がゆったりと落ちつける機会に出逢であうと、不断の生活が急にそわそわした上調子うわちょうしに見えて来る。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うで七日なのかあいだあずけておくぞ。」
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これ七日なのかばん坂井さかゐばれて、安井やすゐ消息せうそくまで夫婦ふうふ有樣ありさまであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助は七日なのかに一返の日曜ももう暮れかかったので、早く湯にでもって、暇があったら髪でも刈って、そうしてゆっくり晩食ばんめしを食おうと思って、急いで格子こうしを開けた。台所の方で皿小鉢さらこばちの音がする。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)