トップ
>
砕
>
くだ
ふりがな文庫
“
砕
(
くだ
)” の例文
旧字:
碎
私はもう、当って
砕
(
くだ
)
けるよりほかに
途
(
みち
)
がないと思った。何でもいい、ただ行って見よう。行ってどうかしよう。こう私は腹をきめた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
戦争の荒し壊す力よりも、もっと大きい力が、砲弾に
砕
(
くだ
)
かれた
塹壕
(
ざんごう
)
の、ベトンとベトンの割れ目から緑の
芳草
(
ほうそう
)
となって萌え始めた。
勲章を貰う話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
幸
(
さいわ
)
いに
根
(
ね
)
のかみついていた
岩角
(
いわかど
)
が
砕
(
くだ
)
けなかったから、よかったものの、もし
壊
(
こわ
)
れたら、おそらくそれが
最後
(
さいご
)
だったでありましょう。
しんぱくの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(
脚
(
あし
)
早くて。とっても。)(
若
(
わか
)
いがら
律儀
(
りちぎ
)
だもな。)
嘉吉
(
かきち
)
はまたゆっくりくつろいでうすぐろいてんを
砕
(
くだ
)
いて
醤油
(
しょうゆ
)
につけて食った。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
はっと思うたが及ばない、見れば猪口は一つ
跳
(
おど
)
って下の
靴脱
(
くつぬぎ
)
の石の上に
打付
(
ぶつか
)
って、
大片
(
おおきいの
)
は三ツ四ツ
小片
(
ちいさい
)
のは無数に
砕
(
くだ
)
けてしまった。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
吾ともなく興の起るのがすでに
嬉
(
うれ
)
しい、その興を
捉
(
とら
)
えて横に
咬
(
か
)
み
竪
(
たて
)
に
砕
(
くだ
)
いて、これを句なり詩なりに仕立上げる順序過程がまた嬉しい。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
将軍の声は爆弾のように、中佐の追憶を打ち
砕
(
くだ
)
いた。中佐は舞台へ眼を返した。舞台にはすでに
狼狽
(
ろうばい
)
した少尉が、幕と共に走っていた。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何か
弥次
(
やじ
)
が飛んだようだけれど、はっきり聞えない。向うの方で、麦酒瓶が
砕
(
くだ
)
ける音がした。そして、雑然たる合唱がはじまった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
が、次の瞬間、コップは横にとんではっしと壁にあたり、粉々に
砕
(
くだ
)
けた。雪子が腕を大きく振ったからであった。腕だけではない。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
近来
(
きんらい
)
は
澱粉
(
でんぷん
)
製造の会社が設立せられ、この球根を集め
砕
(
くだ
)
きそれを製しているが、白色無毒な良好澱粉が製出せられ、食用に
供
(
きょう
)
せられる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そこでチョイト外を覗くと直ぐに大
卓子
(
テーブル
)
の前の方へ引返して来たが、その態度は、今までよりも又ズット
砕
(
くだ
)
けた調子になっていた。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
犬の骨壺の方は、壺は
砕
(
くだ
)
いて藪に捨て、骨は何れも細かなものばかりであったが、幾度にも持出して溝の中へ捨てたのであった。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
最初は恐怖のために死んだのであろうと想像していたが、その
頸
(
くび
)
の骨が実際に
砕
(
くだ
)
かれているのを発見して、わたしはまた驚いた。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
川幅は一
間
(
けん
)
ばかり、水に
臨
(
のぞ
)
めば音はさまでにもないが、美しさは玉を解いて流したよう、かえって遠くの方で
凄
(
すさま
)
じく岩に
砕
(
くだ
)
ける
響
(
ひびき
)
がする。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、亀の子煎餅を指先で
砕
(
くだ
)
いては、鉢におとした。涙がこみあげて来るような気持だったが、彼はやっとそれをこらえた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
かく
寡
(
やもめ
)
となりしを
便
(
たよ
)
りよしとや、
言
(
ことば
)
を
巧
(
たく
)
みていざなへども、
一〇四
玉と
砕
(
くだ
)
けても
瓦
(
かはら
)
の
全
(
また
)
きにはならはじものをと、幾たびか
辛苦
(
からきめ
)
を忍びぬる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
と町の旅舎へ、一同を引っ張って来て、ゆうべの返礼に、馳走を振舞い、お奉行の彼もいい機嫌に酔って、すっかり
砕
(
くだ
)
けたところを見せた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人間の頭
位
(
ぐらい
)
は
拳
(
げんこ
)
で
砕
(
くだ
)
くことができると云っている。
何
(
な
)
んだか
山師
(
やまし
)
のようでもあるが、また
真箇
(
ほんとう
)
に
真言
(
しんごん
)
の
行者
(
ぎょうじゃ
)
のようでもある。
仙術修業
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ところどころの
巌角
(
いわかど
)
に波
砕
(
くだ
)
け散る。秋。成経
浜辺
(
はまべ
)
に立って海のかなたを見ている。康頼岩の上に腰をおろして
木片
(
きぎれ
)
にて
卒都婆
(
そとば
)
をつくっている。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
小さな波をつくって湯がうごくと、底に立っている
彼女
(
かれ
)
の足が、くの字を幾つもつづけたように、ゆら、ゆらと
砕
(
くだ
)
け揺れる。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
代々の
勅撰集
(
ちょくせんしゅう
)
の如き者が日本文学の城壁ならば、実に頼み少き城壁にて、かくの如き薄ツぺらな城壁は、大砲一発にて
滅茶滅茶
(
めちゃめちゃ
)
に
砕
(
くだ
)
け可申候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかし何の食物でも衛生的に食べるという習慣を養わなければなりません。即ちよく
嚼
(
か
)
み
砕
(
くだ
)
いて胃中へ送るという習慣です。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
双方から打つ玉は大抵頭の上を越して、
堺筋
(
さかひすぢ
)
では
町家
(
まちや
)
の看板が
蜂
(
はち
)
の巣のやうに
貫
(
つらぬ
)
かれ、
檐口
(
のきぐち
)
の瓦が
砕
(
くだ
)
かれてゐたのである。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その間に鉄の腕は狼の腹まで
入
(
はい
)
り、狼は苦しまぎれに鉄の腕骨を
噛
(
か
)
み
砕
(
くだ
)
きたり。狼はその場にて死したれども、鉄も
担
(
かつ
)
がれて帰り
程
(
ほど
)
なく死したり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その場合場合によって、必ず
深浅大小
(
しんせんだいしょう
)
の差異が出来るはずだ。時には、頭が
砕
(
くだ
)
けたようなものもあっていいわけだろう
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
たとへ稀れな場合に若い人等が贅沢なローマンスに耽けるとも、かれ等は年長者の監視を受け、かれ等が『性根づく』まで訓練せられ、
搗
(
つ
)
き
砕
(
くだ
)
かれる。
結婚と恋愛
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
居候浪人——岩根源左衛門は多勢の後ろから、首だけヒョロ高い身体を浮かしました、恐ろしく
砕
(
くだ
)
けた二本差です。
銭形平次捕物控:149 遺言状
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
雪頽
(
なだれ
)
といふ事
初編
(
しよへん
)
にもくはしく
記
(
しるし
)
たるごとく、山に
積
(
つも
)
りたる雪二丈にもあまるが、春の
陽気
(
やうき
)
下
(
した
)
より
蒸
(
むし
)
て
自然
(
しぜん
)
に
砕
(
くだ
)
け
落
(
おつ
)
る事
大磐石
(
だいばんじやく
)
を
転
(
まろば
)
しおとすが如し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
姉さまのする事我れもすとて
硯
(
すゞり
)
の石いつのほどに
持
(
も
)
て
出
(
い
)
でつらん、
我
(
わ
)
れもお月さま
砕
(
くだ
)
くのなりとてはたと
捨
(
す
)
てつ
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
言
(
こと
)
は簡なれども、事情の大方は
推
(
すい
)
せられつ。さて何とか救済の道もがなと
千々
(
ちぢ
)
に心を
砕
(
くだ
)
きけれども、その術なし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
グラグラと
眩暈
(
めまい
)
がして、世界が遠のいて行くのを感じたかと思うと、グンと
脊骨
(
せぼね
)
が
砕
(
くだ
)
ける様なショックを受けた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「物事は当って
砕
(
くだ
)
けろさ。俺達だけじゃないよ、こんな生活は山のようにあるんだから
恐
(
おそ
)
れる事はないだろう」
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
暁の風に姥の
裳裾
(
もすそ
)
も、袖も
白髪
(
しらが
)
も
靡
(
なび
)
き
翻
(
ひるがえ
)
り、波が
砕
(
くだ
)
けて作られた
水泡
(
みなわ
)
が、涌き立ち踊り騒ぎ立つように見えた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
笑うことも
稀
(
まれ
)
に、
櫓
(
ろ
)
こぐにも酒の勢いならでは歌わず、
醍醐
(
だいご
)
の入江を夕月の光
砕
(
くだ
)
きつつ
朗
(
ほが
)
らかに歌う声さえ哀れをそめたり、こは聞くものの心にや、あらず
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
鳥貝は日に干して俵に詰めるのだなどと言う。浪が畠の下の崖に
砕
(
くだ
)
ける。
日向
(
ひなた
)
がもくもくと頭の髪に浸みる。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
「外でもないが、拙者幼年の頃より、独立自発、
心肝
(
しんかん
)
を
砕
(
くだ
)
いて、どうやら編み出した流儀の、
奥義
(
おうぎ
)
を譲ろう」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
彼はその血だらけになって
砕
(
くだ
)
け飛んだ人形の足を師匠に
請
(
こ
)
うて貰い受け真綿にくるみ白木の箱に収めて
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
障子をあけると、宇治の
早瀬
(
はやせ
)
に九日位の月がきら/\
砕
(
くだ
)
けて居る。ピッ/\ピッ/\
千鳥
(
ちどり
)
が
鳴
(
な
)
いて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
西空は一面に都会の夜街の
華々
(
はなばな
)
しいものが
踊
(
おど
)
りつ、打ち合いつ、
砕
(
くだ
)
けつする光の反射面のようである。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ニキタはぱッと
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けるより、
阿修羅王
(
あしゅらおう
)
の
荒
(
あ
)
れたる
如
(
ごと
)
く、
両手
(
りょうて
)
と
膝
(
ひざ
)
でアンドレイ、エヒミチを
突飛
(
つきとば
)
し、
骨
(
ほね
)
も
砕
(
くだ
)
けよとその
鉄拳
(
てっけん
)
を
真向
(
まっこう
)
に、
健
(
したた
)
か
彼
(
かれ
)
の
顔
(
かお
)
を
敲
(
たた
)
き
据
(
す
)
えた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「その後も悪魔の調伏に心を
砕
(
くだ
)
いて、夜も碌々にお眠りなさらぬ」と、泰忠も声をくもらせて言った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その実というのはちょうど
豆腐
(
とうふ
)
を
漉
(
こ
)
したようなものでチベット語でチューラというおから(
豆腐滓
(
とうふかす
)
)よりはまだ柔かく全く豆腐の
砕
(
くだ
)
けたようなもので非常にうまい。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
若
(
もし
)
くは波浪に
砕
(
くだ
)
かれてしまったが、それでも現存している島、大なるは二、三
町歩
(
ちょうぶ
)
にわたり
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
自分の全力の
砕
(
くだ
)
けるまで闘わなければ済まない。
恋
(
こい
)
なぞ、という個人的な感情は、
揚棄
(
アウフヘエベン
)
せよ。それが、義務だという声もきこえる。それより、ぼくも
棄
(
す
)
てたいと望んでいる。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
まだ一世紀半ほど前のことに過ぎませんが、出雲には
松平不昧
(
まつだいらふまい
)
公という殿様が出ました。名君で産業に学藝に並びつとめ、国を富ましめ文化を進めることに身を
砕
(
くだ
)
きました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
十日ばかりの月が向こう岸の森の上に出て、
渡船場
(
わたしば
)
の
船縁
(
ふなべり
)
にキラキラと美しく
砕
(
くだ
)
けていた。
肌
(
はだ
)
に冷やかな風がおりおり吹いて通って、やわらかな
櫓
(
ろ
)
の音がギーギー聞こえる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ただ俺はこの臆病な心に
打克
(
うちか
)
って、立派に死んでみせようと、どれだけ心を
砕
(
くだ
)
いたことか。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
先ず霜柱は土にしか立たないものか、他の適当な粉に適当に水分を含ませたらそれでも出来るかを見るために、
紅殻
(
ベンガラ
)
の粉、
澱粉
(
でんぷん
)
類、ガラスを
砕
(
くだ
)
いた粉などを用いて実験がしてある。
「霜柱の研究」について
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
博士
(
はくし
)
がそう言ったとき、ガチャーンと、ガラスが
砕
(
くだ
)
ける音が、二階のどこかでした。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
ひつじは
俄然
(
がぜん
)
虎になった。処女は
脱兎
(
だっと
)
になった。いままで
湲々
(
えんえん
)
と流れた小河の水が
一瀉
(
いっしゃ
)
して海にいるやいなや
怒濤
(
どとう
)
澎湃
(
ほうはい
)
として岩を
砕
(
くだ
)
き石をひるがえした。光一の舌頭は火のごとく熱した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
砕
常用漢字
中学
部首:⽯
9画
“砕”を含む語句
打砕
砕片
粉砕
玉砕
粉骨砕身
噛砕
零砕
破砕
撃砕
砕粉
踏砕
砕破
推砕
粉砕筒
破砕器
鉄砕
細砕
駁砕
露砕
頭砕
...