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剥
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は
ふりがな文庫
“
剥
(
は
)” の例文
此
(
こ
)
の一
歩
(
ぶ
)
に
身
(
み
)
のかはを
剥
(
は
)
がれたために
可惜
(
をし
)
や、お
春
(
はる
)
と
云
(
い
)
ふ
其
(
そ
)
の
娘
(
むすめ
)
は
繼母
(
まゝはゝ
)
のために
手酷
(
てひど
)
き
折檻
(
せつかん
)
を
受
(
う
)
けて、
身投
(
みな
)
げをしたが、
其
(
それ
)
も
後
(
のち
)
の
事
(
こと
)
。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
青いペンキの
剥
(
は
)
げかかった木造の二階建になった長い長い洋館で、下にはたくさんの食糧品を売る店がごたごたと入口を見せていた。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
血潮に汚された畳を
剥
(
は
)
がして、
薄縁
(
うすべり
)
を敷いた四畳半の上がり
框
(
かまち
)
に腰を下ろして、そう言いながらも平次は、腰の煙草入を抜きました。
銭形平次捕物控:018 富籤政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
は
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
に
懸
(
か
)
けた
大根
(
だいこ
)
の
動
(
うご
)
かぬ
程
(
ほど
)
穩
(
おだや
)
かな
日
(
ひ
)
であつた。お
品
(
しな
)
は
此
(
こ
)
の
分
(
ぶん
)
で
行
(
ゆ
)
けば
一枚紙
(
いちまいがみ
)
を
剥
(
は
)
がすやうに
快
(
こゝろ
)
よくなることゝ
確信
(
かくしん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼らはみなくくり
袴
(
ばかま
)
のすはだしであったから、当然、騎馬にも兵にも見すてられ、たちまちその衣冠は野伏たちに
剥
(
は
)
ぎとられていた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
彼はそっと封筒をナイフの刃で
剥
(
は
)
がしてみた。その中からは新聞紙が出て来た。新聞紙を八等分したくらいの小さい形のものだった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僕の生命からしばらくなりとも妻や子を
剥
(
は
)
ぎ取っておくならば、僕はもう物の役に立たないものになるに違いないと思われるのだ。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
私は
呆気
(
あっけ
)
に取られた。きっと取り返されるのかも知れないと思った。それでも、仕方がないので、壁から
剥
(
は
)
がして来て彼に渡した。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「
白樺
(
しらかば
)
の皮、
剥
(
は
)
がして来たか。」タネリがうちに着いたとき、タネリのお
母
(
っか
)
さんが、小屋の前で、こならの実を
搗
(
つ
)
きながら云いました。
タネリはたしかにいちにち噛んでいたようだった
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そして、「お安さあもお安さあだ。これまで裸に
剥
(
は
)
がれてこの上何をぬぐ気だえ。黙って見てばかりいずと、ちっと言ってやらっし。」
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
房二郎はそれを突きとばし、木内の肩を掴んで文華から引き
剥
(
は
)
がした。刷り部屋はしんとしていて、人の声も聞えず物音もしなかった。
へちまの木
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
光子さんは観音さんのポーズするのに、なんぞ
白衣
(
びゃくえ
)
の代りになるような白い布がほしいいうのんで、ベッドのシーツ
剥
(
は
)
がしました。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
郊外の朝顔売りは絵にならない。夏のあかつきの薄い
靄
(
もや
)
がようやく
剥
(
は
)
げて、一町内の家々が
大戸
(
おおど
)
をあける。店を飾り付ける。水をまく。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして
剥
(
は
)
がれた皮はどこかのお寺へ納めたがよい、『それこそたいへんな参詣人で、さぞお賽銭もあがることだろうぜ』と言った。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
追々
薄紙
(
はくし
)
を
剥
(
は
)
ぐが如くに
癒
(
い
)
え行きて、はては、
床
(
とこ
)
の上に起き上られ、妾の
月琴
(
げっきん
)
と兄上の
八雲琴
(
やくもごと
)
に和して、
健
(
すこ
)
やかに
今様
(
いまよう
)
を歌い出で給う。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
地面
(
じべた
)
である。しかも、いつか、龍に化している長たらしい全身から、鱗が一枚ずつ
剥
(
は
)
げ落ちて、ウナギに似た無残さになっていた。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
と
縋
(
すが
)
りつくのを五つ六つ続け
打
(
うち
)
にする。
泣転
(
なきころ
)
がる処を無理に取ろうとするから、ピリ/\と蚊帳が裂ける生爪が
剥
(
は
)
がれる。作藏は
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あわてて
枕許
(
まくらもと
)
から
引
(
ひ
)
き
下
(
さ
)
がったおせんの
眼
(
め
)
に、
夜叉
(
やしゃ
)
の
如
(
ごと
)
くに
映
(
うつ
)
ったのは、
本多信濃守
(
ほんだしなののかみ
)
の
妹
(
いもうと
)
お
蓮
(
れん
)
の
剥
(
は
)
げるばかりに
厚化粧
(
あつげしょう
)
をした
姿
(
すがた
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
里数にすれば三里近くもあるところを、いつの間にか
瓢箪池
(
ひょうたんいけ
)
の、あのペンキの
剥
(
は
)
げたベンチの一つへたどりついていたのである。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
却説
(
さて
)
兎と熟兎は物の食べようを異にす、たとえば
蕪菁
(
かぶ
)
を
喫
(
くら
)
うるに兎や鼠は皮を
剥
(
は
)
いで地に残し身のみ食うる、熟兎は皮も身も食べて
畢
(
しま
)
う。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
初がつおに
舌鼓
(
したつづみ
)
を打ったのは、煮たのでも、焼いたのでもない。それは
刺身
(
さしみ
)
と決まっている。この刺身、皮付きと皮を
剥
(
は
)
ぐ手法とがある。
いなせな縞の初鰹
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
あたい、もう丸ビルなんかに行かないわ、もうこりごりよ、けど、おじさまの顔みていると、だんだん怖いのが
剥
(
は
)
がれて行くわ。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
これはと大きに驚き
呆
(
あき
)
れて、
推
(
お
)
し
剥
(
は
)
がさんと力を
出
(
いだ
)
せど少しも離るることなければ、人を頼みて
挽却
(
ひきさ
)
らしめしも一向さらにその
甲斐
(
かい
)
なし。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
薄く
剥
(
は
)
がれる黒い大きな岩を越えると、水際で、澄みわたった水は矢よりも早く流れてゆく、あたりには青い石も赤い石もある。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
ただ巨大な堆石が、現在見当らないのは、何分にも、氷河が小さく、谷の削り方も浅くて、「
剥
(
は
)
ぎ取り」が、深く
利
(
き
)
かないためであろう。
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
そこなどは色もすっかり
剥
(
は
)
げている上、大きな亀裂が稲妻形にできている部分で、そういうところもそっくりその
儘
(
まま
)
に模写しているのだ。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
僕は
呆
(
あき
)
れて立って見ていると、𣵀麻が手真似で掛けさせた。円顔の女である。物を言うと、薄い唇の間から、
鉄漿
(
かね
)
を
剥
(
は
)
がした歯が見える。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
床を
剥
(
は
)
がすことに決心して、すでにその職人とも約束しておいたから、わたしの指定の日から工事に着手するというのであった。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
お前はわたしに
欺
(
だま
)
されたと言うか言わない時に、一番
端
(
はし
)
に伏していた
鰐
(
わに
)
がわたくしを
捕
(
つかま
)
えてすつかり
着物
(
きもの
)
を
剥
(
は
)
いでしまいました。
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
……僕はあのときパッと
剥
(
は
)
ぎとられたと思った。それからのこのこと外へ出て行ったが、剥ぎとられた後がザワザワ揺れていた。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
東京から西の郊外へ出て見ると、手が取れたり顔の
胡粉
(
ごふん
)
の
剥
(
は
)
げたりした雛人形が、路の辻の小祠の付近に出してあるものをよく見かける。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
反絵
(
はんえ
)
は閉された
卑弥呼
(
ひみこ
)
の部屋の前に、番犬のように
蹲
(
かが
)
んでいた。前方の広場では、
兵士
(
つわもの
)
たちが歌いながら鹿の毛皮を
剥
(
は
)
いでいた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
なるほど眺めていると、
煤
(
すす
)
けたうちに、古血のような大きな模様がある。
緑青
(
ろくしょう
)
の
剥
(
は
)
げた
迹
(
あと
)
かと怪しまれる所も
微
(
かす
)
かに残っている。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
現実界に触れて実感を
得
(
え
)
ると、他愛もなく
剥
(
は
)
げて了う、
剥
(
は
)
げて
木地
(
きじ
)
が
露
(
あら
)
われる。古手の思想は木地を飾っても、木地を蝕する力に乏しい。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「これ、二つでたった五十銭さ。なに、これでも
不断
(
ふだん
)
嵌
(
は
)
めていちゃすぐ
剥
(
は
)
げるけど、着更えした時だけだったらちょっと
瞞
(
だま
)
かせるからね」
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
裸身の僕は、單に——人類の罪を覆うてゐる、キリスト教の血に染んだ
上衣
(
うはぎ
)
を
剥
(
は
)
いで了へば——冷酷な
野心
(
やしん
)
に富んだ男に過ぎないのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と、浮気ぽい根性がうず
痒
(
かゆ
)
く動いて来た。眼をあげると、女はペンキの
剥
(
は
)
げたドアにもたれて、
凝
(
じ
)
っと媚を含んだ眼をこちらに向けていた。
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
崖から
剥
(
は
)
ぎ取られたようにすっと落ちた。途中で絶壁の老樹の枝にひっかかった。枝が折れた。すさまじい音をたてて
淵
(
ふち
)
へたたきこまれた。
魚服記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
所々
剥
(
は
)
げた
蝋鞘
(
ろざや
)
の大小を見栄もなくグッタリと落とし差しにして、長く曳いた裾で
踵
(
かかと
)
を隠し泳ぐようにスースーと歩いて来る。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お前は古い
唐画
(
たうぐわ
)
の桃の枝に、ぢつと止つてゐるが
好
(
い
)
い。うつかり
羽搏
(
はばた
)
きでもしようものなら、体の絵の具が
剥
(
は
)
げてしまふから。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
で三百の歸つた後で、彼は早速小包の横を切るのももどかしい思ひで、包裝を
剥
(
は
)
ぎ、そしてそろ/\と紙箱の
蓋
(
ふた
)
を開けたのだ。
子をつれて
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
外まはりの
漆喰
(
しっくい
)
は青ずんで、ところどころ
剥
(
は
)
げ落ちてゐる。ポーチを支へてゐる石の円柱も、風雨にさらされて黒ずんでゐる。
夜の鳥
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
剥
(
は
)
げちょろの大小を、落し差しにした、この府内には、到るところにうようよしている、お定まりの、
扶持
(
ふち
)
離れのならず
士
(
ざむらい
)
だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
生馬
(
いきうま
)
の眼を抜き、
生猿
(
いきざる
)
の皮を
剥
(
は
)
ぎ、生きたライオンの歯を抜く
底
(
てい
)
の神変不可思議の術を如何なる修養によって会得して来たか。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
上って来たお雪はすぐ窓のある三畳の方へ行って、染模様の
剥
(
は
)
げたカーテンを片寄せ、「
此方
(
こっち
)
へおいでよ。いい風だ。アラまた光ってる。」
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「殺されているんですよ。顎から胸にかけて、黒いものが一杯流れています。血です。
裸体
(
はだか
)
に
剥
(
は
)
がれて、惨殺された女ですよ」
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
竜之助は、ついついそこに待ち構えて、も一人、通行の人を嚇して着物を
剥
(
は
)
ぎ取った、いま身に
纏
(
まと
)
うている
縞
(
しま
)
の
袷
(
あわせ
)
がそれです。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
栗色に塗られたペンキは
剥
(
は
)
げて、窓の
硝子
(
ガラス
)
も大分
破
(
こは
)
れ、ブリキ製の
烟出
(
けむだし
)
も
錆腐
(
さびくさ
)
ツて、見るから淋しい鈍い色彩の建物である。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
これは
蝮
(
まむし
)
、はぶ、こぶらの三毒蛇を生きながら皮を
剥
(
は
)
ぎとり、肉をそぎ身にして細かく叩き、
鼎
(
かなえ
)
にかけた鍋のなかへ投ずる。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
湯煮上った処でザラザラした厚皮を
剥
(
は
)
いで別にバターで粉をいためて牛乳を
注
(
さ
)
して塩胡椒で味をつけた白ソースを拵えます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
剥
部首:⼑
10画
“剥”を含む語句
引剥
皮剥
追剥
剥取
擦剥
赤剥
逆剥
生剥
剥落
剥出
剥奪
摺剥
剥啄
落剥
剥製
剥身
臭剥
剥脱
剥離
剥繰
...