“ひとま”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒトマ
語句割合
一間46.5%
一室25.0%
一先23.4%
人交2.0%
一捲0.8%
一巻0.4%
人任0.4%
人待0.4%
人負0.4%
他人交0.4%
庁上0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
入口のふすまをあけてえんへ出ると、欄干らんかんが四角に曲って、方角から云えば海の見ゆべきはずの所に、中庭をへだてて、表二階の一間ひとまがある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今まで蒸熱かった此一室ひとまへ冷たい夜風よかぜが、音もなく吹き込むと「夜風に当ると悪いでしょうよ、わたしは宜いからお閉めなさいよ、」
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
この幼年時代について思い出すがままに書きちらした帳面を一先ひとまず閉じるために、私がもう十二三になってから、本当に思い設けずに
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
二階の広間で御馳走ごちそうをして、深川でもと芸者をしていたという二人の血びきのおたけさんという女を呼んで、人交ひとまぜしないで御酒を飲んでいましたが、やがておじいさんが太鼓たいこをたたき
氷月と云う汁粉屋の裏垣根に近づいた時、……秋は七草で待遇もてなしたろう、枯尾花に白い風が立って、雪が一捲ひとまき頭巾を吹きなぐると、紋の名入の緋葉もみじがちらちらと空に舞った。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆかの上に引きずった着物は「あびと」ととなえる僧衣らしい。そう云えば「こんたつ」ととなえる念珠ねんじゅ手頸てくび一巻ひとまき巻いたのち、かすかに青珠あおたまを垂らしている。
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つかはさるべきお約束やくそくとや、それまでのお留守居るすゐまた父樣とうさまをりふしのお出遊いでに、人任ひとまかせらずは御不自由ごふじいうすくなかるべく、何卒なにとぞ其處そこまはせて、白波しらなみ浦風うらかぜおもしろく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひとはなしひと猶更なほさらなからんをなにつとか馬鹿ばからしさよと他目よそめにはゆるゐものからまだ立去たちさりもせず前後ぜんごくばるは人待ひとまこゝろえぬなるべし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かく神経作用の鋭いものは、すなわち怜悧れいりなるものは、目先きがよく利くため、とかく人負ひとまけするように思われる。この事も一見矛盾むじゅんの感なきにしもあらぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
客座へ臨んだりなど……思えば他人交ひとまぜなしに、しみじみと、新夫婦ふたりだけのねやの灯となれたのは、こよいが初めてといってもよい。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一三庁上ひとまなる所に許多あまたこがねならべて、心をなぐさむる事、世の人の月花にあそぶにまされり。人みな左内が行跡ふるまひをあやしみて、吝嗇りんしよく一四野情やじやうの人なりとて、つまはじきをしてにくみけり。