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ひざかり
ふりがな文庫
“
日盛
(
ひざかり
)” の例文
三日目の
日盛
(
ひざかり
)
に、彼は書斎の
中
(
なか
)
から、ぎら/\する
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
を
見詰
(
みつ
)
めて、
上
(
うへ
)
から
吐
(
は
)
き
下
(
おろ
)
す
焔
(
ほのほ
)
の
息
(
いき
)
を
嗅
(
か
)
いだ時に、非常に恐ろしくなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
白熱した
日盛
(
ひざかり
)
に、よくも羽が焦げないと思う、白い蝶々の、不意にスッと来て、
飜々
(
ひらひら
)
と擦違うのを、
吃驚
(
びっくり
)
した顔をして見送って
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここへ移ってから、四五日目のことだが、
日盛
(
ひざかり
)
の路を歩いていると左の眼の隅に羽虫か何か、ふわりと光るものを感じた。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
お江戸の町々を呼歩く
蚊帳売
(
かやうり
)
の声と
定斎売
(
じょうさいうり
)
の
環
(
かん
)
の
音
(
ね
)
に、
日盛
(
ひざかり
)
の暑さは依然として何の変りもなかったが、とにかく暦の表だけではいよいよ秋という時節が来ると
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
蓊欝
(
こんもり
)
と木が
蔽
(
かぶさ
)
つてるのと、桶の口を溢れる水銀の雫の様な水が、其処らの青苔や
円
(
まろ
)
い石を濡らしてるのとで、
如何
(
いか
)
な
日盛
(
ひざかり
)
でも
冷
(
すずし
)
い風が立つてゐる。智恵子は不図
渇
(
かつ
)
を覚えた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
恰度
(
ちやうど
)
日盛
(
ひざかり
)
で
太陽
(
ひ
)
は
燦然
(
ぎら/\
)
と
煌
(
かゞや
)
き、
暑
(
あつさ
)
は
暑
(
あつ
)
し、
園
(
その
)
の
中
(
なか
)
は
森
(
しん
)
として
靜
(
しづ
)
まり
返
(
かへ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
軟風
(
なよかぜ
)
もいぶき絶えぬる
日盛
(
ひざかり
)
や
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
白熱した
日盛
(
ひざかり
)
に、よくも羽が焦げないと思ふ、白い
蝶々
(
ちょうちょう
)
の、不意にスツと来て、
飜々
(
ひらひら
)
と
擦違
(
すれちが
)
ふのを、
吃驚
(
びっくり
)
した顔をして見送つて
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
向
(
むこう
)
に見える高い宿屋の
物干
(
ものほし
)
に
真裸
(
まっぱだか
)
の男が二人出て、
日盛
(
ひざかり
)
を事ともせず、
欄干
(
らんかん
)
の上を
危
(
あぶ
)
なく渡ったり、または細長い横木の上にわざと
仰向
(
あおむけ
)
に寝たりして
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夏から秋へかけての
日盛
(
ひざかり
)
に、千葉県道に面した
商
(
あきな
)
い
舗
(
みせ
)
では砂ほこりを防ぐために、長い
柄杓
(
ひしゃく
)
で
溝
(
どぶ
)
の水を汲んで
撒
(
ま
)
いていることがあるが、これもまたわたくしには、溝の多かった
下谷
(
したや
)
浅草
(
あさくさ
)
の町や
横町
(
よこちょう
)
を
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
炎天、
日盛
(
ひざかり
)
の
電車道
(
でんしゃみち
)
には、
焦
(
こ
)
げるような砂を浴びて、
蟷螂
(
とうろう
)
の
斧
(
おの
)
と言った強いのが普通だのに、これはどうしたものであろう。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝来た時も腹や頭の具合が変であったが、帰りは
日盛
(
ひざかり
)
になったせいかなお苦しかった。あいにく二人共時計を忘れたので
何時
(
なんじ
)
だかちょっと分り兼ねた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、旅宿に二人附添った、玉野、玉江という女弟子も連れないで、一人で
密
(
そっ
)
と、……
日盛
(
ひざかり
)
もこうした身には苦にならず、
町中
(
まちなか
)
を見つつ
漫
(
そぞろ
)
に来た。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
代助はこう云う
上
(
うわ
)
の空の生活を二日程送った。三日目の
日盛
(
ひざかり
)
に、彼は書斎の中から、ぎらぎらする空の色を見詰めて、上から吐き下す
燄
(
ほのお
)
の息を
嗅
(
か
)
いだ時に、非常に恐ろしくなった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、
旅宿
(
りょしゅく
)
に二人
附添
(
つきそ
)
つた、
玉野
(
たまの
)
、
玉江
(
たまえ
)
と云ふ女弟子も連れないで、一人で
密
(
そっ
)
と、……
日盛
(
ひざかり
)
も
恁
(
こ
)
うした身には苦にならず、
町中
(
まちなか
)
を見つゝ
漫
(
そぞろ
)
に来た。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
兄さんは暑い
日盛
(
ひざかり
)
に、この庭だか畑だか分らない地面の上に下りて、じっと
蹲踞
(
しゃが
)
んでいる事があります。時々かんなの花の
香
(
におい
)
を
嗅
(
か
)
いで見たりします。かんなに香なんかありゃしません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若いものの癖として、出たとこ勝負の元気に任せて、影も見ないで、
日盛
(
ひざかり
)
を、松並木の焦げるがごとき中途に来た。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その顔は
日盛
(
ひざかり
)
の中を歩いた
火気
(
ほてり
)
のため、汗を帯びて赤くなっていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
消
(
け
)
さじと
圍
(
かこ
)
ふ
魂棚
(
たまだな
)
の
可懷
(
なつか
)
しき
面影
(
おもかげ
)
に、はら/\と
小雨
(
こさめ
)
降添
(
ふりそ
)
ふ
袖
(
そで
)
のあはれも、やがて
堪
(
た
)
へ
難
(
がた
)
き
日盛
(
ひざかり
)
や、
人間
(
にんげん
)
は
汗
(
あせ
)
に
成
(
な
)
り、
蒟蒻
(
こんにやく
)
は
砂
(
すな
)
に
成
(
な
)
り、
蠅
(
はへ
)
の
音
(
おと
)
は
礫
(
つぶて
)
と
成
(
な
)
る。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此
(
こ
)
の軽いものを
戦
(
そよ
)
がすほどの風もない、夏の
日盛
(
ひざかり
)
の物静けさ、其の癖、こんな時は
譬
(
たと
)
ひ耳を
押
(
おっ
)
つけて聞いても、金魚の
鰭
(
ひれ
)
の、水を
掻
(
か
)
く音さへせぬのである。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
氷々
(
こほり/\
)
、
雪
(
ゆき
)
の
氷
(
こほり
)
と、こも
俵
(
だはら
)
に
包
(
つゝ
)
みて
賣
(
う
)
り
歩
(
ある
)
くは
雪
(
ゆき
)
をかこへるものなり。
鋸
(
のこぎり
)
にてザク/\と
切
(
き
)
つて
寄越
(
よこ
)
す。
日盛
(
ひざかり
)
に、
町
(
まち
)
を
呼
(
よ
)
びあるくは、
女
(
をんな
)
や
兒
(
こ
)
たちの
小遣取
(
こづかひとり
)
なり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
日盛
(
ひざかり
)
なんざ火が波を打っているようでしょう。——さあ、然うなると不思議なもので今も言った通りです。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……余り暑いので、
愚
(
ぐ
)
に返って、こうどうも、おお暑いでめげては
不可
(
いけな
)
い。
小児
(
こども
)
の時は、
日盛
(
ひざかり
)
に
蜻蛉
(
とんぼ
)
を釣ったと、炎天に
打
(
ぶ
)
つかる気で、そのまま
日盛
(
ひざかり
)
を散歩した。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠近
(
おちこち
)
の
樹立
(
こだち
)
も、森も、
日盛
(
ひざかり
)
に煙のごとく、
重
(
かさな
)
る屋根に山も低い。町はずれを、
蒼空
(
あおぞら
)
へ突出た、青い
薬研
(
やげん
)
の底かと見るのに、きらきらと
眩
(
まばゆ
)
い水銀を湛えたのは湖の
尖端
(
せんたん
)
である。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一夏
激
(
はげし
)
い暑さに、雲の峰も焼いた
霰
(
あられ
)
のように小さく焦げて、ぱちぱちと音がして、火の粉になって
覆
(
こぼ
)
れそうな
日盛
(
ひざかり
)
に、これから
湧
(
わ
)
いて出て人間になろうと思われる
裸体
(
はだか
)
の男女が
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時
(
とき
)
もあらうに、
眞夏
(
まなつ
)
の
日盛
(
ひざかり
)
、
黒髮
(
くろかみ
)
かたしく
雪
(
ゆき
)
の
腕
(
かひな
)
、
徐大盡
(
じよだいじん
)
が
三度目
(
さんどめ
)
の
若
(
わか
)
き
妻
(
つま
)
、
絲
(
いと
)
をも
懸
(
か
)
けず、
晝寢
(
ひるね
)
をして
居
(
ゐ
)
た。(
白絹帳中皓體畢呈
(
はくけんちやうちうかうたいひつてい
)
。)とある、これは、
一息
(
ひといき
)
に
棒讀
(
ぼうよ
)
みの
方
(
はう
)
に
願
(
ねが
)
ふ。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
明眸
(
めいぼう
)
の左右に
樹立
(
こだち
)
が分れて、
一条
(
ひとすじ
)
の
大道
(
だいどう
)
、炎天の
下
(
もと
)
に
展
(
ひら
)
けつゝ、
日盛
(
ひざかり
)
の町の
大路
(
おおじ
)
が望まれて、
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の避雷針、古い
白壁
(
しらかべ
)
、寺の塔など
睫
(
まつげ
)
を
擽
(
こそぐ
)
る中に、
行交
(
ゆきか
)
ふ人は点々と
蝙蝠
(
こうもり
)
の如く
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
明眸
(
めいぼう
)
の左右に
樹立
(
こだち
)
が分れて、
一条
(
ひとすじ
)
の大道、炎天の
下
(
もと
)
に
展
(
ひら
)
けつつ、
日盛
(
ひざかり
)
の町の大路が望まれて、
煉瓦造
(
れんがづくり
)
の避雷針、古い
白壁
(
しらかべ
)
、寺の塔など
睫
(
まつげ
)
を
擽
(
こそぐ
)
る中に、行交う人は点々と
蝙蝠
(
こうもり
)
のごとく
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……その
前日
(
ぜんじつ
)
、おなじ
山
(
やま
)
の
温泉
(
おんせん
)
の
背戸
(
せど
)
に、
物干棹
(
ものほしざを
)
に
掛
(
か
)
けた
浴衣
(
ゆかた
)
の、
日盛
(
ひざかり
)
にひつそりとして
垂
(
た
)
れたのが、しみ
入
(
い
)
る
蝉
(
せみ
)
の
聲
(
こゑ
)
ばかり、
微風
(
かぜ
)
もないのに、
裙
(
すそ
)
を
飜
(
ひるがへ
)
して、
上下
(
うへした
)
にスツ/\と
煽
(
あふ
)
つたのを
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ああ、それも夢のような——この日、午後四時頃のまだ
日盛
(
ひざかり
)
に——
往
(
ゆ
)
きにここで休んだ時——一足おくれて、金沢の城下の方から、女たち七人ばかりを、
頭痛膏
(
ずつうこう
)
を
貼
(
は
)
った
邪慳
(
じゃけん
)
らしい大年増と
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
(
ある
)
夏土用の
日盛
(
ひざかり
)
の事……
生平
(
きびら
)
の揚羽蝶の漆紋に、
袴
(
はかま
)
着用、大刀がわりの杖を片手に、芝居の意休を一ゆがきして
洒然
(
さっぱり
)
と
灰汁
(
あく
)
を抜いたような、白い
髯
(
ひげ
)
を、
爽
(
さわやか
)
に
扱
(
しご
)
きながら、これ、はじめての見参。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いまにも胴中から裂けそうで、
串戯
(
じょうだん
)
どころか、その時は、合掌に胸を
緊
(
し
)
めて、
真蒼
(
まっさお
)
になって、
日盛
(
ひざかり
)
の
蚯蚓
(
みみず
)
でのびた。叔父の鉄枴ヶ峰ではない。身延山の石段の
真中
(
まんなか
)
で目を
瞑
(
つぶ
)
ろうとしたのである。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あの低い松の枝の
地紙形
(
じがみなり
)
に
翳蔽
(
さしおお
)
える葉の裏に、
葦簀
(
よしず
)
を掛けて、掘抜に
繞
(
めぐ
)
らした中を、美しい清水は、松影に揺れ動いて、
日盛
(
ひざかり
)
にも
白銀
(
しろがね
)
の月影をこぼして
溢
(
あふ
)
るるのを、広い水槽でうけて、その中に
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“日盛”の解説
日盛(にちじょう、天保2年10月11日(1831年11月14日) - 明治25年(1892年)6月25日)は、大石寺第53世法主。板倉姓。板倉阿闍梨。広道院。道号は泰覚。
(出典:Wikipedia)
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
盛
常用漢字
小6
部首:⽫
11画
“日”で始まる語句
日
日向
日本
日和
日光
日中
日々
日数
日暮
日毎