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銭
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ぜに
ふりがな文庫
“
銭
(
ぜに
)” の例文
旧字:
錢
えたにても非人にても、生計の道にありつきたるは実に図らざりしことにして、偶然に我が所得の芸能をもって
銭
(
ぜに
)
を得たるものなり。
成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
知
(
し
)
らねえでどうするもんか。
重
(
しげ
)
さん、おめえの
夜
(
よ
)
あかしの
仕事
(
しごと
)
は、
銭
(
ぜに
)
のたまる
稼
(
かせ
)
ぎじゃなくッて、
色気
(
いろけ
)
のたまる
楽
(
たの
)
しみじゃねえか」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
花柳
(
くわりう
)
に身を
果
(
はた
)
したるものゆゑはなしもおもしろく才もありてよく用を
弁
(
べん
)
ずるゆゑ、をしき人に
銭
(
ぜに
)
がなしとて
亡兄
(
ばうけい
)
もたはむれいはれき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
私
(
わたくし
)
の
思
(
おも
)
うには、これだけの
銭
(
ぜに
)
を
費
(
つか
)
うのなら、
遣
(
や
)
り
方
(
かた
)
をさえ
換
(
か
)
えれば、ここに二つの
模範的
(
もはんてき
)
の
病院
(
びょういん
)
を
維持
(
いじ
)
することが
出来
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
います。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
至って単純な無事な
銭
(
ぜに
)
のかからない
生涯
(
しょうがい
)
を送っているように思われるかも知れないが、いくら猫だって相応に暑さ寒さの感じはある。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
すると、なかには
帽子
(
ぼうし
)
の
中
(
なか
)
に
銭
(
ぜに
)
をいれてやるものもあったが、
少年
(
しょうねん
)
が、その
前
(
まえ
)
にこぬうちに、さっさといってしまうものもありました。
街の幸福
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしも絵馬をあつめるのが道楽で、ずいぶん無駄な
銭
(
ぜに
)
を使ったり、無駄な
暇
(
ひま
)
を潰したりしているが、お前の主人は道楽が強過ぎるぜ。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そういう戦争に参加して、自称するごとくいくらか「
銭
(
ぜに
)
を
儲
(
もう
)
け」て、それから彼はモンフェルメイュにきて飲食店を開いたのであった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
今で云う急性肺炎じゃったろうと人は云いますが、お医者に見せる
銭
(
ぜに
)
なぞ一文も在りませんけに、
濡手拭
(
ぬれてのごい
)
で冷やいてやるばっかり。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
『
銭
(
ぜに
)
でこい。ささいな賭け物では、
鶏
(
とり
)
を傷つけるだけでも、わりにあわねえ。銭なら、闘ってやるぜ。小冠者、銭をもってきたか』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
カントの
超絶
(
てうぜつ
)
哲学
(
てつがく
)
や
余姚
(
よよう
)
の
良知説
(
りやうちせつ
)
や
大
(
だい
)
は
即
(
すなは
)
ち
大
(
だい
)
なりと
雖
(
いへ
)
ども
臍栗
(
へそくり
)
銭
(
ぜに
)
を
牽摺
(
ひきず
)
り
出
(
だ
)
すの
術
(
じゆつ
)
は
遥
(
はる
)
かに
生臭
(
なまぐさ
)
坊主
(
ばうず
)
が
南無
(
なむ
)
阿弥陀仏
(
あみだぶつ
)
に
及
(
およ
)
ばず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
ふだん自分の
銭
(
ぜに
)
でお酒を呑めない実相を露悪しているようで、
賤
(
いや
)
しくないか、よせよせという内心の声も聞えて、私は途方に暮れていた。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「冗談じゃないよ、時間切れだぜ。これでも、東京市橋梁課の渡船なんだ。お役所仕事だぜ。
銭
(
ぜに
)
をとる渡しと、ちったァわけがちがうんだ」
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「ふざけやがるない、こん畜生、馬に乗りたけりゃ、
助郷
(
すけごう
)
の駄賃馬あ
銭
(
ぜに
)
ゅう出して頼みな、こりゃ人を乗せる馬じゃねえんだ」
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だが、
画家
(
ゑかき
)
といふものは、
時々
(
ちよい/\
)
木炭を
購
(
か
)
ふ
銭
(
ぜに
)
にも事を欠くもので、そんな時には猿は
定
(
き
)
まつたやうに
墨汁
(
すみ
)
の使ひ残しを
嘗
(
な
)
める。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あくる日
銭
(
ぜに
)
を貰うて先ず学校へ行ったが、教場でも時々絵の事に心を奪われ、先生に何か聞かれても何を聞かれたか分らぬような事もあった。
森の絵
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
負
(
まく
)
れば
尚
(
なお
)
も
盗賊
(
どろぼう
)
に追い銭の愚を尽し、勝てば
飯盛
(
めしもり
)
に祝い酒のあぶく
銭
(
ぜに
)
を費す、
此癖
(
このくせ
)
止めて止まらぬ
春駒
(
はるごま
)
の
足掻
(
あがき
)
早く、坂道を飛び
下
(
おり
)
るより
迅
(
すみやか
)
に
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたくしは其印象の鮮明にして、
銭
(
ぜに
)
の新に
模
(
ぼ
)
を出でたるが如くなるを見て、いまさらのやうに茶山の天成の文人であつたことを思ふのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
見識
(
けんしき
)
と
迂闊
(
うくわつ
)
は
同根也
(
どうこんなり
)
、
源平
(
げんぺい
)
の
桃也
(
もゝなり
)
馬鹿
(
ばか
)
のする事なり。
文明
(
ぶんめい
)
は
銭
(
ぜに
)
のかゝらぬもの、腹のふくるゝものを求めて
止
(
や
)
まざる事と
相見
(
あひみ
)
え
申候
(
まうしそろ
)
。(十四日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
保雄は
偶
(
ふ
)
とキイツの
遺
(
のこ
)
した艶書が競売に附せられた事を
思
(
おもひ
)
出して、自分達の艶書は
未
(
ま
)
だ
銭
(
ぜに
)
に成るには早いと独り苦笑した。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
惜しいのばかり取り残しておいた
書籍
(
ほん
)
を売ったりしてやっといるだけの
銭
(
ぜに
)
を工夫してお宮の
気嫌
(
げん
)
をとりにやって来たのだ。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
何が楽しみに
轅棒
(
かぢぼう
)
をにぎつて、何が望みに
牛馬
(
うしうま
)
の真似をする、
銭
(
ぜに
)
を貰へたら嬉しいか、酒が呑まれたら愉快なか、考へれば何もかも
悉皆
(
しつかい
)
厭やで
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
銭
(
ぜに
)
占い、歌占い、夢占い等をかぞえきたらば、その種類はすこぶる多きも、今まず
易筮
(
えきぜい
)
を挙げてほかを略すつもりである。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
天明調はどこまでも引しめて五
分
(
ぶ
)
もすかぬやうに折目正しく
着物
(
きもの
)
着たらんが如く、天保調はのろまが
袴
(
はかま
)
を横に
穿
(
うが
)
ちて祭礼の
銭
(
ぜに
)
集めに廻るが如し。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「こいつのイ、
樽屋
(
たるや
)
の
清
(
せい
)
さの子供だけどのイ、下駄を一足やっとくれや。あとから、おっ母さんが
銭
(
ぜに
)
もってくるげなで」
狐
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
と、
銭
(
ぜに
)
を撒くことをねだり、もし撒かずに行くと後から、風吹け雨降れというような悪口をしたということが、百年ばかり前の紀行に見えている。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
銭
(
ぜに
)
さえありゃあなんでもかでもあるそうな。甘いぜんざいでも、ようかんでも、あるとこにゃ山のようにあるそうな」
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
文学ならば
人聴
(
ひとぎき
)
も
好
(
い
)
い。これなら左程
銭
(
ぜに
)
も
入
(
い
)
らぬ。私は文学を女の代りにして、文学を以って堕落を
潤色
(
じゅんしょく
)
していたのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「寺本さんも、こちとら見たいに
銭
(
ぜに
)
が無かったから何だが、あれで金でも持って居たらソラエライ事をやる人だったが」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ます「そうしてお前、そんなあぶく
銭
(
ぜに
)
で是までになったのに、お前は女狂いを始め、私を邪魔にして殺すとは
余
(
あんま
)
り
酷
(
ひど
)
い」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
栄二はふきげんな、怒ってでもいるような口ぶりで、自分が去年から幾たびか帳場の
銭
(
ぜに
)
をぬすみ、それを主婦のお
由
(
よし
)
にみつかったのだ、と告白した。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そんな事を
繰
(
く
)
り返している内に、僕はだんだん酒を飲むのが、妙につまらなくなって来たから、何枚かの
銭
(
ぜに
)
を
抛
(
ほう
)
り出すと、
匇々
(
そうそう
)
また舟へ帰って来た。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
銭
(
ぜに
)
を一手に
引受
(
ひきう
)
け海外の市場に輸出し
大
(
おおい
)
に
儲
(
もう
)
けんとして
香港
(
ホンコン
)
に送りしに、
陸揚
(
りくあげ
)
の際に
銭
(
ぜに
)
を
積
(
つ
)
みたる
端船
(
たんせん
)
覆没
(
ふくぼつ
)
してかえって大に
損
(
そん
)
したることあり。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
そして、飛脚には、いくらかの
銭
(
ぜに
)
を握らせて、これで、どこかそこらで一ぱいやって休んで行くようにと追い帰した。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
けんど、岩佐様さあやる
銭
(
ぜに
)
が
無
(
ね
)
えで去年の麦と蕎麦粉を売りやしたで、もう口あけた米一俵しか有りましねえで……
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
時を
銭
(
ぜに
)
なりとしてこれを換算せば、一秒を一毛に見積りて、
壱人前
(
いちにんまへ
)
の
睡量
(
ねぶりだか
)
凡
(
およ
)
そ八時間を除きたる一日の正味十六時間は、実に金五円七拾六銭に相当す。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そして
怪
(
あや
)
しい
鑛山
(
くわうざん
)
やら物にならぬ會社やら、さては株や米にまで手を出したが、何れも失敗で、折角の
集
(
あつ
)
め
銭
(
ぜに
)
をパツ/\と
吐
(
は
)
き出すやうな結果となつた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
伊勢の
大廟
(
たいびょう
)
から二見の浦、宇治橋の下で橋の上から
参詣
(
さんけい
)
人の投げる
銭
(
ぜに
)
を網で受ける話や、あいの山で昔女がへらで
銭
(
ぜに
)
を受けとめた話などをして聞かせた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
襤褸買は
安物買
(
やすものがい
)
の
銭
(
ぜに
)
失ひをいふ。その意一
文
(
もん
)
惜しみの百損に同じといへども、これ
畢竟
(
ひっきょう
)
その結果を見ての推論なるべし。人誰か完全を望まざるものあらん。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一体どっちが
真
(
ま
)
人間らしいかな? わしはなるほど、奴さんたちに
銭
(
ぜに
)
こそやらなかったが、奴さんたちと来た日にや、親子の情合いに水をさそうというのだ。
真珠の首飾り:――クリスマスの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
「お前とこの、子供は、まあ、中学校へやるんじゃないかいな。
銭
(
ぜに
)
が
仰山
(
ぎょうさん
)
あるせになんぼでも入れたらえいわいな。ひゝゝゝ。」と、他の
内儀
(
おかみ
)
達に皮肉られた。
電報
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
「武士は食わねど
高楊枝
(
たかようじ
)
」の心が、やがて江戸者の「
宵越
(
よいごし
)
の
銭
(
ぜに
)
を持たぬ」誇りとなり、更にまた「
蹴
(
け
)
ころ」「
不見転
(
みずてん
)
」を
卑
(
いや
)
しむ
凛乎
(
りんこ
)
たる意気となったのである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
お
銭
(
ぜに
)
の入つた包などを貰ひに来るのは、丁度年越しの晩の厄払ひの乞食のやうで、下等な子供であると狐の子供に対する侮蔑は、もとより十分持つて居ました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
見物の中で
銭
(
ぜに
)
を入れない者があると、立ち止まって二本の前足をこのけちんぼうなお客のかくしに当てて、三度ほえて、それから前足でかくしを軽くたたいた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「聞いた風なことホザきやがる、
銭
(
ぜに
)
取り道具と大目に見て居りや、菊三郎なんて大根に
逆
(
のぼ
)
せ上つて、——」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
だが、たうとう終ひには、壺を叩きわつたり、人だかりの中へ
銭
(
ぜに
)
をばら撒いたりすることにも、退屈をするのは当然で、それに
定期市
(
ヤールマルカ
)
がいつまで立つてゐるものでもなし。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:06 紛失した国書
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
とある庭のある構えの内からよき
襲
(
かさね
)
をひからせた物好きな男が一人、
銭
(
ぜに
)
乞
(
こ
)
うにはあらざるふうに細い笛を吹いて、生絹の顔をみつめていた。男の顔は粉のように白かった。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
あるアメリカの金持ちが「私は汝にこの金を譲り渡すが、このなかに
穢
(
きた
)
ない
銭
(
ぜに
)
は一文もない」
後世への最大遺物
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
手っ
払
(
ぱら
)
いに日本の雑貨を買い入れて、こちらから通知書一つ出せば、いつでも日本から送ってよこすばかりにしてあるものの、手もとにはいささかの
銭
(
ぜに
)
も残ってはいなかった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
余
(
あまり
)
の事にしくしく泣き出すと、こりゃ
餒
(
ひもじゅ
)
うて口も利けぬな、
商売品
(
あきないもの
)
で
銭
(
ぜに
)
を噛ませるようじゃけれど、一つ
振舞
(
ふるも
)
うて
遣
(
や
)
ろかいと、
汚
(
きたな
)
い土間に
縁台
(
えんだい
)
を並べた、狭ッくるしい暗い
隅
(
すみ
)
の
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“銭”の解説
銭(せん、zh: 錢/钱 qián チエン、전 チョン)は、東アジアのいくつかの国の通貨である。
「銭」(旧字体「錢」)は元は農具の「鋤」を意味する漢字だったが、鍬形の貨幣があったことから貨幣の意味に転じた。通貨としては複数の意味があるが、主に
100円。
質量1銭(=匁)の銀の価値。10両にも等しい。
の2つの系統の意味がある。
(出典:Wikipedia)
銭
常用漢字
小6
部首:⾦
14画
“銭”を含む語句
金銭
小遣銭
端銭
守銭奴
銭糧
銭湯
剰銭
小銭
口銭
釣銭
一銭
借銭
銭儲
五十銭
青銭
銭入
三銭
楡銭
小使銭
賽銭箱
...