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以
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も
ふりがな文庫
“
以
(
も
)” の例文
一は
仮時的
(
テンポラル
)
なり、他は永遠にして
三世
(
さんぜ
)
に亘るなり。
仮時的
(
テンポラル
)
なる者は一時の現象を対手とし、永遠なる者は人世の秘奥を
以
(
も
)
て対手とす。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
始終私どもの講義を聞いて、
茲
(
ここ
)
にはじめて神の正しく
儼存
(
げんぞん
)
し
玉
(
たま
)
ううえは、
至誠
(
しせい
)
を
以
(
も
)
ってこれを信じその道を尽し、その法を修めんには
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は月の
夜
(
よ
)
に連れられて来た
路地口
(
ろぢぐち
)
をば、これは
又
(
また
)
一層の苦心、一層の
懸念
(
けねん
)
、一層の疲労を
以
(
も
)
つて、やつとの事で
見出
(
みいだ
)
し得たのである。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
漢文で、「
慷慨
(
こうがい
)
憂憤の士を
以
(
も
)
って狂人と為す、悲しからずや」としてある。墨の
痕
(
あと
)
も
淋漓
(
りんり
)
として、
死際
(
しにぎわ
)
に震えた手で書いたとは見えない。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
讀
(
よ
)
む
人
(
ひと
)
、
其
(
そ
)
の
走
(
はし
)
るもの
汽車
(
きしや
)
に
似
(
に
)
ず、
飛
(
と
)
ぶもの
鳥
(
とり
)
に
似
(
に
)
ず、
泳
(
およ
)
ぐもの
魚
(
うを
)
に
似
(
に
)
ず、
美
(
び
)
なるもの
世
(
よ
)
の
廂髮
(
ひさしがみ
)
に
似
(
に
)
ざる
故
(
ゆゑ
)
を
以
(
も
)
て、ちくらが
沖
(
をき
)
となす
勿
(
なか
)
れ。
怪談会 序
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
中央の太き柱は
薬玉
(
くすだま
)
および小旗を
以
(
も
)
って飾られ、無数の電灯は
四方
(
あたり
)
に輝きて
目映
(
まばゆ
)
きばかり。当夜の料理は前壁に対せし一列の食卓に配置さる。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
隅田川とは
隅田
(
すだ
)
を流るゝを
以
(
も
)
て呼ぶことなれば、隅田村以上千住宿あたりを流るゝをば千住川と呼び、それより以上をば荒川と呼ぶ習ひなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
圧制
(
あっせい
)
、
偽善
(
ぎぜん
)
、
醜行
(
しゅうこう
)
を
逞
(
たくましゅ
)
うして、
以
(
も
)
ってこれを
紛
(
まぎ
)
らしている。ここにおいてか
奸物共
(
かんぶつども
)
は
衣食
(
いしょく
)
に
飽
(
あ
)
き、
正義
(
せいぎ
)
の
人
(
ひと
)
は
衣食
(
いしょく
)
に
窮
(
きゅう
)
する。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
木刀を
以
(
も
)
って打つやら突くやら
無慙至極
(
むざんしごく
)
な扱い、その
折柄
(
おりから
)
何十人という多くの人立でございましたが、只気の毒だ、可愛相だというばかりで
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
芝区赤羽町一番地、白石生。太宰治大先生。或る種の実感を
以
(
も
)
って、『大先生』と一点不自然でなく、お呼びできます。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
見物が前を通ると仕掛けで首を上げる、
怨
(
うら
)
めしそうな顔をして、片手には短刀を
以
(
も
)
って
咽喉
(
のど
)
を突いてる、血がポタポタ
滴
(
た
)
れそうな仕掛になっている。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
たまたま家族の者に
諫言
(
かんげん
)
でも加えるには、
曾
(
かつ
)
て
夏目漱石
(
なつめそうせき
)
氏の評された、氏の漫画の特色とする「苦々しくない皮肉」の
味
(
あじわ
)
いを
以
(
も
)
って
徐
(
おもむ
)
ろに迫ります。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
また「
高皇産霊神
(
たかみむすびのかみ
)
は
大物主神
(
おおものぬしのかみ
)
に向ひ、
汝若
(
いましも
)
し国つ神を
以
(
も
)
て妻とせば、
吾
(
われ
)
は
猶
(
なお
)
汝
疎
(
うと
)
き心
有
(
あ
)
りとおもはん」と仰せられた。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
宮は
何時
(
いつ
)
までここに在らん、我は例の
孤
(
ひとり
)
なり。思ふに、彼の悔いたるとは誠ならん、我の死を
以
(
も
)
て
容
(
ゆる
)
さざるも誠なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
夫はしきりに傑作やいいましたが、とにかくわたしが絵エいうもん習い始めてから、これほど一所懸命に、興味
以
(
も
)
って画いたことはあれしませなんだ。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どう
以
(
も
)
ちまして。生れつき口不調法でござりますゆえ、なんと申してお詑びしたらよいやら分らぬのでござります。それに主人の御用向きで、少しく先を
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
どんなに明々白々な論拠を
以
(
も
)
って臨んでも、まるで
暖簾
(
のれん
)
と腕押しをすると同じで、さっぱり手ごたえがないのだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
春
従
(
よ
)
り
亢旱
(
かうかん
)
にして夏に至るまで雨ふらず。百川水を減じて五穀
梢
(
やや
)
に
凋
(
しぼ
)
めり。
実
(
まこと
)
に朕が不徳を
以
(
も
)
て致す所なり。百姓何の罪ありてか、
憔萎
(
せうゐ
)
せる事の甚しき。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
凡
(
すべ
)
てが、意外だった。瑠璃子夫人の
華奢
(
きゃしゃ
)
なスラリとした、身体の代りに、
其処
(
そこ
)
に十人に近い男性が色々な
椅子
(
いす
)
に、いろいろな姿勢で
以
(
も
)
って陣取っていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この時を始として、余と少女との
交
(
まじはり
)
漸く繁くなりもて行きて、同郷人にさへ知られぬれば、彼等は
速了
(
そくれう
)
にも、余を
以
(
も
)
て色を舞姫の群に
漁
(
ぎよ
)
するものとしたり。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
湯殿の脱衣室の鏡ね、あの大きな厚い鏡を、主人は
椅子
(
いす
)
で
以
(
も
)
ってメチャメチャに叩き割ってしまいましたのよ。きっと何かの影がそこに写ったからですわ。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その当時、彼は一種の妬みの眼を
以
(
も
)
ってその人を見ていたのであるが、今となっては、彼は
憫
(
あわ
)
れみの眼を以ってその人を見なければならないようになった。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「四分の一なら
以
(
も
)
って
瞑
(
めい
)
すべしさ。それに大学を卒業させて貰っている。苦情を言うのは少し慾だろうぜ」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
此
(
この
)
境遇に処せしむるに小心なる臆病なる慈悲心ある——勇気なく独立心に乏しき一個の人物を
以
(
も
)
つてし、以て此の地位と彼の境遇との関係を発揮したるものなり。
舞姫
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
当時は世間でも随分騒ぎ、警察方面でも
可成
(
かな
)
り熱心に、そうして勿論同情を
以
(
も
)
って、手を尽くして八方捜索しましたが、行衛を知ることが出来なかったそうです。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ここに天つ神
諸
(
もろもろ
)
の
命
(
みこと
)
以
(
も
)
ちて
一
、
伊耶那岐
(
いざなぎ
)
の命
伊耶那美
(
いざなみ
)
の命の二柱の神に
詔
(
の
)
りたまひて、この漂へる國を
修理
(
をさ
)
め固め成せと、
天
(
あめ
)
の
沼矛
(
ぬぼこ
)
を賜ひて、
言依
(
ことよ
)
さしたまひき
二
。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
性
邪悪
(
よこしま
)
にして慾深ければ、奉納の
煎
(
あげ
)
豆腐を
以
(
も
)
て足れりとせず。われから宝珠を棄てて、明神の
神祠
(
みやしろ
)
を抜け出で、穴も定めぬ野良狐となりて、彼の山に
漂泊
(
さまよ
)
ひ行きつ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
正義の為に富豪を罰する我が団体の名を断りなく
騙
(
かた
)
りて、私欲の為に肉身を
欺
(
あざむ
)
く、
其
(
その
)
罪大なり。
速
(
すみやか
)
に
汝
(
なんじ
)
の得たる金を差出せ、然らずんば我等は暴力を
以
(
も
)
って汝に臨まん。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
同学
鞍作得志
(
くらつくりのとくし
)
、虎を
以
(
も
)
て友として、その
術
(
ばけ
)
を学び取れり。あるいは
枯山
(
からやま
)
をして変えて青山にす。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
社会は、この最も弱いものを同情するよりは、しばしば一種の
白眼
(
はくがん
)
を
以
(
も
)
ってみる。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
菊世は手を
以
(
も
)
って快庵を制するようにしていった。
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
全く
以
(
も
)
って何とも言い得ぬ哀れな出来事であった。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
今怠慢の故を
以
(
も
)
て劣れる賞を取るあらば
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
白「
私
(
わたくし
)
は
陰陽
(
おんよう
)
を
以
(
も
)
って世を渡り、未来の禍福を占って人の志を定むる事は、私承知して居りますけれども、こればかりは気が付きませなんだ」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
としめやかに
朱唇
(
しゆしん
)
が
動
(
うご
)
く、と
花
(
はな
)
が
囁
(
さゝや
)
くやうなのに、
恍惚
(
うつとり
)
して
我
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れる
雪枝
(
ゆきえ
)
より、
飛騨
(
ひだ
)
の
国
(
くに
)
の
住人
(
じゆうにん
)
以
(
も
)
つての
外
(
ほか
)
畏縮
(
ゐしゆく
)
に
及
(
およ
)
んで
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
是
(
ここ
)
ヲ
以
(
も
)
テ相逢フゴトニ先生ノ文ト翁ノ学トヲ追称ス。
交誼
(
こうぎ
)
啻
(
ただ
)
ニ門ヲ同ジクスルノミニアラズ。
頃
(
このこ
)
ロソノ青年ノ所著『親灯余影』ナル者ヲ示サル。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然
(
しか
)
れども其諷刺の原料として取る所の、重に文躰にありしを
以
(
も
)
て見れば、善く罵りしのみにして、未だ敵を塵滅するの力あらざりしを知るに足らむ。
「油地獄」を読む:(〔斎藤〕緑雨著)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
壓制
(
あつせい
)
、
僞善
(
ぎぜん
)
、
醜行
(
しうかう
)
を
逞
(
たくまし
)
うして、
以
(
も
)
つて
是
(
これ
)
を
紛
(
まぎ
)
らしてゐる。
是
(
こゝ
)
に
於
(
おい
)
てか
奸物共
(
かんぶつども
)
は
衣食
(
いしよく
)
に
飽
(
あ
)
き、
正義
(
せいぎ
)
の
人
(
ひと
)
は
衣食
(
いしよく
)
に
窮
(
きう
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
後
(
のち
)
戦功を
以
(
も
)
って累進して将となり、
蜀
(
しょく
)
を征し、
雲南
(
うんなん
)
を征し、
諸蛮
(
しょばん
)
を平らげ、雄名世に
布
(
し
)
く。建文元年
耿炳文
(
こうへいぶん
)
に従いて燕と戦う。炳文敗れて、成
執
(
とら
)
えらる。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
証書は風早の手に移りて、遊佐とその妻と彼と
六
(
むつ
)
の目を
以
(
も
)
て子細にこれを点検して、その夢ならざるを
明
(
あきら
)
めたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それは前
以
(
も
)
ってちゃんと頼み込んであるのだ。エ、お前がそのアリバイを勤めたのかって、イヤ、違う違う。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その地獄とも
醍醐味
(
だいごみ
)
ともいえるところに静かにあぐらをかき、守り本尊を念じつつ微笑を
以
(
も
)
って仕事する、そういう職人気質こそ私の理想とする人格なのだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
いや、私は暴に報いるに、暴を
以
(
も
)
ってしません。たゞ、国の公正なる法律に、あなたの処分を
委
(
まか
)
せる丈です。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私の貧弱な
語彙
(
ごい
)
を
以
(
も
)
ってしては、ちょっと見つかりそうもありませんから、ただ、私の赤貧の生立ちと比較して軽く形容しているのだと解して、おしのび下さい。
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
玩具及び人形は単に一時の娯楽品や、好奇心を満足せしむるを
以
(
も
)
ってやむものでない事は、人類最古の文明国たりし
埃及
(
エジプト
)
時代に
已
(
すで
)
に見事なものが存在したのでも知られる。
土俗玩具の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
左門に逢ったなら「我の一を
以
(
も
)
って敵の二に応じ」よう。すなわち、攻撃的に出て、機先を制しようなどと考えていた頼母は、相手の構えを見ただけで、萎縮してしまった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
然れども吾人詩学的の
眼
(
がん
)
を
以
(
も
)
つて之を
視
(
み
)
るときは、キリストと雖も明白なる罪過あるなり。彼はユダヤ人の気風習慣に
逆
(
さか
)
ひ、時俗に投ぜざる、時人の信服を買ふ能はざる説を吐けり。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
私達はマホメットの宗教を信じ剣を
以
(
も
)
って邪を払い、詩を以って心を養います
ガルスワーシーの家
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
諸君
蒐集
(
しゅうしゅう
)
の民謡はいつも大なる興味を
以
(
も
)
って拝見していますが、その中には今はもう歌わないもの、ある老人が
僅
(
わず
)
かに記憶していたもの、意味の不明で誤写だろうかと思うものなどがあって
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ここでお前がうっかりしたことをすると、あれ見ろ、あいつは悪い事をした申し訳なさに自滅したと、かえって理を
以
(
も
)
って非に陥るようなことになる。くれぐれも無分別なことをしてくれるなよ
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
以
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“以”を含む語句
以前
所以
以上
以来
以後
以太利
以外
前以
以為
以來
人間以上
今以
以而
細木香以
此以後
以降
角倉了以
以下
以爲
其以前
...