)” の例文
旧字:
世の伝うるところの賽児の事既にはなはだ奇、修飾をらずして、一部稗史はいしたり。女仙外史の作者のりてもって筆墨をするもまたむべなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これすなわち学者に兵馬の権をさずして、みだりに国政を是非せしめず、罪を犯すものは国律をもってこれを罰するゆえんなり。
第一、そういう迷信のために、一種の交通遮断を行うのは、迷信をりての暴虐である。これに甘んじて従うのは近代人の恥辱である。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかしりに貴方あなたところ真実しんじつとして、わたくし警察けいさつからまわされたもので、なに貴方あなたことばおさえようとしているものと仮定かていしましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
など戯れつつ力餅の力をりて上ること一里余杉もみの大木道をはさみ元箱根の一村目の下に見えて秋さびたるけしき仙源に入りたるが如し。
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
それに彼女は開業早々の商売の様子を見いかたがた田舎いなかから出て来ている姉を紹介したりして、何かと彼の力をりるつもりらしかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「等持院寓居」というのは、召波がその等持院の一間か、あるいは境内けいだいの小庵か何かを借りて、其処そこ住居ずまいとしておったのであろう。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
りて往来することあるを知り、近ごろは、彼らの仲間が山伏の皮をかぶって、幕府に反意あるものを、頻りに嗅ぎ歩いているものらしい
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで大急ぎで、残った部品をりの接続でつなぎあわせ、金網の外へ出て、パネルについている電源スイッチをおそるおそる入れてみた。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
りにお堂の下で踏んだものとしたら、そして和尚さんがお堂の下を見られるのをいやがっているとしたら、大いに怪しくなって来るじゃないか
贋紙幣事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
横合から飛込み様、二人の間をへだてたのは、江戸者らしい旅人が三人、半十郎の弁解に耳もさず、道中差を引っこ抜いて斬ってかかったのです。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
即ち神意をりて吾人に一夫一婦制を説き、「神は愛なり」と熱叫して、人類のために長く紛糾ふんきゅうせる困難なる問題を解決し尽しているではないか。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
りに両方の丘に久我之助の楼閣ろうかくと雛鳥の楼閣があったとしても、あんな風にたがいに呼応することは出来なかったろう。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
東坡とうばの「留侯論」中の語をきたれば「その意書にらず」の一句にて足るべし。彼らが学問は、書物の上の学問にあらずして、実際の上の学問なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
モネの薔薇ばらしんと云ふか、雲林の松をと云ふか、所詮しよせんは言葉の意味次第ではないか? わたしはこの図を眺めながら、そんな事も考へた覚えがある。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
りに機械にたとえるとの機械は、一個所、非常に精鋭な部分があり、あとは使用を閑却かんきゃくされていると言ってい。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
邑宰むらやくにんはずるいので、促織の催促に名をって村の戸数に割りあてて金を取りたてた。で、一疋の促織を催促するたびに、三、四軒の家の財産がなくなった。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
加之かかる兵力的掩護条約の存在それ自体が侵略国を刺戟し、その敵対行動の口実をすことになりましょう。
新憲法に関する演説草稿 (新字新仮名) / 幣原喜重郎(著)
ある時は、この部落の下の湖を泳ぎまわこいがシャクの口をりて、鱗族達いろくずたちの生活の哀しさと楽しさとを語った。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そして初めて弟に一臂いっぴの力をすことのできる機会の来たことを悦んで、希望に満ち満ちて翌朝東京へ発った。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
年の若い侍は勿論それに耳をさなかったが、元来が物やさしい生れの又次郎は、頭からそれを蹴散らそうともしなかった。彼はまじめにうなずいてみせた。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
りに一歩をゆずり、幕末にさいして外国がいこく干渉かんしょううれいありしとせんか、その機会きかい官軍かんぐん東下とうか、徳川顛覆てんぷくの場合にあらずして、むしろ長州征伐ちょうしゅうせいばつの時にありしならん。
めにも鼻の表現に暗い影響を及ぼすような、暗い心理的経過を持ってはなりませぬ。これは誰にでもわかり切った問題で、又それだけの事であります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
耳無地蔵の足下あしもとなどに、さま/″\の他の無名草ななしぐさ醜草しこぐさまじり朝露を浴びて眼がさむるように咲いたつゆ草の花を見れば、竜胆りんどうめた詩人の言を此にもりて
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
りの眠りから、いつのとも心づかぬうちに、永い眠りに移る本人には、呼び返される方が、切れかかった煩悩ぼんのうの綱をむやみに引かるるようで苦しいかも知れぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それについては何卒どうか消されるものなら長家の者の手をりて消し止めたいと思い、取って返して突然いきなり又作のうちを明けると、火はぽッ/\と燃上もえあがりまして火の手が強く
温は大中元年に、三十歳で太原たいげんから出て、始て進士のに応じた。自己の詩文はしょく一寸をもやさぬうちに成ったので、隣席のものが呻吟しんぎんするのを見て、これに手をしてった。
魚玄機 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「まあさ、りの話だよ。これでも隠居さんは、まだまだ長生きするつもりだからね。」
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
されどもこはふべからざる事情の下に連帯のいんせしが、かたの如く腐れ込みて、義理の余毒の苦をうくると知りて、彼の不幸を悲むものは、交際官試補なる法学士蒲田かまだ鉄弥と
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
人間界にんげんかい剣術けんじゅつ道場どうじょうのようなものをりにつくげて私達わたくしたちせたのでございましょう。
大口いて馭者は心快こころよげに笑えり。白糸は再び煙管をりて、のどかにけぶりを吹きつつ
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は子供の方に背を向けて、そつちには耳をさずに寝入つてしまはうと身構へた。
An Incident (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
だ画題をマドンナにつて崇高優美な人間を描き出した見識と筆力とに敬服した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
……それに、りに、あッしがやるとしたら、そんなドジな、ひと目であッしの仕業とわかるような、そんな殺り方はいたしますまい。これが、あッしが無実だというなによりの証拠。
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
平生へいぜい悪人をのみ取り扱うに慣れたる看守どもの、一図いちずに何か誤解せる有様にて、妾の言葉には耳だもさず、いよいよあざけ気味ぎみに打ち笑いつつ立ち去りたれば、妾は署長の巡廻を待って
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
かすかによろこびの光線ひかりとも思われるのは、父があんなに待ったにもかかわらず、とうとう源三郎様がまに合わないで、死にゆく父の枕頭で、いやなお方とりの祝言しゅうげんのさかずきごとなど
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何故などかる汚穢けがれむしろに座して、おほかみの甘き誘惑いざなひに耳をすやと叱かり給ふ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
万葉仮名は漢字音をりて、日本語の音を写したものが沢山あります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
邪をふせぎ、淫をせきし、を棄て、真を求むるは、教の大本なり。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
その胸を今日けふさずと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
我にはりの侘住わびずまひ
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
学校の規則もとより門閥もんばつ貴賤きせんを問わずと、表向おもてむきの名にとなうるのみならず事実にこの趣意をつらねき、設立のその日より釐毫りごうすところなくして
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これきたりてもって建文の位をゆずれるに涙をおとし、燕棣えんていの国を奪えるに歯をくいしばり、慷慨こうがい悲憤して以て回天の業をさんとするの女英雄じょえいゆうとなす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
にもかかわらず、このたびの出陣以後には、まだかつて一度も、この元老の献言にも耳をしたためしがない。また、特にはかろうともしないのであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
城下ちかいを為すの恥を思わず、かえって忠貞をとらえて忌疑きぎを抱く。白映ペートルさかいを議す長崎の港、聖東ワシントン地をる下田のはま
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
なぜなら母が人間であったら、もうこの世で会える望みはないけれども、狐が人間に化けたのであるなら、いつか再び母の姿をりて現れない限りもない。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
隆夫の肉体に宿っていた霊魂第十号が追い出され、そのあとへ隆夫の霊魂がりの宿レザールの身体をはなれて飛びこんだその時刻にぴったりと一致する。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
返す返すも我が日本は戦勝の威をりて侵略を努め、または強を頼んで弱をしのぐという意志はないのである。
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
この方向を指して先天的美の標準と名づけべくばすなわち名づくべし。今りに概括的美の標準と名づく。
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
当時とうじ幕府の進歩派小栗上野介おぐりこうずけのすけはいのごときは仏蘭西フランスに結びその力をりて以て幕府統一のまつりごとをなさんとほっし、薩長さっちょうは英国にりてこれにこうたがい掎角きかくいきおいをなせり。