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こうし
ふりがな文庫
“
格子
(
こうし
)” の例文
日の暮れるころには、村の人たちは本陣の前の街道に集まって来て、梅屋の
格子
(
こうし
)
先あたりから問屋の
石垣
(
いしがき
)
の辺へかけて黒山を築いた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
比較的間口の広いその玄関の入口はことごとく
細
(
ほそ
)
い
格子
(
こうし
)
で仕切られているだけで、
唐戸
(
からど
)
だの
扉
(
ドア
)
だのの装飾はどこにも見られなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戸を開けようとしましたが、外から
錠
(
じょう
)
がおりています。窓の所へ行ってみましたが、太い鉄棒の
格子
(
こうし
)
がついていて、
身体
(
からだ
)
が通りません。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「いえ。すべてでは千人あまりもござりましょうが、そのうちで
太夫
(
たゆう
)
、
格子
(
こうし
)
、
局女郎
(
つぼねじょろう
)
なぞと、てまえかってな差別をつけてござります」
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あまりの剣幕に驚いたか、ガラッ八は二つ三つお辞儀をすると、
怯
(
おび
)
えた猫の子のように、後ずさりに
格子
(
こうし
)
の外へ飛出してしまいました。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
じっと源氏のそばへ寄って、この場所がこわくてならぬふうであるのがいかにも若々しい。
格子
(
こうし
)
を早くおろして
灯
(
ひ
)
をつけさせてからも
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ところがもっと不思議な事には、翌朝、関白の家の
格子
(
こうし
)
をあけると、今、山からとれたばかりとしか思えない
樒
(
しきみ
)
が、一枝置かれていた。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
後になって入口の
格子
(
こうし
)
の上に掛けたとか聞きました。日在へは兄はあまり行きませんでしたが、賀古氏は晩年よく行っていられました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
お
土蔵
(
くら
)
を脱け出すくらい何でもなかったのよ。妾あんまり口惜しかったから、アノお
土蔵
(
くら
)
の二階の窓に
嵌
(
は
)
まっていた鉄の
格子
(
こうし
)
ね。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
室内に一人でいても、この鏡の関係と、天井の通風口の
格子
(
こうし
)
とに気がつけば、上下左右に無数の見えない視線を意識したはずだ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
草葡萄
(
くさぶどう
)
のくすんだ
藍地
(
あいじ
)
に太い黒の
格子
(
こうし
)
が入ったそれは非常に地味な着物であったが、
膝頭
(
ひざがしら
)
のあたりから軽く自然に裾をさばいて
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わたしはごく
静
(
しず
)
かに
窓
(
まど
)
を開けた。なにがそこにあったか。
相変
(
あいか
)
わらず鉄の
格子
(
こうし
)
と、高いかべが前にあった。わたしは出ることができない。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
陽炎
(
かげろう
)
のような
陽影
(
ひかげ
)
が、黒い
格子
(
こうし
)
天井にうごいている。それを仰いでいる荒木十左衛門の足もとへ、内蔵助はふたたび平伏して
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
くまは、かごの
格子
(
こうし
)
の
目
(
め
)
から、
大
(
おお
)
きな
体
(
からだ
)
に
比較
(
ひかく
)
して、ばかに
小
(
ちい
)
さく
見
(
み
)
える
頭
(
あたま
)
をば
上下
(
じょうげ
)
に
振
(
ふ
)
って、あたりをながめていました。
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
並木通りの入口のソバ屋かなんかの
格子
(
こうし
)
を後にして一生けんめい叩き合って四五人に手傷を負わせると敵にややヒルミが見えたから、ここだ
安吾史譚:05 勝夢酔
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
父親は二階の
格子
(
こうし
)
を取りはずしてくれた。光線は流るるように一室にみなぎりわたった。窓の下には
足長蜂
(
あしながばち
)
が巣を
醸
(
かも
)
してブンブン飛んでいた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
せめて子供に
格子
(
こうし
)
から手を出さしてそれに
脣
(
くちびる
)
をつけることだけは許してもらえるように願った。がそれもほとんどしかるようにして拒絶された。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
家はもちろん旧式の木造で、二階は
格子
(
こうし
)
のはまった部屋になっていたが、下はかなり新式に改造されていた。この土地では、まあ大きい店であった。
私の生まれた家
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
灰色の
格子
(
こうし
)
の背広に、黒っぽいグリンのズボンをはいているのは如何にもこの時代の機械屋さんと云った感じだった。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
といつて、
例
(
れい
)
の
車
(
くるま
)
をさし
寄
(
よ
)
せると、
不思議
(
ふしぎ
)
にも
堅
(
かた
)
く
閉
(
とざ
)
した
格子
(
こうし
)
も
土藏
(
どぞう
)
も
自然
(
しぜん
)
と
開
(
あ
)
いて、
姫
(
ひめ
)
の
體
(
からだ
)
はする/\と
出
(
で
)
ました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
行って見ると、玄関の
格子
(
こうし
)
の中には、
真中
(
まんなか
)
から髪を割って、柄の長い紫のパラソルを持った
初子
(
はつこ
)
が、いつもよりは一層
溌剌
(
はつらつ
)
と外光に
背
(
そむ
)
いて
佇
(
たたず
)
んでいた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すると、ツグミも窓の
格子
(
こうし
)
の所にとまって、ひとばんじゅう、一生けんめい、おもしろい歌をうたって、気をおとさないようにとはげましてくれました。
野のはくちょう
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
赤城神社
(
あかぎさま
)
の
境内
(
なか
)
に阪東三江八ってお踊の師匠さんがあってね、赤城さまへ遊びにゆくと、三江八さんのところの
格子
(
こうし
)
につかまって
覗
(
のぞ
)
いてばかりいたのさ。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
秋のお祭なんかにはよくそんな看板を見るんだがなあ、自転車ですりばちの形になった
格子
(
こうし
)
の中を馳けるんだよ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
家中の畳の数や電燈の数は固よりのこと、障子の
格子
(
こうし
)
や
天井
(
てんじょう
)
の
桟
(
さん
)
まで数えている。数に兎角興味がある。この間銀座へ行く途中、電車に故障があった時
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
母屋
(
おもや
)
と覚しい建物の所まで行って見ると、そこも今は
廃屋
(
はいおく
)
になっているらしく、
格子
(
こうし
)
が固く
鎖
(
とざ
)
してあって、夕ぐれであるのに一点の
灯
(
ひ
)
も洩れてはいない。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仕立屋の
格子
(
こうし
)
先に立つと、雨戸がしまってもうすっかり寝しずまっているようだが、コツ、コツと、軽く叩いて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そして、まるで態との様に、玄関の
格子
(
こうし
)
をガタピシ云わせて、やっとのことで門の所までたどることが出来た。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
長さは三フィート半、幅は三フィート、深さは二フィート半あった。
鍛鉄
(
たんてつ
)
の
箍
(
たが
)
でしっかりと締め、
鋲
(
びょう
)
を打ってあって、全体に一種の
格子
(
こうし
)
細工をなしている。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
主人はなつかしげに
無造作
(
むぞうさ
)
にこういって
玄関
(
げんかん
)
の
上
(
あ
)
がりはなに立った。
近眼
(
きんがん
)
の、すこぶる度の強そうな眼鏡で
格子
(
こうし
)
の外をのぞくように、君、はいらんかという。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
木之助があけようとして手をかけた入口の
格子
(
こうし
)
硝子に「諸芸人、
物貰
(
ものもら
)
い、押売り、
強請
(
ゆすり
)
、一切おことわり、警察電話一五〇番」と書いた
判紙
(
はんし
)
が
貼
(
は
)
ってあった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
と、そう
思返
(
おもいかえ
)
したものの、やはり
失望
(
しつぼう
)
は
彼
(
かれ
)
の
心
(
こころ
)
にいよいよ
募
(
つの
)
って、
彼
(
かれ
)
は
思
(
おも
)
わず
両
(
りょう
)
の
手
(
て
)
に
格子
(
こうし
)
を
捉
(
とら
)
え、
力儘
(
ちからまか
)
せに
揺動
(
ゆすぶ
)
ったが、
堅固
(
けんご
)
な
格子
(
こうし
)
はミチリとの
音
(
おと
)
もせぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
格子
(
こうし
)
模様の屋根は
蜘蛛
(
くも
)
の巣のようにおどろくほどこまかく、軽々と、そしてしっかり造りあげられていた。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
今晩方も店に出ていたら、
格子
(
こうし
)
の外を軽そうな
下駄
(
げた
)
の音などして、通る人は花のうわさをしていましたよ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「お
母
(
かあ
)
さん、手塚の家の
天井
(
てんじょう
)
は
格子
(
こうし
)
になって一つ一つに絵を
貼
(
は
)
ってあります、絹にかいたきれいな絵!」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ちょうど真向いが、
石川淡路守
(
いしかわあわじのかみ
)
の
中屋敷
(
なかやしき
)
、顎十郎は
源氏塀
(
げんじべい
)
の
格子
(
こうし
)
窓の下へ走って行くと、頓狂な声で
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
七兵衛とお松は
煙
(
けむ
)
に捲かれて、あとをついて行くと、湯島の高台に近い
妻恋坂
(
つまこいざか
)
の西に
外
(
はず
)
れた裏のところ、
三間間口
(
さんげんまぐち
)
を二間の
黒塀
(
くろべい
)
で、一間のあいだはくぐりの
格子
(
こうし
)
で
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
地には落さじとやうに
慌
(
あわ
)
て
愺
(
ふため
)
き、油紙もて承けんと
為
(
せ
)
る、その
利腕
(
ききうで
)
をやにはに
捉
(
とら
)
へて直行は
格子
(
こうし
)
の外へ
㩳
(
おしだ
)
さんと為たり。彼は
推
(
おさ
)
れながら格子に
縋
(
すが
)
りて
差理無理
(
しやりむり
)
争ひ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二階の明りのついたひとつの窓では、
格子
(
こうし
)
の後ろで小さな子供たちが遊んでいたが、まだ自分の場所から動くことができないで、小さな手で互いにさわり合っていた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
荒い
格子
(
こうし
)
の
檻
(
おり
)
に閉じこめられて嘆いてる
仔牛
(
こうし
)
、青っぽい白目をしてる飛び出した大きい黒い眼、薄赤い
眼瞼
(
まぶた
)
、白い
睫毛
(
まつげ
)
、額に縮れてる白い
尨毛
(
むくげ
)
、紫色の鼻、X形の足
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
格子
(
こうし
)
が開いたと思うと「今日は」と入って来たのが一人の軍曹。自分をちょっと
尻目
(
しりめ
)
にかけ
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
妹たちが食事を終わって二人であと始末をしているとまた玄関の
格子
(
こうし
)
が静かにあく音がした。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
明
(
あ
)
くれは
日曜
(
にちえう
)
、
終日
(
ひねもす
)
寢
(
ね
)
て
居
(
い
)
ても
咎
(
とが
)
むる
人
(
ひと
)
は
無
(
な
)
し、
枕
(
まくら
)
を
相手
(
あひて
)
に
芋虫
(
いもむし
)
を
眞似
(
まね
)
びて、
表
(
おもて
)
の
格子
(
こうし
)
には
錠
(
でう
)
をおろしたまゝ、
人訪
(
ひとゝ
)
へとも
音
(
おと
)
もせず、いたづらに
午後
(
ごゝ
)
四
時
(
じ
)
といふ
頃
(
ころ
)
に
成
(
なり
)
ぬれば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
尠
(
すく
)
なくともかの女にはそう感じられ、ささやかな竹垣や、
厳
(
いか
)
めしい石垣、
格子
(
こうし
)
のカナメ垣の墓囲いも、人間の小さい、いじらしい生前と死後との境を何か意味するように見える。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこへ、ガラッ!
威勢
(
いせい
)
よくおもての
格子
(
こうし
)
があいて、聞き
慣
(
な
)
れない人の
訪
(
おとず
)
れる声がする。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
縁結びの心願の偶像となったものとか、今でも
祠
(
ほこら
)
の
格子
(
こうし
)
に多くの文が附けられてある。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
住居の
門口
(
かどぐち
)
らしい
微暗
(
うすぐら
)
い燈の
射
(
さ
)
した処が、右側に
三処
(
みところ
)
ばかりあった。女はその最後の微暗い燈の家へ、門口の
格子
(
こうし
)
を開けて入り、建てつけの悪いその戸をガシャリと閉めてしまった。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
おれは娘の病気の
平癒
(
へいゆ
)
を祈るために、ゆうべここに
参籠
(
さんろう
)
した。すると夢にお告げがあった。左の
格子
(
こうし
)
に寝ている
童
(
わらわ
)
がよい守本尊を持っている。それを借りて拝ませいということじゃ。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
幸子は一人
表
(
おもて
)
の
間
(
ま
)
の
格子
(
こうし
)
の
桟
(
さん
)
を両手で握ってごとごと
揺
(
ゆす
)
っていた。彼女は二つだ。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
お島は時々
細
(
こまか
)
い
格子
(
こうし
)
のはまった二階の窓から、往来を眺めたり、向いの化粧品屋や下駄屋や
莫大小屋
(
メリヤスや
)
の店を見たりしていたが、
檻
(
おり
)
のような窮屈な二階に
竦
(
すく
)
んでばかりもいられなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
“格子”の意味
《名詞》
細い角材や竹を縦方向、横方向に組み合わせた建具。
(context、mathematics)ベクトル空間の基底を整数係数で線型結合して得られた全体。
(出典:Wiktionary)
“格子”の解説
格子(こうし)は周期的に並んだ区切り、仕切りのこと。格子戸、鉄格子などとして一般的にも使われる。
(出典:Wikipedia)
格
常用漢字
小5
部首:⽊
10画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“格子”で始まる語句
格子戸
格子縞
格子窓
格子門
格子口
格子越
格子戸作
格子戸造
格子先
格子組