トップ
>
銘
>
めい
ふりがな文庫
“
銘
(
めい
)” の例文
「そんな筈はありません。何んとか言ふ、名人の打つたものだ相で、鐵磨きですけれど、
銘
(
めい
)
も入つて居り、二本揃つてあつた筈です」
銭形平次捕物控:276 釣針の鯉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近ごろ大流行の
茶寄合
(
ちゃよりあい
)
、つまり
闘茶
(
とうちゃ
)
、あれは茶の
銘
(
めい
)
を飲みわけて、
中
(
あた
)
った
外
(
はず
)
れたと、一夜に数千貫のかねやら
賭物
(
かけもの
)
をうごかす博奕だ。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
師匠の鶯も元来そう云う風にして人為的に仕込まれた鶯であり有名なのは「
鳳凰
(
ほうおう
)
」とか「千代の友」とか云った様にそれぞれ
銘
(
めい
)
を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ところが近世の「美術品」と呼ばれているものを見ますと、どれにも皆
銘
(
めい
)
が書き入れてあります。または
落款
(
らっかん
)
が押してあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
市場に売出す時には火星の栗とか、火星の茄子とか、そう
銘
(
めい
)
打っても一向差支えないと思いますね、——お蔭でいい商標を思いつきましたよ
火星の魔術師
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
勿論
(
もちろん
)
飛騨越
(
ひだごゑ
)
と
銘
(
めい
)
を
打
(
う
)
つた
日
(
ひ
)
には、七
里
(
り
)
に一
軒
(
けん
)
十
里
(
り
)
に五
軒
(
けん
)
といふ
相場
(
さうば
)
、
其処
(
そこ
)
で
粟
(
あは
)
の
飯
(
めし
)
にありつけば
都合
(
つがふ
)
も
上
(
じやう
)
の
方
(
はう
)
といふことになつて
居
(
を
)
ります。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宗近君は
籐
(
と
)
の
椅子
(
いす
)
に
横平
(
おうへい
)
な腰を据えてさっきから隣りの
琴
(
こと
)
を聴いている。
御室
(
おむろ
)
の
御所
(
ごしょ
)
の
春寒
(
はるさむ
)
に、
銘
(
めい
)
をたまわる
琵琶
(
びわ
)
の風流は知るはずがない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
供へ
何
(
いづ
)
れも豐島屋十右衛門と云ふ
奉納
(
ほうなふ
)
の
銘
(
めい
)
あり是れ亦今以て存すと云ふ或日此豐島屋の店へ往來者大勢入り込み
例
(
れい
)
の如く居酒を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と、
老先生
(
ろうせんせい
)
は、
教
(
おし
)
えていられました。
賢
(
けん
)
一は、
頭
(
あたま
)
を
垂
(
た
)
れて、
書物
(
しょもつ
)
の
上
(
うえ
)
を
見
(
み
)
つめて、
先生
(
せんせい
)
のおっしゃることを、よく
心
(
こころ
)
に
銘
(
めい
)
じてきいていました。
空晴れて
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いや、あとで、黄一郎親子が、マスクの裏に記された「
弦三作
(
げんぞうさく
)
」の
銘
(
めい
)
に気がついたなら、どのように
叱驚
(
びっくり
)
することだろうか。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
朝敵と
銘
(
めい
)
が
付
(
つい
)
て、ソコで将軍
御親発
(
ごしんぱつ
)
となり、又幕府から九州の諸大名にも長州に
向
(
むかっ
)
て兵を出せと云う命令が
下
(
くだっ
)
て、
豊前
(
ぶぜん
)
中津
(
なかつ
)
藩からも兵を出す。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
元亨
(
げんこう
)
の
銘
(
めい
)
ある海中出現の鐘、頼朝寄進の薬師堂塔、庵房のあとをめぐって、四角の竹の林から本堂に
詣
(
もう
)
で、それを左へ
羅漢道
(
らかんみち
)
にかかると、突然
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お前になんの
栄
(
さか
)
えをも与えることもできないで。恥と
煩
(
わずら
)
いとのみ負わせた。お前がわしの妻子に最後までつくしてくれたことは、わしの
肝
(
きも
)
に
銘
(
めい
)
じている。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
毎年宇治の
銘
(
めい
)
を選んで
雲上
(
うんじょう
)
に
献
(
たてまつ
)
り、「玉露」と名付けて
芳
(
ほう
)
を全国に伝ふ。当主を
坪右衛門
(
つぼえもん
)
と云ひ一男三女を持つ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それが
銘
(
めい
)
だった。園はその夜
拉典
(
ラテン
)
語の字書をひいてはっきりと意味を知ることができた。いい言葉だと思った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
であるから、僕は如何なる人が、如何なるほどに、僕のために心や身を
労
(
ろう
)
してくれたか、つぶさに考えて、これを常に心に
銘
(
めい
)
じておきたいと思うのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
すると
今
(
いま
)
まではっきりしなかった
鐘
(
かね
)
の
銘
(
めい
)
も、だいぶんはっきりして
来
(
き
)
た。
吉彦
(
よしひこ
)
さんがちょっと
読
(
よ
)
んで
見
(
み
)
て
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そこでその定窯の鼎の台座には、友人だった李西涯が
篆書
(
てんしょ
)
で
銘
(
めい
)
を書いて、
鐫
(
え
)
りつけた。李西涯の銘だけでも、今日は勿論の事、当時でも珍重したものであったろう。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それでもさすがに底冷たい風が砂ほこりを吹きこんで、名物と
銘
(
めい
)
うった団子がザラザラと舌にさわる。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
湯
(
とう
)
の
盤
(
ばん
)
の
銘
(
めい
)
に
曰
(
いわ
)
く、まことに日に新たにせば日々に新たにし又日に新たにせん……こう読むのだ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ただ、それが稲見家の聖母のせいだったかどうかは、疑問ですが、——そう云えば、まだあなたはこの麻利耶観音の台座の
銘
(
めい
)
をお読みにならなかったでしょう。御覧なさい。
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうしてその甘美な血から咲き出た花は、かれの限りない悲嘆の
銘
(
めい
)
を帯びていた……
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
其
言葉
(
ことば
)
の一々を雲飛は心に
銘
(
めい
)
し、やゝ
氣
(
き
)
を
取直
(
とりなほ
)
して
時節
(
じせつ
)
の
來
(
く
)
るのを
待
(
まつ
)
て
居
(
ゐ
)
た。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
運
(
うん
)
よくは
萬
(
まん
)
の
身代
(
しんだい
)
十
萬
(
まん
)
に
延
(
のば
)
して
山梨縣
(
やまなしけん
)
の
多額納税
(
たがくのうぜい
)
と
銘
(
めい
)
うたんも
斗
(
はか
)
りがたけれど、
契
(
ちぎ
)
りし
詞
(
ことば
)
はあとの
湊
(
みなと
)
に
殘
(
のこ
)
して、
舟
(
ふね
)
は
流
(
なが
)
れに
隨
(
した
)
がひ
人
(
ひと
)
は
世
(
よ
)
に
引
(
ひ
)
かれて、
遠
(
とほ
)
ざかりゆく
事
(
こと
)
千
里
(
り
)
、二千
里
(
り
)
、一萬
里
(
り
)
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いつか、『中央美術』で紹介されたこともあるが、この一毫さんと、まだ一人、
中村秋塘
(
なかむらしゅうとう
)
との二人は、この仲間の人でも同じく、滅多に自分の描いた陶器の裏に九谷と
銘
(
めい
)
を入れることはない。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「まあ、だいたいこういう
心得
(
こころえ
)
でご奉公をしてください。生は
難
(
かた
)
く死は
易
(
やす
)
し。むやみに命を捨てては困る。ただ精神を忘れなければよろしい。それからこの紙を持って行って
座右
(
ざゆう
)
の
銘
(
めい
)
になさい」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こいつをひとつ源内櫛と
銘
(
めい
)
をうって花柳界に
流行
(
はや
)
らせてみたら面白かろうとか、それからそれへ、とめどもなくしゃべりつづける。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わざと筆の軸の
銘
(
めい
)
を切って、善い筆か悪い筆か解らないようにしたが、上等の唐墨を洗い落すのが、少しぞんざいだった」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もちろん
飛騨越
(
ひだごえ
)
と
銘
(
めい
)
を打った日には、七里に一軒十里に五軒という相場、そこで
粟
(
あわ
)
の飯にありつけば都合も
上
(
じょう
)
の方ということになっております。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし吾が顔に印せられる
痘痕
(
とうこん
)
の
銘
(
めい
)
くらいは公平に読み得る男である。顔の醜いのを自認するのは心の
賤
(
いや
)
しきを
会得
(
えとく
)
する
楷梯
(
かいてい
)
にもなろう。たのもしい男だ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やっと気がついたものと見える」大佐は、通信兵と
銘
(
めい
)
をうった伝声管の前に立って、叫んだ。「戦闘機隊へ通報せい。襲撃陣形をとり、戦闘準備にうつれ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
銘
(
めい
)
は別に無いようだがこの文句は銘の代りでもなさそうだ。といって詩でもなし、
和歌
(
うた
)
でもなし、漢文でもないし万葉仮名でもないようだ。何だい……これあ……」
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仕事をする人たちも、自分の名誉にかけて作る風が残り、
鑚彫
(
たがねぼり
)
で見事な書体で「土州住国光」とか「豊光」とか「国清」とか、
古鍛冶
(
こかじ
)
に見られるような
銘
(
めい
)
を刻むことを忘れません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
七兵衛は目釘を外して、
柄
(
つか
)
を取払い、その切ってある
銘
(
めい
)
を調べて見ると
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一、秋元淡路守殿御壺、
銘
(
めい
)
福禄寿
(
ふくろくじゅ
)
、日坂宿手前、菊川べりにて。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
松平楽翁
(
まつだいららくおう
)
公の書室
銘
(
めい
)
に
曰
(
いわ
)
く、「
寧静
(
ねいせい
)
是
(
こ
)
れ心を
養
(
やしな
)
う第一法」と。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
蒙
(
かうむ
)
り越前守
感涙
(
かんるゐ
)
肝
(
きも
)
に
銘
(
めい
)
じ有難く
坐
(
そゞ
)
ろに勇み居たりけり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
有難く
肝
(
きも
)
に
銘
(
めい
)
じて聴き
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「わざと筆の
軸
(
ぢく
)
の
銘
(
めい
)
を切つて、善い筆か惡い筆か解らないやうにしたが、上等の
唐墨
(
たうぼく
)
を洗ひ落すのが、少しぞんざいだつた」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いつかはきっと、今日のお礼
詣
(
まい
)
りにうかがうでしょう。また三巻の天書、四句の天言、それもあわせて心に
銘
(
めい
)
じ、終生決して忘れますまい」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜
(
よ
)
もやゝ
更
(
ふ
)
けて、
食堂
(
しよくだう
)
の、
白
(
しろ
)
く
伽藍
(
がらん
)
としたあたり、ぐら/\と
搖
(
ゆ
)
れるのが、
天井
(
てんじやう
)
で
鼠
(
ねずみ
)
が
騷
(
さわ
)
ぐやうである。……
矢張
(
やつぱ
)
り
旅
(
たび
)
はもの
寂
(
さび
)
しい、
酒
(
さけ
)
の
銘
(
めい
)
さへ、
孝子正宗
(
かうしまさむね
)
。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「杢兵衛はどうも
偽物
(
にせもの
)
が多くて、——その
糸底
(
いとぞこ
)
を見て御覧なさい。
銘
(
めい
)
があるから」と云う。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
銘
(
めい
)
東雲
(
しののめ
)
、宇津谷峠にて……と、書き加えられていた。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
聞勘解由は打喜び金子にて
相濟
(
あひすむ
)
事なれば何とか取計ひ申すべしシテ其の金高は何程なるやと申に安田佐々木の兩人は右金高は
先
(
まづ
)
水死
(
すゐし
)
二人の代り金二千兩御
道具
(
だうぐ
)
の中御太刀一
口
(
ふり
)
銘
(
めい
)
は
來國行
(
らいくにゆき
)
是は別て御大切の御品成ば此代金千兩外御道具代金三百兩都合三千三百兩右の如く借用致され
度
(
たし
)
と書付を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ほ。この
忠顕
(
ただあき
)
の世話を、お辺は、さまで心に
銘
(
めい
)
じていてくれたか。いや
珍重
(
ちんちょう
)
に
値
(
あたい
)
する。近ごろは信義もすたれ、
軽佻
(
けいちょう
)
な奴らばかりが多い中でよ」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作は
拙劣
(
せつれつ
)
で、まず田舎の床の間でなければ通用しないものでしょう。引くり返して裏を見ると、それでも、勢州住人治郎兵衛作と
銘
(
めい
)
が入っております。
銭形平次捕物控:069 金の鯉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
石の
反橋
(
そりはし
)
である。
巌
(
いわ
)
と石の、いづれにも
累
(
かさな
)
れる
牡丹
(
ぼたん
)
の花の如きを、左右に築き上げた、
銘
(
めい
)
を
石橋
(
しゃっきょう
)
と言ふ、
反橋
(
そりはし
)
の石の真中に立つて、
吻
(
ほ
)
と
一息
(
ひといき
)
した紫玉は、此の時、すらりと、
脊
(
せ
)
も心も高かつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「道也た妙な名だね。
釜
(
かま
)
の
銘
(
めい
)
にありそうじゃないか」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一、大滝壱岐守殿おん壺、
春日野
(
かすがの
)
の
銘
(
めい
)
あり。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして、笛ぶくろから、かれの愛笛——
八寒嘯
(
はっかんしょう
)
と
銘
(
めい
)
のあるそれを抜いて、たまらない重苦しさから、逃げようとした。
野槌の百
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
銘
常用漢字
中学
部首:⾦
14画
“銘”を含む語句
正銘
銘々
銘酒
正真正銘
銘刀
銘記
銘苅子
御銘
銘仙
感銘
無銘
銘撰
切銘
綿銘仙
縞銘仙
銘酒屋
銘葉
実銘
銘仙絣
銘文
...