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眺望
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ながめ
ふりがな文庫
“
眺望
(
ながめ
)” の例文
上から下げられてある桜の釣花の、紙細工の花弁が枝からもげて、時々舞台へ散ってくるのも、なかなか風情のある
眺望
(
ながめ
)
であった。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼方此方
(
かなたこなた
)
に駈け𢌞つて、
球
(
たま
)
を投げてゐる學生の姿が、日の輝きと
眺望
(
ながめ
)
の
廣濶
(
ひろさ
)
に對して、小さく黒く影の動いて居るやうに見える。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
汽車は西へ西へと走って、日の
夕暮
(
ゆうぐれ
)
に
十勝
(
とかち
)
国境
(
こっきょう
)
の
白茅
(
はくぼう
)
の山を
石狩
(
いしかり
)
の方へと
上
(
のぼ
)
った。此処の
眺望
(
ながめ
)
は全国の線路に
殆
(
ほと
)
んど無比である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
小高い
眺望
(
ながめ
)
の好い位置にある寺院の境内が、遠く光る青い海が、石垣の下に見える街道風の人家の屋根が、彼の眼に映った。興津の清見寺だ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この
時
(
とき
)
空は雲晴れて、十日ばかりの月の影、
隈
(
くま
)
なく
冴
(
さ
)
えて清らかなれば、野も林も
一面
(
ひとつら
)
に、
白昼
(
まひる
)
の如く見え渡りて、得も言はれざる
眺望
(
ながめ
)
なるに。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
▼ もっと見る
四方
(
よも
)
の山々いよいよ近づくを見るのみ、取り出でていうべき
眺望
(
ながめ
)
あるところにも出会わねば、いささか心も
倦
(
う
)
みて
脚歩
(
あし
)
もたゆみ勝ちに辿り行くに
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
とても
積
(
つも
)
らば
五尺
(
ごしやく
)
六尺
(
ろくしやく
)
雨戸
(
あまど
)
明
(
あ
)
けられぬ
程
(
ほど
)
に
降
(
ふ
)
らして
常闇
(
とこやみ
)
の
長夜
(
ちやうや
)
の
宴
(
えん
)
、
張
(
は
)
りて
見
(
み
)
たしと
縺
(
もつ
)
れ
舌
(
じた
)
に
譫言
(
たはごと
)
の
給
(
たま
)
ふちろ/\
目
(
め
)
にも
六花
(
りくくわ
)
の
眺望
(
ながめ
)
に
別
(
べつ
)
は
無
(
な
)
けれど
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
万作が住家は前にも言った通り浮島の東北の隅の一軒家で、
眺望
(
ながめ
)
にかけては恐らく浮島第一の風景を控えて居る。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
左側に美しい山の
眺望
(
ながめ
)
が続く。家の床の間の掛物を思い出させるような岩石や竹林がところ/″\に見える。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
垂し鰻屋の臭に指を
啣
(
くは
)
へる
類
(
たぐひ
)
なり慾で滿ちたる人間とて何につけても
夫
(
それ
)
が出るには愛想が盡る人生
居止
(
きよし
)
を營む
竟
(
つひ
)
に
何人
(
なんぴと
)
の爲に
卜
(
ぼく
)
するぞや
眺望
(
ながめ
)
があつて清潔な所を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
満眸
(
まんぼう
)
の秋色
蕭条
(
しょうじょう
)
として
却々
(
なかなか
)
春のきおいに似るべくも無いが、シカシさびた
眺望
(
ながめ
)
で、また一種の趣味が有る。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
雨戸
(
あまど
)
をすつかり
明
(
あ
)
けて
見
(
み
)
せられたが、
裏
(
うら
)
の
山
(
やま
)
、
前
(
まへ
)
の
流
(
なが
)
れ、まことに
眺望
(
ながめ
)
が
好
(
い
)
いと
言
(
い
)
ふ。……
借
(
か
)
りるつもりか、さては
近頃
(
ちかごろ
)
工面
(
くめん
)
がいゝナなぞとおせきなさるまじく。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前は青田、青田が尽きて塩浜、堤高くして
海面
(
うみづら
)
こそ見えね、間近き沖には大島小島の趣も備わりて、まず
眺望
(
ながめ
)
には乏しからぬ好地位を占むるがこの店繁盛の一理由なるべし。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
海岸には人家が
連
(
つらな
)
ってしまったので、
眺望
(
ながめ
)
が自由でない。かつは風が甚だしく寒いので、更に品川の町に
入
(
い
)
り、海寄りの小料理屋へ
上
(
あが
)
って、
午餐
(
ひるめし
)
を
喫
(
く
)
いながら
硝子戸
(
がらすど
)
越しに海を見た。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いや、随分いい
眺望
(
ながめ
)
ですなあ」
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
眺望
(
ながめ
)
ことごと
灰
(
はひ
)
濁
(
た
)
みて
哀音
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
いい
眺望
(
ながめ
)
である。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかし日本の空気の是非なさは遠近を区別すべき
些少
(
さしょう
)
の濃淡をもつけないので、堀割の
眺望
(
ながめ
)
はさながら旧式の芝居の
平
(
ひらた
)
い
書割
(
かきわり
)
としか思われない。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
斜めに射して来た日光は黄を帯びて、何となく
遠近
(
おちこち
)
の
眺望
(
ながめ
)
が改まった。岡の向うの方には数十羽の雀が飛び集ったかと思うと、やがてまたパッと散り隠れた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『満目荒涼』という言葉は斯ういう土地を形容するため存在しているのではあるまいかと、このように思われるほど
四辺
(
あたり
)
の
眺望
(
ながめ
)
は、物凄く荒れ果てて居りました。
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
永山
(
ながやま
)
、
比布
(
ぴつぷ
)
、
蘭留
(
らんる
)
と、
眺望
(
ながめ
)
は次第に淋しくなる。
紫蘇
(
しそ
)
ともつかず、麻でも無いものを苅つて畑に乾してあるのを、車中の
甲乙
(
たれかれ
)
が評議して居たが、
薄荷
(
はつか
)
だと丙が説明した。
熊の足跡
(旧字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
俺たちが見れば、薄暗い人間界に、
眩
(
まぶし
)
い虹のような、その花のパッと咲いた処は
鮮麗
(
あざやか
)
だ。な、家を忘れ、身を忘れ、
生命
(
いのち
)
を忘れて咲く怪しい花ほど、美しい
眺望
(
ながめ
)
はない。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
永山
(
ながやま
)
、
比布
(
ぴっぷ
)
、
蘭留
(
らんる
)
と、
眺望
(
ながめ
)
は次第に淋しくなる。
紫蘇
(
しそ
)
ともつかず、麻でも無いものを苅って畑に
乾
(
ほ
)
してあるのを、車中の
甲乙
(
たれかれ
)
が評議して居たが、
薄荷
(
はっか
)
だと丙が説明した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
豊島村の方より渡りて行く事
僅少
(
わずか
)
にして荒川堤に出づ。堤は即ち花の盛りの
眺望
(
ながめ
)
好き向島堤の続きにして、千住駅を
歴
(
へ
)
てこゝに至り、なほ遠く川上の北側に連なるものなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
越ゆ峠らしくなく
眺望
(
ながめ
)
よき阪なりいばら阪といふとか道々清き流を手に
掬
(
むす
)
びては
咽喉
(
のど
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
「これ以上の
眺望
(
ながめ
)
はないだろうね。殿様の庭なんか
最早
(
もう
)
何うでも
宜
(
い
)
い」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
釈迦岳
(
しゃかがたけ
)
の山脈と
王岳
(
おうたけ
)
連山の山骨とが一時畳まれた深い
谿
(
たに
)
が、
通路
(
かよいじ
)
と云えば云えもしようか、緑樹紅葉打ち
雑
(
まじ
)
り秋山の
眺望
(
ながめ
)
は美しかったが旅人にとっては難場である。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ここまで来て、
眺望
(
ながめ
)
の好い二階を見ないのも残念だ」という叔父を案内して、
一寸
(
ちょっと
)
豊世は
楼梯
(
はしごだん
)
を上った。何となく二階はガランとしていた。額だけ掛けてあった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
俺たちが見れば、薄暗い人間界に、
眩
(
まぶし
)
い虹のやうな、其の花のパツと咲いた
処
(
ところ
)
は
鮮麗
(
あざやか
)
だ。な、家を忘れ、身を忘れ、
生命
(
いのち
)
を忘れて咲く怪しい花ほど、美しい
眺望
(
ながめ
)
はない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とにかくに江戸期はこんな譯で八景を擇むことは大流行を來し、少し
眺望
(
ながめ
)
が好いところは何八景彼八景といつたものだが、いづれも復古や玉澗の
餘唾
(
よだ
)
で、有難くないことだつた。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
電車はまだ布設されていなかったが既にその
頃
(
ころ
)
から、東京市街の美観は散々に破壊されていた中で、河を越した
彼
(
か
)
の場末の一劃ばかりがわずかに
淋
(
さび
)
しく悲しい裏町の
眺望
(
ながめ
)
の
中
(
うち
)
に
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「桜の満開も好いそうだが、紅葉の時が又格別だってね。雪景色は天下一品だというし、雨なら雨で
一入
(
ひとしお
)
の
風情
(
ふぜい
)
があるそうだ。
万能膏
(
まんのうこう
)
は唯自分の病気に丈けに利かない。それにしても悪い
眺望
(
ながめ
)
じゃないね」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
紅蓮白蓮の
香
(
にほひ
)
ゆかしく
衣袂
(
たもと
)
に裾に薫り来て、浮葉に露の玉
動
(
ゆら
)
ぎ立葉に風の
軟
(
そよ
)
吹
(
ふ
)
ける面白の夏の
眺望
(
ながめ
)
は、赤蜻蛉
菱藻
(
ひしも
)
を
嬲
(
なぶ
)
り初霜向ふが岡の
樹梢
(
こずゑ
)
を染めてより
全然
(
さらり
)
と無くなつたれど
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
父は村の中の
眺望
(
ながめ
)
の好い位置を擇んで小さな別莊を造つたとかで、母と共に新築の家の方へ移つたことや、その建物から見える
遠近
(
をちこち
)
の山々、谷、林のさまなどを書いて
寄
(
よこ
)
しました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そりや
最
(
も
)
う
眺望
(
ながめ
)
というても池一つあるぢやござらぬ、
纔
(
わずか
)
ばかりの
違
(
ちがい
)
でなう、三島はお
富士山
(
ふじさま
)
の名所ぢやに、
此処
(
ここ
)
は
恁
(
こ
)
う
一目千里
(
ひとめせんり
)
の原なれど、何が
邪魔
(
じゃま
)
をするか見えませぬ、其れぢやもの
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると、その憎らしい
幹
(
みき
)
の間から、向うに
見下
(
みおろ
)
す
不忍
(
しのばず
)
の
池
(
いけ
)
一面に浮いている
破
(
や
)
れ
蓮
(
はす
)
の
眺望
(
ながめ
)
が、その場の対照として何とも云えず物哀れに、すなわち、何とも云えず
懐
(
なつか
)
しく、自分の眼に映じたのである。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
紅蓮白蓮
(
ぐれんびゃくれん
)
の
香
(
におい
)
ゆかしく
衣袂
(
たもと
)
に
裾
(
すそ
)
に
薫
(
かお
)
り来て、浮葉に露の玉
動
(
ゆら
)
ぎ立葉に風のそよ吹ける面白の夏の
眺望
(
ながめ
)
は、
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
菱藻
(
ひしも
)
を
嬲
(
なぶ
)
り初霜向うが岡の
樹梢
(
こずえ
)
を染めてより
全然
(
さらり
)
となくなったれど
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
曾根の話は、三吉の家を訪ねた時のことから、草木の茂った城跡の感じの深かったことや、千曲川の
眺望
(
ながめ
)
の悲しく思われたことなどに移った。三吉は曾根の身体のことを尋ねてみた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今はただ広い世の中に母様と、やがて、私のものといったら、この番小屋と仮橋の
他
(
ほか
)
にはないが、その時分はこの橋ほどのものは、邸の庭の中の一ツの
眺望
(
ながめ
)
に過ぎないのであったそうで。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
消え残る夕焼の雲の
片
(
きれ
)
と、
紅蓮
(
ぐれん
)
白蓮
(
びゃくれん
)
の
咲乱
(
さきみだ
)
れたような
眺望
(
ながめ
)
をなさったそうな。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
花園
(
はなぞの
)
に
牡丹
(
ぼたん
)
広々と
麗
(
うるわ
)
しき
眺望
(
ながめ
)
も、細口の花瓶に
唯
(
ただ
)
二三輪の菊古流しおらしく彼が
生
(
いけ
)
たるを
賞
(
ほ
)
め、
賞
(
ほめ
)
られて
二人
(
ふたり
)
の
微笑
(
ほほえみ
)
四畳半に
籠
(
こも
)
りし時程は、今つくねんと影法師相手に
独
(
ひとり
)
見る事の面白からず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
蕭条
(
せうでう
)
とした岸の柳の枯枝を
経
(
へだ
)
てゝ、飯山の町の
眺望
(
ながめ
)
は右側に
展
(
ひら
)
けて居た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「今度の家は好いよ」と三吉は正太を見て、「第一、川の
眺望
(
ながめ
)
が好い」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今
(
いま
)
は
唯
(
たゞ
)
広
(
ひろ
)
い
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
母様
(
おつかさん
)
と、やがて、
私
(
わたし
)
のものといつたら、
此
(
この
)
番小屋
(
ばんこや
)
と
仮橋
(
かりばし
)
の
他
(
ほか
)
にはないが、
其
(
その
)
時分
(
じぶん
)
は
此
(
この
)
橋
(
はし
)
ほどのものは、
邸
(
やしき
)
の
庭
(
には
)
の
中
(
なか
)
の
一
(
ひと
)
ツの
眺望
(
ながめ
)
に
過
(
す
)
ぎないのであつたさうで、
今
(
いま
)
市
(
いち
)
の
人
(
ひと
)
が
春
(
はる
)
、
夏
(
なつ
)
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こゝの舞台は隅田川を
俯視
(
ふし
)
すべくして、月夜の
眺望
(
ながめ
)
四季共に妙に、雪のあしたに
瓢酒
(
ひさござけ
)
を酌んで、詩を吟じ歌を案ぜんはいよ/\妙なり。仙骨あるものは登臨の快を取りて予が言の欺かざるを悟るべし。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
(今に月が出ますと、ちっとは
眺望
(
ながめ
)
になりますよ。)
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“眺望”の意味
《名詞》
眺望(ちょうぼう)
遠くまた広く見渡すこと。また、そのような景色や眺め。
(出典:Wiktionary)
眺
常用漢字
中学
部首:⽬
11画
望
常用漢字
小4
部首:⽉
11画
“眺”で始まる語句
眺
眺入
眺尽
眺矚
眺行