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暇乞
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いとまごひ
ふりがな文庫
“
暇乞
(
いとまごひ
)” の例文
述
(
のべ
)
用意
(
ようい
)
の
雨具
(
あまぐ
)
甲掛
(
かふかけ
)
脚絆
(
きやはん
)
旅拵
(
たびごしら
)
へもそこ/\に
暇乞
(
いとまごひ
)
して
門
(
かど
)
へ立出
菅笠
(
すげがさ
)
さへも
阿彌陀
(
あみだ
)
に
冠
(
かぶ
)
るは
後
(
あと
)
より
追
(
おは
)
るゝ
無常
(
むじやう
)
の
吹降
(
ふきぶり
)
桐油
(
とうゆ
)
の
裾
(
すそ
)
へ提灯の
灯
(
ひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
庭樹の
茂
(
しげり
)
に隠れ行く篠田の
後影
(
うしろかげ
)
ながめ
遣
(
や
)
りたる渡辺老女の
瞼
(
まぶた
)
には、ポロリ一滴の露ぞコボれぬ「きツと、お
暇乞
(
いとまごひ
)
の
御積
(
おつもり
)
なんでせう」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
金
(
きん
)
の
小鳥
(
ことり
)
のやうないたいけな
姫君
(
ひめぎみ
)
は、
百日鬘
(
ひやくにちかつら
)
の
山賊
(
さんぞく
)
がふりかざした
刃
(
やいば
)
の
下
(
した
)
に
手
(
て
)
をあはせて、
絶
(
た
)
えいる
声
(
こえ
)
にこの
世
(
よ
)
の
暇乞
(
いとまごひ
)
をするのであつた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
両親にもながの
暇乞
(
いとまごひ
)
をして、やがて肌を脱いで、刀を手に取つた。
介錯
(
かいしやく
)
役に
側
(
そば
)
に
突立
(
つゝた
)
つてゐた伯父は落ついた声で呼びかけた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
暇乞
(
いとまごひ
)
して戸口を出づれば、勝手元の垣の
側
(
きは
)
に
二十歳
(
はたち
)
かと見ゆる
物馴顔
(
ものなれがほ
)
の婢の
待
(
ま
)
てりしが、
後
(
うしろ
)
さまに
帯㕞
(
おびかひつくろ
)
ひつつ
道知辺
(
みちしるべ
)
す。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
無蓋車を降りて、車掌に
暇乞
(
いとまごひ
)
して、きよろ/\と見廻して、それから向ふの
酒瓶
(
さかびん
)
の絵看板の出てゐる
見世
(
みせ
)
の方へ行つた。
固
(
もと
)
より酒を飲みにぢやない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
平次はそんな事を言つて暫らくの
暇乞
(
いとまごひ
)
をしました。見ると輕い旅裝束、片瀬、江の島へ行くと言ふのも滿更の嘘とは思へません。往來まで送つて出た佐七
銭形平次捕物控:056 地獄から来た男
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌日は
謝肉祭
(
カルナワレ
)
の終る日なりき。又アヌンチヤタが滯留の終る日なりき。我は
暇乞
(
いとまごひ
)
におとづれぬ。市民がその技能に感じて與へたる喝采をば、姫深く喜びたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そこで
暇乞
(
いとまごひ
)
をしようと思ふと、どうした拍子か、わたしのステツキが股の間に插まつたので、わたしは二人の尼さんの前でマズルカを踊るやうな足取をしました。
尼
(新字旧仮名)
/
グスターフ・ウィード
(著)
わたくしはお石さんに
暇乞
(
いとまごひ
)
をして、小間物屋の帳場を辭した。小間物屋は牛込
肴町
(
さかなまち
)
で當主を淺井平八郎さんと云ふ。初め石は師岡久次郎に嫁して
一人女
(
ひとりむすめ
)
京を生んだ。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
本所
(
ほんじよ
)
へ
行
(
い
)
つて探して見ようと思つて、
是真翁
(
ぜしんをう
)
の
家
(
いへ
)
を
暇乞
(
いとまごひ
)
して
是
(
これ
)
から
直
(
す
)
ぐに
本所
(
ほんじよ
)
へ
行
(
ゆ
)
きました。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三千代を
連
(
つ
)
れて国へ帰る時は、娘とともに
二人
(
ふたり
)
の下宿を別々に
訪
(
たづ
)
ねて、
暇乞
(
いとまごひ
)
旁
(
かた/″\
)
礼を
述
(
の
)
べた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
石段を降りると圭一郎の姿を見つけるなり千登世に急ぎ
暇乞
(
いとまごひ
)
して、つか/\と彼の方へ走つて來て、ちよつと眼くばせするといきなり突き當るやうにして一通の手紙を渡してくれた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
それから
談話
(
はなし
)
にはまた
一段
(
いちだん
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
いて、
日永
(
ひなが
)
の五
月
(
ぐわつ
)
の
空
(
そら
)
もいつか
夕陽
(
ゆうひ
)
が
斜
(
なゝめ
)
に
射
(
さ
)
すやうにあつたので、
私
(
わたくし
)
は
一先
(
ひとま
)
づ
暇乞
(
いとまごひ
)
せんと
折
(
をり
)
を
見
(
み
)
て『いづれ
今夜
(
こんや
)
弦月丸
(
げんげつまる
)
にて——。』と
立
(
た
)
ちかけると
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夫
(
をつと
)
は
蓑笠
(
みのかさ
)
稿脚衣
(
わらはゞき
)
すんべを
穿
(
はき
)
(
晴天
(
せいてん
)
にも
簑
(
みの
)
を
着
(
きる
)
は雪中
農夫
(
のうふ
)
の常也)
土産物
(
みやげもの
)
を
軽荷
(
かるきに
)
に
担
(
にな
)
ひ、
両親
(
ふたおや
)
に
暇乞
(
いとまごひ
)
をなし
夫婦
(
ふうふ
)
袂
(
たもと
)
をつらね
喜躍
(
よろこびいさみ
)
て
立出
(
たちいで
)
けり。
正是
(
これぞ
)
親子
(
おやこ
)
が
一世
(
いつせ
)
の
別
(
わか
)
れ、
後
(
のち
)
の
悲歎
(
なげき
)
とはなりけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
お
母樣
(
はゝさま
)
御機嫌
(
ごきげん
)
よう
好
(
よ
)
い
新年
(
しんねん
)
をお
迎
(
むか
)
ひなされませ、
左樣
(
さやう
)
ならば
參
(
まい
)
りますと、
暇乞
(
いとまごひ
)
わざとうやうやしく、お
峯
(
みね
)
下駄
(
げた
)
を
直
(
なほ
)
せ、お
玄關
(
げんくわん
)
からお
歸
(
かへ
)
りでは
無
(
な
)
いお
出
(
で
)
かけだぞと
圖分
(
づぶ
)
/\しく
大手
(
おほで
)
を
振
(
ふ
)
りて
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
以て親と思ふの
孝心
(
かうしん
)
一
途
(
づ
)
に
潔
(
いさぎ
)
よく母に
暇乞
(
いとまごひ
)
なし五兩の金を路用にと懷中して其夜は十三
里
(
り
)
淀川
(
よどがは
)
の船に
打乘
(
うちのり
)
一日も早くと江戸へぞ
下
(
くだ
)
りける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
用談果つるを
俟
(
ま
)
ちて貫一の
魚膠無
(
にべな
)
く
暇乞
(
いとまごひ
)
するを、満枝は
暫
(
しば
)
しと
留置
(
とどめお
)
きて、用有りげに奥の間にぞ
入
(
い
)
りたる。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
平次は間もなく
暇乞
(
いとまごひ
)
をして出ました。が、門口へお品を呼んで、何やら耳打ちすると其儘ガラツ八をつれて、神田の家とは方角違ひの、原庭の方へ道を急ぎます。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
翌日の夕まだ「アヱ、マリア」の鐘鳴らぬほどに、人々我を伴ひて寺にゆき、母上に
暇乞
(
いとまごひ
)
せしめき。きのふ祭見にゆきし
晴衣
(
はれぎ
)
のまゝにて、狹き木棺の
裡
(
うち
)
に臥し給へり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
高瀬舟
(
たかせぶね
)
は京都の高瀬川を上下する小舟である。徳川時代に京都の罪人が
遠島
(
ゑんたう
)
を申し渡されると、本人の親類が牢屋敷へ呼び出されて、そこで
暇乞
(
いとまごひ
)
をすることを許された。
高瀬舟
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
立
(
た
)
つ
前
(
まへ
)
に、
宜道
(
ぎだう
)
と
連
(
つ
)
れだつて、
老師
(
らうし
)
の
許
(
もと
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
暇乞
(
いとまごひ
)
に
行
(
い
)
つた。
老師
(
らうし
)
は
二人
(
ふたり
)
を
蓮池
(
れんち
)
の
上
(
うへ
)
の、
縁
(
えん
)
に
勾欄
(
こうらん
)
の
着
(
つ
)
いた
座敷
(
ざしき
)
に
通
(
とほ
)
した。
宜道
(
ぎだう
)
は
自
(
みづか
)
ら
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
立
(
た
)
つて、
茶
(
ちや
)
を
入
(
い
)
れて
出
(
で
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さて
是真翁
(
ぜしんをう
)
の
宅
(
たく
)
を
暇乞
(
いとまごひ
)
して、
直
(
すぐ
)
に
本所
(
ほんじよ
)
へ
行
(
い
)
つて、少し
懇意
(
こんい
)
の人があつたから
段々
(
だん/\
)
聞いて見ると、
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
の橋の
側
(
そば
)
に
金物屋
(
かなものや
)
さんが
有
(
あ
)
るから、そこへ
行
(
い
)
つて聞いたら
分
(
わか
)
るだらうと
云
(
い
)
ふ。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
暇乞
(
いとまごひ
)
わざとうやうやしく、お峯下駄を直せ、お玄関からお帰りでは無いお出かけだぞと
図分々々
(
づぶづぶ
)
しく大手を振りて、行先は
何処
(
いづこ
)
、父が
涕
(
なみだ
)
は一
夜
(
よ
)
の騒ぎに夢とやならん、持つまじきは
放蕩
(
のら
)
息子
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
乃公
(
おれ
)
も今度こそ
愈々
(
いよ/\
)
お
暇乞
(
いとまごひ
)
だ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
遣
(
つかは
)
し殘りの金子は
葬
(
はうむ
)
りし寺へ
祠堂金
(
しだうきん
)
に寄進なし其外跡々の事共殘る方なく
取片付
(
とりかたづけ
)
暇乞
(
いとまごひ
)
して出立に及ばんとするに門弟中一同に
名殘
(
なごり
)
を
惜
(
をし
)
み
暫時
(
しばらく
)
當所に足を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
午後四時発の列車にて赴任する事をも知るを得しかば、
余所
(
よそ
)
ながら
暇乞
(
いとまごひ
)
もし、二つには栄誉の
錦
(
にしき
)
を飾れる姿をも見んと思ひて、
群集
(
くんじゆ
)
に紛れてここには
来
(
きた
)
りしなりけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
濱町の貧しい父親の許に、
暇乞
(
いとまごひ
)
に來たお富は、近所の人達に包圍されて、暫くは、祝ひの言葉と、
羨望
(
せんばう
)
の感動詞と、あらゆる目出度いものの渦の中にもみ拔かれました。
銭形平次捕物控:075 巾着切の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
部下を失つた広瀬は、
暇乞
(
いとまごひ
)
をして京橋口に帰つて、同役馬場に
此
(
この
)
顛末
(
てんまつ
)
を話して、一しよに東町奉行所前まで来て、
大川
(
おほかは
)
を隔てて南北両方にひろがつて行く火事を見てゐた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
暇乞
(
いとまごひ
)
して出でんとせしとき、夫人は館を顧みてのたまふやう。學校は智育に心を用ゐると覺ゆれど、作法の末まではゆきとゞかぬなるべし。この子の
禮
(
ゐや
)
するさまこそ可笑しけれ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
是
(
これ
)
より
以後
(
いご
)
の
一生
(
いつしやう
)
五十
年
(
ねん
)
姫樣
(
ひめさま
)
には
指
(
ゆび
)
もさすまじく、
况
(
まし
)
て
口外
(
こうぐわい
)
夢
(
ゆめ
)
さら
致
(
いた
)
すまじけれど、
金
(
かね
)
ゆゑ
閉
(
と
)
ぢる
口
(
くち
)
には
非
(
あら
)
ず、
此金
(
これ
)
ばかりはと
恐
(
おそ
)
れげもなく、
突
(
つき
)
もどして
扨
(
さて
)
つくづくと
詫
(
わ
)
びけるが、
歸邸
(
きてい
)
その
儘
(
まヽ
)
の
暇乞
(
いとまごひ
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ここで白井と杉山とが、いつまで往つても
名残
(
なごり
)
は尽きぬと云つて、
暇乞
(
いとまごひ
)
をした。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
暇
常用漢字
中学
部首:⽇
13画
乞
常用漢字
中学
部首:⼄
3画
“暇”で始まる語句
暇
暇潰
暇取
暇々
暇人
暇出
暇日
暇状
暇請
暇具合