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飴屋
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あめや
ふりがな文庫
“
飴屋
(
あめや
)” の例文
真事はその間を向う側へ
馳
(
か
)
け抜けて、朝鮮人の
飴屋
(
あめや
)
の前へ立つかと思うと、また
此方
(
こちら
)
側へ戻って来て、金魚屋の軒の下に
佇立
(
たたず
)
んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なんと、
飴屋
(
あめや
)
さんの
上手
(
じやうず
)
に
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
くこと。
飴屋
(
あめや
)
さんは
棒
(
ぼう
)
の
先
(
さき
)
に
卷
(
ま
)
きつけた
飴
(
あめ
)
を
父
(
とう
)
さんにも
賣
(
う
)
つて
呉
(
く
)
れまして、それから
斯
(
か
)
う
言
(
い
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
天神様の境内は
大層
(
たいそう
)
な人出でした。
飴屋
(
あめや
)
が出ています。つぼ焼屋が出ています。切傷の
直
(
す
)
ぐ
癒
(
なお
)
る
膏薬
(
こうやく
)
を売っている店があります。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
おまわりさんが来るといって泣く子を
嚇
(
おど
)
した時代から、一時は急転して
飴屋
(
あめや
)
などの
如
(
ごと
)
く、警官に親しみを感じていた時もあったのである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
逸疾
(
いちはや
)
く出発して行くのもいた。塩魚売りも、
冶師
(
やし
)
も、
飴屋
(
あめや
)
も、
生姜
(
しょうが
)
売りも、姿は見えなかった。明日は珍富と大和に市が立つ。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
▼ もっと見る
あの娘は、
鳥越
(
とりごえ
)
の
平助店
(
へいすけだな
)
にいるお
秋
(
あき
)
という者だ、——叔父、叔母といってるのは全く他人で、これは
飴屋
(
あめや
)
の
丑松
(
うしまつ
)
とお
徳
(
とく
)
という、仕事の相棒さ。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
時に、
宮奴
(
みややっこ
)
の
装
(
よそおい
)
した
白丁
(
はくちょう
)
の下男が一人、露店の
飴屋
(
あめや
)
が張りそうな、渋の
大傘
(
おおからかさ
)
を畳んで肩にかついだのが、法壇の根に
顕
(
あらわ
)
れた。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
車夫
(
くるまや
)
の足が何時より遅いやうに思はれて、御好物の
飴屋
(
あめや
)
が軒も見はぐりました、
此金
(
これ
)
は少々なれど私が小遣の残り、
麹町
(
かうぢまち
)
の御親類よりお客の有し時
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
手綱をためていると、かえって、馬が人に
怯
(
お
)
じて
飴屋
(
あめや
)
の傘が、老公のからだに傾くほど、道ばたに押しやられた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その外
今川橋
(
いまがわばし
)
の
飴屋
(
あめや
)
、
石原
(
いしはら
)
の
釘屋
(
くぎや
)
、
箱崎
(
はこざき
)
の呉服屋、豊島町の
足袋屋
(
たびや
)
なども、皆縁類でありながら、一人として老尼の世話をしようというものはなかった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
書生たちが見おろしていたのは、ヨカヨカ
飴屋
(
あめや
)
が来ているからだったが、飴屋は、錦子を見ると調子づいた。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
往来にはずっと両側に、
縁日商人
(
えんにちあきんど
)
が並んでいる。そのカンテラやランプの明りに、
飴屋
(
あめや
)
の渦巻の看板だの豆屋の赤い日傘だのが、右にも左にもちらつくんだ。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
薬師の縁日のときは新道の出口のところまで夜店が出て、
酸漿屋
(
ほおずきや
)
・
簪屋
(
かんざしや
)
・
飴屋
(
あめや
)
などが店を張っていた。
暴風雨に終わった一日
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
さういふ
青葉
(
あをば
)
の
村落
(
むら
)
から
村落
(
むら
)
を
女
(
をんな
)
の
飴屋
(
あめや
)
が
太皷
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
歩
(
ある
)
いた。
明屋
(
あきや
)
ばかりの
村落
(
むら
)
を
雨
(
あめ
)
が
降
(
ふ
)
らねば
女
(
をんな
)
は
端
(
はし
)
から
端
(
はし
)
と
唄
(
うた
)
うて
歩
(
ある
)
く。
勘次
(
かんじ
)
が
唄
(
うた
)
うたのは
其
(
そ
)
の
女
(
をんな
)
の
唄
(
うた
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
飴屋
(
あめや
)
などは荷を下して、笛を吹いて子供を寄せて、そこで飴細工をするのでした。
狸
(
たぬき
)
や
狐
(
きつね
)
などを、
上手
(
じょうず
)
にひねって造ります。それに赤や青の色を塗り、棒に附けて並べます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
飴屋
(
あめや
)
の太鼓の
周
(
まわ
)
りに寄っている近所の
鍛冶屋
(
かじや
)
や古着屋の子供のなかに哀れなような弟たちの姿をお庄は見出した。弟たちは、もうここらの色に
昵
(
なじ
)
んで、目の色まで鈍いように思えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
単調な雷の様で聞く耳に嬉しい
籾摺
(
もみず
)
りの
響
(
おと
)
。凱旋の
爆竹
(
ばくちく
)
を聞く様な麦うちの響。秋祭りの笛太鼓。月夜の若い者の歌。子供の喜ぶ
飴屋
(
あめや
)
の笛。降るかと思うと忽ち止む
時雨
(
しぐれ
)
のさゝやき。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
二
(
フ
)
、
三
(
ミ
)
、
四
(
ヨ
)
、
六
(
ム
)
、
七
(
ナ
)
の日が灸の日で、この日は無量寺の紋日だっせ、なんし、ここの灸と来たら……途端に想いだしたのは、当時丹造が住んでいた高津四番丁の
飴屋
(
あめや
)
の路地のはいり口に
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それと
知
(
し
)
って、おせんを
途中
(
とちゅう
)
に
押
(
お
)
ッ
取
(
と
)
りかこんだ
多勢
(
おおぜい
)
は、
飴屋
(
あめや
)
の
土平
(
どへい
)
があっ
気
(
け
)
に
取
(
と
)
られていることなんぞ、
疾
(
と
)
うの
昔
(
むかし
)
に
忘
(
わす
)
れたように、
我
(
わ
)
れ
先
(
さき
)
にと、
夕
(
ゆう
)
ぐれ
時
(
どき
)
のあたりの
暗
(
くら
)
さを
幸
(
さいわ
)
いにして
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
自分は片手片足が
利
(
き
)
かなくなってから、女房とも相談して
飴屋
(
あめや
)
になった。が、ただ
唐人笛
(
とうじんぶえ
)
を吹いてひょこりひょこり歩いてるのでは、どんな
鼻垂
(
はなた
)
れ小僧でも買ってくれようはずがなかった。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「それゃうそでさあ大工もほんのちょっとです。
土方
(
どかた
)
をやめてなったんです。その土方もまたちょっとです。それから前は知りません。土方ばかりじゃありません、
飴屋
(
あめや
)
もやったて
云
(
い
)
いますよ。」
バキチの仕事
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鴎
(
かもめ
)
が群れをなして
猫
(
ねこ
)
に似た声でなきながら、船のまわりを水に近くのどかに飛び回るのを見るのも、葉子には絶えて久しい物珍しさだった。
飴屋
(
あめや
)
の呼び売りのような声さえ町のほうから聞こえて来た。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
飴屋
(
あめや
)
さんが、
太鼓
(
たいこ
)
を鳴らしながら子供たちをお供にして通る。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
飴屋
(
あめや
)
などはこの「流れ」の方のものに属するのだそうです。
幕末維新懐古談:43 歳の市のことなど
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
飴屋
(
あめや
)
のお
鉦
(
かね
)
で
泣
(
な
)
き
出
(
だ
)
した。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
飴屋
(
あめや
)
の
太鼓
(
たいこ
)
がなつてゐる
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
飴屋
(
あめや
)
の笛にそゞろげる
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
飴屋
(
あめや
)
のぢいさん
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
日
(
ひ
)
に
燒
(
や
)
けて
旅
(
たび
)
をして
歩
(
ある
)
く
斯
(
こ
)
の
飴屋
(
あめや
)
さんは、
何處
(
どこ
)
か
遠
(
とほ
)
いところからかついで
來
(
き
)
た
荷
(
に
)
を
復
(
ま
)
た
肩
(
かた
)
に
掛
(
か
)
けて、
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
き/\
出掛
(
でか
)
けました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
時に、
宮奴
(
みやつこ
)
の
装
(
よそおい
)
した
白丁
(
はくちょう
)
の下男が一人、露店の
飴屋
(
あめや
)
が張りさうな、
渋
(
しぶ
)
の
大傘
(
おおからかさ
)
を
畳
(
たた
)
んで肩にかついだのが、法壇の根に
顕
(
あらわ
)
れた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰りには町内の
飴屋
(
あめや
)
へ寄って、
薄荷入
(
はっかいり
)
の鉄砲玉を二袋買って来て、そら鉄砲玉と云って、小供にやる。
倅
(
せがれ
)
が晩婚なので小供は六つと四つである。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
肩から小鈴の箱を
飴屋
(
あめや
)
さんに掛けて、両手には、大きい鈴を、新しいのと古いのと取交ぜて、五つ六つずつ
提
(
さ
)
げました。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
車夫
(
くるまや
)
の
足
(
あし
)
が
何時
(
いつ
)
より
遲
(
おそ
)
いやうに
思
(
おも
)
はれて、
御好物
(
ごかうぶつ
)
の
飴屋
(
あめや
)
が
軒
(
のき
)
も
見
(
み
)
はぐりました、
此金
(
これ
)
は
少〻
(
せう/\
)
なれど
私
(
わたし
)
が
小遣
(
こづかひ
)
の
殘
(
のこ
)
り、
麹町
(
かうじまち
)
の
御親類
(
ごしんるい
)
よりお
客
(
きやく
)
の
有
(
あり
)
し
時
(
とき
)
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
白紙のように降りた
鳩
(
はと
)
の
群
(
むれ
)
が、
飴屋
(
あめや
)
の
紅傘
(
べにがさ
)
にほこりを舞わせているのみ、かれの血走った目にチラついて、鳩ならぬ丹頂の逃げ足——お粂の姿は見当りません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨も降らないのに、恐ろしく大きな傘を拡げて、その下で
飴屋
(
あめや
)
さんが
向鉢巻
(
むこうはちまき
)
で、大声でいい立てながら売っています。「飴の中から
金太
(
きんた
)
さんが飛んで出る。さあ買ったり買ったり。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
坂町の角のひやし
飴屋
(
あめや
)
でひやし飴をラッパ飲みし、それでもまだ乾きが収らぬので、松林寺の前の共同便所の横で胸スカシを飲んだが、こんなチヤチなものを飲んでゐるからだめなのだと
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
縁側から畳のうえに薄い秋の西日が差し、裏町に
飴屋
(
あめや
)
の太鼓の音がしていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
物哀
(
ものかな
)
しい日。田圃向うに
飴屋
(
あめや
)
が吹く笛の
一声
(
ひとこえ
)
長く響いて、
腸
(
はらわた
)
にしみ入る様だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
どこか
犯
(
おか
)
し
難
(
がた
)
いところのある
顔
(
かお
)
かたちは、
敵
(
かたき
)
持
(
も
)
つ
武家
(
ぶけ
)
が、
世
(
よ
)
を
忍
(
しの
)
んでの
飴売
(
あめうり
)
だとさえ
噂
(
うわさ
)
されて、いやが
上
(
うえ
)
にも
人気
(
にんき
)
が
高
(
たか
)
く、
役者
(
やくしゃ
)
ならば
菊之丞
(
きくのじょう
)
、
茶屋女
(
ちゃやおんな
)
なら
笠森
(
かさもり
)
おせん、
飴屋
(
あめや
)
は
土平
(
どへい
)
、
絵師
(
えし
)
は
春信
(
はるのぶ
)
と
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
チンドン
飴屋
(
あめや
)
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
飴屋
(
あめや
)
か、豆屋か、団子を売るか、いずれにも荷が勝った……おでんを売るには乾いている、その看板がおもしろい。……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
塚窪の坂の下まで行くと、とある農家の前に一人の
飴屋
(
あめや
)
、面白
可笑
(
をか
)
しく
唐人笛
(
たうじんぶえ
)
を吹立てゝ、
幼稚
(
をさな
)
い客を呼集めて居る。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
同じ仲間の
飴屋
(
あめや
)
が、大道で飴細工を
拵
(
こしら
)
えていると、白服の巡査が、飴の前へ鼻を出して、邪魔になって仕方がない。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そしてその男が、神楽堂の騒ぎや周囲の
狼狽
(
ろうばい
)
を冷ややかに見やって、何処かぜ吹くかというように、人浪の中をふところ手で抜けてゆく姿が、
飴屋
(
あめや
)
の傘にかくれました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「え——と、最初は十一月二十五日の晩でした。あつしの家と言つても叔母の家ですがね、
階下
(
した
)
で薄寒いから火鉢を三つも入れて、あつしと
飴屋
(
あめや
)
の甚助と打つて居るとヨセになる頃あの騷ぎで」
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おッと、
飴屋
(
あめや
)
さん」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
でも(ちょいとこさ)と言えばこないだ、小橋の上で、あの(ちょいとこさ)の
飴屋
(
あめや
)
に逢ったの。ちょうどその時だ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同じ
仲間
(
なかま
)
の
飴屋
(
あめや
)
が、大道で
飴細工
(
あめざいく
)
を
拵
(
こしら
)
えてゐると、
白服
(
しろふく
)
の巡査が、
飴
(
あめ
)
の
前
(
まへ
)
へ
鼻
(
はな
)
を
出
(
だ
)
して、邪魔になつて
仕方
(
しかた
)
がない。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
父
(
とう
)
さんの
村
(
むら
)
へも、たまには
飴屋
(
あめや
)
さんが
通
(
とほ
)
りました。
旅
(
たび
)
の
飴屋
(
あめや
)
さんは、
天平棒
(
てんびんぼう
)
でかついて
來
(
き
)
た
荷
(
に
)
を
村
(
むら
)
の
石垣
(
いしがき
)
の
側
(
わき
)
におろして、
面白
(
おもしろ
)
をかしく
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
飴屋
(
あめや
)
が飴をのばすように、長くもし、短くもするのではないかと眼に怪しまれる程だった。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飴
漢検準1級
部首:⾷
13画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“飴”で始まる語句
飴
飴色
飴売
飴玉
飴細工
飴煮
飴菓子
飴釉
飴皮
飴買錢