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人足
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にんそく
ふりがな文庫
“
人足
(
にんそく
)” の例文
井戸新
(
いどしん
)
さんは、
人足
(
にんそく
)
がいくらいくら、
井戸囲
(
いどがこ
)
いの
土管
(
どかん
)
がいくらいくら、
土管
(
どかん
)
のつぎめを
埋
(
う
)
めるセメントがいくらと、こまかく
説明
(
せつめい
)
して
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
折助
(
おりすけ
)
とも
人足
(
にんそく
)
ともわからない中年の、ふうていのよくない男が二人、穴のある傘をさして、なにかくち早に話しながら、通りすぎていった。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その間、葉子は仰向けになって、
甲板
(
かんぱん
)
で盛んに荷揚げしている
人足
(
にんそく
)
らの騒ぎを聞きながら、やや暗くなりかけた光で木村の顔を見やっていた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
暁に先立つて
草刈
(
くさかり
)
に行く農夫の一人二人がそれを見つけて、村役場へ届ける。村役場では
人足
(
にんそく
)
を出して堤防の修理をする。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「え、ジープに、まさか、ジープにベッドがのるもんですか。そして三階にあげるにはどうするんですか。
人足
(
にんそく
)
を十人ぐらい集めるのでしょう」
一坪館
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
すると
人足
(
にんそく
)
の一
人
(
にん
)
か『
貝
(
かひ
)
の
出
(
で
)
る
處
(
ところ
)
は
此所
(
こゝ
)
ばかりぢやア
有
(
あ
)
りません。
御門
(
ごもん
)
を
入
(
はい
)
つて
右手
(
みぎて
)
の
笹山
(
さゝやま
)
の
後
(
うしろ
)
の
處
(
ところ
)
にも、
白
(
しろ
)
い
貝
(
かひ
)
が
地面
(
ちめん
)
に
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
ます』と
報告
(
ほうこく
)
した。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
またあるとき、ケーは
土木工事
(
どぼくこうじ
)
をしているそばを
通
(
とお
)
りかかりますと、
多
(
おお
)
くの
人足
(
にんそく
)
が
疲
(
つか
)
れて
汗
(
あせ
)
を
流
(
なが
)
していました。
眠い町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
むこうで
人足
(
にんそく
)
たちが、
焼
(
やき
)
するめと
焼米
(
やきごめ
)
を
頬
(
ほお
)
ばっているのを見て
伊部熊蔵
(
いのべくまぞう
)
、それが
欲
(
ほ
)
しい
謎
(
なぞ
)
だろうとさっして
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
唯
(
た
)
だ首を
頷付
(
うなづ
)
かせて、
何処
(
どこ
)
と
当
(
あて
)
もなしに遠くを
眺
(
なが
)
めてゐた。
引汐
(
ひきしほ
)
の
堀割
(
ほりわり
)
に
繋
(
つな
)
いだ
土船
(
つちぶね
)
からは
人足
(
にんそく
)
が二三人して
堤
(
つゝみ
)
の
向
(
むか
)
うの
製造場
(
せいざうば
)
へと
頻
(
しきり
)
に土を運んでゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
韋駄天
(
いだてん
)
を叱する勢いよく
松
(
まつ
)
が
端
(
はな
)
に
馳
(
か
)
け付くれば旅立つ人見送る人
人足
(
にんそく
)
船頭ののゝしる声々。車の音。端艇
涯
(
きし
)
をはなるれば
水棹
(
みさお
)
のしずく屋根板にはら/\と音する。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
この、力士のような堂々たる
人足
(
にんそく
)
が十人、いっせいに鈴川方の塀の木戸へ眼をあつめていると、はたして、パッと内部から戸を蹴りあげて走り出た五人の火事装束!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
単衣
(
ひとえ
)
一枚では
肌
(
はだ
)
がなんとなくヒヤヒヤする。棺はやがて
人足
(
にんそく
)
にかつがれて、墓地へと運ばれて行く。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
噺家
(
はなしか
)
、たいこもち、金に糸目をつけぬ、一流の人たちが
主
(
おも
)
な役柄に扮し、お
徒歩
(
かち
)
、
駕籠
(
かご
)
のもの、
仲間
(
ちゅうげん
)
、
長持
(
ながもち
)
かつぎの
人足
(
にんそく
)
にいたるまで、そつのないものが適当に割当てられ
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
道中で
人足
(
にんそく
)
をゆすったり、いたるところの旅館で金を絞ったり、あらゆる方法で沿道の人民を苦しめるのも、京都から毎年きまりで下って来るその日光例幣使の一行であった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大八車
(
だいはちぐるま
)
が三台、
細引
(
ほそびき
)
だの滑車だの手落ちのないよう万事気を附け、岡倉校長を先導に主任の私、山田、後藤、石川、竹内、その他の助手、
人足
(
にんそく
)
など大勢が繰り込みましたことで
幕末維新懐古談:70 木彫の楠公を天覧に供えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
ところどころに、
人足
(
にんそく
)
の茶飲み所兼監督の詰め所の交番ようのものが「置い」てあった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「銅像を掘り出したのは
人足
(
にんそく
)
で、テニスをしたのは銅像を掘り出さした主人の方です」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かう云ふ人情の
矢面
(
やおもて
)
には
如何
(
いか
)
なる芸術至上主義も、提燈におしなさいと云ふ忠告と同様、
利
(
き
)
き目のないものと覚悟せねばならぬ。我我は
土砂降
(
どしやぶり
)
りの往来に似た人生を
辿
(
たど
)
る
人足
(
にんそく
)
である。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
例えば私は少年の時から人を
呼棄
(
よびすて
)
にしたことがない。車夫、
馬丁
(
ばてい
)
、
人足
(
にんそく
)
、
小商人
(
こあきんど
)
の
如
(
ごと
)
き下等社会の者は別にして、
苟
(
いやしく
)
も話の出来る人間らしい人に対して無礼な言葉を用いたことはない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ちやうど
市
(
まち
)
の
場末
(
ばすゑ
)
に
住
(
す
)
むでる
日傭取
(
ひようとり
)
、
土方
(
どかた
)
、
人足
(
にんそく
)
、それから、
三味線
(
さみせん
)
を
弾
(
ひ
)
いたり、
太鼓
(
たいこ
)
を
鳴
(
な
)
らして
飴
(
あめ
)
を
売
(
う
)
つたりする
者
(
もの
)
、
越後獅子
(
ゑちごじゝ
)
やら、
猿廻
(
さるまはし
)
やら、
附木
(
つけぎ
)
を
売
(
う
)
る
者
(
もの
)
だの、
唄
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ふものだの
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おもいおもいに露店を
列
(
なら
)
べて
賑
(
にぎ
)
わしく、生活のために社会と戦う人の右へ走り左へ
馳
(
は
)
せて、さなきだに熱き日のいよいよ熱く苦しく覚うる頃となれば、
水撒
(
みずまき
)
人足
(
にんそく
)
の車の行すぎたる跡より
銀座の朝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
伊太夫が一
人足
(
にんそく
)
に向って、こんな
会釈
(
えしゃく
)
を賜わるほどのことは例外でありました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
マルコが目をさますと、荷車の列はとまってしまって、
人足
(
にんそく
)
たちは火をたきながらパンをやいて食べているのでした。みんなは食事がすむとしばらくひるねをしてそれからまた出かけました。
母を尋ねて三千里
(新字新仮名)
/
エドモンド・デ・アミーチス
(著)
金絲の
綉
(
ぬひはく
)
をした
上衣
(
うはぎ
)
を
日
(
ひ
)
に
煌
(
きらめ
)
かして
行
(
ゆ
)
く
大買人
(
おほあきんど
)
もあれば、
重
(
おも
)
さうな荷物を
脊負
(
しよつ
)
てゆく
人足
(
にんそく
)
もある、
香料
(
かうれう
)
の
妙
(
たへ
)
なる
薫
(
かほり
)
が
折
(
を
)
り/\
生温
(
なまぬく
)
い風につれて
鼻
(
はな
)
を打つ、
兒童
(
こども
)
は
極樂
(
ごくらく
)
へでも
行
(
い
)
つた氣になつて
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
梅田の
挽
(
ひ
)
かせて行く
大筒
(
おほづゝ
)
を、坂本が見付けた時、平八郎はまだ淡路町二丁目の往来の四辻に近い処に立ち止まつてゐた。同勢は見る/\
耗
(
へ
)
つて、
大筒
(
おほづゝ
)
の車を
挽
(
ひ
)
く
人足
(
にんそく
)
にも事を
闕
(
か
)
くやうになつて来る。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「じいや、
人足
(
にんそく
)
を多勢呼んで来てくれ。」
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
取り
裏口
(
うらぐち
)
より忍び
出
(
いで
)
しは出たれども
何
(
いか
)
に行ば
街道
(
がいだう
)
ならんと思ひながらも一
生懸命
(
しやうけんめい
)
の場所なれば足に任せて走る程に
何程
(
なにほど
)
來りしかは知らざる
中
(
うち
)
夏の夜の明安く
東雲
(
しのゝめ
)
近く成しと覺えて行先に驛路の鈴の
音
(
ね
)
人足
(
にんそく
)
の聲など遙に聞えければ友次郎もお花も
始
(
はじ
)
めて
蘇生
(
よみがへり
)
たる心地して扨は街道に近く成しぞと猶も道を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
多
(
おほ
)
く
人足
(
にんそく
)
を
使用
(
しよう
)
したのを
一人
(
ひとり
)
の
勞作
(
らうさく
)
に
直
(
なを
)
して、一
日
(
にち
)
平均
(
へいきん
)
七
時間
(
じかん
)
と
見
(
み
)
ると、
方
(
まさ
)
に八十
餘日
(
よにち
)
を
費
(
つひや
)
した
計算
(
けいさん
)
である。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
早坂新道と村の人が
称
(
とな
)
へたのはこの新道である。この新道は僕の生れるずつと前に開通されたものだが、連日の
人足
(
にんそく
)
で村の人々の間にも不平の声が高かつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
長吉は
唯
(
た
)
だ首を頷付かせて、
何処
(
どこ
)
と
当
(
あて
)
もなしに遠くを眺めていた。引汐の堀割に
繋
(
つな
)
いだ
土船
(
つちぶね
)
からは
人足
(
にんそく
)
が二、三人して堤の向うの製造場へと
頻
(
しきり
)
に土を運んでいる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そればかりか、その時ふと耳についたのは、パチパチとはぜる内部の火の音ではなく、まさしく数十人の
人足
(
にんそく
)
とおぼえられる物おとが、小屋の外部を
嵐
(
あらし
)
のごとくめぐっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして早速
人足
(
にんそく
)
を廻しましょう、といっております。その男の
口裡
(
くちうら
)
で見ると、十日位掛かれば出来上がりそうな話。野見さん初め他の友達もこれでいよいよ気乗りがして来ました。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
毎日三人で焼けあとに出かけていって、
人足
(
にんそく
)
の人なんかに、じゃまだ、あぶないといわれながら、いろいろのものを
拾
(
ひろ
)
い出して、めいめいで見せあったり、取りかえっこしたりした。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「これは
国木田独歩
(
くにきだどっぽ
)
です。
轢死
(
れきし
)
する
人足
(
にんそく
)
の心もちをはっきり知っていた詩人です。しかしそれ以上の説明はあなたには不必要に違いありません。では五番目の龕の中をごらんください。——」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宿から宿への
継立
(
つぎた
)
てと言えば、
人足
(
にんそく
)
や馬の世話から荷物の扱いまで、一通行あるごとに宿役人としての心づかいもかなり多い。多人数の宿泊、もしくはお
小休
(
こやす
)
みの用意も忘れてはならなかった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
人足
(
にんそく
)
に出たって仕事なんぞ、ろくにありやしねえ、番札で働きに出るのが五日に一度くれえだ、それで五合の米が百文するんだから、女房、子のある者は江戸じゃあ食えねえ、田舎のある者はみんな田舎へ帰っちまうさ」
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
令息
(
れいそく
)
が
快
(
こゝろよ
)
く
出迎
(
でむか
)
へられて、
萬事
(
ばんじ
)
に
便誼
(
べんぎ
)
を
與
(
あた
)
へられ、
人足
(
にんそく
)
二
人
(
にん
)
さへ
呼
(
よ
)
ばれたのであつた。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
そこに、焼けあとで働いている
人足
(
にんそく
)
が来て、ポチが見つかったと知らせてくれた。ぼくたちもだったけれども、おばあさまやおかあさんまで、大さわぎをして「どこにいました」とたずねた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「わたしの
難儀
(
なんぎ
)
の
身代
(
みがわ
)
りになって、あの
人足
(
にんそく
)
たちに、打たれるやら、
蹴
(
け
)
られるやら、それでも、おまえさまは
手出
(
てだ
)
しもせず、ジッとがまんしていなすったから、とうとう
気絶
(
きぜつ
)
してしまいなされた」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
カヤ方の仕事師は
人足
(
にんそく
)
を使って雛形をたよりに仕事に取り掛かって、大仏の形をやり出したのですが、この仕事について私の考えは、まず雛形を渡して置けば大工と仕事師とで
概略
(
あらまし
)
出来るであろう。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
不用意
(
ふようい
)
に
入
(
い
)
ると
窒息
(
ちつそく
)
して
死
(
し
)
ぬ
恐
(
おそ
)
れがあるので、
先
(
ま
)
づ
蝋燭
(
らうそく
)
の
火
(
ひ
)
をさし
入
(
い
)
れる
必用
(
ひつよう
)
がある。
人足
(
にんそく
)
が
一人
(
ひとり
)
進
(
すゝ
)
んで、
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
片手
(
かたて
)
の
火
(
ひ
)
をさし
入
(
い
)
れると、
火
(
ひ
)
は
次第
(
しだい
)
に
小
(
ちいさ
)
く
成
(
な
)
つて、
後
(
のち
)
には、ふツと
消
(
き
)
えた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
“人足”の意味
《名詞》
;(にんそく)
土木工事・荷役などの力仕事に従事する労働者。
;(ひとあし)
人の往来。
人繞(にんによう)。
(出典:Wiktionary)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“人足”で始まる語句
人足廻
人足指
人足寄場
人足差
人足頭