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ひとま
ふりがな文庫
“
一先
(
ひとま
)” の例文
遭難船なんてめずらしい
観物
(
みもの
)
だ。これから甲板へ駈け上って、写真にうつして置こうと思う。だから原稿は、
一先
(
ひとま
)
ずここにて切る。
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この幼年時代について思い出すがままに書きちらした帳面を
一先
(
ひとま
)
ず閉じるために、私がもう十二三になってから、本当に思い設けずに
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一先
(
ひとま
)
ず女をわが
家
(
や
)
に引取り男の方へは親許の勘当ゆりるまで少しの間辛抱して身をつつしむようにといい含めて置いたのである。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「その駕は裏門から中庭へかつぎ込まれ、充分様子は分りませぬが、何しろ泥酔しているので、
一先
(
ひとま
)
ず一室へ寝かしたらしい気配でござる」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書きたい事に切りがありませんが、其は他日の機会に譲って、読者諸君の健康を祝しつつここに
一先
(
ひとま
)
ず此手紙の筆を
擱
(
さしお
)
きます。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
左右に居ります
縄取
(
なわとり
)
の同心が右三人へ早縄を打ち、役所まで連れ
行
(
ゆ
)
きまして、
一先
(
ひとま
)
ず縄を取り、手錠を
箝
(
は
)
め、
附添
(
つきそい
)
の
家主
(
やぬし
)
五人組へ引渡しました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
で、
其
(
そ
)
の
勝敗
(
しようはい
)
を
紀念
(
きねん
)
として、
一先
(
ひとま
)
づ、
今度
(
こんど
)
の
蜜月
(
みつゞき
)
の
旅
(
たび
)
を
切上
(
きりあ
)
げやう。けれども
双六盤
(
すごろくばん
)
は、
唯
(
たゞ
)
土地
(
とち
)
の
伝説
(
でんせつ
)
であらうも
知
(
し
)
れぬ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『いろ/\
委
(
くわ
)
しい
事
(
こと
)
を
承
(
うけたまは
)
りたいが、
最早
(
もはや
)
暮
(
く
)
るゝにも
近
(
ちか
)
く、
此邊
(
このへん
)
は
猛獸
(
まうじう
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
ともいふ
可
(
べ
)
き
處
(
ところ
)
ですから、
一先
(
ひとま
)
づ
我
(
わ
)
が
住家
(
すみか
)
へ。』と
銃
(
じう
)
の
筒
(
つゝ
)
を
擡
(
もた
)
げた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
三谷は、
一先
(
ひとま
)
ず下宿に引上げたし、変事を聞いてかけつけた親戚の者なども、帰ったあとで、邸内には執事の斎藤老人を初め召使ばかりであった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三人は
猶
(
なお
)
語った。話は遂に一小段落を告げた。田中は今夜親友に相談して、明日か明後日までに
確乎
(
かっこ
)
たる返事を
齎
(
もた
)
らそうと言って、
一先
(
ひとま
)
ず帰った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
一先
(
ひとま
)
ず宿に帰って来た、食堂の広い窓からは今の林の真上に、ブリュームリスアルプが正面をきって並んでおる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
日本の中央部、全版図の約半分の虎杖方言はこれで
一先
(
ひとま
)
ず分ったとして、他の半分を占める国の端々が、いかなる異同を示すかをこの次には考えて見る。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
西園寺公は
一先
(
ひとま
)
ず良書であり、能書であるが、スケールは小さい。大胆とか放胆とかいう偉なるものはない。この点、
副島種臣
(
そえじまたねおみ
)
に如く者は他に一人もない。
人と書相
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
果してそうならば問題がまた重大になって来るので、死体を
一先
(
ひとま
)
ず室内へ
舁
(
か
)
き入れて、何や
彼
(
か
)
やと評議をしている
中
(
うち
)
に、短い夏の
夜
(
よ
)
はそろそろ白んで来た。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
つまりAはそこで、久美子と子供達の写真を、何枚か撮っただけで、
一先
(
ひとま
)
ず探険を切上げて来ればよかったのですが、そうしなかったのがAの運の尽きでした。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
信吾去り、志郎去り、智恵子去り、吉野去つて、夏二月の間に起つた
種々
(
いろいろ
)
の
事件
(
ことがら
)
が、
一先
(
ひとま
)
づ
結末
(
をはり
)
を告げた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
一波瀾
(
ひとはらん
)
を生じた刑事事件はこれで
一先
(
ひとま
)
ず
落着
(
らくちゃく
)
を告げた。迷亭はそれから相変らず駄弁を
弄
(
ろう
)
して日暮れ方、あまり遅くなると伯父に
怒
(
おこ
)
られると云って帰って行った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
歸營
(
きえい
)
してから三
日目
(
かめ
)
の
朝
(
あさ
)
だつた。
中隊教練
(
ちうたいけうれん
)
が
濟
(
す
)
んで
一先
(
ひとま
)
づ
解散
(
かいさん
)
すると、
分隊長
(
ぶんたいちやう
)
の
高岡軍曹
(
たかをかぐんそう
)
は
我々
(
われわれ
)
を
銃器庫裏
(
ぢうきこうら
)
の
櫻
(
さくら
)
の
樹蔭
(
こかげ
)
に
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて、「
休
(
やす
)
めつ‥‥」と、
命令
(
めいれい
)
した。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
相当な時間の長
咄
(
ばな
)
しに、陽は登々と天に上り、春先の庭も
一先
(
ひとま
)
ず定まった光線に引締められ、すこし硬ばった感じのまゝ日中の光景の第一歩に足を踏み入れかけました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そして二人に勧められるまま
一先
(
ひとま
)
ず山を下ることにしたのです。が、二人ともこの先まで、道がわかるところまで送って行くと、私と連れ立って山道を
辿
(
たど
)
り始めました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
色内町の越中屋に
一先
(
ひとま
)
ず足を休めたが、井口氏は病気を発したので、到頭小樽に残ることになった、余ら四人は即日小樽を出発して日高丸に乗込んだ、元来利尻に行くのには
利尻山とその植物
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そして準備が完成した時、
一先
(
ひとま
)
ず蛹となって昏睡し、再度新しく世に出た時には見ちがうばかりに美しい肉体と旺盛な性慾を持ったところの、水々しい青春の男に化している。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
おまけに
小雨
(
こさめ
)
さへ
降
(
ふ
)
り
出
(
だ
)
したので、
一先
(
ひとま
)
づ
怪
(
あや
)
しき
天幕
(
てんと
)
の
下
(
した
)
に、それを
避
(
さ
)
けて
居
(
ゐ
)
ると、
後
(
うしろ
)
の
畑
(
はたけ
)
にごそめく
音
(
おと
)
がするので、
見
(
み
)
ると
唯一人
(
たゞひとり
)
、十六七の
少女
(
せうぢよ
)
が、
畑
(
はた
)
の
中
(
なか
)
で
草
(
くさ
)
を
取
(
と
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「何をするかは、私自身にもまだはっきりわかっていない。行く先は
一先
(
ひとま
)
ず東京だ。みんなには君からそう言っておいてくれたまえ。送別式の時には言うつもりではいるがね。」
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
磐瀬
(
いわせ
)
の
杜
(
もり
)
は既にいった如く、竜田町の南方車瀬にある。ならしの
丘
(
おか
)
は諸説あって一定しないが、磐瀬の杜の東南にわたる岡だろうという説があるから、
一先
(
ひとま
)
ずそれに従って置く。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それがどうやら今日までで
一先
(
ひとま
)
ず片付いて妹はともかく国の親類で引取る事になった。
障子の落書
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
かの女の肉体の地図に戦争の持つ赤手袋を
穿
(
は
)
めて、僕は他日を約して
一先
(
ひとま
)
ず退却だ。
戦争のファンタジイ
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
軒端の材木から、熱のためにガスが噴き出て、それに
一先
(
ひとま
)
ず点火されるのであろう。
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
前後左右から引きも切らずに来る雑多な車の
刹那
(
せつな
)
の隙を狙つて全身の血を注意に緊張させ、
悠揚
(
いうやう
)
とした
早
(
はや
)
足に
半
(
なかば
)
越
(
こえ
)
て中間にある電灯の立つた石畳を
一先
(
ひとま
)
づ
足溜
(
あしだまり
)
としてほつと一息つき
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この時氏家は何か申し立てんとせしも、裁判長は看守押丁らに命じて、氏家を退廷せしめ、裁判長もまたこの事柄につき、相談すべき事ありとて
一先
(
ひとま
)
ず廷を閉じ、午後に至りて更に開廷せり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
明治の初年に狂気のごとく
駈足
(
かけあし
)
で来た日本も、いつの間にか足もとを見て歩くようになり、内観するようになり、回顧もするようになり、内治のきまりも
一先
(
ひとま
)
ずついて、二度の戦争に領土は広がる
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
その方向に
一先
(
ひとま
)
ず目標を置いて、この野を横切れと命じていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
遂
(
つい
)
に安永三年八月に至ってその仕事を
一先
(
ひとま
)
ず完成しました。
杉田玄白
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
「
一先
(
ひとま
)
ず引取り給え」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
やがてこの調査団室の風が
一先
(
ひとま
)
ず鎮まる時が来た。それはワーナー博士が自席に戻りハンカチーフで額の汗を拭ったことによって知れた。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
いずれ
一先
(
ひとま
)
ずは江戸表で、軍議その他の余日もあろうに、夜を通してまで先を争い行くのは、功利以外の何ものでもない。
大谷刑部
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一先
(
ひとま
)
ず帰宅して寝転ぼうと思ったのであるが、
久能谷
(
くのや
)
を離れて街道を見ると、人の瀬を造って、
停車場
(
ステイション
)
へ
押懸
(
おしか
)
ける
夥
(
おびただ
)
しさ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一先
(
ひとま
)
ず宿に帰ることにして、
此
(
こ
)
の岡づたいに村の方へ歩いて行く、どこのホテルも申し合せたように閉って、殆んど人間を見かけない、天気のいいのも
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
というのは病中の山野大五郎氏が、当夜彼女が一度も寝室を出なかったことを明言したのだ。それによって山野夫人に対する嫌疑は
一先
(
ひとま
)
ず解かれた形であった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と一通りの挨拶をして、大分
夜
(
よ
)
も更けましたゆえ藤原喜代之助は
暇
(
いとま
)
を告げて、
一先
(
ひとま
)
ず我家へ帰りました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
市郎は蝋燭を岩の
罅間
(
さけめ
)
に立てて、
一先
(
ひとま
)
ず父の
亡骸
(
なきがら
)
を抱き
起
(
おこ
)
したが、脈は
疾
(
と
)
うに切れて、身体は全く冷えていた。
併
(
しか
)
し一通り見た所では、
何処
(
どこ
)
にも致命傷らしい
疵
(
きず
)
の痕は無かった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
之
(
これ
)
からあんな
深山幽谷
(
しんざんいうこく
)
に
進入
(
しんにふ
)
するのは、
却
(
かへつ
)
て
危險
(
きけん
)
を
招
(
まね
)
くやうなものだから、
島
(
しま
)
の
探險
(
たんけん
)
は
一先
(
ひとま
)
づ
中止
(
ちうし
)
して、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
再
(
ふたゝ
)
び
海岸
(
かいがん
)
に
皈
(
かへ
)
らんと
踵
(
きびす
)
を
廻
(
めぐ
)
らす
途端
(
とたん
)
、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
急
(
きふ
)
に
歩
(
あゆみ
)
を
停
(
とゞ
)
めて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
パンテオンの
側
(
そば
)
のオテル・スフロウに
泊
(
とま
)
つてから一箇月近く経つた。
此
(
この
)
宿は最初和田
英作
(
えいさく
)
君などの洋画界の先輩が泊つて居た
縁故
(
えんこ
)
で
巴里
(
パリイ
)
へ来る日本人は今でも大抵
一先
(
ひとま
)
ず
此処
(
ここ
)
へ落ち着く。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一先
(
ひとま
)
づ一
同
(
どう
)
は、
地主
(
ぢぬし
)
の一
人
(
にん
)
たる
秋山廣吉氏
(
あきやまひろきちし
)
の
宅
(
たく
)
に
着
(
つ
)
き、
其所
(
そこ
)
から
徒歩
(
とほ
)
で、
瓢簟山
(
ひようたんやま
)
へ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ると、
山
(
やま
)
の
周圍
(
しうゐ
)
に
鐵條網
(
てつでうもう
)
を
張
(
は
)
り、
警官
(
けいくわん
)
十
餘名
(
よめい
)
、
嚴重
(
げんぢゆう
)
に
警戒
(
けいかい
)
して、
徽章
(
きしやう
)
なき
者
(
もの
)
は
出入
(
しゆつにふ
)
を
禁
(
きん
)
じてある。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
とてもこの世では添われぬ縁
故
(
ゆえ
)
、
一先
(
ひとま
)
ずわが親里の
知人
(
しりびと
)
をたより
其処
(
そこ
)
まで落延びてから心安く未来の
冥加
(
みょうが
)
を祈り、共々にあの世へ旅立つという事の次第がこまごまと物哀れに書いてあった。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ともかくその手紙を見せて名残は惜しいが
一先
(
ひとま
)
ず帰京することに決めました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
而
(
しか
)
してその騒ぎが
一先
(
ひとま
)
ず落着し、それぞれの処置を終ると間もなく、正木博士は同教室を出たものらしく、午後二時半頃、医員山田学士が「呉一郎は回復の見込あり」という報告を
為
(
な
)
すべく
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
主人がすまして
這入
(
はい
)
るくらいのところだから、よもや吾輩を断わる事もなかろうけれども万一お気の毒様を食うような事があっては外聞がわるい。これは
一先
(
ひとま
)
ず
容子
(
ようす
)
を見に行くに越した事はない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
午後二時頃には一室が
一先
(
ひとま
)
ず
整頓
(
せいとん
)
した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
して見れば時間の点からいって、喜多公は親分の方より嫌疑が薄くなる訳で、
一先
(
ひとま
)
ず彼も釈放されることになった。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥