一捲ひとま)” の例文
諸戸は縄の端で私の身体を厳重にしばり、縄の中程を井桁の石に一捲ひとまきして、その端を両手で握った。私が降りるに従って、縄をのばして行く訳である。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
氷月と云う汁粉屋の裏垣根に近づいた時、……秋は七草で待遇もてなしたろう、枯尾花に白い風が立って、雪が一捲ひとまき頭巾を吹きなぐると、紋の名入の緋葉もみじがちらちらと空に舞った。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)