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居間
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いま
ふりがな文庫
“
居間
(
いま
)” の例文
自分のいない留守の間に、或る知らない人物が忍び込んで、
居間
(
いま
)
で何事かをしているということは、考えるだけでも神経を暗くした。
ウォーソン夫人の黒猫
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
妹の
居間
(
いま
)
には例の通り壁と云う壁に
油画
(
あぶらえ
)
がかかり、畳に
据
(
す
)
えた
円卓
(
えんたく
)
の上にも黄色い笠をかけた電燈が二年前の光りを放っていた。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
渡り廊の方に、聴きに寄っているものたちがいる様子で、父は向うの
居間
(
いま
)
で聴いている気配だった。
襖
(
ふすま
)
の横には妹たちが来た。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
部屋は十畳の四角な板の間であって、奥の方に古畳二枚を敷いたきりだった。つまりその二畳が私達の
寝間
(
ねま
)
であり
居間
(
いま
)
であり食堂であった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
家には、小さな
玄関
(
げんかん
)
と、小さなりっぱな
居間
(
いま
)
と、ベッドのおいてある小べやがありました。それに、
台所
(
だいどころ
)
も
食堂
(
しょくどう
)
もあります。
漁師とそのおかみさんの話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
▼ もっと見る
A院長
(
エーいんちょう
)
は、
居間
(
いま
)
で、これから一
杯
(
ぱい
)
やろうと
思
(
おも
)
っていたのです。そこへはばかるような
小
(
ちい
)
さい
跫音
(
あしおと
)
がして、
取
(
と
)
り
次
(
つ
)
ぎの
女中
(
じょちゅう
)
兼
(
けん
)
看護婦
(
かんごふ
)
が
入
(
はい
)
ってきて
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
静
(
しず
)
かに
肩
(
かた
)
へ
手
(
て
)
をかけたが、いつもと
様子
(
ようす
)
の
違
(
ちが
)
ったおせんは、
母
(
はは
)
の
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
払
(
はら
)
うようにして、そのまま
畳
(
たたみ
)
ざわりも
荒
(
あら
)
く、おのが
居間
(
いま
)
へ
駆
(
か
)
け
込
(
こ
)
んで
行
(
い
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
壁塗
(
かべぬ
)
りの勘定のことで、ふと思い出したことがあるので、祝いの日ではあるが、忘れないうちにと思って、その時奥の
居間
(
いま
)
にいたのが、台所へ出て来て
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
奥の
居間
(
いま
)
のすみに、あのランプがおいてあった。しかし、ランプのことを何かいうと、またおじいさんにがみがみいわれるかも知れないので、黙っていた。
おじいさんのランプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
こういって、
為朝
(
ためとも
)
はそのままうちにかえって、
自分
(
じぶん
)
の
居間
(
いま
)
にはいると、しずかに
切腹
(
せっぷく
)
して
死
(
し
)
んでしまいました。
鎮西八郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
家は
腰高
(
こしだか
)
の
塗骨
(
ぬりぼね
)
障子を境にして
居間
(
いま
)
と台所との
二間
(
ふたま
)
のみなれど竹の
濡縁
(
ぬれえん
)
の
外
(
そと
)
には
聊
(
ささや
)
かなる小庭ありと覚しく、
手水鉢
(
ちょうずばち
)
のほとりより竹の
板目
(
はめ
)
には
蔦
(
つた
)
をからませ
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ことに倉地の帰りのおそい晩などは、葉子は座にも
居
(
い
)
たたまれなかった。倉地の
居間
(
いま
)
になっている十畳の
間
(
ま
)
に行って、そこに倉地の
面影
(
おもかげ
)
を少しでも忍ぼうとした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
わたしたちは
相変
(
あいか
)
わらずぼろぼろの旅仕度であったが、ホテルでは黒の礼服に白のネクタイをした
給仕
(
きゅうじ
)
に
案内
(
あんない
)
をされた。かれはわたしたちを
居間
(
いま
)
へ
連
(
つ
)
れて行った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
乱入者
(
らんにゅうしゃ
)
のそうどうの
方
(
ほう
)
も気にかかるが、これまた
意外
(
いがい
)
な
天
(
あま
)
くだりの
状筥
(
じょうばこ
)
、とにかく一
見
(
けん
)
しようと、
長安
(
ながやす
)
はあたふたと
居間
(
いま
)
へはいり、
灯
(
ともしび
)
をかき立ててなかをひらく。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういうわけで、おばあさんはまだ
寝
(
ね
)
にもいかず、
居間
(
いま
)
の
窓
(
まど
)
ぎわにすわって、外をながめていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
玄関を
這入
(
はい
)
ると二畳で、六畳の客間があり
居間
(
いま
)
が六畳、それに四畳半の
小部屋
(
こべや
)
が附いている上に、不思議なことには直ぐ部屋続きに八畳敷き位の仕事場とも思われる部屋がある。
幕末維新懐古談:72 総領の娘を亡くした頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
施療院でありましたころは、
布地
(
きれじ
)
で
蔽
(
おお
)
われていたのでした。それからまた、私どもの祖母時代に属する壁板細工もあります。けれども特にお目にかけたいのは、私の
居間
(
いま
)
なのです。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
みんなは、
居間
(
いま
)
、
客間
(
きゃくま
)
、大広間から、小べや、
衣裳
(
いしょう
)
べやと、片っぱしから見てあるきましたが、いよいよ奥ぶかく見て行くほど、だんだんりっぱにも、きれいにもなっていくようでした。
青ひげ
(新字新仮名)
/
シャルル・ペロー
(著)
廊下を博士の
居間
(
いま
)
のある、奥のほうへととんでいく途中、田口巡査のほおを斬った。そうでしょう。こう考えて行けば、われわれは金属Qを追跡していることになる。そう思われませんか
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
細君
(
さいくん
)
はたばこ
盆
(
ぼん
)
に長いきせるを持ちそえて、主人の
居間
(
いま
)
にはいってきた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ある冬の朝、——それはたしか第四回目の塾生活がはじまろうとする数日前のことだったと思うが、——朝倉先生は、
居間
(
いま
)
の
硝子戸
(
ガラスど
)
ごしに、じっと庭のほうに眼をこらし、無言ですわっていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
孃
(
ぢやう
)
さまがたは
庭
(
には
)
に
出
(
で
)
て
追羽子
(
おひはご
)
に
餘念
(
よねん
)
なく、
小僧
(
こざう
)
どのはまだお
使
(
つか
)
ひより
歸
(
かへ
)
らず、お
針
(
はり
)
は二
階
(
かい
)
にてしかも
聾
(
つんぼ
)
なれば
子細
(
しさい
)
なし、
若旦那
(
わかだんな
)
はと
見
(
み
)
ればお
居間
(
いま
)
の
炬燵
(
こたつ
)
に
今
(
いま
)
ぞ
夢
(
ゆめ
)
の
眞最中
(
まつたゞなか
)
、
拜
(
おが
)
みまする
神
(
かみ
)
さま
佛
(
ほとけ
)
さま
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
風知草
(
ふうちそう
)
女
主
(
あるじ
)
の
居間
(
いま
)
ならん
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
居間
(
いま
)
の
中
(
なか
)
では、お
父
(
とう
)
さんとお
母
(
かあ
)
さんとマリちゃんが、
食卓
(
テーブル
)
の
前
(
まえ
)
に
坐
(
すわ
)
っていました。その
時
(
とき
)
、お
父
(
とう
)
さんはこう
言
(
い
)
いました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
さて
稽古
(
けいこ
)
が
積
(
つ
)
んで、おのれの
工夫
(
くふう
)
が
真剣
(
しんけん
)
になる
時分
(
じぶん
)
から、ふと
眼
(
め
)
についたのは、
良人
(
おっと
)
の
居間
(
いま
)
に
大事
(
だいじ
)
にたたんで
置
(
お
)
いてある、もみじを
散
(
ち
)
らした一
本
(
ぽん
)
の
女帯
(
おんなおび
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
お
姫
(
ひめ
)
さまは、この
鳥
(
とり
)
が、たいそう
気
(
き
)
にいられました。そして、
自分
(
じぶん
)
の
居間
(
いま
)
に、かごにいれて
懸
(
か
)
けておかれました。
小鳥
(
ことり
)
は、じきにお
姫
(
ひめ
)
さまになれてしまいました。
お姫さまと乞食の女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
真夏の夕暮、室々のへだての
襖
(
ふすま
)
は取りはらわれて、それぞれのところに
御簾
(
みす
)
や
几帳
(
きちょう
)
めいた
軽羅
(
うすもの
)
が
垂
(
た
)
らしてあるばかりで、
日常
(
つね
)
の
居間
(
いま
)
まで、広々と押開かれてあった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ある
晩
(
ばん
)
和尚
(
おしょう
)
さんはいつものとおりお
居間
(
いま
)
に
茶
(
ちゃ
)
がまを
飾
(
かざ
)
ったまま、そのそばでうとうと
居眠
(
いねむ
)
りをしていました。そのうちほんとうにぐっすり、
寝込
(
ねこ
)
んでしまいました。
文福茶がま
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それは××
胡同
(
ことう
)
の社宅の
居間
(
いま
)
に
蝙蝠印
(
こうもりじるし
)
の
除虫菊
(
じょちゅうぎく
)
が
二缶
(
ふたかん
)
、ちゃんと具えつけてあるからである。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
居間
(
いま
)
の
障子
(
しょうじ
)
、その縁に向ったところに、墨黒ぐろと半紙に大書した
貼紙
(
はりがみ
)
がしてあるのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
メントール侯の
居間
(
いま
)
に入りこんだ。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ある
日
(
ひ
)
、
娘
(
むすめ
)
は、
聟
(
むこ
)
や、
家
(
うち
)
の
人
(
ひと
)
たちに、
気
(
き
)
づかれないように、ひそかに
居間
(
いま
)
から
抜
(
ぬ
)
け
出
(
で
)
たのであります。
海ぼたる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから
弟
(
おとうと
)
の
神
(
かみ
)
は、
藤
(
ふじ
)
の
花
(
はな
)
の
咲
(
さ
)
いた
弓矢
(
ゆみや
)
を
少女
(
おとめ
)
の
居間
(
いま
)
の
戸
(
と
)
の
前
(
まえ
)
にたてかけておきますと、
少女
(
おとめ
)
が出がけにそれを
見
(
み
)
つけて、ふしぎに
思
(
おも
)
いながら、きれいなものですから
春山秋山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
母
(
はは
)
の
方
(
ほう
)
へは
行
(
い
)
かずに、四
畳半
(
じょうはん
)
のおのが
居間
(
いま
)
へ
這入
(
はい
)
ったおせんは、
直
(
す
)
ぐさま
鏡
(
かがみ
)
の
蓋
(
ふた
)
を
外
(
はず
)
して、
薄暮
(
はくぼ
)
の
中
(
なか
)
にじっとそのまま
見入
(
みい
)
ったが、二
筋
(
すじ
)
三
筋
(
すじ
)
襟
(
えり
)
に
乱
(
みだ
)
れた
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
を、
手早
(
てばや
)
く
掻
(
か
)
き
揚
(
あ
)
げてしまうと
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
同時にまた彼女の
居間
(
いま
)
の壁には一週に必ず一枚ずつ新しい油画がかかり出した。油画は六号か八号のカンヴァスに人体ならば顔ばかりを、風景ならば西洋風の建物を
描
(
えが
)
いたのが多いようだった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
八代様は、静かに立って
居間
(
いま
)
へはいりながら
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ごま
塩
(
しお
)
ねずみはさっそく
本堂
(
ほんどう
)
へ
上
(
あ
)
がって、
和尚
(
おしょう
)
さんのお
居間
(
いま
)
までそっとしのんでいって
猫の草紙
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「いま、ゆくから。」と、
静
(
しず
)
かに、
答
(
こた
)
えて、
苦
(
にが
)
い
顔
(
かお
)
つきをしながら、
居間
(
いま
)
を
出
(
で
)
ました。
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“居間”の解説
居間(いま)は、住宅の中にある部屋の一つ。家族が一家団欒を楽しみ、寛ぐ部屋と考えられている。リビングルーム、リビングとも呼称される。
(出典:Wikipedia)
居
常用漢字
小5
部首:⼫
8画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“居”で始まる語句
居
居候
居睡
居所
居士
居室
居眠
居合
居堪
居処