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夜毎
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よごと
ふりがな文庫
“
夜毎
(
よごと
)” の例文
湯本達のベッドは、赤絵具を溶いて流した血の池地獄の
畔
(
ほとり
)
にあった。このサディストとマゾヒストは、そこで
夜毎
(
よごと
)
の痴戯を楽しむのだ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
馬鹿になってしまったのではないかと疑われるくらい——正月でもあるせいもあろうが——
夜毎
(
よごと
)
に
賑
(
にぎや
)
かな笑い声に
盈
(
み
)
ちているのだった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家主
(
あるじ
)
壮夫
(
わかもの
)
三五人を
伴
(
ともな
)
ひ来りて光る物を
打
(
うつ
)
に石なり、皆もつて
怪
(
くわい
)
とし石を竹林に捨つ、その石
夜毎
(
よごと
)
に光りあり、村人おそれて夜行ものなし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
同じ悪夢が、
夜毎
(
よごと
)
、氾濫した
溝
(
どぶ
)
のやうに枕の下を流れて通る。酷い日は白つぽいドロドロの夜を、同じ悪夢で二度に三度に区切られてしまふ。
海の霧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
歓楽の夢は、
夜毎
(
よごと
)
に変りました。が現実の世界は、妻木右太之進を、恐ろしい没落へと引摺って行ったのもまた
已
(
や
)
むを得ないことだったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
ヂュリ おゝ、
𢌞
(
まは
)
る
夜毎
(
よごと
)
に
位置
(
ゐち
)
の
變
(
かは
)
る
不貞節
(
ふていせつ
)
な
月
(
つき
)
なんぞを
誓言
(
せいごん
)
にお
懸
(
か
)
けなさるな。お
前
(
まへ
)
の
心
(
こゝろ
)
が
月
(
つき
)
のやうに
變
(
かは
)
るとわるい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
おれはキキイがなぜこんな
服装
(
みなり
)
をして居るのか、
他
(
た
)
の
夜毎
(
よごと
)
に盛装して散歩に出る三人の女とキキイとの間にどんな身分の
懸隔
(
けんかく
)
があるのか
解
(
わか
)
らなかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「小さい子供だけでも、どこかへ疎開させたら……」康子は
夜毎
(
よごと
)
の逃亡以来、
頻
(
しき
)
りに気を
揉
(
も
)
むようになっていた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
今年もいよいよ秋になったと知るが否や、わたくしは今日か明日かと、
夜毎
(
よごと
)
に蛼の
初音
(
はつね
)
を待つのが
例
(
ためし
)
である。
虫の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ばらりと
解
(
と
)
いたお七の
帯
(
おび
)
には、
夜毎
(
よごと
)
に
焚
(
た
)
きこめた
伽羅
(
きゃら
)
の
香
(
かお
)
りが
悲
(
かな
)
しく
籠
(
こも
)
って、
静
(
しず
)
かに
部屋
(
へや
)
の
中
(
なか
)
を
流
(
なが
)
れそめた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
日毎
(
ひごと
)
夜毎
(
よごと
)
に代る枕に仇浪は寄せますが、さて心の底まで許すお客は
余
(
あん
)
まりないものだそうでござります。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三冬
(
さんとう
)
を
蟄
(
ちつ
)
すれば、
天狗
(
てんぐ
)
恐
(
おそ
)
ろし。
北海
(
ほくかい
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
、
金石
(
かないは
)
、
大野
(
おほの
)
の
濱
(
はま
)
、
轟々
(
ぐわう/\
)
と
鳴
(
な
)
りとゞろく
音
(
おと
)
、
夜毎
(
よごと
)
襖
(
ふすま
)
に
響
(
ひゞ
)
く。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
良
(
よ
)
しや眼前に
屍
(
かばね
)
の山を積まんとも涙一滴こぼさぬ勇士に、世を
果敢
(
はか
)
なむ迄に物の哀れを感じさせ、
夜毎
(
よごと
)
の秋に
浮身
(
うきみ
)
をやつす六波羅一の
優男
(
やさをとこ
)
を物の見事に狂はせながら
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
能を知るほどの凡ての人は、沖縄において、能の本来の姿を更に目撃せられるでしょう。どんな地方に旅したとて、沖縄ほど盛に固有の芝居、踊、唄を
夜毎
(
よごと
)
夜毎に見せてくれる所はないのです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
神経の痛みに負けて泣かねども
夜毎
(
よごと
)
寝られねば心弱るなり (改造)
島木赤彦臨終記
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
この身とて、今は法師にて、鳥も魚も襲はねど、昔おもへば身も世もあらぬ。あゝ
罪業
(
ざいごふ
)
のこのからだ、
夜毎
(
よごと
)
夜毎の夢とては、同じく
夜叉
(
やしゃ
)
の業をなす。
宿業
(
しゅくごふ
)
の恐ろしさ、たゞたゞ
呆
(
あき
)
るゝばかりなのぢゃ。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼女自身が、
夜毎
(
よごと
)
々々にリリーを放せなくなっているではないか。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
わが見る
夜毎
(
よごと
)
の夢、また、すべて海に
浮
(
うか
)
ぶ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夜毎
(
よごと
)
痛む
頭
(
かしら
)
をさゝへてくれるだらう!
幸福が遅く来たなら
(新字旧仮名)
/
生田春月
(著)
日毎
(
ひごと
)
夜毎
(
よごと
)
に
死
(
し
)
にかはり
友に
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
家主
(
あるじ
)
壮夫
(
わかもの
)
三五人を
伴
(
ともな
)
ひ来りて光る物を
打
(
うつ
)
に石なり、皆もつて
怪
(
くわい
)
とし石を竹林に捨つ、その石
夜毎
(
よごと
)
に光りあり、村人おそれて夜行ものなし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私がどうしてあんなにも正確に、
夜毎
(
よごと
)
のお前の行為を知ることが出来たか。もうお前にも大方想像がついているだろう。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
天慶二年の夏中は、
夜毎
(
よごと
)
夜毎、空也念仏の
称名
(
しょうみょう
)
の声と、夢中でたたく鉦の音と、妖しいまでに踊り
更
(
ふ
)
ける人影に、都の辻は、異様な夜景をえがいていた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新聞によれば、七十五年間は市の中央には居住できないと報じているし、人の話ではまだ整理のつかない
死骸
(
しがい
)
が一万もあって、
夜毎
(
よごと
)
焼跡には
人魂
(
ひとだま
)
が燃えているという。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
何処のあたりまでぞ、君が薫りを徒らに、
夜毎
(
よごと
)
楽屋の
媼
(
おうな
)
の剥ぎとるべき、作りし
肌
(
はだえ
)
なるべきか。
舞姫
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
其の御心の強さに、
彌増
(
いやま
)
す思ひに堪へ難き重景さま、世に時めく身にて、
霜枯
(
しもがれ
)
の
夜毎
(
よごと
)
に只一人、
憂身
(
うきみ
)
をやつさるゝも戀なればこそ、横笛樣、
御身
(
おんみ
)
はそを哀れとは
思
(
おぼ
)
さずか。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ヂュリ
去
(
いな
)
うとや?
夜
(
よ
)
はまだ
明
(
あ
)
きゃせぬのに。
怖
(
こはが
)
ってござるお
前
(
まへ
)
の
耳
(
みゝ
)
に
聞
(
きこ
)
えたは
雲雀
(
ひばり
)
ではなうてナイチンゲールであったもの。
夜毎
(
よごと
)
に
彼處
(
あそこ
)
の
柘榴
(
じゃくろ
)
へ
來
(
き
)
て、あのやうに
囀
(
さへず
)
りをる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
夜毎
(
よごと
)
に盛んな
電灯装飾
(
イルミナシヨン
)
を施して客を呼ぶので、
未
(
ま
)
だ川風が薄ら寒いに
拘
(
かゝ
)
はらず物見だかい
巴里
(
パリイ
)
の中流以下の市民が押掛けて
何
(
ど
)
の遊技館も大繁昌である、中に
一寸
(
ちよつと
)
痛快に感じるのは
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
で、
屋根
(
やね
)
から
月
(
つき
)
が
射
(
さ
)
すやうな
訳
(
わけ
)
には
行
(
ゆ
)
かない。
其処
(
そこ
)
で、
稼
(
かせ
)
ぎも
為
(
せ
)
ず
活計
(
くらし
)
も
立
(
た
)
てず、
夜毎
(
よごと
)
に
沼
(
ぬま
)
の
番
(
ばん
)
の
難行
(
なんぎやう
)
は、
極楽
(
ごくらく
)
へ
参
(
まゐ
)
りたさに、
身投
(
みな
)
げを
為
(
す
)
るも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、と
老爺
(
ぢゞい
)
は
苦笑
(
にがわら
)
ひをしながら
言
(
い
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
この身とて、今は法師にて、鳥も魚も
襲
(
おそ
)
わねど、
昔
(
むかし
)
おもえば身も世もあらぬ。ああ
罪業
(
ざいごう
)
のこのからだ、
夜毎
(
よごと
)
夜毎の夢とては、同じく夜叉の業をなす。
宿業
(
しゅくごう
)
の恐ろしさ、ただただ
呆
(
あき
)
るるばかりなのじゃ。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
この小さな姪はこの景色を記憶するであろうか。幼い日々が
夜毎
(
よごと
)
、夜毎の逃亡にはじまる「ある女の生涯」という小説が、ふと、汗まみれの正三の頭には浮ぶのであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
被害者が血を吸われている最中に目覚めた時は、吸血鬼との間に身の毛もよだつ闘争が行われるが、多くは目覚めることなく、
夜毎
(
よごと
)
に生血を吸いとられ、
痩
(
や
)
せ衰えて死んで行く。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かゝる僧なれば
年毎
(
としごと
)
に
寒念仏
(
かんねんぶつ
)
の
行
(
ぎやう
)
をつとめ、
无言
(
むごん
)
はせざるゆゑ
夜毎
(
よごと
)
に念仏して
鉦
(
かね
)
打
(
うち
)
ならし、ものにまゐりしかへるさ二夜に一度はかの
橋
(
はし
)
に立て年頃おぼれしゝたる者の
回向
(
ゑかう
)
をなししに
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
もののけはひを、
夜毎
(
よごと
)
の
心持
(
こゝろもち
)
で
考
(
かんが
)
へると、まだ三
時
(
じ
)
には
間
(
ま
)
があつたので、
最
(
も
)
う
最
(
も
)
うあたまがおもいから、
其
(
その
)
まゝ
默
(
だま
)
つて、
母上
(
はゝうへ
)
の
御名
(
おんな
)
を
念
(
ねん
)
じた。——
人
(
ひと
)
は
恁
(
か
)
ういふことから
氣
(
き
)
が
違
(
ちが
)
ふのであらう。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
月の
出
(
で
)
が
夜毎
(
よごと
)
おそくなるにつれて
其
(
そ
)
の光は段々
冴
(
さ
)
えて来た。
河風
(
かはかぜ
)
の
湿
(
しめ
)
ツぽさが次第に強く感じられて来て
浴衣
(
ゆかた
)
の
肌
(
はだ
)
がいやに
薄寒
(
うすさむ
)
くなつた。月はやがて人の起きて
居
(
ゐ
)
る
頃
(
ころ
)
にはもう昇らなくなつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
戀とは言はず、情とも謂はず、
遇
(
あ
)
ふや
柳因
(
りういん
)
、
別
(
わか
)
るゝや
絮果
(
ぢよくわ
)
、いづれ迷は同じ
流轉
(
るてん
)
の
世事
(
せじ
)
、今は言ふべきことありとも覺えず。只〻此上は
夜毎
(
よごと
)
の
松風
(
まつかぜ
)
に
御魂
(
みたま
)
を
澄
(
すま
)
されて、
未來
(
みらい
)
の
解脱
(
げだつ
)
こそ
肝要
(
かんえう
)
なれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
パリス (廟の前へ進みて)なつかしい
花
(
はな
)
の
我妹子
(
わぎもこ
)
、
花
(
はな
)
を
此
(
この
)
新床
(
にひどこ
)
の
上
(
うへ
)
に
撒
(
ま
)
いて……あゝ、
天蓋
(
てんがい
)
は
石
(
いし
)
や
土塊
(
つちくれ
)
……
其
(
その
)
撒
(
ま
)
いた
草花
(
くさはな
)
に
夜毎
(
よごと
)
に
香
(
かほ
)
る
水
(
みづ
)
を
注
(
そゝ
)
がう。
若
(
も
)
しそれが
盡
(
つ
)
きたなら、
歎
(
なげ
)
きに
搾
(
しぼ
)
る
予
(
わし
)
が
涙
(
なみだ
)
を。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
もののけはいを、
夜毎
(
よごと
)
の
心持
(
こころもち
)
で考えると、まだ三時には
間
(
ま
)
があったので、
最
(
も
)
う最うあたまがおもいから、そのまま黙って、母上の
御名
(
おんな
)
を念じた。——人は
恁
(
こ
)
ういうことから気が違うのであろう。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この辺の心理は
可也
(
かなり
)
不思議なものだが、併し、昔の物の本などによく例がある、つまり、それは、
何人
(
なんぴと
)
とも分らぬ男との、
夜毎
(
よごと
)
の
逢瀬
(
おうせ
)
は、恐らく、彼女にとって、一つのお
伽噺
(
とぎばなし
)
であったのであろうか。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
夜
常用漢字
小2
部首:⼣
8画
毎
常用漢字
小2
部首:⽏
6画
“夜毎”で始まる語句
夜毎々々
夜毎日毎