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薦
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こも
ふりがな文庫
“
薦
(
こも
)” の例文
広野の中に
刀禰
(
とね
)
の大河が流れていた。
薦
(
こも
)
、
水葱
(
なぎ
)
に根を護られながら、昼は咲き夜は
恋宿
(
こいする
)
という
合歓
(
ねむ
)
の花の木が岸に並んで生えている。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
彼
(
かれ
)
が
薦
(
こも
)
つくこを
擔
(
かつ
)
いで
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
は
日向
(
ひなた
)
の
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
解
(
と
)
けて
粘
(
ねば
)
ついて
居
(
ゐ
)
た。お
品
(
しな
)
は
勘次
(
かんじ
)
が
一寸
(
ちよつと
)
の
間
(
ま
)
居
(
ゐ
)
なく
成
(
な
)
つたので
酷
(
ひど
)
く
寂
(
さび
)
しかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お答えして「朝早く
厠
(
かわや
)
におはいりになつた時に、待つていてつかまえてつかみひしいで、手足を折つて
薦
(
こも
)
につつんで投げすてました」
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
見ると、
濠
(
ほり
)
のそばの、
椎
(
しい
)
の木の下に、
薦
(
こも
)
を敷き、鼠色の着物を着て、尺八を差した男が、ひもじいような顔して、膝を抱えていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ゆうべは小屋に備えてある
衾
(
ふすま
)
があまりきたないので、厨子王が
薦
(
こも
)
を探して来て、舟で
苫
(
とま
)
をかずいたように、二人でかずいて寝たのである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
箪笥
(
たんす
)
と戸棚とを
薦
(
こも
)
でからげ、夜具を大きなさいみの風呂敷で包んだ。陶器はすべて
壊
(
こわ
)
れぬように、箪笥の衣類の中や
蒲団
(
ふとん
)
の中などに入れた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
こんな
塩梅
(
あんばい
)
に児供の時分から少し変っていたので、二葉亭を可愛がっていた
祖母
(
おばあ
)
さんは「この子は
金鍔
(
きんつば
)
指
(
さ
)
すか
薦
(
こも
)
被
(
き
)
るかだ、」
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
蓬頭垢面
(
ほうとうこうめん
)
身
(
み
)
に
襤褸
(
らんる
)
をまとい
薦
(
こも
)
を被り椀を手にして犬と共に人家の勝手口を徘徊して残飯を乞うもの近来漸くその跡を絶てり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
堆肥の準備が終つたのちに、なほ殘つてゐる仕事は、苗床の掩ひに使ふ麥藁の
薦
(
こも
)
を編むことである。これは半間に一間の大きさで、二十四五枚はいる。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
二人が目を合わせて注視したその井戸側の一方に、
薦
(
こも
)
をかぶせて、犬か猫なんぞのように置き捨てられた二つの物。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小さな草花の鉢が並んでいるかと思いますと、根に土を附けたまま
薦
(
こも
)
で包んで、丈の一間くらいもある杉とか、檜とかいう
常磐木
(
ときわぎ
)
も廻りに立ててあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
マニラ葉巻の一箱を横に、積み上げた
薦
(
こも
)
によりかかった彼は、その位置を終日占領して、居眠りをするか、実に美しい変化に富んだ景色に感心するかであった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
本堂の上り段に
舞台
(
ぶたい
)
を作り
掛
(
かけ
)
、左に花道あり、左右の
桟敷
(
さじき
)
は
竹牀簀
(
たけすのこ
)
薦張
(
こもばり
)
なり。土間には
薦
(
こも
)
を
布
(
しき
)
、
筵
(
むしろ
)
をならぶ。
旅
(
たび
)
の芝居
大概
(
たいがい
)
はかくの如しと市川白猿が
話
(
はなし
)
にもきゝぬ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
其
(
その
)
根方
(
ねがた
)
の
所
(
ところ
)
を、
草鞋
(
わらぢ
)
がけの
植木屋
(
うゑきや
)
が
丁寧
(
ていねい
)
に
薦
(
こも
)
で
包
(
くる
)
んでゐた。
段々
(
だん/\
)
露
(
つゆ
)
が
凝
(
こ
)
つて
霜
(
しも
)
になる
時節
(
じせつ
)
なので、
餘裕
(
よゆう
)
のあるものは、もう
今時分
(
いまじぶん
)
から
手廻
(
てまは
)
しをするのだと
氣
(
き
)
が
付
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
或日商人某が柳原の通をゆくと一人の
乞丐
(
こじき
)
が
薦
(
こも
)
の中に隠れて煙草を喫んでいるのを
瞥見
(
べっけん
)
して、この禁煙令はいまに破れると
見越
(
みこし
)
をつけて煙管を買占めたという実話がある。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
余は
鶏柵内
(
けいさくない
)
のミズクサの木の根を深く掘って、
薦
(
こも
)
に
包
(
つつ
)
んだまゝ眠った様なデカの死骸を
葬
(
ほうむ
)
った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
店のまわりを片づけ、空き樽の中で
薦
(
こも
)
を
剥
(
は
)
ぐものは剥ぎ、縄や薦はそれぞれに集め、物置の中をきれいにし、空き樽を積み直し、塩の
叺
(
かます
)
をふるったり、徳利を洗ったりした。
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
薦
(
こも
)
が
被
(
か
)
けて有りましたから、死顔は見えません、濡乱れた黒髪ばかり顕れていたのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ともかくも漂泊民たる傀儡子と持物の
莎草
(
くぐ
)
製の袋とは離れ難いもので、その関係は自分が本誌六巻五号に、乞食を「お
薦
(
こも
)
」ということの由来を論じて、
薦蓆
(
こもむしろ
)
を携帯した僧を薦僧と言い
くぐつ名義考:古代社会組織の研究
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
轢死者は線路のそばに置かれたまま
薦
(
こも
)
がかけてあるが、頭の一部と足の先だけは出ていた。手が一本ないようである。頭は血にまみれていた。六人の人がこのまわりをウロウロしている。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
夜どおし琵琶を弾くなら娘をやろうと約束したために、夜が明けると手を引いて連れて行こうとする。
台磨碓
(
したずるす
)
を
薦
(
こも
)
に包んで米俵だといって負わせて出す。路傍に休んで座頭がこういった。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
春見は人が来てはならんと、助右衞門の死骸を蔵へ運び、
葛籠
(
つゞら
)
の中へ入れ、
血
(
のり
)
の
漏
(
も
)
らんように
薦
(
こも
)
で巻き、すっぱり旅荷のように
拵
(
こしら
)
え、
木札
(
きふだ
)
を附け、
宜
(
い
)
い加減の名前を書き、井生森に向い。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
てなば
力車
(
ちからぐるま
)
に
牛
(
うし
)
の
汗
(
あせ
)
何
(
なん
)
の
積
(
つ
)
み
載
(
の
)
せきれるものかは
言
(
い
)
はぬが
花
(
はな
)
ぞお
前
(
まへ
)
さまは
盛
(
さか
)
りの
身
(
み
)
春
(
はる
)
めき
給
(
たま
)
ふは
今
(
いま
)
の
間
(
ま
)
なるべし
薦
(
こも
)
かぶりながら
見送
(
みおく
)
らんと
詞
(
ことば
)
叮嚀
(
ていねい
)
に
氣込
(
きごみ
)
あらく
齒
(
は
)
の
根
(
ね
)
きり/\と
喰
(
く
)
ひしばりて
釣
(
つ
)
り
上
(
あ
)
ぐる
眉根
(
まゆね
)
おそろしく
散髮
(
さんぱつ
)
斜
(
なゝ
)
めに
拂
(
はら
)
ひあげて
白
(
しろ
)
き
面
(
おもて
)
に
紅
(
くれなゐ
)
の
色
(
いろ
)
さしも
優
(
やさ
)
しき
常
(
つね
)
には
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
おつぎのまだ
短
(
みじか
)
い
身體
(
からだ
)
は
麥
(
むぎ
)
の
出揃
(
でそろ
)
つた
白
(
しろ
)
い
穗
(
ほ
)
から
僅
(
わづか
)
に
其
(
そ
)
の
被
(
かぶ
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
と
肩
(
かた
)
とが
表
(
あら
)
はれて
居
(
ゐ
)
る。
與吉
(
よきち
)
は
道
(
みち
)
の
側
(
はた
)
の
薦
(
こも
)
の
上
(
うへ
)
に
大人
(
おとな
)
しくして
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
わたしはこうして毎日通う塩浜の持ち主のところにいます。ついそこの
柞
(
ははそ
)
の森の中です。夜になったら、
藁
(
わら
)
や
薦
(
こも
)
を持って往ってあげましょう
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
松の——皮の付いたままの柱に、粗雑な
茅
(
かや
)
を
葺
(
ふ
)
き、板壁は少部分で、出入口は裏も表も
薦
(
こも
)
を垂れているに過ぎない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
納屋で
薦
(
こも
)
を編んでゐた駿介は、駒平に呼ばれて納屋を出て行つた。彼は自分を呼ぶ駒平の聲がなんとなく一つの亢ぶつた感情をあらはしてゐるやうに思つた。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
本堂の上り段に
舞台
(
ぶたい
)
を作り
掛
(
かけ
)
、左に花道あり、左右の
桟敷
(
さじき
)
は
竹牀簀
(
たけすのこ
)
薦張
(
こもばり
)
なり。土間には
薦
(
こも
)
を
布
(
しき
)
、
筵
(
むしろ
)
をならぶ。
旅
(
たび
)
の芝居
大概
(
たいがい
)
はかくの如しと市川白猿が
話
(
はなし
)
にもきゝぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
また「いかにかねぎつる
二
」と詔りたまひしかば、答へて白さく、「
朝署
(
あさけ
)
三
に厠に入りし時、待ち捕へ
搤
(
つか
)
み
批
(
ひし
)
ぎて、その枝
四
を引き
闕
(
か
)
きて、
薦
(
こも
)
につつみて投げ
棄
(
う
)
てつ」
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
高木
(
たかぎ
)
の
細君
(
さいくん
)
は
夜具
(
やぐ
)
でも
構
(
かま
)
はないが、おれは
一
(
ひと
)
つ
新
(
あた
)
らしい
外套
(
ぐわいたう
)
を
拵
(
こしら
)
えたいな。
此間
(
このあひだ
)
齒醫者
(
はいしや
)
へ
行
(
い
)
つたら、
植木屋
(
うゑきや
)
が
薦
(
こも
)
で
盆栽
(
ぼんさい
)
の
松
(
まつ
)
の
根
(
ね
)
を
包
(
つゝ
)
んでゐたので、つく/″\
左
(
さ
)
う
思
(
おも
)
つた
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに
葦簀
(
よしず
)
や
薦
(
こも
)
の類を縛りつけてそれで取り囲むのであるが、江畑君のお宅のような都会風の座敷廻りなどでは、前もって板で作った
蔀
(
しとみ
)
風のものを設備して、それを外側に立ててあった。
春雪の出羽路の三日
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
そして火夫も運転手も乗客も、みな身を乗り出して
薦
(
こも
)
のかけてある
一物
(
いちもつ
)
を見た。
窮死
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
最後に
椿
(
つばき
)
や
南天
(
なんてん
)
の草花などを掘って、根を
薦
(
こも
)
包みにして庭の
一隅
(
かたすみ
)
に置いた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
余は上ろうか上るまいかと
踟蹰
(
ちちゅう
)
したが、
終
(
つい
)
に
女児
(
じょじ
)
と犬を下に残して片手
欄
(
てすり
)
を握りつゝ酒樽の
薦
(
こも
)
を敷いた
楷梯
(
はしご
)
を上った。北へ、折れて西へ、折れて南へ、三
重
(
じゅう
)
の楷梯を上って漸く頂上に達した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
怒って
薦
(
こも
)
を投げたら化して天の川となったという条がある。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そのうちに幸内は、また
薦
(
こも
)
を卸してしまって
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その気もちが丹左の心にも映ったとみえ、丹左は何度も礼をのべ、
薦
(
こも
)
と尺八を背に負って不自由らしい眼を竹杖に頼りながら、壁のない家の
廂
(
ひさし
)
を離れて行った。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その根方の所を、
草鞋
(
わらじ
)
がけの植木屋が
丁寧
(
ていねい
)
に
薦
(
こも
)
で
包
(
くる
)
んでいた。だんだん露が
凝
(
こ
)
って
霜
(
しも
)
になる時節なので、
余裕
(
よゆう
)
のあるものは、もう今時分から手廻しをするのだと気がついた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
(
こ
)
の
朝
(
あさ
)
になつてからもお
品
(
しな
)
の
容態
(
ようだい
)
がいゝので
勘次
(
かんじ
)
はほつと
安心
(
あんしん
)
した。さうして
斜
(
なゝめ
)
に
遠
(
とほ
)
くから
射
(
さ
)
す
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
を
浴
(
あ
)
びながら
庭葢
(
にはぶた
)
の
上
(
うへ
)
に
筵
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
いて
俵
(
たはら
)
を
編
(
あ
)
みはじめた。
薦
(
こも
)
つくこは
兩端
(
りやうたん
)
に
足
(
あし
)
が
附
(
つ
)
いて
居
(
い
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もらってまいりましょう。そして
藁
(
わら
)
や
薦
(
こも
)
のことも頼んでまいりましょう
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
カマはすなわち関東地方に云うお
薦
(
こも
)
と同語だ。
間人考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「高木の細君は夜具でも構わないが、おれは一つ新らしい
外套
(
マント
)
を
拵
(
こしら
)
えたいな。この間歯医者へ行ったら、植木屋が
薦
(
こも
)
で
盆栽
(
ぼんさい
)
の松の根を包んでいたので、つくづくそう思った」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、敷いている
薦
(
こも
)
の席を、半分
譲
(
ゆず
)
って
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薦
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
“薦”を含む語句
推薦
竪薦
薦筵
薦包
薦骨
薦張
薦枕
横薦
薦僧
苅薦
荒薦
薦被
薦蓆
薦椎
薦縄搦
薦延
食薦
薦草
薦達
薦野
...