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削
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けず
ふりがな文庫
“
削
(
けず
)” の例文
なぜなら
机
(
つくえ
)
の
四
(
よ
)
つ
角
(
かど
)
は、
小刀
(
こがたな
)
かなにかで、
不格好
(
ぶかっこう
)
に
削
(
けず
)
り
落
(
お
)
とされて
円
(
まる
)
くされ、そして、
面
(
かお
)
には、
縦横
(
じゅうおう
)
に
傷
(
きず
)
がついていたのであります。
春さきの古物店
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
怨まなかった。こうして苦心惨憺して三年前に脱獄してからというもの、それこそ
生命
(
いのち
)
を
削
(
けず
)
る思いをして、お前を探しまわったことを
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「怪しいのはこれだ。……ウーム、かなり重い、どこかの武家屋敷から盗み出した
贓品
(
ぞうひん
)
だな。や、入念に、
定紋
(
じょうもん
)
まで
削
(
けず
)
り落してある」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
削
(
けず
)
ったような
高
(
たか
)
い
崖
(
がけ
)
、そこら
中
(
じゅう
)
には
見上
(
みあ
)
げるような
常盤木
(
ときわぎ
)
が
茂
(
しげ
)
って
居
(
お
)
り、いかにもしっとりと
気分
(
きぶん
)
の
落
(
お
)
ちついた
場所
(
ばしょ
)
でした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
何万年の
永
(
なが
)
い間には
処々
(
ところどころ
)
水面
(
すいめん
)
から顔を出したりまた引っ
込
(
こ
)
んだり、火山灰や粘土が上に
積
(
つも
)
ったりまたそれが
削
(
けず
)
られたりしていたのです。
イギリス海岸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
戦いは敗れ、国は
削
(
けず
)
られ、国民の意気鎖沈しなにごとにも手のつかざるときに、かかるときに国民の真の
価値
(
ねうち
)
は判明するのであります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
……刃物はきょう、
犀角散
(
さいかくさん
)
を、
削
(
けず
)
ることになって居りましたので、
磨
(
と
)
がしましたばかり。決して、血を落としたんじゃございません
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私には教化とか同化とかいう考えが如何に醜く、如何に愚かな態度に見えるであろう。私はかかる言葉を日鮮の辞書から
削
(
けず
)
り去りたい。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
玩具
(
おもちゃ
)
といっても、木の幹を
小刀
(
ナイフ
)
一本で
削
(
けず
)
って、どうやら舟の形に似せたもので、土人の
細工
(
さいく
)
物のように不器用な、小さな
独木舟
(
まるきぶね
)
だった。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
これほど小ぢんまりと
几帳面
(
きちょうめん
)
に暮らして行く彼らは、おそらく食後に使う
楊枝
(
ようじ
)
の
削
(
けず
)
り
方
(
かた
)
まで気にかけているのではなかろうかと考える。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
船をこわした古い材木と、
削
(
けず
)
りぱなしの材木との
累々
(
るいるい
)
たる間を、与兵衛に手を引っぱられて行くお玉は気味が悪くてなりませんでした。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次には紙の美しさ、木を
削
(
けず
)
って花にした代りに、純白でたけの長いものをいろいろの形に
剪
(
き
)
って、到る処に飾るようになったことである。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
橋は、丸木を
削
(
けず
)
って、三、四本並べたものにすぎぬ。合せ目も
中透
(
なかす
)
いて、板も朽ちたり、人通りにはほろほろと
崩
(
くず
)
れて落ちる。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若者の心の中には、両方に刃のついた
剣
(
つるぎ
)
やら、水晶を
削
(
けず
)
った勾玉やら、
逞
(
たく
)
ましい
月毛
(
つきげ
)
の馬やらが、はっきりと浮び上って来た。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すぐうしろの席で、がしがしと鉛筆を
削
(
けず
)
る音が、一層彼の神経をいら立たせた。彼の膝はひとりでに貧乏ゆるぎをはじめた。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
とうとう
癇癪
(
かんしゃく
)
をおこしてしまった母親は、
削
(
けず
)
りかけのコルクをいきなり畳に投げつけて「野郎ぉ……」と
喚
(
わめ
)
くのであった。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
かくて人生は
永劫
(
えいごう
)
の戦場である。個人が社会と戦い、青年が老人と戦い、進取と自由が保守と執着に組みつき、新らしき者が旧き者と
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けず
)
る。
初めて見たる小樽
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
まっすぐに伸びたミズナラの大木を撰んでその幹に
削
(
けず
)
り
花
(
ばな
)
を下げ、パウチを追い出してくれれば山の神様にたんまりお礼をいたしますと祈って
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
自分は今天覧の場合の失敗を恐れて骨を
削
(
けず
)
り
腸
(
はらわた
)
を
絞
(
しぼ
)
る思をしているのである。それに何と昔からさような場合に一度のあやまちも無かったとは。
鵞鳥
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
さしずめ、博士邸の裏に、下水を築く為に置いてある、沢山の石塊の内の一つだということは、
楔形
(
くさびがた
)
に
削
(
けず
)
られたその恰好から丈けでも明かである。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と挨拶してから朝飯を済まし、亭主から
楫
(
かい
)
を一本買受けて、小刀で
削
(
けず
)
り始めた。が、朝寝をしている間に、可成り小次郎への対策を考えていたらしい。
巌流島
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
牛の牢という名は、めぐりの
石壁
(
いしかべ
)
削
(
けず
)
りたるようにて、
昇降
(
のぼりくだり
)
いと
難
(
かた
)
ければなり。ここに来るには、
横
(
よこ
)
に
道
(
みち
)
を取りて、
杉林
(
すぎばやし
)
を
穿
(
うが
)
ち、
迂廻
(
うかい
)
して
下
(
くだ
)
ることなり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人工竜巻は、アルプス山を
削
(
けず
)
りとった岩石が天空高く舞い上っていく姿である。山を削るには、かの怪車輌がある。
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
幼年学校生は、それをねだり取って、ウドの太い
茎
(
くき
)
を折ると、それで
笛
(
ふえ
)
を
削
(
けず
)
りあげ、ぴゅうぴゅう
吹
(
ふ
)
き出した。オセロもやはり、ちょっと吹いてみた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
学校の貧乏なところへもって来て、町や郡からの輔助は
削
(
けず
)
られる、それでも教員の数は
増
(
ふや
)
さんけりゃ手が足りない。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かえって福沢諭吉先生の開明的な思想に
鞭撻
(
べんたつ
)
されて欧化に憧れ、非常な勢いで西洋を模倣し、家の柱などはドリックに
削
(
けず
)
り、ベッドに寝る、バタを食べ
亡び行く江戸趣味
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
盗られてしまっては、
配偶
(
つれあい
)
が死んでから十五年の間の、骨を
削
(
けず
)
るような苦労も、みんな無駄になってしまいました
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
剣のかわりに
算盤
(
そろばん
)
で渡りあうのだ。刀を小判に代えて、斬り結ぶのだ。そうだ、面白い。こいつを向こうにまわして、知恵を
削
(
けず
)
ろう。掛け引きでいこう。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
要するに夫も私も、互いが互いを
嗾
(
けしか
)
け合い、
唆
(
そその
)
かし合い、
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けず
)
り合い、どうにもならない勢いに駆られて夢中でここまで来てしまったのである。………
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その子の頭の上からは、
剥
(
は
)
げかかった金看板がぞろりと下り、弾丸に
削
(
けず
)
られた煉瓦の柱はポスターの剥げ
痕
(
あと
)
で、
張子
(
はりこ
)
のように
歪
(
ゆが
)
んでいた。その横は錠前屋だ。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
背の高いお人好の主人は猫背で
聾
(
つんぼ
)
である。その猫背は彼が永年盆や膳を
削
(
けず
)
って来た
刳物台
(
くりものだい
)
のせいである。夜彼が細君と一緒に温泉へやって来るときの恰好を見るがいい。
温泉
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
彼は
吝
(
けち
)
でないので、ずいぶん思い切って金を遣った。しかもその縄張りは余り広くないので、収支がとても
償
(
つぐな
)
わない。彼の身代はますます
削
(
けず
)
られてゆくばかりであった。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大小数百千
悉
(
こと/″\
)
く
方
(
しかく
)
をなして
削
(
けず
)
りたてたるごとく(かならず
方
(
かく
)
をなす事下に
弁
(
べん
)
ず)なるもの幾千丈の山の上より一
度
(
ど
)
に
崩頽
(
くづれおつ
)
る、その
響
(
ひゞき
)
百千の
雷
(
いかづち
)
をなし大木を
折
(
をり
)
大石を
倒
(
たふ
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
大病人に飲ませるのはビフチーに限ります。これは上等にすると牛肉のランという処を一斤買って
脂身
(
あぶらみ
)
のない赤身だけを
削
(
けず
)
るように
極
(
ご
)
く細かく切って深い壺へ入れます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
幽
(
かす
)
かな空の星の光にぼんやり姿を照らしながら四、五人の人影が
蠢
(
うごめ
)
いている。コンコンという
釘
(
くぎ
)
を打つ音、シュッシュッという板を
削
(
けず
)
る音、いろいろの音が聞こえて来る。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
禾場
(
うちば
)
には村の人達が寄って、板を
削
(
けず
)
り
寝棺
(
ねがん
)
を
拵
(
こさ
)
えて居る。
以前
(
もと
)
は耶蘇教信者と嫌われて、次郎さんのお
祖父
(
じい
)
さんの葬式の時なぞは誰も来て
手伝
(
てつど
)
うてくれる者もなかったそうだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その仕合わせを
削
(
けず
)
ったりしていようなどとは、夢にも思いも考えもしない始末だった。
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
初めてではあるが、大体見当はつくので、内側からスプーンで
削
(
けず
)
って食べ始めた。まくわ
瓜
(
うり
)
の味を少し淡くしたようなものであったが、これがメロンの味かと思って注意して食べた。
寺田先生と銀座
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
中津藩にして古来
度々
(
たびたび
)
の改革にて藩士の禄を
削
(
けず
)
り、その割合を
古
(
いにしえ
)
に比すればすでに
大
(
おおい
)
に
減禄
(
げんろく
)
したるがごとくなるを以て、維新の後にも諸藩同様に更に減少の説を
唱
(
とな
)
えがたき意味もあり
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
表面に
削
(
けず
)
り出しのような軽く
捲
(
ま
)
く紅いろの薄雲が一面に散っていて、空の肌質がすっかり刀色に冴えかえる時分を合図のようにして、それ等の雲はかえって
雲母
(
うんも
)
色に冴えかえって来た。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
山の
端
(
は
)
削
(
けず
)
りて
道路
(
みち
)
開かれ、源叔父が家の前には今の
車道
(
くるまみち
)
でき、朝夕二度に汽船の笛鳴りつ、昔は網だに干さぬ
荒磯
(
あらいそ
)
はたちまち今の
様
(
さま
)
と変わりぬ。されど源叔父が
渡船
(
おろし
)
の業は昔のままなり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
山姥
(
やまうば
)
は
井戸
(
いど
)
のそこをのぞいてみましたが、とても手がとどかないので、くやしがって、
物置
(
ものおき
)
から
鎌
(
かま
)
をさがして
来
(
き
)
て、
桃
(
もも
)
の木のびんつけを
削
(
けず
)
り
落
(
お
)
として、
新
(
あたら
)
しく
切
(
き
)
り
形
(
がた
)
をつけはじめました。
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
例の爺さんは今しも
削
(
けず
)
りあげた木を老眼にあてて
覚束
(
おぼつか
)
ない見ようをして居る。
車上の春光
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
いささか気がへんで、顔はきれいだが、
削
(
けず
)
ったような平ったい胸をしている。
白雪姫
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
二人は大急ぎでおりて見ますと、
大国主神
(
おおくにぬしのかみ
)
はまっくろこげになって、山のすそに
倒
(
たお
)
れていらっしゃいました。あかがいはさっそく自分のからを
削
(
けず
)
って、それを焼いて黒い粉をこしらえました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
そうしてその木蔭にしゃがみながらそれまでパレットを
削
(
けず
)
っていたらしい彼女が、その時つと立ち上って、私にはすこしも気がつかないように、描きかけのカンバスを画架からとりはずすと
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
昆布
(
こぶ
)
、
鰹節
(
かつおぶし
)
——選定および
出汁
(
だし
)
の取り方・
削
(
けず
)
り方
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
また御政治の方針からいっても、大藩の
封地
(
ほうち
)
は、できる限り、
削
(
けず
)
り取るか、
取潰
(
とりつぶ
)
すか、せねばならぬ。その大きな後始末が残っている
柳生月影抄
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私には教化とか同化とかいう考えが如何に醜く、如何に愚かな態度に見えるであろう。私はかかる言葉を日鮮の辞書から
削
(
けず
)
り去りたい。
朝鮮の友に贈る書
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
出ればかまずにはいられません。この作用で骨の左右が
削
(
けず
)
り取られて細い高い隆起と変化して参ります——実に恐ろしい作用です。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
削
常用漢字
中学
部首:⼑
9画
“削”を含む語句
削除
弓削道鏡
削屑
削立
荒削
痩削
粗削
筆削
削成
弓削新発意
削掛
削氷
楊枝削
添削
弓削
骨削
手斧削
弓削新發意
削取
削竹
...