)” の例文
『お前もめたら、一緒に行くのす。』と言つて、お八重は輕く笑つたが、『そだつけ、大變だお定さん、急がねえばならねえす。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
激しかつた私の空腹は、十分でない迄も、この仙人の食物で薄らいだ。食事が濟むと夜のお祈りをした。そして私の寢場所をめた。
「お気の毒でした。ようやくすっかりまりました。なかなかめんどうでしてな……昨夜の相談でもいろいろの話が出ましてな」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
滝人は、そうして勝利の確信をめ、眼前に動けなくなった獲物があるのを見ると、それをもてあそびたいような快感がつのってきた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「じゃ、親父さんを探したらいいでしょう。またおまりの茶飯ちゃめし屋へでも行って、勝手な大たくらを吹いているに違いない」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そなたがなんおうと、神界しんかいではすでに人民じんみんねがいをれ、小桜神社こざくらじんじゃてさせることにめた。そなたの器量ちから神界しんかいなにもかも御存ごぞんじじゃ。
僕がめてやらう。(二つをかはがはるに指で指し)ド ツ チ ニ シ ヨ ウ カ ナ……。こつちだ。(道代に渡す)
ママ先生とその夫 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
おればかりはけっしてねむくなったとて、我慢がまんをしてねむりはしないとこころめて、好奇心こうきしんさそうままに、その「ねむまち」のほうしてあるいてきました。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「篠田さん、最早もう決して弱き心は持ちませぬ」と梅子も今は心めつ「何時と云ふかぎりも御座いませぬから、是れでお別れ致します、只今の御一言を ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「お前の趣味は、一体なんだ」と、ルピック氏はたずねる——「もうそろそろ食って行く道をめにゃならん年だ、お前も……。なにをやるつもりだい?」
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
それにしても、これぢやああんまり体裁ていさいが悪いから、もう少し何とか店附みせつきくしようと云つてゐるんですが、例の区画整理がまだ本当にまらないんでね。
赤い杭 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
松岡はっと時計を持っているくせにそう言って、ことりことりと長い階段を上って行くのだった。
三階の家 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ただ素人しろうとの一友人が「二千から三千がよい」と勧めた。バアトンも迷つた末、一千部にめた。
男女の間の情愛は肉をとおして後に開かれるのだと、今までの経験からもめている渡瀬には、これほどこうじてきた恐ろしい衝動をきとめる力はもうなくなりかけていた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
結局けっきょく洪積は地形図の百四十メートルの線以下いかという大体の見当も附けてあとは先生が云ったように木のそだ工合ぐあいや何かを参照さんしょうしてめた。ぼくは土性の調査よりも地質ちしつの方が面白おもしろい。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「そうおめになったらどうです。そうすれば荷物を取りにやりますから」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この瞬間とも刹那とも言いようのない、迅速な変化に、あきれ返って、写生の手を丸ッきり休めてしまった、そうしてひょいと私と顔を見合せて、両方でまりの悪いような、話のわかったような
日本山岳景の特色 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
『戦国策』に人あり係蹄わなを置きて虎を得たるに、虎怒りてあしのうらって去る、虎の情その蹯を愛せざるにあらざれど、環寸わずかの蹯を以て七尺の躯を害せざる者は権なりとあって虎の決断をめ居る。
少しわきのほうには、讃美歌さんびか器用きようにこなす子供たちがならんでいて、そのなかの一人はいつもうたす前に、そっといろいろな声でうなるような真似まねをする——これをしょうして、調子ちょうしめるというのだ。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
かれ其覺悟そのかくごめながらなほ、躊躇ためらうてたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ロミオ それは此劍これめるわ。
めてありません」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もうすまでもなく、うまれる人間にんげんにはかならず一人ひとり守護霊しゅごれいけられますが、これもみなうえ神界しんかいからのお指図さしずめられるようにうけたまわってります。
「今めることが出來ますか?」と傳道者はたづねた。その問ひはやさしい調子であつた。彼は出來るだけやさしく私を引よせた。
遠駆とおがけの一ばん試合じあいで、勝敗しょうはいめることは当方とうほうで、のぞむところ、たしかに承知しょうちした。さらば、すぐそちらでもおしたくを」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、まえ汽車きしゃまどから、かおしているわかおんなひとを、あのおんなひといもうとさんであるとこころめてしまいました。
窓の下を通った男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昨夜ゆうべ阿父おとつさん阿母おつかさんと話していらしつたんですよ、早く其様さうめて松島様の方へ挨拶あいさつしなければ、此方こちらも困まるし、大洞おほほらの伯父さんも仲に立つて困まるからつて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ルピック氏が、時計を眺めて、めただけの時間を計っている間、この中でじっとしてい、この中で動きまわらなければならない。にんじんは、ふるえあがる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
『さうぢや無いんですけど。』と繰返して、『どう貴兄あなたの居る間に、何とかめなけやならない事よ。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「内々は知ってるでしょうけれど……表向きはまだ発表してないんです。二三日のうちにはすっかり村会でめてしまうつもりですから、来週からは出ていただけると思いますが……」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
この剪定鋏せんていばさみはひどくねじれておりますから鍛冶かじに一ぺんおかけなさらないと直りません。こちらのほうはみんな出来ます。はじめにお値段ねだんめておいてよろしかったらおぎいたしましょう。
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
どうせ会ふ日はめられないんだし、不意に来て、一日か二日、そばにゐられるつていふだけで、あたしは満足だつたんだから……。今から考へると、よく、あんな風で、これまで続いたと思ふわ。
モノロオグ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
が、想像さうざう矢張やはりわるはうへばかりはしらうとする。如何どうかすると、恋人こひゞとつたことを、すでうごかすべからざる事実じゞつめてしまつてゐる。さうして、其事実そのじゞつのうへに、色々いろ/\不幸ふかう事実じゞつをさへきづきあげてゐる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「こよいこそは」と、五千の鋤鍬部隊は、墨のような夜をひそかに出て、涪江の堤に接近し、無二無三堤をって、濁水を地にみなぎらせんと働いた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これをいた龍雄たつおおやたちはたいそうよろこびました。そして、さっそく龍雄たつおをそのうちへやることにめました。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして子爵とはブロニュの森で會合することを取りめたのです。次の朝私は彼と決鬪をする喜びを持つた。
『何と申して可いか……ナンですけれども、おめになつてあるのだば爲方がない譯でごあんす。』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
みんなはぼくだの斉藤君さいとうくんだの行かないので旅行が不成立ふせいりつになるとってしきりにめた。武田たけだ先生まで何だかへんな顔をして僕に行けと云う。僕はほんとうにつらい。明后日みょうごにちまでにすっかりまるのだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
人にめてもらつた人物になるんでもなく、人の書いた台詞せりふを云ふんでもない、今日のやうな場合でも、自分が何処へ行くのかわからず、一言ひとこと喋舌しやべつた後で、何をしでかすかわからないんですもの。
職業(教訓劇) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
六がけで話がまって、小使がそこにおけばちとを運んで来た。ピンとするほどはかりをまけた鮒はヒクヒクとあぎとを動かしている。おやじはやがてぜにを受け取って軽くなった笭箵びくをかついで帰って行く。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
そこが私達わたくしたち夫婦ふうふ会合かいごう場所ばしょめられました。
バスの停留場ていりゅうじょうが、このいえまえにでもくことにまったものなら、このみせはいくら繁昌はんじょうするかしれないぜ。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ウむ。そうありたいもの。……さしずめまた若御料のお住居も、こう御家来がふえては、いまの別当房では、どうにもなるまい。それからめよう。ぞ、義助をよんでまいれ」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
製本屋 話をめて頂きたいんですがね。
雅俗貧困譜 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
めたす、お八重さん。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かれらは、たがいにまえのことをいいあらそいましたが、ついに、もうこれからは、かならずいっしょになって、太郎たろうてきとしてたたかわなければならぬということにめました。
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さすがに新九郎もややまりが悪そう。そこにいたのは彼一人であったが、部屋の隅には、女柄の湯上がり着がしどけなく脱ぎ捨ててある。それを見ると、二人の方がちょっとてれて
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今日きょうじゅうに、これだけたがやしてしまおうとこころめると、たとえれかかっても、やすまずに仕事しごとせいれるという性質せいしつでしたから、むらひとたちからも信用しんようされていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「神慮にまかすという意味いみは、神籤みくじでも引いてめようということであるか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
両親りょうしんは、おじいさんの世話せわだから、安心あんしんしてすぐにやることにめました。
海へ (新字新仮名) / 小川未明(著)