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楽
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たのし
ふりがな文庫
“
楽
(
たのし
)” の例文
旧字:
樂
御覧の通りわたしは年寄で、こんな一軒家に一人ぼっちで住んでいるものですから、外に何の
楽
(
たのし
)
みもありませんですから、お金などを
でたらめ経
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
「
私
(
わし
)
も今日が
書入日
(
かきいれび
)
でござりまする。この御寺に、月に二斎を
楽
(
たのし
)
みにいたしております。どうぞ
一番
(
ひとつ
)
御上人様へ御取次下されまし。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飯「
己
(
おれ
)
は
外
(
ほか
)
に
楽
(
たのし
)
みはなく釣が
極
(
ごく
)
好きで、番がこむから、
偶
(
たま
)
には好きな釣ぐらいはしなければならない、それを
止
(
と
)
めてくれては困るな」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かかれば何事にも楽むを知らざりし心の今日
偶
(
たまた
)
ま人の
相悦
(
あひよろこ
)
ぶを見て、又
躬
(
みづから
)
も
怡
(
よろこ
)
びつつ、
楽
(
たのし
)
の影を追ふらんやうなりしは何の故ならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
月々の雑誌を二三冊とって、始めから終まで丹念に読むのが
楽
(
たのし
)
みのひとつで、日曜祭日にも郊外を散歩する
位
(
くらい
)
がせきのやまだった。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
▼ もっと見る
病
(
や
)
むまじき事
也
(
なり
)
衰
(
おとろ
)
ふまじき事
也
(
なり
)
病
(
や
)
み
衰
(
おとろ
)
へたる
小生等
(
せうせいら
)
が骨は、
人知
(
ひとし
)
らぬ
苦
(
く
)
を
以
(
もつ
)
て、
人知
(
ひとし
)
らぬ
楽
(
たのし
)
みと
致候迄
(
いたしそろまで
)
に
次第
(
しだい
)
に
円
(
まる
)
く曲り
行
(
ゆ
)
くものに
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
殺された内地人の殆んど全部は
僻遠
(
へきえん
)
の山間に在って、
楽
(
たのし
)
み少く、僅かに運動会の開催に胸とどろかせていた気の毒な人たちである。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
で、自分は
其処
(
そこ
)
の
水際
(
みずぎわ
)
に
蹲
(
うずくま
)
って釣ったり、
其処
(
そこ
)
の
堤上
(
ていじょう
)
に寝転がって、たまたま得た何かを雑記帳に一行二行記しつけたりして毎日
楽
(
たのし
)
んだ。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然るに今日では、学問は中々
楽
(
たのし
)
みどころでない、道楽どころではない、よほどうるさい、頗る苦しいもののように思われている。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
何かその中の話を問うて見るのに、
啻
(
ただ
)
に文学として
観
(
み
)
ていないばかりではない、
楽
(
たのし
)
んで読んでいるという事さえないようである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
二人の兄弟はそれを拾うのを
楽
(
たのし
)
みにして、まだあの実が青くて食べられない時分から、早く
紅
(
あか
)
くなれ早く紅くなれと言って待って居ました。
二人の兄弟
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
(というのは前にもいった通り『其面影』の題名に関して往復数回した事があったからで、)定めし面白いものであろうと
楽
(
たのし
)
みにしておる
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
我
(
わが
)
越後のごとく
年毎
(
としごと
)
に
幾丈
(
いくぢやう
)
の雪を
視
(
み
)
ば
何
(
なん
)
の
楽
(
たのし
)
き事かあらん。雪の
為
(
ため
)
に
力
(
ちから
)
を
尽
(
つく
)
し
財
(
ざい
)
を
費
(
つひや
)
し千
辛
(
しん
)
万
苦
(
く
)
する事、
下
(
しも
)
に
説
(
と
)
く
所
(
ところ
)
を
視
(
み
)
ておもひはかるべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
職業
(
しやうばい
)
ではありません。
職業
(
しやうばい
)
では
迚
(
とて
)
も殺生は出来ません。料理は芸の一つで、芸には工夫とそれに
附物
(
つきもの
)
の
楽
(
たのし
)
みといふものがありますからね。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
喜びの深きとき
憂
(
うれい
)
いよいよ深く、
楽
(
たのし
)
みの大いなるほど苦しみも大きい。これを切り放そうとすると身が持てぬ。
片
(
かた
)
づけようとすれば世が立たぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その阿兄さんのところへ尋ねて行く継子さんはどんなに
楽
(
たのし
)
いことでせう。それに附いて行くわたくしは、どうしてもお供といふ形でございます。
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
酔うたる人は醒むる時の来るが如く、
楽
(
たのし
)
める者、
驕
(
おご
)
れるもの、
悦
(
よろこ
)
べるもの、浮かるるもの早晩傷み、嘆き、悔い
憂
(
うれ
)
うる時の来ることを
免
(
まぬか
)
れない。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
乞食には虱を取らせて
呉
(
く
)
れた
褒美
(
ほうび
)
に
飯
(
めし
)
を
遣
(
や
)
ると云う
極
(
きま
)
りで、
是
(
こ
)
れは母の
楽
(
たのし
)
みでしたろうが、私は
穢
(
きた
)
なくて穢なくて
堪
(
たま
)
らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
お登和嬢は新らしき皿を客の前に出し「大原さん、これは羊のロースですよ。羊はお珍らしゅうございましょう」と大原の
悦
(
よろこ
)
ぶが何よりの
楽
(
たのし
)
み。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それが又、Tには
一寸
(
ちょっと
)
捨て
難
(
がた
)
い、おつな
楽
(
たのし
)
みでもあったのだ。一体Tの女房というのが、なかなかどうして、Tなんかに、
勿体
(
もったい
)
ない様な美人でね。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「露の落つる音」とか「梅の月が
匂
(
にお
)
ふ」とかいうことをいうて
楽
(
たのし
)
む歌よみが多く候えども、これらも面白からぬ嘘に候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
わづかに太平を
楽
(
たのし
)
んだ将軍は、三代
義満
(
よしみつ
)
と八代
義政
(
よしまさ
)
くらゐであるが、義満は驕奢に耽つて、財政窮乏を切り抜けるため、明と屈辱外交を結んだり
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
馬鹿な話さ、保養に来ていながら働くことを考えるのが何よりの
楽
(
たのし
)
みだ。
因業
(
いんごう
)
のようだが
俺
(
わし
)
はこれだから兎に角世間並にやって行けるのだと思う。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
我は此獄室をもて金殿玉楼と思ひ
了
(
な
)
しつゝ、
楽
(
たのし
)
き
娑婆
(
しやば
)
世界と歓呼しつゝ、五十年の生涯、誠に安逸に過ぐるなるべし。
我牢獄
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
各
(
おのおの
)
これを揚げて
楽
(
たのし
)
むこともするが、唯揚げるばかりでなく、凧合戦をする事が盛んであった。これは子供でなく、二十歳近くの者が先立ってやった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
そして、列車が、あの魔のカーヴに近づくにつれ、そのワクワクするような
楽
(
たのし
)
さは、いやが上にも拡大されて行った。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
人なき一室を我が世と
楽
(
たのし
)
みて、又た他事もなき折こそあれ、「バタリ」響ける物音に、何事と
彼方
(
かなた
)
を見れば、今しも便所の扉開きて現はれたる一客あり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
来ると、
何時
(
いつ
)
も文学の話ばかりで、それが小酒井さんには
楽
(
たのし
)
みであったようでした。他にそういう話をする人が名古屋に無かったからだろうと思われます。
小酒井さんのことども
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
殊に往診用の自用車というものに憧憬を持ったものである。そして毎日人力車の種々相を描く事を
楽
(
たのし
)
みとした。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
比較的
空
(
す
)
いた
下
(
しも
)
ノ
関
(
せき
)
行
(
ゆき
)
の急行の窓によりかかって、独り旅の気軽さを
楽
(
たのし
)
みながら、今頃は伯父が手紙を見てどんなに喜んでいるかなどと、ぼんやり考えて見た。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
山崎洋服店の裁縫師でもなく、
天賞堂
(
てんしょうどう
)
の店員でもないわれわれが、銀座界隈の
鳥瞰図
(
ちょうかんず
)
を
楽
(
たのし
)
もうとすれば、この天下堂の
梯子段
(
はしごだん
)
を
上
(
あが
)
るのが一番
軽便
(
けいべん
)
な手段である。
銀座
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一円か二円たまると、それで寄席にはいるとか
氷水
(
こおりみず
)
を飲むとかするのを
楽
(
たのし
)
みにしているそうな。一人五円
位
(
くらい
)
の費用で三週間入湯して行くことが出来るのだそうな。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
早晩予も形体は無きに至るも、一双の霊魂は永く斗満の地上に
在
(
あっ
)
て、其
盛
(
さかん
)
なるを見て
楽
(
たのし
)
まん事を祈る。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
僕は最近二年間痛切にそれを感ずるようになったが、そのことが
沁々
(
しみじみ
)
わかったのも実はお前のお蔭なんだよ。僕は毎土曜日にここへ来てお前と
談
(
はなし
)
をするのが
楽
(
たのし
)
みだった。
フェリシテ
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
眺
(
なが
)
めて居ると
少年心
(
こどもごころ
)
にも
哀
(
かなし
)
いような
楽
(
たのし
)
いような、
所謂
(
いわゆ
)
る
春愁
(
しゅんしゅう
)
でしょう、そんな
心持
(
こころもち
)
になりました。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
この四季の里は俳名
馬好
(
ばこう
)
と号した常に馬を
楽
(
たのし
)
んだ風狂の
伯楽
(
ばくろ
)
が初めて営んだものだそうであった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
親鳥が雛をはぐくむように胸に育てていた其
楽
(
たのし
)
みの萌芽も、この一条の鋼索と雪の上に印された無数の足跡とに依って、未だ二葉ならざるにむざと
蹂躙
(
ふみにじ
)
られてしまった。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
鼓というのが三河の
万歳
(
まんざい
)
以外に、使う者がないようになれば、後はただタンポポの音の快さと、その花の
鮮
(
あざや
)
かな色とを
楽
(
たのし
)
むばかりで、言わばその次にもっと面白い名前の
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
近年細君に死なれてからは各国で職に就いて居る子供の
処
(
ところ
)
へ遊んで廻るのを
楽
(
たのし
)
みとして居る。
此処
(
ここ
)
から船を乗替へて南阿のトランスバアルに居る
末子
(
ばつし
)
の
許
(
もと
)
を
訪
(
と
)
ふのだ
相
(
さう
)
だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
講義中でも学生に拍手させるのを何よりの
楽
(
たのし
)
みに致しておった位で御座いますから……ナニ……何ですか……スクリーンの中からじゃ、手を叩いても聞えまい……?……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ダガネ、モウ少し過ぎると僕は
船乗
(
ふなのり
)
になって、初めて航海に
行
(
ゆ
)
くんです。実に
楽
(
たのし
)
みなんです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
以て無上の
楽
(
たのし
)
みとするの一事あるのみ、実に造化の作戦計画は、あたかも真綿を以て首を締むるが如き手段なりしなり、しかも予らは屈せずして、これに堪えつつありしに
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、これらの国々の見学を終えて帰朝した時、日本の探偵界に春田君がどんな活躍をするか、それを
楽
(
たのし
)
みに、どうぞお忘れなくお待ち下さい。
謎の頸飾事件
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
残余のこの世の戦いも相見ん時を
楽
(
たのし
)
みによく戦い終えしのち心
嬉
(
うれ
)
しく逝かんのみ。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
お島が
楽
(
たのし
)
みにして世話をしていた植木畠や
花圃
(
はなばた
)
の床に、霜が段々
滋
(
しげ
)
くなって、
吹曝
(
ふきさら
)
しの一軒家の軒や羽目板に、或時は寒い
山颪
(
やまおろし
)
が、
凄
(
すさま
)
じく木葉を吹きつける冬が町を見舞う頃になると
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
明治四十年頃観潮楼歌会といわれるのをなすった頃、その
御馳走
(
ごちそう
)
をレクラム料理といいました。会の度ごとに小さなレクラム本を繰返して、今度は何にしようか、と
楽
(
たのし
)
んでいられました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
直接の関係はなくとも、
斯
(
か
)
く間接の
感化
(
かんくわ
)
をうくるものなれば、尊敬の意をうしなふまじきものなりなど、花は見ずして
俯向
(
うつむき
)
ながら庭を
巡
(
めぐ
)
るに、
斯
(
か
)
く
花園
(
はなぞの
)
を
開
(
ひら
)
きて、人の心を
楽
(
たのし
)
ます
園主
(
ゑんしゆ
)
の
功徳
(
くどく
)
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
誰
(
だれ
)
でも年を
老
(
と
)
れば手は
荒
(
あ
)
れます。そんなことより、早く帰って勉強をなさい。お前の立派になることばかり私には
楽
(
たのし
)
みなんだから。お父さんがお聞きになると
叱
(
しか
)
られますよ。ね。さあ、おいで。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
これを要するに、楽は衆とともにするに
如
(
し
)
かず。いやしくも衆の
楽
(
たのし
)
むところを度として改正せば、あに振興の道なからんや。ひとえに才あり志あり余力ある人の裁制・誘導あらんことを要するのみ。
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
詩人は社会を
楽
(
たのし
)
んで毫も社会に混ぜず、詩人は神に近きを尊び己に近きを佳なりとす、一切社会の批判者にして一切社会の讃美者なり、絶対的傍観の見地に立ちて始めて、真詩人の職を完うし得べし
絶対的人格:正岡先生論
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
楽
常用漢字
小2
部首:⽊
13画
“楽”を含む語句
安楽椅子
道楽
神楽
快楽
音楽
伯楽
管絃楽
安楽
歓楽
楽園
娯楽
設楽
道楽者
楽欲
神楽岡
邑楽
雅楽寮
倶楽部
独楽
楽器
...