トップ
>
雀
>
すずめ
ふりがな文庫
“
雀
(
すずめ
)” の例文
大都会の近くには、烏と
雀
(
すずめ
)
しかいないもののように思っていたので、初めはずいぶん珍しかったが、もうすっかり馴れてしまった。
ウィネッカの秋
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
公園の木には、たくさんの
雀
(
すずめ
)
がいました。エキモスは子供たちとあそびつかれると、木のかげにやすんで、銀色の
葦笛
(
あしぶえ
)
をふきます。
銀の笛と金の毛皮
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
雀
(
すずめ
)
化
(
か
)
して
蛤
(
はまぐり
)
の
類
(
たぐい
)
にもれず、あらかた農を捨てて本職の煙火師に化けてしまったというのが伝えられているこの郷土沿革なのである。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
更
(
さら
)
に邸内に総計十二箇の巣箱を配置し、その箱の板にはヘットなどを塗り附けて、いとも熱心に
雀
(
すずめ
)
以上の羽客を歓迎しているのである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
幸
(
さいわい
)
にその日は十一時頃からからりと晴れて、垣に
雀
(
すずめ
)
の鳴く
小春日和
(
こはるびより
)
になった。宗助が帰った時、御米は
例
(
いつも
)
より
冴
(
さ
)
え
冴
(
ざ
)
えしい顔色をして
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
なおよくながめると、自分のによく似た古
鞄
(
かばん
)
を手にさげてることがわかった。彼女の方もまた、
雀
(
すずめ
)
のように彼を横目にうかがっていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と
雀
(
すずめ
)
は、
一銭銅貨
(
いっせんどうか
)
をくわえて、おおいそぎで
水車
(
すいしゃ
)
小屋
(
ごや
)
の方へとんでいきました。この
雀
(
すずめ
)
は水車小屋ののきばにすんでいたのでありました。
落とした一銭銅貨
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
父
(
とう
)
さんが
玄關
(
げんくわん
)
の
廣
(
ひろ
)
い
板
(
いた
)
の
間
(
ま
)
に
居
(
ゐ
)
て、その
筬
(
をさ
)
の
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
きながら
遊
(
あそ
)
んで
居
(
を
)
りますと、そこへもよくめづらしいもの
好
(
ず
)
きの
雀
(
すずめ
)
が
覗
(
のぞ
)
きに
來
(
き
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
つややかな
丸髷
(
まるまげ
)
に
結
(
ゆ
)
ってうす色の珊瑚の玉をさしていた。桃色の鶴や、
浅葱
(
あさぎ
)
のふくら
雀
(
すずめ
)
や、出来たのをひとつひとつ見せてはつづけてゆく。
小品四つ
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「しかし実方の朝臣などは、御隠れになった
後
(
のち
)
でさえ、都恋しさの一念から、
台盤所
(
だいばんどころ
)
の
雀
(
すずめ
)
になったと、云い伝えて
居
(
お
)
るではありませんか?」
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
職員室の入り口のわきに置いた自転車をとりまいて、五十人たらずの生徒は、がやがや、わやわや、まるで
雀
(
すずめ
)
のけんかだった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
小禽とは、
雀
(
すずめ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
四十雀
(
しじふから
)
、ひは、
百舌
(
もず
)
、みそさざい、かけす、つぐみ、すべて形小にして、力ないものは、みな小禽ぢゃ。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「これはお嬢さま、何とも
申訳
(
もうしわけ
)
ございません。坊ちゃんにお見せしようと思って、その屋根の
雀
(
すずめ
)
に狙いをつけたのだが、ついはずれまして」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
シコモルの茂みの中には
頬白
(
ほおじろ
)
が騒いでおり、
雀
(
すずめ
)
は勇ましい声を立て、
啄木鳥
(
きつつき
)
はマロニエの幹をよじ上って、樹皮の穴を軽く
啄
(
つつ
)
き回っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
元気な
雀
(
すずめ
)
が
一羽
(
いちわ
)
、少し先の、半ば割れた
赤煉瓦
(
あかれんが
)
の上に止って、絶えず全身をくるくる回し、
尾
(
お
)
をひろげて、
癇
(
かん
)
にさわる鳴き声を立てていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
甚だ病弱だった私は裏に住む漢方医者に腹を
撫
(
な
)
でてもらいながらも、その滝に
見惚
(
みと
)
れた。その医者が、ちょっと竹に
雀
(
すずめ
)
ぐらいの絵心はあった。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
高台のあたりで
烏
(
からす
)
がなき、
雀
(
すずめ
)
が八方に飛びちがう。乳色をした夏の
靄
(
もや
)
、裾の方からまくれてゆく。と、城之介深呼吸をした。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
樹木の多い郊外の庭にも、
鶯
(
うぐいす
)
はもう
稀
(
まれ
)
に来て鳴くのみである。
雀
(
すずめ
)
の軒近く
囀
(
さえず
)
るのを
喧
(
やかま
)
しく思うような日も一日一日と少くなって行くではないか。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
工場の天井には
雀
(
すずめ
)
おどしの
鳴子
(
なるこ
)
が渡してあって、疲れた女工の眠気をさますために、監督がヒモをひいて鳴らすのだった。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「孔雀が簡素になったんだから、孔雀の上の字を一つ省略して
雀
(
すずめ
)
とでもするさ。」越後はそう言って、うふふと笑った。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
芽の出始める春先に
雀
(
すずめ
)
がやって来て傍からその芽を摘んでしまうせいでもあることを発見して以来、毎年早春の季節になると雀を防ぐことに努め
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
真冬の二月は
頬白
(
ほおじろ
)
も
目白
(
めじろ
)
も来てくれないので、朝はいつもかわらない
雀
(
すずめ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
と、夜は時おり二つ池へおりる、
雁
(
がん
)
のさびしい声をきくばかりだった。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それに
雀
(
すずめ
)
の巣に燕が顔を出したとしたら、それは
闖入者
(
ちんにゅうしゃ
)
ということになりはしないだろうか。雀の家庭には雀の家風というものがあるのだろうから。
落穂拾い
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
雀
(
すずめ
)
や
燕
(
つばめ
)
でないのだもの、鸚鵡が
町家
(
まちや
)
の屋根にでも居て御覧なさい、其こそ世間騒がせだから、こゝへ来て
引籠
(
ひきこも
)
つて、先生の小説ばかり読んで居ます。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そんな
可愛
(
かわい
)
らしい顔をして、あなたはすばしこい獣みたいな人だ。そんな眼をして僕を
睨
(
にら
)
まないでください。どうせ僕は、老いぼれた
雀
(
すずめ
)
ですからね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「ちょっとしたことだ、
明日
(
あす
)
の晩十二時に、この前の
雀
(
すずめ
)
が
森
(
もり
)
ね、あそこへ来てくれないかね、手間はとらさないが」
雀が森の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
次郎が、これまで毎朝、空林庵の寝ざめに親しんで来た
雀
(
すずめ
)
の第一声がきこえるのは、ほぼその時刻だったのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
数羽の
山鴨
(
やまがも
)
と
雀
(
すずめ
)
の群れが柳の中から飛び立った。前には白雲を
棚曳
(
たなび
)
かせた連山が
真菰
(
まこも
)
と芒の穂の上に連っていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
殊
(
こと
)
に
玄人
(
くろうと
)
になると
雀
(
すずめ
)
や
頬白
(
ほおじろ
)
を撃つて
徒
(
いたずら
)
に猟の多いことを誇るやうなことはせぬやうになり、
自
(
おのずか
)
らその間に道の存する所の見えるのも喜ぶべき一カ条である。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
恋猫
(
こいねこ
)
、
恋犬
(
こいいぬ
)
、
鶏
(
にわとり
)
は出しても/\
巣
(
す
)
につき、
雀
(
すずめ
)
は夫婦で
無暗
(
むやみ
)
に人の
家
(
うち
)
の
家根
(
やね
)
に穴をつくり、木々は芽を吐き、花をさかす。犬のピンの
腹
(
はら
)
ははりきれそうである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
叔父が笑うのも道理で、鹿狩りどころか
雀
(
すずめ
)
一ツ自分で打つことはできない、しかし鹿狩りのおもしろい事は幾度も聞いているから、僕はお
供
(
とも
)
をすることにした。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そのお礼に着たきり
雀
(
すずめ
)
の南平に四五十両の入費をかけて祈祷所をもたせ、たくさん弟子を世話してやった。
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
五日の夕暮に源氏は
昆陽野
(
こやの
)
を立ち、ようやく生田の森へ近づいた。
雀
(
すずめ
)
の松原、
御影
(
みかげ
)
の松、昆陽野の方を見渡すと、それぞれ陣を張る源氏勢は遠火をたいている。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
伊達家の紋は「竹に
雀
(
すずめ
)
」であるが、竹林の静かな情景をうたった詩句が、綱宗の心を
惹
(
ひ
)
きつけたのだろう。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
雀
(
すずめ
)
の
雌雄
(
しゆう
)
を知らず
不如帰
(
ほととぎす
)
の無慈悲を悟らずして、新しき神学説を
蝶々
(
ちょうちょう
)
するも何ぞ。魚類の如き一として面白からぬはなく、
鰻
(
うなぎ
)
の如き最も不可解なる生物である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
板戸も開け放したまま、
筒袖
(
つつそで
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
一枚で仕事をしていたのだったが、
雀
(
すずめ
)
の
囀
(
さえず
)
りが耳につく時分に書きおわったまま、消えやらぬ感激がまだ胸を引き締めていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「日本ばかりじゃ騒がし足りないと見えて、仏蘭西までも騒がして来たネ。
雀
(
すずめ
)
百まで
躍
(
おど
)
りやまずで、コンナに
多勢
(
おおぜい
)
の
子持
(
こもち
)
になってもやはり浮気はやまんと見えるネ」
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
けれども小さいもの、鳥でいえば、
鶫
(
つぐみ
)
とか
鶉
(
うずら
)
とか
雀
(
すずめ
)
とか、魚でなら、いわしとかあじとかいいますものは、
獲
(
と
)
りたて、または締めたてでなくては
美味
(
うま
)
くありません。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
ひとしきり水の中に素早いさざ波を立てて沈む
雀
(
すずめ
)
ほどの小さい水鳥は、春の
温
(
ぬる
)
んだ水の面にうかんでいるあいだは、またたきするくらいの
迅
(
はや
)
い一瞬のうちであった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
日本陸軍にも、海軍にもこれに
比敵
(
ひてき
)
する飛行船は、一
隻
(
せき
)
もなかった。
極
(
ご
)
く小さい軟式飛行船が、二三隻海軍にあったが、それは、
鷲
(
わし
)
の側によった
雀
(
すずめ
)
にも及ばなかった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
主人
(
あるじ
)
は
甲斐甲斐
(
かいがい
)
しくはだし
尻端折
(
しりはしょり
)
で庭に下り立って、
蝉
(
せみ
)
も
雀
(
すずめ
)
も
濡
(
ぬ
)
れよとばかりに打水をしている。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして砂糖だけを嘗めて生薑を外に
棄
(
す
)
てた。外には雪が一めんに
降
(
ふり
)
積つて居る。生薑が雪の上におちると三四の
雀
(
すずめ
)
が勢よく飛んで来てそれを争つたことをおぼえてゐる。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
という静かな
雀
(
すずめ
)
の声……遠くに
辷
(
すべ
)
って行く電車の音……天井裏の電燈はいつの間にか消えている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
雀
(
すずめ
)
の子を
犬君
(
いぬき
)
が逃がしてしまいましたの、
伏籠
(
ふせご
)
の中に置いて逃げないようにしてあったのに」
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
雀
(
すずめ
)
が米を食ふのは
僅
(
わづ
)
か
十粒
(
とつぶ
)
か二十粒だ、俵で置いてあつたつて、一度に一俵食へるものぢやない、僕は鴫沢の財産を譲つてもらはんでも、十粒か二十粒の米に事を欠いて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
自分の知った人の中には
雀
(
すずめ
)
の顔も見分ける人はあるが、それよりもいっそう鋭いこの画家の目には生きた個々のくだものの生きた顔が逃げて回って困ったのではあるまいか。
自画像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「おい、安公! 餓鬼ア
雀
(
すずめ
)
ッ子といっしょに起きるものだ。やいっ、用がある。起きろっ!」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
君はもはや鷹につかまった
雀
(
すずめ
)
と同じだ。僕は君が苦しんで、苦しんで、苦しみ抜いて死んで行くところを静にながめたいのだ。思えば、この時機をどんなに待ち
焦
(
こが
)
れたことか。
卑怯な毒殺
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「一体誰がはじめにそんなものを欲しいと云い出したんだ」と人びとが思う時分には、尾羽打ち枯らしたいろいろな鳥が
雀
(
すずめ
)
に混って
餌
(
えさ
)
を
漁
(
あさ
)
りに来た。もうそれも来なくなった。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
教室の硝子戸は
埃
(
ちり
)
にまみれて灰色に
汚
(
きた
)
なくよごれているが、そこはちょうど日影が
黄
(
き
)
いろくさして、戸外では
雀
(
すずめ
)
が
百囀
(
ももさえずり
)
をしている。通りを荷車のきしる音がガタガタ聞こえた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
“雀”の意味
《名詞》
(すずめ)スズメ。
(出典:Wiktionary)
“雀(スズメ)”の解説
スズメ(雀、すずめ、学名 Passer montanus )は、スズメ目スズメ科スズメ属に分類される鳥類の1種。人家の近くに生息する小鳥である。
(出典:Wikipedia)
雀
漢検準1級
部首:⾫
11画
“雀”を含む語句
雀躍
朱雀大路
麻雀
小雀
雲雀
四十雀
群雀
大雀
孔雀
朱雀
金糸雀
孔雀石
連雀
蒿雀
蜂雀
金絲雀
雀踊
芝雀
朱雀野
子雀
...