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鉄
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くろがね
ふりがな文庫
“
鉄
(
くろがね
)” の例文
旧字:
鐵
「かれ
鉄
(
くろがね
)
の
器
(
うつわ
)
を避くれば
銅
(
あかがね
)
の弓これを
射
(
い
)
透
(
とお
)
す、ここにおいてこれをその身より抜けば
閃
(
ひらめ
)
く
簇
(
やじり
)
その
胆
(
きも
)
より
出
(
い
)
で来りて
畏怖
(
おそれ
)
これに臨む」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
瓜番小屋は、ああ、ああ血の池に掛けた、桟敷のように、
鉄
(
くろがね
)
が煙りながら宙に浮く。……知らなかった。——
直
(
じ
)
き近い処にあったのです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぬっと突き立って、婆のつめ寄る足もとを、児戯のように見ている武蔵の肩や胸は、さながらそれを
嘲
(
わら
)
う
鉄
(
くろがね
)
の龍車といっていい。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
古い木作りの夷橋や、開化仕立ての
鉄
(
くろがね
)
の心斎橋から東に見える河内辺りの山々が、日一日と青味を増して見えるようになった。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
かく云う我らは伊勢の豪族北畠家の
家人
(
けにん
)
として
弓手
(
ゆみて
)
の一人に数えられたる
鉄
(
くろがね
)
主馬之介と申す者、故あって主家を浪人し今では花村家の
食客
(
かかりゅうど
)
。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
軽い裏木戸も
鉄
(
くろがね
)
の扉の心地、とみにははいりかねているところへ、その木戸を内からあけて、夕やみの中へぽっかり出てきた若い植木屋——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それと女中部屋との交渉は
鉄
(
くろがね
)
の関を置いて、
何人
(
なんぴと
)
をも一歩もこの境を犯すことのないようにしてあることでもわかります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
他なほ知らぬがほにて、「黄金殿か
白銀
(
しろかね
)
殿か、われは一向
親交
(
ちかづき
)
なし。
鉄
(
くろがね
)
を掘りに来給ふとも、この山には
銅
(
あかがね
)
も出はせじ」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
「私は
鉄
(
くろがね
)
の
鎖
(
くさり
)
に
縛
(
いましめ
)
られたものを見た事がございまする。怪鳥に悩まされるものゝ姿も、
具
(
つぶさ
)
に写しとりました。されば罪人の
呵責
(
かしやく
)
に苦しむ様も知らぬと申されませぬ。又獄卒は——」
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
稻垣小三郎は剣術も上手で胆力の据った人だが、耳元を突き透した一声に思わず知らず國俊の小脇差を取落したところへ、美惠比丘尼が小さい
鉄
(
くろがね
)
の如意を持って出て参り、小三郎に向い
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
妖婆はぐるりぐるりと鍋を廻る。枯れ果てて
尖
(
とが
)
れる爪は、世を
咀
(
のろ
)
う
幾代
(
いくよ
)
の
錆
(
さび
)
に
瘠
(
や
)
せ尽くしたる
鉄
(
くろがね
)
の
火箸
(
ひばし
)
を握る。煮え立った鍋はどろどろの波を
泡
(
あわ
)
と共に起す。——読む人は怖ろしいと云う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天に二つの日を掛けたるがごとし、
双
(
なら
)
べる
角
(
つの
)
の
尖
(
するど
)
にして、冬枯れの森の
梢
(
こずえ
)
に異ならず、
鉄
(
くろがね
)
の牙上下に
生
(
お
)
ひ
差
(
ちご
)
ふて、紅の舌
炎
(
ほのお
)
を吐くかと怪しまる、もし
尋常
(
よのつね
)
の人これを見ば、目もくれ魂消えて
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
こういう種々の原因が
絡
(
から
)
み合って、内部と外部との中間には、
袖萩
(
そではぎ
)
が取りつくろっている
小柴垣
(
こしばがき
)
よりも大きい関が据えられて、戸を叩くにも叩かれぬ
鉄
(
くろがね
)
の門が高く
鎖
(
と
)
ざされていたのであった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まるで
騎士埴輪
(
ゴーレム
)
か
鉄
(
くろがね
)
の処女としか思われんね、これがコペツキーの作品だと云うそうだが、さあプラーグと云うよりも、体躯の線は、バーデンバーデンのハンスヴルスト(独逸の操人形)に近いね。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
鉄杖振り上げ
鉄
(
くろがね
)
の
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この
祠
(
ほこら
)
を
頂
(
いたゞ
)
く、
鬱樹
(
うつじゆ
)
の
梢
(
こずゑ
)
さがりに、
瀧窟
(
たきむろ
)
に
似
(
に
)
た
径
(
こみち
)
が
通
(
とほ
)
つて、
断崖
(
きりぎし
)
の
中腹
(
ちうふく
)
に
石溜
(
いしだま
)
りの
巌
(
いはほ
)
僅
(
わづか
)
に
拓
(
ひら
)
け、
直
(
たゞ
)
ちに、
鉄
(
くろがね
)
の
階子
(
はしご
)
が
架
(
かゝ
)
る
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼の
閲兵
(
えっぺい
)
のすむ間、将士は
鉄
(
くろがね
)
の列そのものだった。そして各〻、馬上の光秀を、目の前に仰いだ兵は、卒伍の端まで
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悠々として
辷
(
すべ
)
り出してしまった船の形が、闇の波の中に
鉄
(
くろがね
)
の橋を架けたように浮き進んでいるのを、暴民らは
如何
(
いかん
)
ともすることができず、手を振り、足を踏んで
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
第三は「望むらくは
鉄
(
くろがね
)
の筆と鉛とをもてこれを永く
磐石
(
いわ
)
に
鐫
(
え
)
りつけ置かんことを」である。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
いつまで黙ってるわけにもいかないから、ことによったら、この首はないものと、おっかなびっくりの身には、軽い裏木戸も
鉄
(
くろがね
)
の扉の心地……与吉のやつ、司馬道場へやって来た。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
山間に
鉄
(
くろがね
)
の城がある。無数の人間が捕えられている。彼らは天井へ釣るされて締木で生血を絞られる。その血で布が染められる。……その城の名は纐纈城。その布の名は纐纈である。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その外或は
鉄
(
くろがね
)
の
笞
(
しもと
)
に打たれるもの、或は
千曳
(
ちびき
)
の
磐石
(
ばんじやく
)
に押されるもの、或は
怪鳥
(
けてう
)
の
嘴
(
くちばし
)
にかけられるもの、或は又毒龍の
顎
(
あぎと
)
に噛まれるもの——、
呵責
(
かしやく
)
も亦罪人の数に応じて、幾通りあるかわかりません。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
目と口に
浸込
(
しみこ
)
んで、中に
描
(
か
)
いた器械の図などは、ずッしり
鉄
(
くろがね
)
の
楯
(
たて
)
のように
洋燈
(
ランプ
)
の前に
顕
(
あらわ
)
れ
出
(
い
)
でて、絵の
硝子
(
がらす
)
が
燐
(
ばっ
)
と光った。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
釣でもしていたか、竹ノ子笠に、
碁盤縞
(
ごばんじま
)
のツツ袖
水着
(
みずぎ
)
、笠の
翳
(
かげ
)
ながら、大きな
出目
(
でめ
)
は、らんと
燿
(
かがや
)
き、筋骨はさながら
鉄
(
くろがね
)
といえば言い尽きる。ひたと、
舷
(
ふなべり
)
そろえつつ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鉄
(
くろがね
)
の熊手で骨と肉とを掻きむしられながら、地獄の底へ落ちて行くのでございます
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嗚呼
鉄
(
くろがね
)
の筆と
鉛
(
なまり
)
とをもて永く磐石に
鐫
(
えり
)
つけおかんことを。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
すると
鉄
(
くろがね
)
主馬之介が同じく膝を前へ進め
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そういいながら、鎖に手をかけたが、
鷲
(
わし
)
の足にはめられた
鉄
(
くろがね
)
の
環
(
かん
)
も、またふとい鎖も
断
(
き
)
れればこそ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
崖はそもそも波というものの世を打ちはじめた昔から、がッきと
鉄
(
くろがね
)
の
楯
(
たて
)
を
支
(
つ
)
いて、幾億
尋
(
ひろ
)
とも限り知られぬ、
潮
(
うしお
)
の陣を防ぎ止めて、崩れかかる雪のごとく
鎬
(
しのぎ
)
を削る
頼母
(
たのも
)
しさ。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
業畜
(
ごうちく
)
、心に従はぬは許して置く、
鉄
(
くろがね
)
の
室
(
むろ
)
に入れられながら、
毛筋
(
けすじ
)
ほどの
隙間
(
すきま
)
から、言語道断の
不埒
(
ふらち
)
を働く、憎い女、さあ、男をいつて
一所
(
いっしょ
)
に死ね……えゝ、言はぬか
何
(
ど
)
うだ。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
狼藉者
(
ろうぜきもの
)
っ」と叱りつけた。声に、ただならぬ
底力
(
そこぢから
)
があって、
鉄
(
くろがね
)
のような
拳
(
こぶし
)
をふりあげると
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その大将に二名の壮将を置き、ひとりは
陳国
(
ちんこく
)
の人、
典韋
(
てんい
)
と申し、よく
鉄
(
くろがね
)
の重さ八十斤もある
戟
(
ほこ
)
を使って、勇猛四隣を震わせていましたが、この人はすでに戦歿して今はおりません。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
苛
(
いら
)
つて、
恰
(
あたか
)
も
転
(
ころが
)
つて来て、
下
(
した
)
まぶちの、まつげを
侵
(
おか
)
さうとするのを、
現
(
うつつ
)
にも
睨
(
ね
)
めつける気で、
屹
(
きっ
)
と
瞳
(
ひとみ
)
を
据
(
す
)
ゑると、いかに、普通
見馴
(
みな
)
れた者とは大いに異り、
一
(
ひと
)
ツは
鉄
(
くろがね
)
よりも固さうな
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の
順礼
(
じゆんれい
)
のお
盥髪
(
たらひがみ
)
さへ、
此方
(
こつち
)
に
背
(
そむ
)
き、
早
(
は
)
やうしろを
見
(
み
)
せて、びしや/\と
行
(
ゆ
)
く
処
(
ところ
)
を——(
見
(
み
)
なくとも
可
(
よ
)
いのに)
気
(
き
)
にすると、
恰
(
あだか
)
も
油
(
あぶら
)
さしがうつ
伏
(
ぶ
)
せに
鉄
(
くろがね
)
の
底
(
そこ
)
を
覗
(
のぞ
)
く、かんてらの
火
(
ひ
)
の
上
(
うへ
)
へ
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
燕作も石段の数をふんでいく……と道はふたたび
平地
(
ひらち
)
の坂となり、それをあくまで進みきると、こんどこそほんとうのゆきづまり、
手探
(
てさぐ
)
りにも知れる
鉄
(
くろがね
)
の
扉
(
とびら
)
が、ゆく手の先をふさいでいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
月も照さず花も
訪
(
と
)
い来ず、眼に見る物は恐ろしき
鉄
(
くろがね
)
の壁ばかりにて、日に新しゅうなるものは、
苛責
(
かしゃく
)
の品の替るのみ、苦痛いうべくもあらざれど、家に伝わる財産も、我身の操も固く
守護
(
まもり
)
て
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土耳古
(
トルコ
)
、
埃及
(
エジプト
)
、などの西洋との交流が
頻繁
(
ひんぱん
)
で、その文化的影響を、中国大陸よりも逆に早くうけていたこの
羗族軍
(
きょうぞくぐん
)
は、すでに
鉄
(
くろがね
)
で外套した戦車や火砲を持ち、またアラビヤ血種の良い馬を備え
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傾いた
舷
(
ふなべり
)
から、二
人
(
にん
)
半身を乗り
出
(
いだ
)
して、うつむけに海を
覗
(
のぞ
)
くと思うと、
鉄
(
くろがね
)
の
腕
(
かいな
)
、
蕨
(
わらび
)
の手、二条の柄がすっくと空、
穂尖
(
ほさき
)
を
短
(
みじか
)
に、一斉に
三叉
(
みつまた
)
の
戟
(
ほこ
)
を構えた瞬間、畳およそ百余畳、海一面に
鮮血
(
からくれない
)
。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
水底
(
みなぞこ
)
に
主
(
ぬし
)
が
棲
(
す
)
む……その逸するのを封ずるために、雲に
結
(
ゆわ
)
えて
鉄
(
くろがね
)
の網を張り詰めたように、百千の
細
(
こまか
)
な影が、
漣
(
ささなみ
)
立
(
た
)
って、ふらふらと数知れず、薄黒く池の中に浮いたのは、亀の池の名に負える
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言う時、
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の高い寄宿舎の二階から一文字に懸けてある
鉄
(
くろがね
)
の
樋
(
とい
)
が鳴って、深い溝を一団の湯気が白々と
渦
(
うずま
)
き
上
(
あが
)
った。
硝子窓
(
がらすまど
)
は
朦朧
(
もうろう
)
として、夕暮の寒さが身に染みるほど室の煖まるのが感じらるる。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(細く丈長き
鉄
(
くろがね
)
の
錨
(
いかり
)
を
倒
(
さかしま
)
にして携えたる
杖
(
つえ
)
を、
軽
(
かろ
)
く突直す。)
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“鉄”の解説
鉄(てつ、鐵、en: iron、la: ferrum)は、原子番号26の元素である。元素記号はFe。金属元素のひとつで、遷移元素である。太陽や、ほかの天体にも豊富に存在し、地球の地殻の約5 %を占め、大部分は外核・内核にある。
(出典:Wikipedia)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
“鉄”を含む語句
鉄槌
鉄棒
蹄鉄
鉄鎖
鉄砲
鉄板
地下鉄
鋼鉄
鉄格子
鉄鎚
鉄鉢
鉄屑
鉄軌
鉄火箸
鉄砲玉
鋳鉄
鉄漿
鉄柵
鉄拳
鉄梯子
...